ロスト・ユニバース

登録日 :2011/06/21(火) 18:18:23
更新日 : 2017/04/25 Tue 08:54:06
所要時間 :約 9 分で読めます




富士見ファンタジア文庫から出版されたスペースオペラ小説。作者はスレイヤーズなどで有名な神坂一。
1992~1999年にかけて全5巻が刊行され、1998年にはアニメ化もされた。



~あらすじ~
人類が宇宙に進出して幾星霜。荒事から荷物の輸送までこなす宇宙の何でも屋……もとい厄介ごと請負人(トラブル・コントラクター)のケインとミリィの二人は全人類を巻き込む争いに関わっていく。


~人物紹介~

  • ケイン・ブルーリバー
CV:保志総一朗
主人公。今は亡き祖母から譲り受けた宇宙船、“ソードブレイカー”で宇宙を巡る厄介ごと請負人。小柄な優男ながら精神力をエネルギー源にするビーム剣、サイ・ブレードの達人である。
何故かマントを愛用しており、それをバカにされるとキレて喧嘩を始めてしまう。どこの仗助だお前は。
また、心の師匠は切り裂きジャック。……主人公?
漢字にすると青川毛陰。


  • ミレニアム・フェリア・ノクターン(ミリィ)
CV:柊美冬
ヒロイン。元々探偵だったが失敗続きで解雇され、たまたま知り合いったケインの船に転がり込むことになる。
宇宙空間に浮かぶ数十cmの標的を艦砲で立て続けに撃ち落とすほどの射撃・砲撃の名人。
料理が趣味だが、フライパンに穴が開いたり防爆仕様の船室が吹っ飛ぶ謎の調理行程(ただし料理自体は美味)なのでケインやキャナルに止められることが多い。
実は素性にある秘密が……。


  • キャナル・ヴォルフィード
CV:林原めぐみ
フリルエプロン風の衣装を着た少女。……の姿をした“ソードブレイカー”の制御AI。依頼人に愛想笑いしたりケインやミリィと口論するのは日常茶飯事、ネット上で胡散臭い話を仕入れたり、自身(=ソードブレイカー)を着飾る為に特に必要のない武装を購入するのが趣味と、AIとは言え非常に人間くさい。
船内の各種装置をコントロールしているため、怒らせると酸素供給が止まったりとシャレにならない。
アニメ化の際に若作r……デザイン変更がなされ、後に原作がそっちに合わせた。


  • レイル・フレイマー
CV:緑川光
ことある事に裏のある仕事をケインに斡旋してくる宇宙警察(ユニバーサル・ガーディアン)のエリート警部。しかし実は裏で犯罪組織“ナイトメア”に警察内部の情報を流す汚職警官だった。地味に妻子持ちなのだが……。
当初はあっさり死ぬ予定だったらしいが、何とか最後まで生きていた。アニメ版のお陰で。


  • マリア・ブルーリバー
故人。ケインの祖母。ソードブレイカーの前マスター。一家の落ち零れで非常識なケインを唯一愛し自らの後継者とした。
ショールを愛用しており、これがケインのマントへのこだわりの原因。.
本名はアリシア・ツォン・スターゲイザー。アルバートの実の妹である。


  • アルバート・ヴァン・スターゲイザー
CV:中田譲治
犯罪組織“ナイトメア”およびその表の顔である巨大財閥“ゲイザー・コンツェルン”の創設者にして現在もその頂点に君臨する老人。
ケインとミリィ、キャナルとは深い因縁が……。


  • 闇を撒くもの
CV:松本保典
ケイン達の行く先々に現れる、ケインを凌ぐサイ・ブレードの達人。
その正体は古代の技術で遺伝子を改造したアルバート・ヴァン・スターゲイザー本人(アニメ・漫画ではクローン)である。
台本には略してヤミマキやらハミガキやら書かれていたらしい。



~登場宇宙船~

※基本的に、全船とも古代に滅びた超文明によって建造されたオーパーツ、遺失宇宙船(ロスト・シップ)である。

※ネタバレ多数。


  • ソードブレイカー(ヴォルフィード)
ケイン達の家兼商売道具にしてキャナルの身体。
普段は遺失宇宙船であることを隠すために装甲材を貼り付けて偽装している。
暴走したデュグラディグドゥらを封印するために建造されたものの、封印したときには既に当時の人類は絶滅しており、相打ちの形で共に眠りについていた。
遥か後に、デュグラディグドゥらと共にケインの曾祖父母らによって発掘され、ケインの祖母アリシア・ツォン・スターゲイザーの手に渡る。
艦名は古代人の伝承にて魔王デュグラディグドゥを倒した竜神から。
「サイ・バリア」「サイ・ブラスター」「リープ・レールガン」「プラズマ・ブラスト」など現行兵器を遥かに上回る武装を多数装備。
原作初期とアニメでえらく形状が違う。


  • デュグラディグドゥ
古代人が開発した、効果範囲内の生命体を根こそぎ殺害する“システム・ダークスター”を搭載した無人宇宙船。完成直後に暴走し、無差別攻撃によって古代人を滅亡に追いやった。
ヴォルフィードと共に眠りについていたが、ミリィの曾祖父母らによって発掘され、ミリィの祖父でアリシアの兄、アルバート・ヴァン・スターゲイザーを取り込み復活する。
艦名の“デュグラディグドゥ”の由来は、古代人の伝承に登場する魔王「闇を撒くもの(ダークスター)」の名前であり、本作以外にも『スレイヤーズ』の原作は名前だけ、アニメ『スレイヤーズTRY』では魔王として登場している。


  • 護衛艦
デュグラディクドゥを守る、攻撃艦ガルヴェイラ、機動殲滅艦ネザード、重砲撃艦ゴルンノヴァ、機動駆逐艦ラグド・メゼギス、超長距離砲撃艦ボーディガーの5隻と、遺失宇宙船の技術を応用した巨大戦艦ヘカトンケイルのこと。
それぞれ強力な武装を施されており、ヘカトンケイル以外はヴォルフィードやデュグラディグドゥ同様に自我を持っている。
名前の由来はアニメ『スレイヤーズTRY』にも登場した、魔王デュグラディグドゥの5つの武器。
特に、ゴルンノヴァに関しては原作1~8巻、アニメでは無印~TRYまでのガウリイの武器、光の剣(烈光の剣)という形で登場していた。


追記・修正をお願いします。





限界の向こうは♪
(……未完成だ)
























……さて、多分項目名で察した人も多いだろうが、こっからが本題である。


そう。アニメ版の話だ。


当時、スレイヤーズのアニメシリーズが大ヒットしたのを受け、本作もスレイヤーズのスタッフ、キャストによって鳴り物入りでアニメ化された。
そして、視聴者の心に深く刻み込まれることになる……。

本編に CG を取り入れた史上初のアニメとして。



……え? そこじゃない? これかなり凄いことなのに。


では改めて。アニメ版が視聴者の心に深く傷跡を残した理由、それは……

フォローできない程の作画崩壊

である。一話放送時点で OPアニメが未完成 という香ばしさだったが、特に第4話『ヤシガニ屠る』では明らかに秒間のコマ数が少ない上頻繁に子供の落書きレベルにまで劣化。
あまりの酷さに、地上波放送からAT-Xでの放送の間に放送順を大きく繰り下げで大幅修正される事態に陥った。

それ以来、当然というかなんというか作画崩壊の話題になるとGUN道やキャベツの先輩としてほぼ確実にヤシガニの名前が上がることとなる。
よりにもよって「ヤシガニ屠る」というタイトルなのもインパクトが強過ぎる…。


  • 問題の原因

これは様々な要因が重なったことによる不幸な出来事である(真偽は各自で判断して下さい)。
[大体の情報元:http://home-aki.la.coocan.jp/lost4.htm]
  • 1998年当時アニメ業界が大盛り上がりし、それまでの二倍を超えるアニメが放映される事態になり多忙というレベルを上回る(ちなみに1980年頃にも似た様な事態になっている)。

  • ロストユニバースも最初から製作体制作りに遅れが出ている。
    • 当然ストックを溜めておく余裕などなく、 1話放送時点でストックが尽きる 。当然修正に費やせる時間などほとんどなかった。
  • そんな状況なので下請けに頼んだが、そこの下請け会社の仕事ぶりがよろしくなく更なる下請け会社に丸投げ。この原画と動画(?)部分を作った韓国の制作スタジオが完全に悪いかのようにも言われるが、向こうだって監督者不在のよく分からない海外の代物を丸投げされたのだから 相応の品質など期待出来る訳がない。まあ出来栄えはフォローしかねるが… 。当然放送に耐えられるものではなく、かえって追い打ちになる。
    • ただしこれは制作状況を見かねて無理に引き受けてしまったものらしい(なので海外の下請けに丸投げ)。仕事ぶりが酷すぎたので責められるのも当然だが、引き受けさせる形になってしまった制作側にも問題があると思われる。
    • この外注は2話も担当しており、その時点でヤシガニと同等のものだった模様で、急遽修正しまくる。
      • 製作上層部は下請けの惨状を知らなかったらしく、この修正を納期を無視した更なる品質向上と勘違いしたのか、スタッフの意見を通さずに 4話を下請けに丸投げ

  • 更に別の下請けに頼んでいた3話も出来はヤシガニとほぼ同等で、未完成品が返ってくる。原画を仕上げて撮影段階でどうにか誤魔化すことでどうにか形を仕上げる。

  • 問題の『ヤシガニ屠る』が下請けから帰ってくる。何故あんな内容のギャグ回になったかと言うと先ほど言及した通りスタッフ無視 (設定なども無視) で丸投げされたためらしい。
    • しかもこの時 ほぼ全てが完成品として返ってきた状態だった ために修正すらロクに行えない状態。
      • 一部分(恐らく最後の辺りなどの本来構想していたと思われる箇所)は、日本スタッフがどうにかした模様。
    • 流石にここに至って上層部も下請けがまずいことに気付いたらしいのだが、5話は既に件の韓国に発注していたのでスタッフの一人が韓国に行った模様。どうにか事後態勢を整えることが出来たので5話は見られるレベルにまで修正。

  • 6話以降は監督などのチェックが可能になる。7・8話は下請け依頼していたが日本側で対応できるように引き上げた。
    • この後には崩壊などは見られない。ちなみに総作画監督すらも実作業を担当していたので、本来果たすべき監督関連の業務は思う様にはできなかったと思われる。


ちなみにこの話だと上層部が悪の元凶みたいに思ってしまうかもしれない。無理な製作スケジュールこそが最大の原因だろう。
しかし、 納期を守ることは非常に大切 なので上層部だけを決して責められるものではない。
もう少し現場スタッフと意思疎通をはかれれば…というのは後になってみれば当然のように思われるが、下請けに出す行為そのものはこの業界では常識的でおかしくはない。


ここまで見て分かるように物凄い修羅場であり、むしろスタッフ達一同よく頑張ったと言える仕事っぷりである。
何せ3話までは未完成OPや微妙な質の悪さはあれど、 中身の大半は不審に思われることなどほとんどなかったのだから。
もっともこの様な裏事情など大半の視聴者などは知ったことではなく、基本的には結果が全てなのだが……。


  • アニメの余談

ちなみにOPは途中で無事完成し、ハイクオリティなものに仕上がっている。
その本気っぷり(スタッフの腕そのもの)は見事としか言いようがない…流石はスレイヤーズのアニメスタッフと言えるだろう。
それ以外にもちゃんと作ることが出来たところ(後の書き直しも含めて)の品質は悪くはない…ただ、スタッフとしてはそれも時間の制限上納得のいかないものになってしまったと思われる。

CGに関しては業界初の試みの割に外注元は納期通りの仕事を果たし、しかも放映から19年後でも問題無く見られるクオリティを維持している。
流石に後のCGに対して美麗というわけではないし、機械関係のみだがアニメに上手く落とし込まれていて評判が良い。

当時はまだ主役になることは少なかった保志総一朗を主役に抜擢したことも印象深い。




余談だが、全5巻中4巻までしか出ていなかった(4巻の発売と放送開始がほぼ同時)時点でアニメを放送して伏線をほぼ全てバラしたため、最終巻の内容をどうするか悩みまくった事を作者があとがきで語っている。
結局開き直って普通に書いたらしいが、レイルが生きて終わったのはアニメのおかげだとか。




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