それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ

登録日:2011/06/21(火) 00:56:53
更新日:2023/08/16 Wed 08:42:31
所要時間:約 6 分で読めます




時は30世紀。銀河に広がった人類は二つの勢力に別れ、領土や利権を巡って争う時代……。そんな未来の並行世界に呼び出された女子高生、山本洋子とその仲間達は生死を賭けた宇宙戦争、そしてその奥にある古代文明の遺産を巡る戦いにその身を投じていく。

ごめんなさい殆どウソです

技術の進歩によって一人での繰艦を可能とし、さらに絶対的安全性をも確保した結果半ばプロスポーツ化した戦争の選手(プレイヤー)として首を突っ込みながら、古代文明の謎に巻き込まれていくゲーマー洋子ら愉快な女子高生達の物語。

それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ』は、庄司卓によるライトノベル。

ジャンルとしてはライト調なスペースオペラ+時間SFで、主人公陣が招かれるのが「彼女達の現在と繋がらない未来」なんてタイムトラベルと異世界転移を足して二で割ったようなもの等、色々と設定が深かったりする。
富士見ファンタジア文庫最盛期の作品で、アニメ化・二度の漫画化もされている。作者の意向からあえてメディア間でキャラデザのコンセプトが異なり、完全版時にも絵師の絵柄変化が起こっているが。
また主人公がゲーマーなため、様々なゲーム名やゲーム・アニメ系のネタがちょいちょい登場している。



~登場勢力~

  • TERRA
地球を首都とする勢力。2014年に誕生した、地球統一国家が銀河系に版図を広げた姿である。戦艦はF1カーそっくりで、艦名は搭乗者の氏名。

  • NESS
25世紀に発生した大戦の際に音信不通となった植民船団の末裔。母星を持たず、宇宙船団を拠点としている。
血縁に重きを置いており、名前の前に氏族名と家名を付ける習慣がある。
戦艦は魚介類風で、艦名は家名+数字とシンプル。
+ 長らく保守派氏族と革新派氏族の間で権力闘争が絶えず、所属戦力がよく振り回されているが…
終盤ではNESS創始者の末裔「平地人」の王女と摂政が一時TERRAに亡命し(その過程で洋子らとも行動を共にしている)、
完全版11巻にて摂政はNESSに戻る条件として「NESSを常態に戻す」…かつて創始者が願うも周囲によって阻まれ情報を消された銀河系外への大規模移民計画「フラスニティ計画」推進を暗に希望。
結果革新派なフーリガーの兄フィッシャーと「平地人」勢力が手を組む事でNESSの改革が始まることになる。「自分の夢が叶えば創始者の夢にも繋がる(意訳)」と豪語するゼンガーはそれでも止まらなかったけど。

  • WASCO
両勢力の協定により生まれた戦時監視委員会。要するに審判兼運営組織である。
…が、その裏では「オールドタイマーとの将来的な接触」を視野に入れ、各勢力の武力増強を管理・推進する面も存在する。

  • noyss
物語途中で誕生した新興勢力。様々な思惑の元、TERRAとNESS双方から集まった人々からなる。

  • オールドタイマー
遥か昔に銀河を征した謎の古代文明。30世紀においてもオーバーテクノロジーと呼べる超技術を持っていたらしく、遺跡を巡って各勢力が争うことも多い。



~人物~

●エスタナトレーヒチーム
チーム名は戦艦の母艦である「パドック艦」の名前から。

唯我独尊を地で行く、猫のような印象の帰国子女(祖母がベルギー系アメリカ人のクォーター)。まあ全力投球出来る趣味を見つけた某SOS団団長だと思えばだいたいあってる。
…話が進むにつれオールドタイマーの遺産との接触時遺産が「司書」なる人格とちび洋子姿で洋子と対話し、時を超え洋子そっくりの謎の存在(通称「テミスのヨーコ」)と度々邂逅する等事態の鍵に成り出したため、ある意味某団長より先を行っていたり。
格ゲーマーかつSTGをこよなく愛するシューターであり、メガドライブ時代に原作が始まっただけあって大のセガフリーク。なのでバーチャロンではシューター力も活かせるバル・シリーズ派。なお作品開始時的には令和のセガ好き異世界帰り主人公が小学生くらいの頃の話だったり。
逆に京都の花札屋とRPGが大嫌いで、偶然知人が買って持ってきたRPGをゲーム機ごと学校の窓から投げ捨てる程。ドラクエIで最初の城にすら辿り着けなかったらしい……セガ製RPGにはどう対応するのだろう
(今のゲハ戦争に当てはめないように、色々とややこしくなります)
とても長いミドルネームを持ち、アメリカでのフルネームは「ヨーコ・ドロレス・アサミ・ダールトン・ヤマモト」ドロレスを愛称で呼ぶのは辞めよう、絶対
乗艦は高出力の主砲「エヴァブラック砲」を搭載し、上からの許可が必要な最終兵器として「統一場粒子兵器ザッパー」・「相転移兵器ブラスター」をも装備する打撃戦艦、TA-29ヤマモト・ヨーコ。

デコが眩しい元体操選手、かつ同人誌サークルの一員でもある女オタ。作者から絶対に洋子に勝てないと明記される可哀想な子。
決してジャージ部でもなく、某淫獣と契約して魔法少女になったりはしない。シールドは原作でATフィールド扱いされたが
また未来での戦いの中、フーリガーの友人件右腕メオ・キャケルのバーニナーにほのかな想いを寄せていくように。
乗艦は無類の防御力を誇るチートバリア『ヴェイパーシールド』を装備した高速戦艦、TA-25ミドー・マドカ。

古流合気術白鳳院流の達人。とはいえ本人は小柄で大人しい天然ぎみのお嬢様である。やけに露出が激しいサービス要員。
乗艦は重力発生装置、重力アンカーで相手を掴み白鳳院流の技術を再現できる(物理)格闘戦艦、TA-27ハクホーイン・アヤノエリザベス。

  • 松明屋紅葉(声:新山志保(OVA)、雪乃五月(TV))
田舎劇団の座長の一人娘。母親からは次期座長として期待されているが、本人はアクション映画監督を目指し現在仲違い中。長身ポニテゆえ、まどか曰く「セーラージュピター」。
乗艦は多数の無人機を搭載した強襲空母、TA-23カガリヤ・モミジ。

名前からして便利そうな技術者の青年。製作したタイムマシン(っぽいもの。ざっくり言うと「相対過去・相対未来」なる並行世界への移動機に近いもの)がたまたま繋がった日本で見つけた洋子達をスカウトした張本人。
技術者としては天才であり、TA-2系の戦艦も彼の手による。
洋子とフラグが立つ人の1。


●その他主要人物

今は没落したNESSの名門、メオ氏族トロル家のエースパイロット。つまり、分かりやすいライバルキャラ。
公式で「洋子に並び立つパイロット」認定されているが、弱小氏族ゆえに周囲の思惑に翻弄され、後半ではゼンガーの策で軟禁された上彼の戦力として動く事を余儀なくされる。
使用機体はスキップジャック(初期機体)→スティングレイ→一時的に使用を余儀なくされたTA-21ハンマーヘッドと変化し、完全版11・12巻ではオットー謹製のプロジェクトR最終機体「ネプチューン」を駆る事に。
洋子とフラグが立つ人の2。

  • レッドスナッパーズ
SM女王様風でフーリガーラブな打撃戦艦(完全版名:レッドスナッパー・プリモ/富士見版名:レッドスナッパーズスペリオール)を駆るルージュ(声:玉川紗己子)
おバカ系だが知恵の回る戦術指揮戦艦チェリースナッパー使いロート(声:かないみか)
パンクロッカー風で探査・攪乱に長けた支援戦艦クリムゾンスナッパーに乗るルブルム(声:野上ゆかな(現・ゆかな))
弱気な和風美少女だが気弱過ぎて本編初期までバーサーカー気質も抱え込んでいた突撃戦艦ルビースナッパー乗りエリュトロン(声:鈴木真仁)
という、欠片も似てないメオ氏族ニス家の4姉妹。ちなみに4機とも既存戦艦「ドラーダ級」のカスタム機で、姉妹で一番まともなのはルブルム。
NESS陣営側のライバルチームだが、なんやかんやで洋子達の仲間っぽいポジションに落ち着いている。
余談だが、全員名前がを意味している。

  • メリ・スハンのテンツァー(声:林延年)
やたらプライドが高く傲慢で短気という、典型的な小者臭溢れる兄ちゃん。洋子によるとM・シューマッハ似らしい。
初対面でぶん投げられて以来、ことある事に綾乃とフラグが立ち続けている。
謎の球体を手にして以来行動が先鋭化してきた祖父ゼンガーに捨て駒にされた末、現在はnoyssに所属。祖父の真意を知ろうとし、完全版終盤でついに捕捉するが…。
原作、コミック(角井版)、アニメと見た目に大きな差がある。

  • シルヴィー・ドレッド(声:根谷美智子)
腕はともかく性格に難のある、猫のような印象のTERRAのアイドルプレイヤー。人気を洋子達に奪われた末、試作艦だったTA-21ハンマーヘッドを奪ってNESSへ亡命。
後にテンツァーを助け(ついでにフーリガー用の新型機スティングレイに乗って)彼と共にnoyssへ。……ちょっとは大人しくしてろよと言いたい。
家族関係に色々難があり、自分の眼の前で死んだ母の記憶を(トラウマ防止のため)父に消された過去から父を恨んでいる。
ただテンツァーと逃げて以降はある意味自分並みに面倒くさい彼との付き合いからか、父と縁がある人物と知りつつもマーカスの誘いに乗る等少し落ち着きを取り戻している新機が「アノマロカリス」だったのにはむっとしたが

  • メオ・ママンのオットー
スキンヘッドに丸サングラスのマッドエンジニア。NESS版ローソン(腹黒仕様)とでも言った所か。
ローソンへの対抗心は凄まじく、フィッシュシリーズは対エスタナトレーヒチームに過剰に特化させている。
また最強の戦艦製造計画「プロジェクトR」完成のためTA-21から得たローソン側の技術も含めた開発を進め、推進のためならnoyssへの戦力提供やゼンガーへの協力をも厭わない。
想像した人もいるだろうが、そのまんまの容姿から作中で「サンプラザ中野のパチモン」扱いされることも。

  • フィッシュチーム/フェイズ2チーム(完全版の人物紹介より)
オットーが現代の日本で集めた、洋子達と因縁のある少女達で構成された新たなNESS陣営チーム。「フェイズ2」は使用機体の開発計画「プロジェクトR」のシーズン名から。
綾乃の白鳳院流と雌雄を決しようとするする紅鵬院流の使い手、巨大爪装備の格闘戦艦クロウフィッシュを振るう紅鵬院翼、
まどかの後輩で彼女を体操選手として復帰させようとする、針鼠の如くヴェイパーシールドコーティング槍を纏う装甲戦艦バタフライフィッシュに乗る雉波田光、
紅葉を劇団に連れ戻そうとする従姉妹の忍者小学生、攻撃空母サンフィッシュ使いの鷲尾木葉、
洋子に初代バーチャロンで負けたゲーマーのブラコン妹にして弓道家のお嬢、狙撃戦艦アーチャーフィッシュを駆る高取集、
のチーム。一人変なのが混じってるが気にしない。そいつがリーダー格です。
派手に出てきたのだが、ちょうど登場した頃からクライマックス展開に突入したせいか少々咬ませ気味。

  • マーカス・フィンレイ
ゼネラル・コスミック・サービスなる企業の社長にして、影で暗躍してnoyssを設立した謎の多い仮面のナイスミドル。
「木の葉を隠すために森をでっち上げる」と評される、派手かつ非常識な手段で真の目的を隠す手法が得意技。
自分を「父」と慕う青年プレイヤーアロイス・フィンレイを従えている。
+ 実は…
レッドスナッパーズの実父で、アロイスは死んだ義姉の再婚相手の連れ子(平たく言うと養子的存在)。
完全版11巻ではnoyss立ち上げの理由の一つとして「娘達と共にいられる居場所を作る」があると明かしルージュを勧誘するもはねのけられた。
なお、その後マーカスの正体とアロイスとの関係性が(ロートの勘づきにより)ルージュから他の姉妹に説明された際、アロイスに想いを寄せているエリュトロンはほっとしていた。


  • メリ・スハンのゼンガー
NESS保守派の権力者であり、テンツァーの祖父でもある老人。
元々冷徹な策士だったが、ある時謎の「黄金の玉」を手に入れてから野望が肥大化。玉に憑かれる様に独自の行動を始め、洋子が「テミスのヨーコ」に選ばれた(そしてそれがもたらす「超越」よりも日常を選んだ)事にも嫉妬。
完全版終盤ではフーリガー・オットーら一部戦力以外の全勢力を敵に回し、独りで超越者「究極観測者」になろうとするが…。
ちなみに最終巻では目的地へ行くためのパドック艦に、NESSの始原の夢と自分の理想を載せて「パンサラッサ」と命名したが、まさか2022年に海を越えた馬の名前として有名になるとは思わなかっただろう。


ちなみに、本作のテレビアニメは近年有名な新房昭之の監督作品として知られる。


……とまあ色々書いたが、最後に下の刊行履歴を見て欲しい。

レーベル:富士見ファンタジア文庫
刊行期間:1993年~2001年
巻数:長編既刊全12巻、短編集全10巻
その他:最終刊は刊行されず。
その他:最終刊は刊行されず。

大事なことなので(ry

……どーいうことだ。


と思ってたら、アサヒノベルズから2巻ずつ程度を纏めて書き下ろしも足したりした“パーフェクトエデイション”が刊行され、2013年に遂に完結した。おめでとうというかお疲れ様というかなんというか……
こちらは本編全12巻(11・12が新規)+書下ろし番外編全1巻。
洋子の好きなセガと1巻でプレイしていた『ぷよぷよ』に例えるなら、メガドライブで『ぷよぷよ』をする時代に始まり、ドリームキャストのセガ発売『ぷよぷよ』を経て、セガ謹製『ぷよぷよ』を京都の花札屋のハードで遊ぶ時代に終わったことになる。
そのせいで完結編部分ではポケベル時代スタートなのにスマホや2012年稼働開始のSTGが登場してしまったが、エンディングではそれに対してかなりざっくりだが洋子の違和感とちょっとした理屈も入れていた


追記修正は灰色の弁当箱を踏みつけながらお願いします。

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最終更新:2023年08月16日 08:42