エルピス

登録日:2009/05/27(水) 21:26:03
更新日:2024/04/08 Mon 00:39:04
所要時間:約 5 分で読めます




シエルさんがいてくれたからこそ…です


ロックマンゼロ2において登場した、レジスタンス組織の総司令官。


CV:柏倉つとむ


元はネオ・アルカディア政府の都市管理局職員「形式番号TK31」だったが、ある日突然、国家反逆罪によりイレギュラー認定を受ける。
その一週間前、旧世代の遺跡(ゼロ3の"水没した図書館"にあたる)調査隊の一員として参加していたが、
その際偶然データルームにアクセスし、一般市民には隠されてきた妖精戦争の記録を盗み見てしまう。
ネオ・アルカディアの流布する歴史では、『エックスこそただ一人でΣウィルスをデリートし、戦争を終結させた英雄』であり、
オメガと必然的に関与するために闇に葬られた英雄・ゼロの存在や、人間至上主義の政府にとって『人間(Dr.バイル)が戦争の元凶』などとは知られてはならない情報だった。
そして事実を知ってしまったTK31は、証拠隠滅のため無実の罪を着せられた。

ネオ・アルカディアの法律では、イレギュラー認定されれば問答無用で廃棄処分確定。
同様に調査員として参加したレプリロイドは既に全員イレギュラーとして処分されたらしく、彼もまたイレギュラーハンターに処分されそうになった所をレジスタンスの一員に助けられる。
そしてそのままネオ・アルカディアに反発し脱走。レジスタンスに加わったのを境に「エルピス」と名乗るようになり、現在の地位に就く。

平凡な「TK31」だった彼がエルピスを名乗るまでの経緯については、ロックマンゼロ3のリマスタートラック・テロスのドラマパートで詳細が聴ける。
ちなみにエルピス(elpis)とは、ギリシャ語で「希望」を意味する。


性格はややナルシスト気味だが、部下思いのリーダー。
戦闘関連はズブの素人の寄せ集め程度であったレジスタンスが反抗組織として立ち直ることが出来たのはひとえに彼の協力によるところが大きく、
それを示すかのように、2では拠点の規模や設備の質もかなり向上している。
人望も厚いが、見方を変えると2時点のレジスタンスは彼が動員した部下の割合が多く、その発言力の強さを支えているとも言え、
これといって古参のメンバーが露骨な嫌がらせや不遇を強いられているわけではないが、言い知れない息苦しさのような雰囲気がかすかに漂う原因も彼にあると言える。

シエルに好意を抱いているような節があり、そのためかシエルが絶対的な信頼を寄せる『英雄』たるゼロにはやや挑発的な言動が多い*1

なお、政府から脱走する際に研究所からサイバーエルフの子供である「ベビーエルフ」を盗みだし、エネルギー不足を解消する為の研究用としてシエルに託しており、
シエルが行っているその研究の時間を稼ぐため、ネオ・アルカディアの民間人用居住区をターゲットにした総攻撃「正義の一撃作戦(ゲーム内では片仮名で『セイギのイチゲキ』表記)」を発案する。*2

シエルはエネルギー資源問題の解決を落としどころに、ネオ・アルカディアとレジスタンスの対立そのものを無くそうというプランで研究を進めていたのだが、
エルピスはそれを知りつつも解りやすい形で悪者のネオ・アルカディアを叩きのめし、自分たちの優位を確保しようという拙速戦略を推し進めており、
それに不穏な物を感じて警告したシエルにも声を荒げてしまうなど、功を焦り気味な部分が話を追うごとに増大していく。
大義にかこつけてシエルに自分の優秀さを認めてもらいたいというエゴも、少なからずあったはずである。


「……
 というかんじで…

 「セイギのイチゲキ作戦」の
 作戦ガイヨウの説明を終わります

 エックスのいない、今がチャンスです
 ここでいっきに、ネオ・アルカディアを
 おいつめましょう!

 では…みなさん、よろしくおねがいします
 レプリロイドに、明るい未来を!」

「「「明るい未来をー!」」」


以下ネタバレ















研究所から盗みだした「ベビーエルフ」は、実はイレギュラー戦争末期に使用され、世界を二度も滅ぼしかけた最凶最悪のサイバーエルフ『ダークエルフ』のコピー。


「セイギのイチゲキ作戦」は名目上「シエルが行っている研究の時間を稼ぐため」となっているが、実際のところはネオ・アルカディアと四天王への復讐的な意味合いが強い。
自身も戦闘用のレプリロイドでないにもかかわらず、危険な前線に陣頭指揮を執るために出征していくなど、エルピスの公私混同した強い執念がこの作戦には込められていたが、
そもそもネオ・アルカディアとレジスタンスの間には、どんな作戦を立てようが関係ないほどに絶対的な戦力差が存在し、
四天王の圧倒的な力に蹂躙されてレジスタンスはあっけなく返り討ちに遭い、作戦は大失敗に終わってしまう。

エルピス自身はかろうじてゼロによって救出され、生還したが、自身の無力感、死んでいった部下への申し訳なさ、
そして、かつて政府職員だった頃のハルピュイアに対するコンプレックスなどの様々な要因で彼は心を病み、力を求めるようになる。
ストーリー後半にはレジスタンスを離れて単独行動を始め、ゼロはそんな彼を追って各地を巡ることになる。

最早レジスタンスの指揮官ではなくなったためか、それとも隠していたゼロへの悪感情を抑える余裕がなくなったのか、
これ以前は「エイユウさん」や「ゼロくん」のように、ゼロを呼ぶときはそれなりに彼に敬意や親愛を示す呼び方をしていたのが、
「ゼロ」と呼び捨てにするようになり、言動も露骨に挑発的になっていく。

そんな自身の心の淀みに付け込んだベビーエルフの導きを受け、エルピスはエックスのボディが眠るネオ・アルカディア最深部に辿り着く。
この時のエルピスの言動は、手に入れた力から来る昂揚感から狂気性と嗜虐性が増しており、ストーリー序盤のエレガントさは欠片もなくなっている。

そしてエックスが自分のボディを棄ててまで封印したダークエルフを解放させ、エルピスはついにその力を得た。


だが、前作のコピーエックスや四天王を始め、数多の強敵を斬ってきた「英雄」ゼロにはダークエルフの力をもってしても敵わず、
最早力しか見えなくなっていたエルピスはダークエルフに更なる力を求め、おぞましい叫び声を上げながら第二形態へと変貌を遂げる。


それはさながら、100年前の戦争の犠牲になった人間とレプリロイド達の怨念と呪咀がダークエルフの力と共に流れ込み、

自分の抱いた理想と正義を見失い、己の犯した罪の重さに押し潰された、

エルピスの最後の理性のひとかけらの断末魔のようであった。





ギィイイイイイャァアアアアアアァァ!!
モォォォォォットチカラヲォォォォォォ!!




ただ、第一形態はチャージセイバーでのけぞり、ガードする「オットイケナイ」はEXスキルで貫通可能、
第二形態は下からチェーンロッドで刺してりゃ勝てるという具合で、恐らくゼロシリーズ中でも最弱のラスボスといえるほど弱い。

ちなみに次回作の『3』では パンテオン(雑魚敵)が同じくダークエルフの影響を受けた上で中ボスとなる*3のだが、
こちらは『3』の中ボスの中でも強い部類に入り、下手をするとエルピスより手強い。

あえてフォローすると、いくらダークエルフの力で強化したとは言え、彼は元々非戦闘用の量産型レプリロイドであるため、設定的にはパンテオンの方が強くてもおかしくはない。*4
それに対し、百年以上の長きにわたるイレギュラー戦争を戦い抜いた伝説の戦闘用レプリロイドであるゼロ*5とは、基礎スペックも経験値も違いすぎたのだ。


その後、ゼロに倒され、ダークエルフの力から解放されたエルピスは正気を取り戻し、暴走する自分を止めてくれたゼロに感謝と謝罪を伝え、
シエルへの別れの言葉を口にした後、このまま朽ち果てていく覚悟を決めるが、一時的に様子が変わったダークエルフの力でサイバーエルフへと転生。
自身を救ってくれたダークエルフは本当は悪い存在ではないのかもしれないと告げた後、どこかへと飛び去って行った。

…と、一応救いのある結末を迎えたとはいえ、自分の心の弱さが原因となっている部分はあるが、
ベビーエルフの「母(ダークエルフ)に会いたい」という自分本位な願いのために利用され、世界を滅ぼしかねない行動をさせられただけでなく、
(おそらく)行動の理由の一つであったシエルへの恋心も報われるどころかそもそも伝わってもいないという、シリーズの中でも特に悲惨なキャラクター。
もちろん、自身の復讐心のために戦力差などに目を向けずに攻撃を仕掛け、多数の部下を死なせるなどの、批難されても仕方のないこともやっているのだが、
自身に非の無い偶然から迫害されて人生を捻じ曲げられ、自己顕示欲や劣等感に苦悩して道を踏み外していく姿は(レプリロイドながら)非常に人間的といえ、
ゼロシリーズどころかロックマンシリーズの中でも類を見ないほど人間臭いラスボスの一人と言えるかもしれない。



レジスタンスからは慕われていたためか、エルピスの顛末に関しては一部を除くレジスタンスの面々には伏せられ、『3』では「突然の失踪」いう形で処理された模様。
ちなみに同作で「ある改造カード」を使うと、レジスタンスベースにかつてのエルピスと思われるサイバーエルフが現れる。

余談だが、開発陣は元々は『3』でシリーズ完結にするつもりだったそうで、エルピスがラスボスとしてはパッとしないのも元から中継ぎ的役割と考えられていたからだとか。
ストーリー上でも大人の事情的にも、とことん割を食った被害者と言えるだろう。
カワイソス (´・ω・`)



エルピス
「わたくし、このたび…
 この新レジスタンスのしれいかんとなりました
 エルピスともうします
 ゼロさんのことは、つねづねシエルさんから聞いておりました
 ぜひ、お力をかしてください
 ともにたたかい、この項目をかきかえましょう!!」

ゼロ
「この項目をかきかえる…か
 追記修正して、それで終わりなら…
 シエルもあんなに、なやまないだろうな」

エルピス
「そういうあなたはどうしようと…」

ゼロ
「わからん」

エルピス
「フフハハ、ゼロさん…
 いがいと、ゴジョウダンがおすきなんですね
 ともかく…今後ともよろしくおねがいします
 伝説のエイユウ…さん」


画像出典:ロックマンゼロ2
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最終更新:2024年04月08日 00:39

*1 ゼロ当人はエルピスのそういった言動に頓着している様子はないが、元々不愛想とはいえゼロのエルピスへの返答などはとみに不愛想に感じられるところもあり、言葉にはしないもののあまりエルピスに良い感情を持っていない表れの可能性もある。

*2 ネット上でネタにされる「アカルイミライヲー」は彼の演説が元ネタ

*3 羽のデザインがエルピス第二形態に酷似

*4 パンテオンはゼロを操作するゲーム上は雑魚だが、デモムービーではレジスタンス隊員がパンテオンによって次々に倒されるシーンもあり、一般的な非戦闘用のレプリロイドとは一線を画す戦力を持っていると思われる

*5 それも戦前から既に「一万人に一人の実力」と呼ばれた特A級ハンターでもあった