名探偵夢水清志郎シリーズ

登録日:2012/05/18(金) 14:20:21
更新日:2024/04/16 Tue 20:36:02
所要時間:約 18 分で読めます




ようこそ、赤い夢の世界へ



名探偵夢水清志郎シリーズとは、講談社青い鳥文庫より刊行されている推理小説シリーズである。作者ははやみねかおる
ファーストシーズンの「名探偵夢水清志郎事件ノート」は全11巻+外伝4巻。
セカンドシーズンの「名探偵夢水清志郎の事件簿」は既刊3巻で、現在も刊行中。

ファーストシーズンは1994年から2009年まで刊行され、現在は講談社文庫から文庫版も順次刊行されている。
こちらは2009年の『卒業〜開かずの教室を開けるとき〜』を以て終了したが、2010年から名称・挿し絵担当を改めたセカンドシーズンが開始された。


なおファーストシーズンの挿絵を担当していた村田史郎氏であるが、2011年9月3日に心不全で亡くなられた。



児童書という事もあり、ミステリーものにしては珍しい“殺人事件が起きない”作品である(例外として「機巧館のかぞえ唄」があるが、あれはオチがオチなので……)。
「事件ノート」は1999年にNHK教育テレビで「双子探偵」としてドラマ化された他、講談社と星海社よりえぬえけいと箸井地図が作画を担当した漫画がそれぞれ連載されている。
但しドラマ版は舞台が東京下町だったり岩崎家の設定が大きく改変されていたりするので注意が必要。またドラマ版はSPドラマで『ズッコケ三人組』とクロスオーバーしている。
2014年にはプラネタリウム特別番組「天象館の謎」が上映され、はじめてCVがついた。

余談だが、同作者の「怪盗クイーンシリーズ」や「少年名探偵 虹北恭助の冒険シリーズ」とは同じ世界観。
氏の作品群は全て世界観がつながっており、コアなファンの間では考察もなされている。
また青い鳥文庫20周年企画としてパソコン通信探偵団事件ノートシリーズ(いわゆるパスワードシリーズ)との競作『いつも心に好奇心(ミステリー)!』があり彼らと共演する場面が存在する。



【ファーストシーズンあらすじ】
中学1年生・岩崎亜衣の家の隣にある「幽霊屋敷」と呼ばれている古い洋館に、誰かが引っ越してきた。
亜衣はどんな人物が引っ越してきたのかを確かめるため、お茶っ葉を持参して洋館への潜入を試みる。
それが新しい隣人、名(迷?)探偵・夢水清志郎(教授)との出会いだった。


【登場人物】
●夢水清志郎
ドラマ版:和泉元彌→手塚とおる、プラネタリウム版CV:鳥海浩輔
主人公。自称“名探偵”で、元論理学教授だったことにちなんで通称は「教授」。
真っ黒な背広を常に着用し、常に着用したサングラスのせいで表情が分からない(ただしえぬえ版ではサングラスが小さいため、表情が丸わかり)。
身長はかなり長身だがかなりのやせ形で、作中では「針金細工の人形」と称されたことも。

年齢、出身地、経歴など殆どが不明だが、これは別に隠している訳ではなく、ただ単に教授が忘れているだけである。しかし、怪盗クイーンのことはしっかり覚えている。一体何故…
性格はずぼらで意地汚く、生活も日がな一日ソファに寝転び推理小説を読み耽る。(事件簿になってから己の食い意地のためにさまざまな研究開発に取り掛かるようになった)
故に亜衣達からは「社会生活不適合者」とまで言われている。
また、大変な自信家(亜衣曰く自信銀行に自信を定期預金している)で「名探偵 夢水清志郎」と書かれた自作の名刺を持ち歩いている。

…と、ここまで書くとただの駄目人間の様に見えるが、探偵としては超一流であり、一度事件が起きれば蓄積された知識や勘から多くの事件を解決していく。
「名探偵とは、みんなが幸せになるように事件を解決すること」などの幾つかの美学を持っていて、その為ならどんな汚名を被る事も厭わない。
ちなみに名前の由来は、はやみね先生の夢の中にこのキャラが出てきて夢水清志郎と自ら名乗ったことから。


○岩崎三姉妹
亜衣、真衣、美衣の三姉妹で、三つ子。
教授が隣に引っ越してきたときは、容姿が非常によく似ていることを活かし、同一人物を装って3人で1日ずつ行動を調査した。
しかし視力の差による本棚の見方や靴の揃え方と言った微妙な違いを教授はすぐに見抜き、
調査終了後の4日目に亜衣が遊びに行くと「残りの2人も連れておいで」と言われてしまった。
CVはなぜかボカロ揃いになっている。


●岩崎亜衣(いわさき あい)
ドラマ版:三倉茉奈、プラネタリウム版CV:藤田咲
岩崎三姉妹の長女。教授の飼育係。容姿は黒髪のセミロング。
この物語は専ら彼女が語りを務めるので、実質的な主人公である。
性格は心配性とも言われる程のしっかり者で思慮深い。三姉妹の意思決定はだいたい彼女が行う。
推理小説が大好きな文学少女で、第2回以降の江戸川乱歩賞受賞作品をすべて言える程の推理小説フリーク。
読むだけではなく書く事も行っており、学校では文芸部に所属。密かに江戸川乱歩賞を狙っている。
最終的には新人賞の最終選考まで残るほどに腕前を上げ、本格的に小説家への道を志すようになった。
その趣味が高じてか、作品ごとに推理力が上がっていて『踊る夜光怪人』では、教授に「名探偵」と言わせしめるほど。
観察力も高い水準にあり、「いい目をしている」と褒められることも。
一方恋愛に関しては、早くからレーチと接していたにも関わらず彼の本心には鈍感で、
明らかなデートの誘いにも教授や他のみんなのことを優先して考える、今時のラノベ主人公もびっくりのニブチン。
えぬえ版では教授に想いを寄せているような一面もある。
名前の由来は一人称主格の「I」。

●岩崎真衣(いわさき まい)
ドラマ版:三倉佳奈、プラネタリウム版CV:浅川悠
岩崎三姉妹次女。教授の保護者。容姿は黒髪のポニーテール。
さっぱりとしたおおらか(がさつ)なスポーツ少女。運動能力は非常に高く、いくつかの高校からスカウトされる程。
ただし彼女は自分のペースで体を動かすことを良しとしており、変に期待されたり勝負に挑むことを嫌っている。
また、基本的には短距離走者であり、持久力では亜衣に負けるとの事。
反面、文字を読むことは苦手で、自称「活字恐怖症」。でも映画は校則を破ってでも行こうとするほど大好き。
勝ち気な性格で、相手に不満を抱いたらそれが護衛対象であろうとルームメイトであろうとつっけんどんな態度で接する。
ラブレターは年下(主に女子)からよくもらうらしい。
亜衣や美衣と比べてなかなか男に恵まれなかったが、最終的にとある事件で知り合った高スペックチャラ男くんと良好な関係になった。
えぬえ版ではよくイケメンを追いかけてあえなく撃沈している。
ドラマ版では両親が離婚しているので苗字が山下になったり、関西弁を喋ったりした。
名前の由来は一人称所有格の「My」。

●岩崎美衣(いわさき みい)
プラネタリウム版CV:下田麻美
岩崎三姉妹三女。教授のしつけ係。容姿は黒髪の二つ結び。
末っ子という事もあり三姉妹一の甘えん坊で、教授の影響を受けやすい天然かつマイペースな性格。
大の新聞フリークで、日本語以外にも英語やフランス語の新聞も取っており、気に入った記事をスクラップする趣味がある。
なので外国語の翻訳には長けている(その割には英語の成績は亜衣や真衣と変わらないが)。えぬえ版ではオシャレ好きな一面も追加された。
代わりに運動神経はおそろしく悪く、亜衣に「真衣に全部取られたんじゃないか」と思われる程である。
基本的に誰とでも(例えそれが生真面目で硬派な後輩だろうと瀕死のガリ勉君だろうと戦場帰りの特殊戦闘員だろうと)柔らかい物腰で接し、
それに感化されるのか彼女と話した人達は心が丸くなっていく。ついでに言うと年上からモテる。(でも当の彼女は教授にベッタリ)
ちなみに作者HPや青い鳥文庫公式サイトで限定公開された未収録原稿において結婚したいタイプの男性を聞かれており、彼女が答えて曰く
①やたら背が高く②いつも黒い服を着ていて③食い意地が張ってて④記憶力が壊滅的に悪く⑤周りからは社会生活不適応者と呼ばれるけど⑥そんなの気にせず自分のやるべき仕事を果たす
そんな素敵な人らしい。いったい何水清志郎なんだ…。
え、ドラマ版?…「双子探偵」というタイトルで察してあげてください。
名前の由来は一人称目的格の「Me」。

●岩崎羽衣(いわさき うい)
岩崎三姉妹の母。
日課は読書・運動・新聞のスクラップ。得意料理はとろみの少ないカレー。
なんと大学在籍時に結婚し、その後すぐに三姉妹を産み育てた、ある意味作中最強。
寛容でおおらかな性格だが怒らせるととても怖いらしく、教授が唯一頭の上がらない人物でもある。
名前の由来は一人称複数の「We」。

●岩崎一太郎(いわさき いちたろう)
岩崎一家の主人。
「72時間働けますか」がスローガンの会社に勤めているためとても忙しく、作中ほぼ全く登場しない。でも登場人物紹介には毎回出る。
が、休暇を取れば羽衣と旅行に行くなど、妻へのサービスを忘れない夫の鑑である(三姉妹は大抵置いてきぼりをくうが)。
洗濯機は二層式以外認めないというこだわりを持つ。


●虹北学園(こうほくがくえん)
亜衣たちの通う中学校。明治のはじめに設立された老舗校。
歴史が長いこともあって様々な言い伝えが残されており、それが作中の事件と密接につながることがある。
校則や生徒指導には厳しい反面、虹北商店街限定ながらアルバイトが許されてたり部活の新設も簡単にできたりとアバウト。
特にクラブ活動に関しては、その緩さ故に大小様々なクラブや同好会が乱立している。
【例】・文芸部より部員が多い「枕投げ同好会」
   ・学園祭中にUFOを呼ぼうと不思議な呪文を唱える「WE LOVE UFOの会」
   ・修学旅行中に極秘の避難訓練を行おうとする謎サークル「治乱」
   ・超常現象研究会会長、中村巧さんを研究する会
   ・活動内容や所属部員すら不明な「秘○屋」「三月ウサギ友の会」etc...
…もはや自由を通り越して無秩序になったのを抑えるためか、亜衣達の卒業後クラブの新設条件が厳しくなった。

●中井麗一(なかい れいいち) 初出:亡霊は夜歩く
亜衣の同級生。文芸部に所属し、通称は「レーチ」だがこれは「知性が0(れい)」という意味も含まれているため本人は嫌っている。
性格はずぼらで、髪を長く伸ばして輪ゴムで留めたり、屋上で昼寝するなどの行為から、女子からは「野蛮人」と呼ばれる事も。
成績は国語を除くと壊滅的だが、事件に出会した時の彼は正に頭脳明晰と言って差し支えない。作中では教授に代わり度々探偵役を勤める事もあった。
教授の事を尊敬していて、自ら夢水探偵事務所の第一助手と名乗り、(教授に無断で)名刺まで作っている。
また、亜衣には好意を抱いており、作中では度々デートに誘うなどしているが、肝心の亜衣が鈍感な為、全く気付いてもらえない。
作中の「レーチの文学的苦悩」では、その初々しさが見られる。
中学卒業後の進路に迷っていたが、最終的にフランスに留学することを決意。
亜衣との別れ際には週イチで手紙を送ることを約束したが、「封じられた秘宝」ではなんと3年間で3通しか送っていないダメ男ぶりが発覚した。
えぬえ版だとまさかの金髪な上、短髪。原作とは違い教授のことをライバル視している。あとツンデレ。

●渡辺(わたなべ)部長 初出:亡霊は夜歩く
亜衣の二年上。亜衣が一年生のとき文芸部部長を務めた。
普段は物静かだが、〆切が近づくと鬼と化す。エンターテイメント志向。

●片桐(かたぎり)先輩 初出:亡霊は夜歩く
亜衣の一年上。名前と風貌から文芸部内では「カマキリ先輩」と呼ばれている。
純文学志向ゆえに、商業主義的な渡辺やロクに作品を書かないレーチとは対立している。
2つ下の弟がおり、「卒業」で盛大にやらかした

●水野千秋(みずの ちあき) 初出:踊る夜光怪人
亜衣の一年下。レーチに思いを寄せる奇特な後輩その1。
学園近くにある寺の住職(茶髪ロン毛の750ライダー)の娘で、性格も容姿も成績も良く詩の才能もある申し分のない子。
なんとレーチを追いかけて文芸部に入部するほどベタ惚れしており、彼を心から信頼かつ尊敬している。
そんな彼女を見て亜衣は複雑な心境を抱いている。

●森川美琴(もりかわ みこと) 初出:人形は笑わない
亜衣の一年下。レーチを何かにつけ褒める奇特な後輩その2。
普段はキャピキャピしているイマドキのJCだが、パソコンの前では人格が変わり冷徹なPCエンジニアと化す。
映画はドラえもんとか東映アニメフェアくらいしか見ない。

●一ノ瀬匠(いちのせ たくみ) 初出:人形は笑わない
亜衣の二年下。レーチを尊敬すると言って憚らない奇特な後輩その3。
編み棒一本で剣道部員を全滅させたり棒きれで枕を破壊するなど武道に長けてる一方、編み物も上手というハイスペック男子(でも幽霊嫌い)
最初は先輩にこき使われる不憫な後輩キャラだったが、とある出来事がきっかけで美衣にベタ惚れ。
それ以来美衣から貰ったピンクの木刀を常日頃携行し、事あるごとに美衣の目の前に現れるストーカーぶりを見せ、
挙句1年生の時点で志望校を美衣の進学先に決めるという、シリーズ屈指の危険人物となってしまった。(「笛吹き男とサクセス塾の秘密」での彼はもはやホラー)
「封じられた秘宝」では美衣の最強の守護神として活動しながら、なかなか決まらない彼女の進路に振り回されている。

●真木恭子(まき きょうこ) 初出:亡霊は夜歩く
虹北学園に務める数学教師。あの教授と恋愛フラグを立てた数少ない人。
彼女自身も虹北学園の卒業生で、自分の後輩である亜衣たちのことを日々見守っている。

●染井吉野(そめい よしの) 初出:亡霊は夜歩く
虹北学園の元生徒。真木先生と同級生で親友同士だった。
亜衣が目標とするほどの優れた文才を持ち、面白い推理小説を書くことで有名だった。
しかし校則違反の濡れ衣を着せられ抗議の意を込めて飛び降り自殺。
この痛ましい出来事が15年後に学園内で起こる事件の嚆矢となる。

●上越(じょうえつ)警部 初出:そして五人がいなくなる
教授や三つ子と親しい、人情味のある小太りな中年警部。年齢は50歳前後、小太りな体型で髪が少々薄い。
えぬえ版では若返ってイケメンになり、性格もやや熱血気味に。ついでにギャグキャラ化も加速した。反面、事ある毎にウインクをするお茶目な人だが、どうしても両目を瞑ってしまう。
当初は教授の性格から彼を嫌っていたが、彼のポリシーに触れてからは態度を改めるようになった。(なお教授からはいつもすぐ誰だったか忘れられる)
既婚者であり、子供が2人いる。ちなみに若返ったえぬえ版でも同じ家族構成であり、三つ子はもちろん教授すらも引かせていた。
名前の由来は多分新幹線。

●岩清水慎太郎(いわしみず しんたろう) 初出:踊る夜光怪人
上越警部の部下。生真面目だが暴走しがちで、すぐに手錠や拳銃を取り出してくるあぶない刑事。身のこなしには気を使っている。
怪盗クイーンシリーズでは、クイーン一味に拉致されるも隠れ家から脱出してみせるという大活躍を見せた!(ラーメンとおでん食ってただけというのは内緒だ)
えぬえ版ではパプワくんに出てきそうな見た目をしている。

●伯爵 初出:そして五人がいなくなる
記念すべき(?)シリーズ最初の犯人。
隣町の遊園地「オムラ・アミューズメントパーク」でマジックショーを演じるマジシャン。あの夢水が褒めるくらい凄い腕前。
が、そのマジックショーの最中に少女を1人消してみせ、その後も3人の子どもを誘拐。夢水清志郎が対峙するはじめての相手となった。
事件が解決し正体が明らかになった後もちょくちょく登場し、教授や新たな事件の犯人に協力している。

●伊藤真理(いとう まり) 初出:魔女の隠れ里
女性雑誌「セ・シーマ」のタフな編集者。関西訛りが特徴。…実は育った土地こそ関西だが生まれは違う。
「名探偵夢水清志郎の謎解き紀行」(という名の「食いしん坊夢水清志郎の食い倒れ紀行」)と言う企画の担当者。
一太郎同様「72時間働けますか」というスローガンを掲げており、実際三日間休みなしで働く事もしばしば。
愛用品に名前を付ける癖があり、作中では「ポチ一号」(スズキ・アルトワークスにエンジン改造を加えたバケモノ車。因みにエアバッグは未装備)、
「ポチアマゾン」(トヨタ・ファンカーゴ)、「ポチV3」(取材用バス)、「サイクロン1号」(ノートPC)などが登場している。
運転は荒く、公道を猛スピードでぶっ飛ばすため、スピード狂の教授以外は大概気絶する。
ネーミングの元ネタがわからない子供はお父さんに聞いてみよう!
なお、初登場の巻で彼女がとある秘密を抱えていた事が明らかになるが、次の登場からは何の説明も無くスルーされている(一応えぬえ版では一言だけツッコミが入っており、『怪盗クイーンはサーカスがお好き』でも「(親とサーカスを見に行くような)子供時代と縁遠かった」と初登場時の秘密が前提となっている発言をしている)。



【セカンドシーズンあらすじ】
小学6年生の宮里伊緒は、名探偵を志す少女。
ある日、妹の美緒から怪しげな洋館の話を教えられ、伊緒は潜入調査(?)に踏み切る。
本ばかりの洋館の中にいたのは、黒ずくめで長身の妙な男だった。
その出会いと同時期に、伊緒と夢水は"怪人幻影師"の起こす騒動に巻き込まれ、対決していくことになる。


【登場人物】
夢水はもちろん引き続き登場(駄目っぷりもあいかわらず)。
●宮里伊緒
セカンドシーズンの語り手で、名探偵を目指す小学6年生の少女。髪型はロングで、探偵活動の時はポニーテール。
本当は活発で行動的な少女だが、祖父の武伊の「大和撫子であれ」という教育方針に従い、人前では猫を被っておしとやかな大和撫子で通している。
他にも、祖父からは宮里流体術の稽古を受けている。
芯が強く、正義感の持ち主。しかし夢水と行動し、幻影師やルイの動きを見ていくにつれ、名探偵としてみんなを幸せにするために謎を解くことの難しさや、自身の未熟さに気づき、たびたび苦悩する。
両親は仕事の都合で海外にいる。紆余曲折を経て居候してきたルイとは同室。

●宮里美緒
伊緒の妹で小学2年生。猫を被って過ごす伊緒の活発な性格を知る、数少ない人物。
年相応に元気な少女。海外にいる両親から携帯電話にときどきかかってくる電話が楽しみ。


●中島ルイ
人気子役タレントの少女。小学6年生で、ジャパンテレビの映像監督・中島均の娘(養子)。
紆余曲折の末に宮里家に住み、伊緒たちの小学校に転校してくることになる。
Q国の秘薬を宝物として大切にしている。将来の夢は、『父のようになる』こと。

●中島均
中島ルイの父。
映画監督をしている。娘想い。
その正体は、なんと怪人幻影師その人。1巻からその正体は明かされ、以降たびたび夢水と対決する。夢水は彼を幻影師として認めている。
つまり、ルイの『父のようになりたい』=『父のように世界に赤い夢をもたらす幻影師になりたい』ということ。ルイは幻影師の娘として修行するため、名探偵を志しておりやがては打ち倒さなければならなくなるであろう未来の好敵手・伊緒の家に居候することを決めた。


●宮里武伊
伊緒と美緒の祖父。宮里流体術の師範でもあり、警察に体術を教えに行くほどの腕前。
孫たちを地上最強にするのと同時に、大和撫子にもしようと考えている。
そのため伊緒たちには宮里流体術の稽古と、大和撫子になるための教育を同時に行っている。
厳しいが、孫たちの良き理解者。


●入江拓郎
伊緒のクラスメイト。通称「タクロー」。いつも1人の一匹狼で、アウトローのイメージがついている。
前髪はボサボサで、高身長。

●坪井みやび
伊緒のクラスメイト。クラスでは「お局様」と呼ばれている少女。お高くとまってはいるが、学級委員で成績は優秀。
父は篠田建設の重役である。

●篠田光
伊緒のクラスメイト。篠田建設社長の息子で、学級委員。背が高い。伊緒が想いを寄せる男子。
双子の妹の美千留がいたのだが、事故で川に流されて死亡した。
しかし真相は逆で、流されて死亡したのは兄・光の方であり、それから今に至るまで妹・美千留が父の命令で光を演じていた。伊緒はそれを見破って光に自分の推理を話し、ことの真相を聞くことで、自分の恋に自ら終止符を打った。

●斑鳩めぐる
伊緒のクラスメイト。あだ名は「イルカ」。女子からは人気だが、伊緒は彼のチャラチャラしたところに苦手意識を持っている。
キザで、よくポーズをきめる。しかしビビり。
ルイに惚れてしまい、何とか振り向かせようと必死になっている。



なお、これらのシリーズとは別に、短編として夢水が本当に『教授』として大学にいたころの物語も発表されている。

【大学編の主な登場人物】
●風街 美里(かざまち みさと)
夢水が顧問を務める「M大学探偵同好会」の部長。
大学2年の時、N県青零湖で起きた湖畔荘事件(午前零時のシンデレラ事件)に、4年生では神隠島事件に巻き込まれている。
元祖・夢水清志郎の観察日記製作者で、夢水の初恋を聞き出した張本人。空手が得意。
なお、のちに彼女は小学校教師となり、他のはやみね作品では世界観が共有されているためその姿がしばしば確認される。
虹北恭助シリーズ、『バイバイ スクール』、大中小探偵クラブシリーズなどで登場し、その行動力は健在。
ちなみに「大中小探偵クラブシリーズ」の時点で40歳らしいが、他シリーズと照らし合わせて考えるとどうも計算が合わない。
本当はとうに40を越えてアラふぃ・・・おや、こんな時間に誰だろう?

●勇嶺 美奈湖(はやみね みなこ)
「M大学探偵同好会」の副部長にして歴代2人目の部員。美里の3学年下で、美里の4年生時に入部。
勇嶺家は典型的な男系家族で、美奈湖は6代目にして初めて生まれた女性である。
年の離れた3人の兄を持つ。男女7歳にして席を同じゅうせず、という超明治的な教育によって、現代の大和撫子へと成長した。
美里曰く「美人というより、可愛いという顔」。京風石狩鍋を作れる唯一の人物。

●乾
M大学の学長。夢水ととても仲が悪い。
彼が探偵同好会の予算を減らしたときは、怒った夢水に学長室の窓から放り出された(幸いなことに、学長室は一階だった)。
夢水曰く「助平親父」。
「笛吹き男とサクセス塾の秘密」で教授に(色んな意味で)熱いメッセージを届けた。


●怪盗クイーン
蜃気楼“ミラージュ”の異名を持つ神出鬼没の怪盗。
教授とは「同じ赤い夢の住民」として彼をライバルと認めている。
実際、二度と教授と対決しているが、そのどちらも引き分けに終わっている。
そして社会生活不適合っぷりも教授とタメを張れる駄目人間でもある。
詳しくは「怪盗クイーンシリーズ」を参照。


【余談】
このシリーズには未刊行作品として、教授がサングラスをかけ、名探偵に拘るようになった事件「教授の初恋」や未だ教授が解決の仕方に悩む事件「神隠島」、
作中では明かされなかった「魔女の隠れ里 未解決の謎」*1などがあり、
いずれも「夢水清志郎らしくない」作品だったがため刊行されていない。
かつては作者ホームページ等が閉鎖されていたため、読めなかったが現在は読めるようになっている。




追記・修正は縦だか横だかわからないステーキを完食してからお願いします。

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最終更新:2024年04月16日 20:36

*1 これは「新章 語られなかった もう一つの謎解き」と題され、講談社文庫版の同作品内に収められている他、えぬえ版『魔女の隠れ里』ラストでも「未解決の謎」を漫画向けにライトにしたカットが挿入されていた。