ブリタニア列王史

登録日 :2011/11/25(金) 23:45:05
更新日 : 2017/06/20 Tue 19:37:21
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『ブリタニア列王史』は西暦1136年頃に修道士のジェフリー・オブ・モンマスが記した「歴史書(自称)」である。詳細はウィキペディアで見てくれれば良いが判りやすく説明すると、

厨二病を発症した修道士が実際の歴史的な事実・出来事に加えて、ナニをトチ狂ったのか神話・伝承の出来事までも『歴史的事実』としてそれらに混ぜ合わせ、一冊の『歴史書』として書き記したモノ


頭のいいおっさんが全力でやらかした結果生まれたトンデモ創作歴史書というわけだ。

そんな彼は特にアーサー王が大好きらしく、アーサーに関しては「我らが王、アーサー」と書いている。ジェフリーはその後も何度も説明抜きでアーサーのことを「我らが王」とだけ呼んでおり、このおっさんがどれだけアーサー王が大好きなのかよく判ると言えよう。

一応、明確に「アーサーという人物は正確には一部族の族長に過ぎないし、歴史上、彼が活躍した戦争は実際にはさほど多い訳じゃない」と書いており、それなりにちゃんと歴史書として真面目に語ろうと努力している点は伺える。

ジェフリーの名誉のため書くと、アーサーを神格化するために彼が物凄く沢山の武勲を上げているとするアーサー王信者はかなりいるのだ。実際にアーサーが参加した大規模な戦争は4、5回、あるいは3度程度しかなかったと言われている。その点ジェフリーはマシな方と言えよう。

だが、やはりジェフリーはアーサー王が大好き過ぎた。アーサーに関しての記述だけ何故か異様に濃くページ数も多いのである。彼の弁では、

「アーサーはキリスト教を信じない蛮族を束ねる長(チーフ、ウォーチーフと表現されている)だけれど、キリスト教の凄さに気付いてキリスト教に改宗したところがスゴイ!しかもその武勇にモノを言わせて周りの蛮族たちを制圧、みんなキリスト教に改宗させたよ!超最高!」

こう書くとジェフリーがいかにも修道士らしい理由でアーサー王をマンセーしていると判るだろう。彼の記述によると(まあ、確実に彼の妄想入ってると思うが)アーサー王は、

「戦場に出ると『聖母マリアの姿を彫った肩当て』をして、馬の背中に愛用の剣『キャリバーン』をくくりつけ、王自ら最前線に立ちものすごい突撃をかまして大活躍していた」
らしい。確実にジェフリーは病気だと思う。14歳くらいの男の子がかかる奴。


この物語は文学的に人気を博したのだが、アーサー王ひいてはブリテンの守護神である赤い竜は、キリスト教においてはご存じの悪魔サタンの化身である。
「新約聖書の赤い竜は、歴史的にはキリスト教を迫害したローマ帝国の暗喩であり、七つの首に十本の角がある奴のことだから。ウェールズの守護竜とは別物」
という理屈で折り合いをつけているが、実際のところ宗教信者の間では混同してしょっちゅう揉めまくっている。
所謂敬虔なクリスチャンとやらなら、 アーサー王を邪神の使い魔扱いしてもおかしくないレベルで
ベースとなる宗教価値観が1mmも掠らないどころか完全に対極。

更に、この物語の普及もあって、クレティアン・ド・トロワがランスロットと聖杯伝説をかけあわせたことでカオス度に拍車がかかった。

キリスト教徒は相変わらず意味不明なことをする。


まあ、とにかく。このブリタニア列王史は歴史的な資料としての価値は『皆無』と言われているが、アーサー王研究者からは「アーサー王を題材にした初めての『創作物』」として評価されており、大学でアーサー王研究をする際にはこれが取り上げられることも多い。あくまで「歴史書ではなく創作物としての評価」なのだが



他にもツッコミどころが多い書物ですのでこの書物の内容を知る方、追記・修正お願いします

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