ホンダ・NSX

登録日:2009/10/17(土) 10:02:17
更新日:2022/02/12 Sat 14:41:01
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ホンダが生産していたミッドシップレイアウトのスポーツカー。



概要


F1参加メーカーとして、世界に向けてのホンダの顔を持ちたいと考えていたホンダが生み出し、販売終了となった現在でもホンダの顔として君臨する一台である。
車名の由来は、ホンダのニュースポーツカー「new sportscar」の略であるNSに、未知数であるXを合成させてNSXとなった。
このチャレンジ精神溢れるネーミングは、後発のニューネクストニッポンノリモノことN-WGNにも引き継がれている。

開発は発売の6年半前、1984年からスタート。
ホンダお得意のFF(フロントエンジン・フロントドライブ)以外の駆動方式を研究しているうちに、MRの開発に着手したことから開発が始まる。
研究開発に参加し、開発責任者となった上原繁氏は操縦安定性を専門に研究していたこともあって、高いハンドリングにこだわるスポーツカーを目指すことになり、
当時市販車初のオールアルミのモノコックボディーの採用などの革新的技術の採用、ニュルブルクリンクサーキット近くにテスト基地を建設しての徹底的なボディの剛性の研究と、まさに最高のスポーツカーを目指して開発された。

当初はライトウェイトスポーツカーのパッケージング案が提案され、エンジンを直列四気筒の2000ccにする予定だった。
しかし、社内事情やアメリカ市場を考慮した結果、同社の高級車、レジェンドに搭載されていたものを改良したV6SOHC・4バルブ3000ccとなり、当時開発中だったDOHC(排気バルブと吸気バルブが別々のカムシャフトによって開閉される方式)・VTEC(4サイクルエンジン用可変バルブタイミング・リフト機構)を採用され、最終的にV6DOHC・VTEC 3000ccとなった。
馬力はMT車では当時の国産車自主規制値上限の280PS、AT車でも265PS。



車歴


〇初代 E-NA1

(1990年~1996年)
リトラクタブル・ヘッドライトを採用し、スーパーカー的なスタイリングを確立。
1995年にマイナーチェンジした際には、ペダルを踏んだ際の伝達方法がケーブルから電子制御に代わり(ドライブ・バイ・ワイヤ)、AT車にはステアリングコラムのスイッチで操作するマニュアルシフト「Fマチック」、頭上のルーフパネルが外せるタルガトップ(オープントップ)仕様の「タイプT」のグレード設定が追加された。
ちなみに栃木県警高速隊には本車のパトカー仕様が配備されている。


〇2代目 GH-NA2(MT車)/GH-NA1(AT車)

(1997年~2000年)
形式変更を伴う形で1997年にマイナーチェンジを実施。とはいっても外観上の大きな変更は無く、排ガス規制への適合、MT車のエンジンを排気量が3000ccのものから3200ccのものに変更。
MTが6速となり、国内販売のみスポーツグレード「タイプS」、「タイプS-Zero」がラインナップに追加。


〇3代目 LA-NA2(MT車)/LA-NA1(AT車)

(2001年~2005年)
2001年に行われたマイナーチェンジは大きなもので、衝突安全性を考慮してヘッドライトをリトラクタブルから固定式へ変更するなどを中心に施行された。
2003年には、一部を除くCDチェンジャーの追加、イモビライザーの全車標準装備化、排ガス規制適合、型式変更が行われる。


2005年、引き続き生産可能な状況の中、生産年数の長期経過、2006年開始の欧米の排ガス規制対応に採算がとれないため、生産終了。
その特殊性からロボットによる流れ作業ではなく、殆ど手作業で製作された。

尚、生産終了された現在でも、1996年の全日本時代からから参戦しているSUPER GTを始め、複数のレースに参戦している。

が、2009年のSUPER GT最終戦、ツインリンクもてぎでのレースを最後にSUPER GTの参戦を終了した。
最終戦はラルフ・ファーマン/伊沢拓也組の駆るARTA NSXが優勝し、有終の美を飾った。
13年間参戦し、通算勝利数は37回。


〇新型NSX

(2015年~)
2015年より、米オハイオ州メアリズビルの専用工場「パフォーマンス・マニュファクチュアリング・センター(PMC)」にて、次期ホンダNSXが生産開始。
直噴V6エンジンをミッドシップに搭載し、モーターと組み合わせ後輪を駆動。更に前輪を各1個ずつのモーターで駆動するハイブリッドシステム「スポーツハイブリッドSH-AWD」が採用されている。

2014年7月、このホンダNSXの次期プロトタイプ車が、性能確認のためにドイツ・ニュブルクリンク北コースでのテスト走行中、突然車体後部ミッドエンジンのハイブリッドシステムから出火。
テストドライバーがすぐ気づいたものの、脱出直後にほぼ全焼している。
そのせいで一部がカーボンなのがバレた。

2015年に立ち上がるものの、生産台数が少なすぎることや、ホンダのガソリンエンジンに関する方針転換により2022年に生産終了。
アメリカ優先でサクラスピリットが無いというのが不人気の理由に上げられていた。
あとフロントモーターのトルクベクタリングがドライバーに「変な動きする」とレビューで書かれまくったのも原因か。
重量がアレ(1725kg)という話もあるが、実際にはポルシェ911ターボ(Type992)もあまり変わらない車重(1860kg)だったりする。
まあ911にはTYPE-Sに匹敵する991GT3と、まだ発表されていないTYPE-R相当のマジキチマシン、911GT2が控えてるのでアレなんだが。


type-R


NSXを語る上では欠かせないのが、このタイプRである。
かつてインテグラやシビック、海外ではアコードにも使用され現在国内ではシビックのみに設定されたこのスポーツバージョンも、この車から始まった。
他社のスポーツ車種のエンジンが過給機の装着により高出力を得る例が多いことに対し、タイプRでは超高回転型の自然吸気エンジンを採用し高出力を得ている。
現在に至るまで全車種がMT仕様のみの設定であり、AT仕様は販売されていない。
設定車種は現在まですべてに専用ボディカラーとしてチャンピオンシップホワイトが設定され、イメージカラーにもなっている。また、タイプR独特の装備として赤いエンブレムが装着されている。


〇初代

(1992年~1996年)
エンジンはノーマルと同じ物だが、各部品のバランス精度、重量精度を上げてのレスポンス向上化がされる。
更に約120kgの軽量化に際して遮音材、快適装備の省力化、バンパー、ドアビーム、エンジンメンテナンスリッドのアルミ化、更にレカロ社のフルバケットシート、MOMO社のステアリング、チタンのシフトノブ等が装備された。

最早、サーキットで走らせる以外、宝の持ち腐れ的なモデルである。

このモデルはアイルトン・セナが鈴鹿サーキットで試乗した。


〇2代目

(2002年~2005年)
2001年のビッグマイナーチェンジから半年後に発売。
名前が「NSXタイプR」から「NSX-R」に変更。改良項目は初代のものを受け継ぎ、空力性能向上のためにエア・アウトレット付きの物に変更したボンネット、大型化リヤ・スポイラー(この2つは軽量化のため、CFRP素材を使用)を装備し、車体底部にはフロント・アンダーカバー、リアディフューザーを装着した。
快適装備は勿論省力化。
またもっとも燃費のよいスポーツカーであり、リッター15kmは断トツのトップである。

更に2005年には「typeR GT」を発表。SUPER GT参戦のホモロゲーション取得用に5台限定で5000万円で販売された。相違点はCFRPのエアロバンパーのみ。


プラモデルでのNSX

タミヤから前期型が、フジミから後期型が発売された。

タミヤ製はスポーツカーシリーズ100作目で、他にアキュラ仕様、タイプRがある。
フジミ製は通常仕様の他に、タイプRがあるが…
残念な事に出来が悪い部類に入る。


撮影用車両

円谷プロ製作の特撮TVドラマ「ウルトラセブン」誕生30周年記念3部作にて、ウルトラ警備隊が使用する特殊車両「ポインター」に使用されている。


マーベル・シネマティック・ユニバースの映画「アベンジャーズ」にて、アイアンマンことトニー・スタークが乗っているのが91年型のアキュラ(初代NSX)。
ただし外側は大改造されてほぼ新型同様のNSXロードスターになっており、面影はまるで別物。
この映画に使用された一台限りのNSXロードスターは販売もされ、なんと9億2000万円の値がついた。


第二期平成ライダーシリーズとして放送されていた「仮面ライダードライブ」にて、撮影用としてカスタマイズされたNA1型のATモデルが「トライドロン」と名付けられて使用されていた。
ただ残念ながら車検が通らなかったので(正規の3点式シートベルトの代わりに競技専用の5点式シートベルトを取り付けるなど改造しすぎたため)、当該車両にナンバーは交付されていない。
そのため走行シーンは全て私有地のみで撮影されている。撮影現場へも毎回トラックで輸送され、公道を走行しているように見えるシーンもCG合成で対応している。


追記・修正をお待ちしております。The Power of Dreams.

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最終更新:2022年02月12日 14:41