惨劇の家(CSI:科学捜査班)

登録日 :2012/01/08(日) 13:18:25
更新日 : 2017/08/15 Tue 23:35:39
所要時間 :約 6 分で読めます




「マクベスの台詞だ。『消えろ、消えろ、血の染みよ』」


『惨劇の家』とは、『CSI:科学捜査班』のシーズン1第7話のサブタイトル。原題は『Blood Drops』。

※人によっては本当に気分が悪くなるエピソードなので、ご注意ください。


【あらすじ】
深夜、ラスベガスの片隅にある閑静な住宅地に助けを求める叫びが響き渡る。
夫婦と息子2人が滅多刺しにされ、家の中は刑事ですら嘔吐するほど 血の海 と化していた。
一家6人の内、無事だったのは近所に助けを求めた女子高生ティーナと幼い末娘のブレンダだけ。
応援に駆けつけたサラと共に現場検証を開始したギル・グリッソム主任は、事態の深刻さからCSIチームのメンバーを全員招集する。
グリッソムはブレンダに話を聞こうとするが、彼女は何も語ろうとしない。
ただ、警察署に保護される去り際に 「バッファロー」 とだけ呟いた。


グリッソムの調査によって、犯行に使われた凶器の包丁は元からこの家にあったものだったと判明。
つまり犯人は予め包丁のある場所を知っており、「この家に来たことがある者」だと推測された。
そして、逃走経路の関係上ティーナに容疑者の可能性が浮上する。


一方、自称「子供嫌い」であるサラは、チームには他に育児経験のあるキャサリンがいるというのにブレンダの子守を命じられ不満タラタラだった。
ブラス警部にも愚痴をこぼすが、結局は仕方なくブレンダに接しようとする。
だが、ブレンダは描いていた絵をグチャグチャにして耳を塞ぎ、全く取り付く島がない。

サラに連れられ病院に赴いたブレンダは念の為に検査を受けることになった。
結果に異常は見受けられなかったが、担当医に精神分析も受けることを薦められる。
ブレンダは児童福祉局の人間が面倒を見ることになったものの、サラは事件の手がかりになるかもしれないから一緒にいると宣言。
これまでサラに無関心な態度を取り続けていたブレンダがサラの服を握り離れたがらなかった。
サラはそんなブレンダの肩を優しく抱く…。


ウォリックが庭で発見したタイヤ痕は日本製のスクーターのもので、近所の若者が同型のバイクを所持していると聞き込みで判明。
一方、グリッソムはティーナのパジャマには一滴の血も付着していなかったことに疑問を感じる。
家族が倒れていたらまず安否を確認しようとするのではないか、と。
そして、それはティーナの「倒れてる母を抱きしめた」「父に躓いた」という証言とも矛盾していた。


サラの報告では、精神鑑定テストによるとブレンダはショックによる興奮状態にあり、特に「バッファロー」という単語を聞くと半狂乱になるほど反応したらしい。


「それで、今ブレンダはどうしてる?」
「一人でいるでしょ? 車の中にいるわ」
「???」
「放っとらかしよ♪」
「…………………(ぼーぜん)」
「……んなわきゃないでしょ。まだ病院にいるわ。じゃ!」


スクーターの持ち主はティーナのボーイフレンド・オリバーだった。
しかし、スクーターは4人の仲間で共有していた上に、現在どこにあるか行方不明だという。
他の搭乗者から事情聴取を開始するが、その内の1人ジェシーが喫煙者で、その銘柄はニックが家の裏手で発見した葉巻と同一のものだった。
因みに、4人はスクーターどころかティーナの肉体さえシェアしていた。

やがて、ゴミ捨て場に分解され捨てられていたスクーターが発見され、同じ場所から血まみれのジーンズも見つかる。


「はぁ、『あの年寄りにこれほどの血があると誰が考えよう』」
「……何だそれ?」
「シェイクスピアです」
「う……うん…」


動かぬ証拠を突きつけられた男は弁護士のアドバイスで取引を望み、犯行を自供。
学校で ティーナに家族を殺すよう頼まれた という。
両親に彼との仲を引き裂かれたのがティーナの犯行動機とのことだった。
しかし、ウソ発見器の反応は彼の語る『ティーナの動機』だけが偽りだと指し示していた。


理由はさておき2人の有罪は既に確定したようなものだが、グリッソムは真実を究明することが何よりも重要だと主張。
再検査で父親の遺品であるペンダントから血を拭き取ると、そこには バッファロー の姿が彫られていた……。









以下、戦慄の真相へ…









グリッソムの依頼で行われた検査で、ブレンダの身体に明確な痕跡が見つかる。
そう…… 性的虐待 のだ。
X線写真で撮られた見えない夥しい傷跡に、声を詰まらせるグリッソムとサラ。
しかも廊下に残された血痕によって、事件当夜も父親はブレンダの部屋にいたことが証明される。

ブレンダの語る『バッファロー』とは、 夜な夜なベッドに忍び込んでくる父親のペンダント を意味していた。
ブレンダはその出来事があまりにも強烈に焼き付いてしまい、それしか喋れなかったのだ…。


ティーナの告白によって、 父親の鬼畜にも劣るおぞましい実態が明らかになった

ブレンダはティーナにとって ”妹” ではなかった。
実の父親に暴行されてきたティーナが13歳の時に産んだ ”娘” だったのである。

つまり、 父親が娘を犯し子を産ませ、さらにその幼い子供さえ毒牙にかけていた というのが、あの家に渦巻く呪われた秘密だった。
憎むべき父親だけではなく他の家族をも死に追いやったのは、母も兄弟も見て見ぬフリをし続けたからだと言う。
自分だけなら耐えられたが、ブレンダに魔の手が及び、遂にティーナは娘を守る為に家族の殺害計画を実行に踏み切った。
実行犯であるジェシーがどこまでコトの真相を知っていたかは不明だが、もしも知っていたなら犯行の背景には幼い少女を助けようとする義侠心があったのかもしれない。


「お腹が大きくなっても誰も気づかないの…」


あの家では、殺人事件が起きる遥かに前から『惨劇』が起き続けていた。
恨むかも知れないけどブレンダを守ったつもりだと涙を流すティーナに、グリッソムはもう何も言えなかった……。


【備考】
視聴者としても登場人物としても、サラとブレンダの交流だけが唯一の救いとなる、あまりにも気が滅入る重苦しい話だった。
今話は日本のドラマでは絶対にできないであろう重苦しいテーマを描いた、CSI初期の問題作と言えるだろう。
本家・元祖であるラスベガスはシリーズの中でも暗さに定評があるが、それにしても最初期のエピソードだけに陰鬱さはずば抜けている。
これがマイアミならもう少し救いのある結末になったかもしれないが…。
もっとも、これほどの鬱展開は「CSIだから」という訳ではなく、米国の規制が日本と比較してどれほど差異があるのかは具体的には不明だが、他の刑事ドラマでも同様のケースが度々散見される(Law&Order等)。

「エロゲーではよくある話」と言えばそれまでだが、実写ドラマとイラストではやはり与えられる印象は別次元だと言わざるを得ない。
現実においてもオーストラリアや日本で父親が娘を乱暴して子供を産ませるという惨たらしい事件が実際に発生している。
それらもこのような感じだったのかと思うとやりきれない…。


なお、ブレンダ役は本作出演の翌年に映画アイ・アム・サムにて 「天才子役」 の名を不動のものにする若き(より幼き?)日のダコタ・ファニングである。





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