STREET FIGHTERⅢ RYU FINAL -闘いの先に-(漫画)

登録日:2012/07/06 Fri 23:05:24
更新日:2023/11/17 Fri 19:36:34
所要時間:約 5 分で読めます






























STREET FIGHTERⅢ
RYU FINAL
-闘いの先に-


『STREET FIGHTERⅢ RYU FINAL -闘いの先に-』は中平正彦の漫画作品。
ストリートファイターⅢ』のコミカライズ作品であり、今は無き新声社のアーケード専門誌「ゲーメスト」に97年から98年に掛けて連載された。


中平正彦はこれ以前にも「ゲーメスト」本誌に『STREET FIGHTER ZERO』を、そして「コミックゲーメスト」に春日野さくらを主人公に据えたスピンオフ作品『さくらがんばる!』を発表して好評を博していたが、同作は氏が新声社で手掛けた『ストリートファイター』関連のコミックスのラストを飾る集大成的な作品として企画、発表された。


物語は「真の格闘家」への道を求めるリュウが、新たなる強者との出会いを積み重ねながら、豪鬼との決着を付けるまでを描くと云う単純な物だが、淡々とした語り口ながらも各キャラクターの魂を描き切ったストーリーの評価は非常に高い。
特に、ラストを飾るリュウ対豪鬼の戦いに於ける「瞬獄殺」の解釈は余りに見事過ぎて、今や正式な「解答」として認識されている程。

ただし全体的にⅢキャラが不遇なことと、Ⅲには出ていないサガットがあまりにも優遇されていることから、一部のⅢファンからは不評の意見もあるようだ。

新声社版の単行本は黒い表紙の『天の巻』と、白い表紙の『地の巻』の二冊が刊行されている。

尚、正式なタイトルは項目名の通りだが、単行本のカバーには『RYU FINAL 「○の巻」』とのみ記されている。



【物語】


そこに
「男」はたたずんで
いたという
雄々しく…
悠然と
「男」はいつまでも
そこに
たたずんでいたという―――――…
そこには
「朱雀」という
山城があった


「男」は己に
迷いが生じた時…
かつて彼の
修行の場であった
そこを訪れて
いたという

……「道を極める――。俺は今まで様々な強者達とこの拳を交わらせて来た…。そう、道を極めるため“真の格闘家”を目指して…。いつまでも“道”が見えずあきらめかけたこともあった。あせって“道”をあやまったことも。……一体。“真の格闘家”とは何なのだろう…。」



【登場人物】
「真の格闘家」を目指す男。
今や、彼自身が多くの格闘家達に目標とされる迄になったが、彼自身は未だ「答え」に迷い、彷徨の道程にあった。
「力」を求める彼が、旅路の最後に見つける物とは……?


リュウの親友にして、永遠のライバル。
「神」を名乗る男との戦いにより死を覚悟する中で、自分なりの「真の格闘家」の答えを得た。
どんなに強さを求め昇龍拳を使いまくっても殺意の波動に近づかないという特異な魂の持ち主。
師ゴウケンが後の世のために残した、殺意の波動の脅威へのカウンターメジャー。


  • ショーン
ケンの愛弟子。
自分の勉強の為にリュウ・ケン対決の流れを導いた策士。


  • オロ
「迷い」続けるリュウの前に姿を現した仙人……を名乗る爺さん。
既に「心」の「力」を持ちながらも、それに気付かないリュウに興味を持ち、押しかけ師匠になる。


  • ヒューゴー
  • ポイズン
ホームタウンの「メトロシティ」を出て、賭けプロレスで世界中を旅していた楽しい二人組。
イベントの相手役にリュウを選ぶが……。
ちなみにポイズンの性別は諸説あるが、本漫画ではニューハーフ設定が用いられている。


故郷の香港を離れ、格闘修行を続けていた兄弟拳士。
リュウの名を知っており手合いを挑み……その中でリュウから「真の格闘家」との思い出を聞かされる事になる。


英国紳士にして拳闘士。
作中でも屈指の強敵だが、登場するなりグローブをしたままの運転で宝物の筈の愛車を廃車にしたのはご愛嬌。
追い詰められたリュウが繰り出す「風の拳」とは?


  • エレナ
特殊な立ち位置での登場で、ダッドリーに倒されたリュウが見た幻(?)として登場。
リュウに「風の拳」を得るキッカケを与える。


かつてリュウが未熟な時代に挑み、未熟さ故に目覚めさせてしまった「真の格闘家」と同じ「殺意の波動」により倒れながらも再び立ち上がってみせた格闘界の帝王。
敗北の屈辱を勇気ある者の刻んだ誇りへと変えるべく、自らが強者であり続ける道を選んだ誇り高き男。
余りに男前過ぎて、カプコンが『ストⅢ』に出さなかったのを後悔したとかしないとか。
……「真の格闘家」に挑む為の最後の段階として、リュウは再びこの生涯の強敵(とも)の許を訪れた。


この世の全てを破壊する力を持つ「真の格闘家」……。
全身から発する「殺意の波動」は、それに殺された魂が怨嗟の声を上げ、滅せられる前に草木が自らの命を断つ程。
少年時代のリュウの運命を決めた存在であるが、同時にリュウは豪鬼の存在を否定する道を選択し、これまでの人生を生きて来た。
……リュウの父親であると思われる……。


  • ギル
『ストⅢ』のラスボス。
この作品では回想シーンでケンにボコられる出オチ担当。
後に、アレックスにもボコられた模様。ひょっとしたら、登場人物たちに道を示すために負けてあげているのかもしれない。その後の成り行きを読み取りながら…。


  • アレックス
『ストⅢ』の主人公。
詩人。
次世代の子。





【オマケ】

新声社版の単行本巻末には『さくらがんばる!』のオリジナルキャラクターからゲーム本編にも採用された、神月かりんを主人公としたスピンオフ漫画『THE KANZUKI~万事において常に勝者であるべし~』が掲載されている。
こちらは単行本本編とは空気が違う、以前の作品に近いギャグテイストの短編となっている。

集英社・復刊ドットコムからの再販に際しては、こちらのエピソードは『さくらがんばる!』の書籍の方に収録され、代わりに『CAMMY 外伝』の第5,6話が収録された






【余談】

新声社のゲームコミカライズ作品は未だに名作の譽れが高いが、特に天獅子悦也版『龍虎の拳』と本作の人気がその評価を支えていると言っても過言では無い。
……が、このすぐ後に新声社が倒産し「ゲーメスト」が廃刊に追い込まれた事もあり、二重の意味でラスト(有終の美)を飾る作品となってしまったのは残念な所である。
尚、折角の名作なのに本誌では相変わらず誤植してしまっている…。
特に最終回ラストシーンという最も重要なコマでの最悪の誤植はもはや伝説である。




「左腕を潰さぬ理由…うぬにわかるか…?子を育てるのだ、その拳は子のために振るえ、うぬが目指すは最強ではない、子を運び子を育むまこと風の如き拳なり!……時に「殺意の波動」なる嵐が吹こうとも、決して屈すること無き子を育め。全てはうぬに託す…うぬもまた…子に託すのだ。そこに新たな道がひらけようぞ。」







追記修正でしか交わすことの出来ない何か…あんたも持っているのか?

確かてみろ!

次代の“子”よ!!

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最終更新:2023年11月17日 19:36