念仏の鉄

登録日 :2010/08/03(火) 15:30:50
更新日 : 2017/04/29 Sat 21:24:35
所要時間 :約 4 分で読めます





  • 念仏の鉄

念仏の鉄は時代劇【必殺シリーズ】の登場人物の一人。
山崎努の演じた架空の人物である。

初登場は第2作【必殺仕置人】で、同作の事実上の主人公。
前作【必殺仕掛人】の藤枝梅安(緒形拳)を換骨奪胎したキャラクターであり(媒体に寄っては二匹目の泥鰌を狙ったとハッキリと書かれている)、表稼業の医術を殺し技にする享楽的な坊主頭の人物と云うのは確かに【仕掛人】に於ける梅安の描写と一致している。
しかし、梅安とは違った怪人的な面を持つ豪放磊落な人物として描かれ、金を手にすれば女郎屋に足を向け、無い時には仲間からも金をくすねる等、
共に登場した中村主水(藤田まこと)とはまた別の形で世のサラリーマンの理想を体現したキャラクターとして幅広い共感と憧れを呼び、その“必殺技”のインパクトもあってか、現在でもシリーズ最高のキャラクターとして中村主水と並び称されるに至っている。


※念仏の鉄を出せない事が後の必殺シリーズに於ける怪力坊主キャラの増殖に繋がったと云える。

…中村主水同様に代えの効かない無二のキャラクターなのである。



【人物】

江戸“かんのん長屋”にて接骨業を営む破戒僧。
上州、宗慶寺の僧侶だったが、檀家の妻女との不義密通の廉で佐渡へ島送りとなり、当時佐渡で同心見習いをしていた主水とはそこで出会っている。
罪人とそれを取り締まる役人と云う立場ながら、後の関係を見るに佐渡に居た頃からお互いに腕を認めあっていた模様。
仕置人】の初期では役人である主水に疑念を持っていた錠を諭し、主水の頭脳に信頼を寄せている姿が描かれる一方、おっさん二人でかなりドライな人生観を披露して錠に睨まれる事も度々あった。
表の職業は接骨業だが、仕置きを生業とする以前にも後ろめたい仕事をしていたとも取れる台詞がある。

主水、棺桶の錠らと仕置人として活動した後、その姿を消すが、数年後の【新仕置人】において寅の会の仕置人として主水と再会。
彼を鋳掛屋の巳代松らとのチームに加え再び裏稼業を開始するも同作のラストにて死亡した。

以前よりも享楽主義に磨きがかかり、女郎屋に入り浸ったり、仲間に悪戯を仕掛けたりと俗っぽさが増している。
住んでいるのは矢張り“かんのん長屋”だが、以前と同じ長屋かどうかは不明。
【新仕置人】では、他にも殺人衝動に苦しむ場面が度々登場しており、
外道仕事はやらないとの誓いを守る一方、最早“殺し屋”としての宿業からは逃れられなくなっていた事が窺える。

新仕置人の終話の姿は必殺ファンからは伝説とまで語られており、鉄は仲間を解き放つ為に単身敵地に乗り込むも捕えられ、右手を黒焦げになるまで焼かれてしまう…。
しかし、主水が殴り込みをかけ逆転を開始するのと同時に目覚め、腹部にドスを受けながらも黒焦げの手で最後の仕置を成功させる。

全てが終わった後、主水が鉄の元に駆け付けた時には既にその姿は無かった…。
最強の仕置人は仲間に別れを言う事も無く、女郎屋で床入りをした所で人知れず眠りに就くのだった…。

…この姿を見て、事実上古き良き必殺が終わったと考える必殺ファンは多いと云う。


【殺し技】

強い指の力で相手の骨や関節を外す(或いは砕く)骨外しにはレントゲン映像が使われ、画面にかつて無いインパクトを与えると共に視聴者に【必殺シリーズ】のイメージを焼き付けた。
仕置人の頃は【殺し技】としての頸椎折りの他、背骨をずらして半身不随にしたり、腕を破壊して悪党に同士討ちをせたりと云った活かさず殺さずの技を使う事もあった。

新仕置人ではレントゲンがカラーの大写しになると共に相手の体内に指をぶち込んで肋骨を外す、一撃必殺の背骨折りにマイナーチェンジ。戸板を貫いたり、二人纏めて身体を貫いて指をぶち込んだり、人体二つ折りを見せたりと全体的に豪快さが増している。

この活殺自在の骨接ぎ技は地獄の佐渡で見様見真似で覚えたと云う設定。
自らの関節を外し、狭い隙間から脱出する技を見せた事もある。

※尚、鉄の技は右手の親指、人差し指、中指を使用する事から「三本指殺法」の呼称があるらしいが、番宣用の名称らしく、劇中でその様に呼ばれる描写は無い。

とにかくやりたい放題で、好き勝手に暴れていた印象の【仕置人】に比べると【新仕置人】では苦戦する事も多くなった為か、ファンからは【新仕置人】の鉄は弱いと言われてしまう事もある。
……まあ、主水も作品によって強さが変わるので殺陣の方針と言ってしまえばそれまでなのだが。


【余談】

上記の【新必殺仕置人】の最終回の出来が余りに良過ぎた為に【必殺シリーズ】は第15弾【必殺仕事人】まで低迷、打ち切りの危機を迎える事になる。

新仕置人はそれ程に評価の高いシリーズであり、必殺史上最高傑作とも語られる。
全ての仲間を失い、それでも日常に戻って行く主水の姿は非常に印象的である。

尚、この鉄が女郎屋で最期を迎えるという案は演じた山崎努自身が出した物である。
脚本では主水と正八の手で川に沈められると云う形だったがこの方が「鉄らしい」との事から変更された。
…作劇上の効果は、見た人間なら云うまでも無い程である。

また、仕置人でも鉄や錠らとの別れを惜しみ後を追おうとする主水など、この2作品での主水と仲間の距離は他の主水シリーズよりも近く絆を感じさせる。


演じた山崎努は二度と同じ役をやらないことをポリシーにしているが、上記の通り念仏の鉄は二度に渡って演じている。
これはかなり異例の事で、記述される事が多い。







ああ〜ゾクゾクして来やがった、更なる追記、修正を望むのも悪かねぇな!

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