全てを見ていた男(CSI:マイアミ)

登録日 :2012/01/02(月) 10:01:40
更新日 : 2017/08/15 Tue 22:57:51
所要時間 :約 4 分で読めます




「ぜんぶみてた」

「銃を撃った男について何か憶えてる? 顔は見えたのかな?」

「『コルトン』」

「『コルトン』…名前だね。知り合い?」

「いいや…ぜんぶみてた。かれのまどはきれいだった」



『全てを見ていた男』とは、『CSI:マイアミ』のシーズン2第12話のサブタイトル(全体では第36話に該当)。原題は『Witness To Murder』。
日本におけるシーズン2公式ベストエピソード投票では第2位を獲得した(1位はニューヨークチームとの合同捜査回)。



【あらすじ】
ある日、マイアミの屋内駐車場。
周囲を伺うようにビルから出てきた男性は駐車場に止めてあった車に乗り込み発進させるが、よそ見した際に他の車と衝突事故を起こしてしまう。
男性は仕方なく銃を後ろに隠し持ち、相手と話し合うが口論になり、やがて渇いた銃声が鳴り響く。
だが、たった一人だけ “全てを見ていた男” がいた……。



以下、ネタバレ注意






















捜査にあたったホレイショ・ケインは目撃者と対話する。
事件の全貌を目撃したと語るのは、フロリダ州のコインが欲しくて駐車場で窓ガラス拭きをしていたユージーン・トーマス・ウォルターズだった。
しかし、知的障害者である彼の精神年齢はおよそ7〜8歳程度。
到底話の信憑性に欠け、裁判での証言能力も認められない。
ホレイショは彼の証言に基づく捜査はできないとして、より確実な証拠の採取を優先するが、ユージーンは自ら進んで捜査に協力を申し出る。


「ぼくもよのなかのやくにたちたい。きみみたいに」


彼の拙い証言からヒントを見出し、容疑者を浮上させ面通しを行うが空振りに終わってしまう。


「ぼくにがっかりした?」
「いや、そんなことは…」
「ぱぱもそんなかおでぼくをみてた……ぼくは……ばかじゃないよ…」


当初は困惑するホレイショだったが、次第に純粋で一生懸命なユージーンに好感を抱いていく。
しかし、捜査が進展し有力な容疑者の特定に成功した時、ホレイショの携帯に連絡が入った。



「ユージーンが何者かに襲撃された」 と─────。



結末のネタバレ注意














彼が狙われた理由は単なる口封じ。
いくら証言能力が低くても犯人にとってユージーンは危険極まりない目撃者に違いなかった。

すぐさまホレイショは病院の集中治療室に駆けつけるが、既にユージーンの容態は絶望的で、医者ですらサジを投げていた。
瀕死の重傷を負ったユージーンはベッドに横たわったまま息も絶え絶えに呟く。


「ぼくもいっしょに…いくよ……ぼくたち…あいぼうだろ…?」
「ああ、そうだよ。相棒だ。でもどっちか一人が仕事に行けない時は、もう一人が二人分する。それが相棒だ」
「た…たのむよ…あいぼう…」


一時間だけ何としても待ってるようユージーンに告げ、犯人逮捕に全力を注ぐホレイショ。
事件の全貌が推定され、後は動かぬ証拠を固めるだけという段階になった時、ホレイショの携帯が再び鳴った……。


最終的に決め手となったのは、犯人の衣服に付着していたユージーンのDNAだった。
そう、彼を襲撃した際に浴びた返り血である。

「あのオツムじゃ不憫だから楽にしてやったんだ」

悪びれもせず笑う犯人。
それを聞いたホレイショは、静かに、だが確かな怒りを込めて言い放った。


「いいか…ユージーンは世の中に貢献しようと一生懸命生きてた。そして、人生の最後に…お前を終身刑にして正義を果たした」


施設暮らしをしていたユージーンには身寄りもおらず金も無く、その遺体は役所が埋葬する手筈になっていた。
事件解決後に霊安室に赴いたホレイショは、担当者に彼の埋葬を自分が行うと申し出る。


「ユージーン、お父さんは褒めてくれただろう? その筈だ……ありがとう」


ホレイショは果敢に悪に立ち向かった“相棒”の身体に、そっと自らの警察バッジを置く……。



【備考】
CSIシリーズで協力者と捜査官の交流を描いた話は多々あるが、この話はその中でも珠玉のエピソードとして根強い人気を誇る。
一方、事件そのものはそれほど複雑ではないので推理モノとしては薄味で、マイアミチーム特有の派手な銃撃戦やアクションもなく、どちらかというとヒューマンドラマの色が濃い。
非常にやりきれない結末を迎える話ではあるが、ホレイショの優しさと暖かさが胸に染みる涙腺崩壊必至の神回と言えるだろう。

なお、この話ではもう一つ事件が同時進行し、そちらは 「警察の検死解剖室に届く前に死体が消えた」 というトンデモないものである。
全体ではユージーンが「全てを見ていた男」なら、もう片方は「全てを見れなかった男」の対比を描いたと言えるかも知れない。



余談だが、マイアミで車の衝突事故を起こしてしまったら低姿勢に出た方が良い。
カリーいわく 「三割の人間が車に銃を積んでいる」 とのこと。





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