右京龍也

登録日:2011/10/01(土) 00:12:03
更新日:2023/03/11 Sat 23:46:28
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『右京龍也』とは、『クロヒョウ 龍が如く』新章の主人公である。

なお、この項目はゲームの方を記していく。


cvは高良健吾 (1)/斎藤工 (実写ドラマ、2)

神室東高校に在学していたが、2年生(当時17歳)の時に喧嘩で他校の生徒の頚椎を損傷させて意識不明の重症を負わせ、傷害罪で少年院に入所。
仮出所後も保護観察の身になり学校に復帰はしたが、直後に揉め事を起こし、退学処分になる。
元々幼少時に既に両親が居らず、姉の冴子と二人で親戚に引き取られたものの、引き取られた直後から折り合いが悪く程なくして冴子に手を引かれて右京家を出た後は疎外感から捻くれて中学時代には完全な問題児となっていた。

現在は姉と神室町のホテル街にある雑居ビルの一室で暮らし、家にもあまり帰らずにアルバイトをしながら細々と生活していたが、小銭を稼ぐ生活に嫌気がさし、
金を強奪しても警察に追われる心配もさしてないという浅はかな考えから、闇金融襲撃計画を思いつく。
仲間の制止も聞かずに単身で「趙楽」の事務所に乗り込み、九鬼組幹部の戸田を殺してしまう

九鬼に「ドラゴンヒート」で10連勝する代わりに戸田殺しを無かったことにするという条件を飲み、自由の身になるべくリングへと上がる事に…
当初は、金と自分以外の敵を素手でつぶせるだけの力があればそれで良い、と考えていた彼に何が起こるのか。


…と、ヤンキーが活躍する漫画にバリバリありそうな性格と境遇である龍也君。
ストーリーを通じていく内に当初は「力こそがすべて」「信じるのは己のみ」と、自分の考えを貫き通していたが、
単に戦うだけではない魅せに拘る日向や教師としてかつての龍也の暴行にも耐えてきた悠木、息子の仇と間違えて龍也に戦いを挑む藤本等、
それぞれの事情で信念をもって生きている選手達との戦いを前半で経験し、龍也の人間性も徐々に変化を迎える。

どんどん成長してゆき、皆さんが嫌いなDQNから、最終的にはとなっていく様は必見である。

というか、元々根が悪人じゃなかったのが周囲にも伝わってはいたらしい。
気に入らない人間に暴力を振るう時や上記の闇金襲撃時ですら、凶器を使わず素手を通していたり、彼なりに相手に酷い重傷を負わせないようにセーブはしている積りだった。
そのため、逮捕された時も、意識不明の重症を相手に負わせる重罪を犯したという自覚は全く無かった。
本編開始時につるんでる奴すら容赦なく殴り飛ばしていたのは、上記の傷害事件については濡れ衣を着せられたも同然だと考えて、何もかもに嫌気が差してきていたから*1

シリーズを通して悪友は何だかんだ居た様子。
ドラゴンヒートでも龍也に格闘家としての精神を丁寧に説くドラゴンヒートの整体師・雨宮泰山や泰山の弟子で何だかんだ面倒見のいい沙紀等、出会いには恵まれている。


また、様々なバトルスタイル(ボクシング、空手、ムエタイ、柔術、ルチャetc)を扱え、更にはキッカケひとつで必殺技を編み出す。
色々な格闘家を見てきた九鬼をして、「ボクシングトレーナーが世界チャンプの素質を持つ金の卵を見つけた感覚に近いだろう」
と評し、自身の腕っ節はともかくトレーナーとしての実力は確かな塚本道場師範も「あらゆる格闘技を極める素質がある」と太鼓判を押している。

日常生活においても、仕事内容が異なる沢山の種類のアルバイトを無難にこなす。
と、見た目に寄らず、なかなか器用な男の子。


そしてバトルではヒートアクションの多彩さもさることながら、どんだけ殴られて大怪我を負ってもその気になれば救急箱おろか牛丼でも怪我を完治させる等、
彼もまた龍が如くシリーズの主人公達のように人間をやめている。
まぁ、牛丼や救急箱でほぼ全快出来るのは、恒例のムービー外での話だが。
ストーリー上における彼の人外ぶりについて具体的に言えば、2の終盤時点でなら、それなりに喧嘩慣れした若者の不良30人程度相手なら、独力でも何とかなる。

が、ムービー中では金属バットで何度か殴られただけでも肉離れや骨にヒビが入る等の怪我をし、足を踏み外して酷い捻挫をしたり、
試合間隔は数日から数週間あるドラゴンヒートでも、試合の疲労が蓄積して体にガタが来始めたり、クロヒョウ2時点でも、過酷な試合で靭帯に炎症を起こしたり、
喧嘩慣れした本職が10人以上集まると流石に撤退する傾向がある等、本編の怪物と比較すれば人間を辞めていない。
その状態でも必要であれば顔にあざを作りながら何とか応戦したり、無理を押してでも試合に出場して勝利するあたり、人外でなくとも超人ではあるが。

テレビでも顔の売れた有名な格闘家を相手にすると、諸事情で少し焦っていたとは言え腕を折られたりもしており、大体現実的な超一流格闘家に近い力量と言える。


また、にゃんこ*2によく懐かれる。

龍が如くの名物になりつつあるカラオケは従来と比べてあまりはっちゃけない。当人は歌わない。
歌っているのは恐らく、クロヒョウの主題歌のMUPPETと、何故か真島吾朗が歌うロックっぽいもの。

ちなみに、松屋の牛めしは「かなり好き」らしい。



以下ネタバレ。








強者と戦い続けるうち、ふとした事から「趙楽」の窓から殺した筈の戸田の姿を見た龍也は驚愕する。
その後に戸田は筒井に結局殺されたので、戸田の生存を知っていた九鬼もしらを切りとおした。

こうした過程で疑心暗鬼に陥り、闇金襲撃の際に絶交したと思われた親友の天馬もまた、神室署の生活安全課の刑事、竹中と会話しているところを見かけたことで、
遂に完全に自分を裏切ったと思い込む。
しかし、実は彼なりに情報収拾し、ドラゴンヒートで勝ち残らないと死ぬしかないという龍也の現状を大よそ察知して、龍也を何とかサポートしようとしていた事実を知る。*3
この出来事を切っ掛けに、龍也は自分が孤独だという考えが独り善がりな思い込みだと考えるようになり、周囲への態度も軟化していった。

初めのうちは戸田殺しの真犯人を探すのが目的だった龍也だったが、情勢は次々と変化していったことを契機に、15年前に遡った事件や、それに絡む様々な事情を知ることとなる。
15年前に神室町に在った焼肉屋、紫禁城放火事件は東城会が地上げの為に行った事件だと言われており、その焼肉屋の関係者でどうやら東城会に強い恨みを持つ遺族が居り、更にそいつが東城会の構成員になったらしいこと。
更にその容疑者の一人として、戸田が捜査線上に挙がっていたことなどを知る。

この焼肉屋の遺族は戸田殺しについて何か知っているのではないか。
そう考えた龍也は、自分の抱える容疑を晴らすためにこの放火事件について調べていき始めるが、
遺族に行き当たるより先に何者かが差し向けた刺客により九鬼が襲撃され、現場に自分の所持品が落ちていた事から九鬼襲撃容疑まで掛かってしまい、いよいよ針の筵へ追い詰められる。
その後意識を取り戻した九鬼と趙楽で待ち合わせ、戸田が囲っていた「アン」で始まる女が鍵を握っているという情報と「自分が成し得なかったドラゴンヒート10連勝の夢を叶えてくれ」という願いを託された。
九鬼はそのまま逝去。二岡による龍也の10連勝阻止の動きが本格的になり始め、より試合は苛烈を極めていく一方となるが尚も真相への歩みは止めず、この事件と自分との予想外の関わりを知る。

紫禁城放火事件は東城会に入る前の戸田が、地上げで利権を得たいという目的があった東都百貨店常務取締役にして様々な格闘技団体のオーナーでもある筒井に命じられた犯した犯罪だが、直後のバブル崩壊等で頓挫したこと。
その紫禁城は姉の冴子の両親が経営していた店で、そこで雇われて働き、巻き込まれて死んだパート従業員の女というのが龍也の母親で、冴子とはそもそも血の繋がった姉弟ではないこと。
龍也の実の父は紫禁城放火事件後に冴子を引き取るが、程なくして親戚の右京家へ2人を預けて失踪したこと*4
自分に戸田殺しの罪を被せたと思っていた、戸田殺しの真犯人兼東城会を内側から荒らす為に警察に情報を流していた内通者と思しき漢であり、
紫禁城放火殺人事件で死んだパートの内縁の夫というのは、自分にとって師匠に近い存在だったドラゴンヒートの整体師・雨宮泰山、本名乃木泰であり、この男こそが龍也の実の父親だったこと。

真相に近いところまで行き着いた龍也は、その疑問に答える条件として、ドラゴンヒートで10連勝をかけて、かつてのドラゴンヒートで9連勝までいった記録を持つ雨宮と戦った。
かろうじて勝利した龍也は雨宮に詰め寄り、上記の情報に加え、戸田殺しに関しては雨宮の仕業ではないことと、
妻の復讐の為に全てを投げ出しながらも父親の感情を蘇らせて龍也を見守ってきた想いを知ることとなる。
なお、この親子対決は「龍が如くシリーズ史上最大の親子喧嘩」と呼ばれることもある。

その後、真犯人を求めてミレニアムタワーに隠されているという戸田の遺した保険、真犯人とのやり取りの盗聴記録が入っている媒体を雨宮らと探していた龍也は、ミレニアムタワーのバー「アレキサンダー」に遺された戸田名義のキープボトルに隠されていた盗聴音声が保存されたUSBを発見。
そこに現れた筒井とその秘書・新城に決戦を挑み、ミレニアムタワーの屋上で新城と最後の闘いを繰り広げる。

ただ母親の敵討ちをするというだけでなく、
「父親の目の前で、ドラゴンヒート第一戦で見せたようなただ暴力的に相手を潰すような戦い方をする人間からは決別したところを見せたい」
という雨宮を確かに自分の父親と認めた龍也が下した決断だった。


ただ金で雇われ、武器に頼らず自分の肉体だけで速やかに人間を殺す術を身に着け、特に個人の信念も無く暴力を行使する新城という男は、
かつての龍也の理想を体現したような存在で、ある意味ドラゴンヒートに行き着かなかった仮定における龍也の成れの果てと言える。
その男に勝利を収めた龍也の元に警察が登場し、事態は解決した。
かに思えたが、筒井が沙紀を人質に取り、更に新城が繰り出した急所に当たれば致命傷は免れないとされる威力の足指先蹴りが父親の乃木の側頭部に直撃する。

そして乃木は龍也にある言葉を遺す。



「負けるな、戦い続け、己を超えろ」


そう言い残し、乃木は息を引き取る。

そして龍也は、父親の死に涙を流していた。



次作『阿修羅編』では、一旦神室町を去り、自分探しの一環でアメリカのリングに上がった後、日本の大手ボクシングジムの会長に見込まれてボクシング界にデビュー、
順風満帆なサクセスストーリーを邁進する予定……だった。

龍也の父である乃木も、野良試合での骨折と紫禁城放火事件さえなければ、妻に支えられてボクシングの世界タイトルに挑戦し、高名なチャンピオンになれただろう男だった。
その父の夢を継ぐという美談を実行するのも悪くは無いが、自分自身の本当の夢とは言い難く、自力で掴んで納得行った選択肢とは違う。
確実に成功は出来る美味しい話ではあるが、美談を建前にして自分にとって楽な道に妥協することへの詭弁を弄するような虚しさを感じた龍也は、再び神室町へと戻る。
そこから物語は再び始まった。

1の頃から変わったドラゴンヒートは若者の更生の場に近い環境となり、先代組長の実子・二代目九鬼組組長九鬼隆昌の捨て身の行動によって、活気あふれるまた違った魅力のある場所となっていた。
だがそこには、利害が一致した関西の地下格闘技団体"阿修羅"と二岡組が
「阿修羅最強の八部衆を倒せば手を引くが、取引拒否や八部衆撃破に失敗した場合ドラゴンヒートを奪う」
という脅迫を仕掛けていた。

かつてリングに立っていたドラゴンヒート所属ファイターの多くは既にドラゴンヒートを去っており、
若く伸びしろはあるがまだ発展途上でしかない玉石混交なファイター達しか戦力はおらず、特に隆昌が目に掛けていたファイターも負傷しており、隆昌は苦渋の決断としてドラゴンヒートを無血開城を決定。
だが父と戦った思い出の場所であり、先代組長や鷲尾が夢を託したリングを守るべく龍也は「納得の行かない選択肢」を自らの手で切り捨てて阿修羅との戦いに望む。
龍也自身もかつての彼のように生意気な下の世代に、かつての短気な気質からは想像し難い根気を見せながら、下手糞ながらも導いていく。
体を張って自分の言う道を突き進み、父親の乃木に指摘された活人拳の片鱗を見せるようになっている。
そして、その活人拳は今作の首謀者の心境も変えていくこととなる。


余談

2においてCVは、高良健吾から実写版クロヒョウで龍也役を務めた斎藤工に変更された。
高良は全体的に訥々としゃべる棒読みチックなものの、「逆にそれがコミュ力の低い喋り下手のチンピラっぽさが出ている」と評されることもあり、
何より戦闘時の掛け声は物凄く上手かった。
それだけに、この交代で全体的な演技は比較的向上したと言えるものの、残念がる声も結構ある。


追記・修正はルチャの挑発をしながらお願いします。

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最終更新:2023年03月11日 23:46

*1 実際、上記の喧嘩相手の頚椎を折った人間は他に居り、この件に限っては濡れ衣ではあった

*2 本作ではコインロッカーの鍵的な扱い

*3 その矢先に他ならぬ天馬の裏切りに遭うが、それは父親が営む料亭が経営難に陥って頼った闇金等から脅されて仕方なく行った事だと知ると、只管に謝罪する彼を許し、和解。数少ない龍也の味方となり、改めて親友となった。

*4 その後暫くは右京家で過ごしていたが、冷遇と疎外感に冴子が耐えきれず龍也の手を引いて右京家を飛び出し二人で暮らすようになった