勇者警察ジェイデッカー

登録日:2010/08/17(火) 22:40:16
更新日:2023/09/05 Tue 17:17:18
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かつて、バラ色の未来と言われた21世紀。

しかし、科学の発展は人類に明るい未来だけを与えはしなかった。

最新の科学技術は、ロボットを使用した凶悪犯罪や

バイオ怪物の出現といったハイテク事件を生み、

また、これまで考えられなかった災害までも引き起こした。

これらの事件に対して、警視庁は新たな警察組織の設立を決定した。

それが、超AIを搭載したロボット刑事チーム『ブレイブポリス』である。



傷付くことも怖くはないさ

信じ合う仲間がそばにいるから



勇者警察ジェイデッカーは1994年~95年に放送された、「勇者シリーズ」の第5作である。

監督は前作『勇者特急マイトガイン』に引き続き、高松信司が監督を務めている。
キャラクターデザインも前作に続き石田敦子氏が務めている。


【物語の概要】

本作は『マイトガイン』で登場した超AIの設定をさらに掘り下げて、初期勇者シリーズのような「ロボットと少年(人間)の交流」を広げている。(なお、『マイトガイン』の世界観とは繋がりはない。)
ロボットがただの戦闘員ではなく、感情を持った一人のキャラクターとして描かれているのが特徴。前作までのような「○○チーム」でひとまとめにされることなく、ロボット一人一人にスポット回が与えられている。
このため、合体せずに終わる話、そもそも戦闘すらなしで終わる徹底したギャグ回さえもある。

また、本作は警察ものであるが、往年の刑事ドラマテイストや勧善懲悪だけではなく、心を持つが故のロボットたちの葛藤、人間くささも見物である。
いまだに人気が高いのにも納得の行く作品である。

長らく版権の都合や「警察官に戦争をさせたり、子どもの主人公を人殺しに加担させるのはまずい*1からか」と言った理由(憶測)でスーパーロボット大戦シリーズには参戦していなかった。だが、
勇者王ガオガイガー(初参戦は第2次α)』『勇者特急マイトガイン(初参戦はV)』『勇者エクスカイザー(初参戦はX-Ω)』に続いて
スパロボ30周年記念作『スーパーロボット大戦30』にて参戦が決定した。

タイトルにもなっているジェイデッカーの名前の由来は日本の刑事(Japan+デカ)から。
韓国での放映時は「ロボット捜査隊Kコップ」というタイトルになっており、同国では勇者シリーズ内でもぶっちぎりの人気を誇っている。
因みにスパロボ30は海外でも発売されることを見越して事前にアンケートを取っていたのだが、韓国のスパロボファンからはダントツでジェイデッカーの人気が高く、
それが『30』での初参戦にもつながったらしい。

【あらすじ】

21世紀、科学技術の発達は、同時に犯罪の高度化をも進めた。
これらの事件を解決するため、警視庁は超AIを持つロボット刑事、ブレイブポリスを誕生させた。
そしてそのボスに選ばれたのは、なんと10歳の小学生・友永勇太だった!!


【主な登場人物】

○友永勇太
CV:石川寛美
本作の主人公兼ヒロイン? 普通の小学4年生。
遊んでいた時に地下の工廠で開発されていたデッカードと偶然出会い、友達になる。
交流をしていくうちにデッカードの超AIに心が宿り、開発者の想定を超える性能を発揮。その功績から少年警察官に抜擢された。階級は警部。
物語開始時点で既に主役ロボと接点があるというのは珍しい。

家族は両親と姉二人だが、両親は家にほとんどおらず、姉に育てられたようである。
どことなく女の子っぽいのはその影響かもしれない。
年相応に意地っ張りで負けず嫌い。泣き虫の気があり、ほぼ毎回何かしらの理由で泣くか目に涙を浮かべる。

学校の勉強はそれほど得意ではないようで、社会科の時間に先生の質問に答えられず、窓から見ていたパワージョーにからかわれたことも。
一方、いざという時には毅然とした行動がとれる勇気を持ち合わせており、学校の校庭に犯罪者の巨大ロボが現れた時には誰よりも早く避難の誘導を始めた。

また、勇者シリーズの主人公の中でも特に可愛らしく、女の子にも見える容姿をしている。デッカードに心を宿しただけでなく視聴者にショタを愛する心を与えたとされる。

監督が同じためか、髪型や服装は『機動新世紀ガンダムX』のガロード・ランをなんとなく連想させる。
この件について高松はDVD-BOX同梱冊子のインタビューで「僕の好みのスタイルだったんでしょう」と回想している。



○冴島十三
CV:大友龍三郎
警視総監でブレイブポリスの生みの親。見た目は渋い中年で、非常に有能な男。
AIで活動するロボット刑事を開発・配備するブレイブポリス計画を主導する。

税金で造られたロボットにカッコよさも追究していることから分かるように、子どものような心も同居するロマンチスト。本来あり得ない現象が起きた際には奇跡が起きたと認めてしまう。
ジェイデッカーとデュークファイヤーが合体した「グレートジェイデッカー」という名称を、よくある名前だからと却下するなどネーミングに凝るところもある。

ビルドタイガーに虎の胸飾りがある理由を尋ねられた時の返答は視聴者に絶大なインパクトを与えた。

警視総監だけあって普段の態度はかなり真面目だが、時にはコミカルな発言をしてギャグ要員もこなせるため、役回り的な意味でも有能。ジェイデッカーの初合体を見逃した時には拗ねてへそを曲げ、その回をオチを担当することもあった。

真顔の悪ノリから本気のギャグ顔まで色々なバリエーションがある。
若い頃は爽やか系イケメンだった。


○東一門
CV:岡和男
警視副総監。堅物メガネ。冴島とは意見の合わないことが多い、ブレーキ役。
市民の安全と街の平和を何よりも一生懸命考えるから反りが合わないだけで、ある意味彼の思想は警察官の鑑。
当初は勇太とブレイブポリスを快く思わない、いわゆる「嫌味な上司」役だったが、後述する新庄健が絡むカゲロウ事件で若干態度を軟化。
ブレイブポリスとは理想と現実の差で対立するものの、その姿勢は認めている模様。
冴島総監がギャグ要員なのに対し、こちらはギャグ要素が非常に少ない*2


○藤堂俊助
CV:塚田正昭
ブレイブポリスのロボットの設計者
少し口が悪いが、優秀な技術主任。
警視総監である冴島を「冴島の旦那」と呼ぶなど気の置けない関係であり、強い信頼を結んでいる。


○友永あずき
CV:根谷美智子
○友永くるみ
CV:梁田未夏
2人とも勇太の姉で、三つ編みでおっとりしたほうが高校生の長女・あずき、ショートでガサツなお調子者のほうが中学生の次女・くるみ。
2人とも勇太のことを可愛がっており、デッカードのことも家族のように思っている。
あずきは何かやらかすと「しくじりましたわ〜」と言うのがお約束。


○レジーナ・アルジーン
CV:宮村優子
イギリスの天才少女。デュークとファイヤーローダーを造った。
当初は過去の出来事から人間を「不完全な生き物」と嫌悪しており、デュークに善の心100%だけを持たそうとしていたが、勇太やブレイブポリスを始めとする者たちとの関わりを経て考えを改めた。
CVの宮村優子は本作がテレビアニメのデビュー作であるが、新人とは思えない演技を見せており、後の飛躍も頷ける。


○尾上せいあ
CV:石川悦子
防衛軍の一等陸佐。いろいろあってマクレーンといい感じに。


○愛原絵美里
CV:梁田未夏
○喜多川勝気
CV:くればやしたくみ
○鷹野菊麿
CV:根谷美智子
勇太の同級生たち。ブレイブポリスを抜け出してきたパワージョーと仲良くなった。
勝気は勇太とは度々衝突した。

○君塚綾子
CV:くればやしたくみ
ファッションセンスが独特なフリーライター。見た目はビッ○っぽいが正義感が強い姉御肌。取材中を重ねるうちにダンプソンと仲良くなった。

○柏崎雅也
CV:山崎たくみ
友永家のご近所に住む医者志望の大学生。あずきとは相思相愛の関係。
中盤まではただのご近所さんという扱いだったが、終盤で宇宙人カピアに憑依されてしまう。



【ロボット刑事たち】

警視庁がロボット犯罪の高度化に伴って開発した、全高5m程の超AIを備えたロボットたち*3
最初にロールアウトされたデッカードは、当初は命令に従って動くだけのロボットだったが、勇太と出会って交流を重ねることで超AIが進化して心を持つようになった。

その後にロールアウトされたビルドチームが、超AIに心を持っていなかったために、宇宙から飛来した隕石生物「ガイゾナイト」の怪電波に操られてしまう。
そのことを教訓として、ビルドチームを含め、それ以降に開発されたロボット刑事には、デッカードの超AIの複製を組み込まれ、心を持つようになった。これが終盤の伏線となる。


ビークルモード時でも警察車両と言う扱いであるため、ビルドチームなどにもパトライトが付いているのが特徴。
敵を打ち倒すのではなく、生かして捕える警察という立場からか、設定上のスペックはシリーズ中最も低い*4

ただし、他の勇者と比べると本作のロボットはいずれも現代の地球の科学力のみを使って生み出された存在であるため、この設定はむしろ必然ともいえるだろう。*5

過去作の勇者達の多くはビークルモードの機首/運転席部分が胸部に来る変形であったが、本作からは機首/運転席部分が背中や足になる勇者が登場した。

また、(他の勇者ロボにも言えるが)構造上かなり無理矢理な変形が多い。劇中の作画では変形の前後で大幅に形状が変化している。玩具には大分しわ寄せが来ており、一部はビークルモード時に腕を収納出来ないなど、プロポーションは総じて悪い傾向にある。*6そのような機体を実用化している警視庁、正に驚異のメカニズムである。


■BP-100シリーズ

○BP-110 勇者刑事デッカード
CV:古澤徹(現:古澤融)
ブレイブポリスのリーダーで、パトカーから変形する。武器はリボルバー式拳銃
当初は命令に従って動くだけのロボットだったが、勇太と出会って交流を重ねることで学習し、そして、勇太の危機がきっかけで、AIが進化して心を持つようになった。
自分に心をくれた親友であり、自分たちと共に戦ってくれるボスである勇太を大事に思っている。

非番の際は友永家の車庫におり、近隣の住民からは「友永パト吉」の愛称で親しまれている。
基本的に真面目だが、勇太を見殺しにされかけてマジで怒ったり、勇太から相手にされずゴネて家出したり、やたらと感情表現が豊かである。
更に一度勇太をからかったら、死亡フラグを立ててしまい、殉職してしまった。
そのシーンはお茶の間の良い子みんなのトラウマだろう。

更に大破して機能停止状態のところを輸送中に奪われ、ガイゾナイトに取り憑かれて操られ、敵としてブレイブポリスの前に立ちはだかった。
その後やっとの思いで敵から奪還し、新たなボディに超AIを移し替えて復活…したが、
今度は記憶喪失になってしまい、記憶が戻るのにも時間を費やした。


○BP-119 ナイト刑事デューク
CV:森川智之
イギリスのスコットランドヤードからやってきたロボット刑事で、救急車から変形する。
デッカードと勇太の関係のように、デュークもまたレジーナのことを「レディ」と呼称し想っている。性格は英国紳士的で騎士道精神に溢れている。
今までのロボット刑事の集大成とも言える最新鋭機で駆動系はビルドチーム、装甲素材はドリルボーイ、更にシャドウ丸の隠密回路と同様の電子戦能力を持つ。
このためシャドウ丸と組んで隠密捜査を行うこともある。
デッカード殉職と同時に配属され、当初はメンバーとそりが合わなかった上、デッカードの席を奪おうとした。
しかしそりが合わない中で自分はデッカードの代理になれないことを悟り、結局サブリーダー的ポジションに収まった。


ジェイデッカー
デッカードとトレーラー型サポートメカ・ジェイローダーが警察合体した姿。合体により飛行能力を得る。
武器は電磁警棒に専用ライフル「ジェイバスター」と非常にシンプル。
電磁警棒は基本的に相手を叩き壊すものだが、ビームを発射することもできる。
全主役勇者ロボの中で唯一単体での必殺技バンクを持たない不遇の勇者。バンクはジェイバスターを抜くところとライフルモードへの切り替える部分のみ。
ファイヤーダグオンも必殺技が固定されていないが、あっちはファイヤーブレードにトドメ用のバンクがあるので……。
あと顔がマイトガイン以上にガン○ムっぽい。


デュークファイヤー
デュークと消防車型サポートメカ・ファイヤーローダーが合体した姿。武装はファイヤーソードとファイヤーバスター。
デッカード/ジェイデッカーが飛び道具系の武器を主体とするのに対し、こちらはが主体。
初登場時の一連のエピソードではビーム系武器にばかり耐性を持つチーフテン達を圧倒した。
頭部は消防士の帽子を模したデザインで、武器も剣なのでジェイデッカーより主人公っぽいかも。
デュークの頭部移動はマイトガインの舞人と並ぶ勇者シリーズの七不思議である。*7


ファイヤージェイデッカー
ジェイデッカーとデュークファイヤーが大警察合体した姿。
本来は「グレートジェイデッカー」になるはずだったが冴島が「よくある名前だから」と却下し、これまでの振り返りで「炎のように熱い心」からヒントを得てその名を思いついた。
デッカードが殉職した際にメモリーに齟齬が発生して、合体に失敗するとデッカードかデュークのメモリーのどちらかが破損する危険があった。
なお無事に合体が成功する確率はなんと5万分の1。もちろん一度成功できたら大丈夫なのでご安心を。
シリーズ恒例のグレート合体だが、本作は勝ちパターンが特に決まっていないことからファイヤージェイデッカーも登場しない回がそれなりにあり、後半の半分程度にしか登場していない。

挿入歌「ブレイブアップ!ファイヤージェイデッカー」が流れる回に至ってはファイヤージェイデッカーの出番が冒頭で終わっており、歌はジェイデッカー、デュークファイヤー、スーパービルドタイガーの一斉合体のシーンで使われる。

必殺技はファイヤーソードとマックスキャノン。しかしこのファイヤーソードさえも勝ちパターンが固定されておらず、基本的には燃え上がる刀身で相手を斬り裂く「バーニングファイヤーソード」を使用するが、電気を纏った状態で投擲する「ローリングサンダー」で勝ちを収めたり、マイトガインよろしく上に飛び上がってから叩き斬ってトドメを刺したこともある。
腕にドリルとマニピュレータアームも装備しているが、ドリル使ったことあったっけ……?
地下都市救出の回に両腕アーム装備で崩落間際の天井を支えたことはあったけど。
ちなみにこの回は、殆どバンクを使わない合体シーンが見られる。

デュークのサイズ変化と大警察の意味は(ry
そして玩具の出来は……



■BP-300シリーズ(ビルドチーム)

○BP-301 コンバット刑事マクレーン
CV:置鮎龍太郎
クレーン車から変形する、冷静で理性的な性格のロボット刑事。
ビルドチームのリーダーであり、デュークが配属されるまではブレイブポリスのサブリーダーでもあった。
射撃の達人で、ショットガンやグレネードを装備している。パンダさん……


○BP-302 カンフー刑事パワージョー
CV:山崎たくみ
パワーショベルから変形する、熱血だがちょっと軽い性格のロボット刑事。
たまに仕事をサボって勇太の小学校に遊びに行く。
武器はピストル以外にヌンチャクやトンファーを使う。


○BP-303 レスラー刑事ダンプソン
CV:星野充昭
ダンプカーから変形する実直で堅物な性格のロボット刑事。
一人称は「自分」で「自分は~であります」という言い回しを多用する。
武器はピストル以外にダンベルを装備しているが、あんまり使ってない気もする。


○BP-304 サッカー刑事ドリルボーイ
CV:結城比呂
ビルドチームの新メンバーでドリルタンクから変形する。一人称は「僕」。
サッカーと刑事とドリルという3つの要素は空前絶後ともいえる組み合わせである。
超AIの調整が突貫的に行われたため子どもっぽい性格で、よく足を引っ張っていた。ドリル坊主ではない。
武器はサッカーボールだが、蹴飛ばすとトゲが生えて敵メカにダメージを与えられる。

サッカーがモチーフになっている点は、番組タイトルの「ジェイデッカー」と合わせてJリーグが流行していた当時の世相を強く感じられる。

ビルドタイガー
マクレーン、パワージョー、ダンプソンが合体した姿。胸には虎の意匠が付いている。
パワーはジェイデッカーより上らしい。
必殺技はタイガーキャノン。
合体が成功するまでには多大な苦難が伴い、なんと勇者ロボでは珍しく2回も失敗した。ブレイブポリスではよくあることだから気にしない。

「何故胸に虎が……?」という疑問に対して、
「それは、カッコいいからだ!!
……と答えた冴島総監のセリフは視聴者に大きなインパクトを与えた。


スーパービルドタイガー
ビルドタイガーとドリルボーイが合体した姿。ドリルは割れて胸の意匠になる。
必殺技はタイガービーム。ビルドタイガー時の武装も引き続き使用可能。
こちらも初合体は失敗した。
ジェイデッカーとの合体技のタイガーファングもあるが、パワーを使いすぎるため合体が解除されてしまう。

初合体のエピソードのほか、ドリルボーイとフェアリーロボとの交流回での活躍も見どころがある。
合体して現れたビルドタイガーにドリルボーイが追加合体して活躍した。
勇者シリーズで何度かあった合体済みサブロボへの追加合体だが、この回は合体命令発動から敵を倒すまでの流れがスゴくカッコいい。


タイガーギムレット
ビルドチームが車両モードで連結して突っ込むスーパービルドタイガーの必殺技形態。登場は一度のみ。


BP-500シリーズ

○BP-501 忍者刑事シャドウ丸
CV:立木文彦
隠密回路と多段変形を利用した隠密捜査を得意する忍者のロボット刑事。
風車の弥七的存在で、ニヒルで孤高な一匹狼を気取っているが、勇太の姉のあずきには頭が上がらない。
他のメンバーには基本的に「〇×の旦那」と呼び、勇太のことは「ちびボス」と呼んでいる。
ロボの他に警察犬・覆面パトカー・ジェット機・戦車の4形態が存在し、一度大筒にも変化した。
何気に勇者シリーズに忍者が出てくるのは今回が初である。
他のロボット刑事達とは違い、合体機能はない(下記のガンマックスはバイクが変形して他の大型ロボの武器になるため実質合体機能あり)。
「待ってましたと目に涙。あと警察犬じゃなくてな。」


○BP-500X カゲロウ
CV:中原茂
シャドウ丸のプロトタイプ。自動車形態・飛竜形態に変形出来る。
稼働テスト終了後、データ消去を恐れ逃亡。その後、新庄健に超AIを抜き取られて、本体は意思のない破壊ロボットへ改造され、超AIは潜水艦アビスやアビスガードに組み込まれてしまう。
ブレイブサーガ、『スーパーロボット大戦30』では味方に出来る。


■BP-600シリーズ

○BP-601 白バイ刑事ガンマックス
CV:巻島直樹/野島裕史(スーパーロボット大戦30)
ハイウェーパトロールからブレイブポリスに配属されたロボット刑事。武器はショットガン。
性格は気障な皮肉屋だが根は真面目で、藤堂さんとはなんだかんだで仲が良い
単体では変形出来ない史上唯一の勇者。サポートメカのガンバイクが主な移動手段。
オイルはそのままグビグビ飲む派。
ガンバイクを着込むように合体して「ガンマックスアーマー」になるほか、バイクに乗り込んだままそのバイクが変形して、ジェイデッカー・ファイヤージェイデッカーの武装マックスキャノンにもなれる。




【主な悪人・犯罪者】

前作マイトガインの巨悪はキャラの濃い人物が多かったのに対し、本作で大掛かりな事件に出てくる人物は全体的にシリアスな悪役が多い。
しかしながら、ややこしいバックグラウンドを抱えている者もまた多く、その結果人格が歪んで犯罪者と化している。
道を踏み外した理由は逆恨みや自己の欲求を満たすためだけの探究心など同情できないものが殆どだが、その分だけ前作よりもリアリティのある悪役として描かれている。

●新庄健
CV:曽我部和恭
かつて警視庁に所属していたAI技術者であり、副総監の東とは大学の後輩であり親友。
元々病弱で完璧な肉体を欲したのか、超AIに『感情』を入れることを嫌い警視庁を去った後、エクセレント社に寝返り『制御された』悪の超AIを模索。
カゲロウの超AIを盗み出して記憶を消去、『カゲロウ・シンジョウ』に書き換えて潜水空母アビスに転用する。
だが、知らぬ間に自身の弱い心までコピーされたことに愕然、シャドウ丸によって逮捕されて海上刑務所へ収監される。
その後、ビクティムに完全な悪の心をプログラミングするように脅迫されるが拒否。完全な善の心を求めるレジーナの問いにも不可能と切って捨てている。
「お嬢ちゃん。じゃあ人間も『悪の心』を取り除いて『善の心』だけにできるかね?」はカゲロウ事件での自身の末路を考えると納得の台詞と言える。


●ビクティム・オーランド
CV:子安武人
最強の機械を追い求めるエクセレント社のAI技術者。
完全な悪の心を持ったロボでブレイブポリスの打倒を目論見、軍事用ロボ「チーフテンシリーズ」を率いてブレイブポリスを襲撃し、デッカードを撃破してみせた。
その後、警視庁が捕獲した隕石生命体ガイゾナイトを強奪したり、チーフテンの改良型のハイパーチーフテンで街を襲ったりするが、奇跡の合体を果たしたファイヤージェイデッカーに敗北して逮捕された。
後に脱獄するが、このときに自身ですら知らなかった秘密を知ることとなり……。


●ガイゾナイト
宇宙から飛来した隕石生命体。強力な怪電波で機械を意のままに操り、操った機械の姿形すらも自由自在に作り変えてしまう。
この怪電波に対抗できるのは心を持った超AIだったため、デッカード以降に開発されたブレイブポリスにも心を持った超AIを採用することとなった。
ブレイブポリスの活躍で警視庁に保管されるが、警視庁に侵入したビクティムの手引きで強奪される。
チーフテンによって大破させジェイデッカーに取り憑いてサタンジェイデッカーへ変貌させた後、ビクティムの手によって魔剣・シンキングソード『断』(CV:子安武人)へ作り変えられる。


●チーフテンⅠ&チーフテンⅡ
CV:松尾銀三
新庄によって超AIのデータを入手したエクセレント社によって開発され、ビクティムが従える悪の心を持った軍用ロボ。だが、互いに相棒を思いやる程度には情がある。
赤いほうが攻撃型のチーフテンⅠ、青いほうが防御型のチーフテンⅡ。連携攻撃を得意とし、チーフテンⅡが防御して吸収したエネルギーをチーフテンⅠに送り込み攻撃を仕掛ける。
ビクティムと共にブレイブポリスを襲撃し、ジェイデッカーを破壊したが、その直後に現れたデュークファイヤーによってチーフテンⅡが撃破されたことで形勢逆転されてチーフテンⅠは逃走。
後にチーフテンⅠはシンキングソード断を武器に、サタンジェイデッカーとコンビを組んで再びブレイブポリスを襲撃する。
しかしサタンジェイデッカーがここぞの場面で裏切って活動を停止したこともあり、ブレイブポリスに敗北を喫する。
最期は超AIを回収しようとするシンキングソード断に首を刎ねられ、機能停止に追い込まれた。


●ハイパーチーフテンⅠ&ハイパーチーフテンⅡ
チーフテンⅠ&チーフテンⅡの超AIから相棒への情を消去した形で製作された新たな機体。
2機による合体でアーマードチーフテンとなるが、その方法が双方が対決して勝者が敗者の外装を纏うという、超AIを持つロボ同士の合体を否定するかのような方法であった。
なお、偶然にもこのときのファイヤージェイデッカーの合体も、合体によってどちらかの超AIが消滅する状況にあり、デッカードとデュークにとっては他人事ではなかった。
最終的には2人の超AIを消滅させることなく合体を完璧に成功させたファイヤージェイデッカーに敗北することとなった。


●サタンジェイデッカー
チーフテンに破壊されて輸送中だったデッカードとジェイローダーにガイゾナイトが取り憑いて変貌した姿。
デッカードの意志はなく、ガイゾナイトやシンキングソード断の思うがままに操られ、ブレイブポリスに襲い掛かった。
そのおぞましいほどに禍々しく変貌した悪魔のような姿は当時視聴者だった子供の心にトラウマを植えつけた。
最後はデッカードの意思が微かに蘇ったことでシンキングソード断の命令無視を引き起こして機能を停止し、シンキングソード断が敗走したことで支配を逃れ元の姿に戻った。


●バラック星人
CV:二又一成
事故で行方不明になった宇宙開発機構のパイロット・ギャモン少尉に変装して地球に潜入していた宇宙の犯罪者。
シャドウ丸以外が宇宙へ飛び立っている間にロボット怪獣のバラクロンを使って、シャドウ丸を撃破した。
…かのように思えたが…


●エヴァ・フォルツォイク
CV:伊藤美紀
20年前、人間の脳を電子工学的に再現したことで超AIの原型となった第5世代コンピューター・「フォルツォイクロン」の開発者。
フォルツォイクロンはロボット工学を発展に貢献するが、『心』を持ったより高度なコンピューターの開発に行き詰まった彼女は非合法な人体実験にも手を染めてしまう。
その結果、エトニア共和国警察によって逮捕され、永久冷凍睡眠の刑に処されるが息子のノイバーによって復活。
大型要塞ビッグ・マザーから「ハーメルンシステム」を使い、超AIに内蔵されたシークレットサーキットを起動させる。
その力で世界を支配し、ロボット時代の『母』として君臨せんと目論んだ。
ちなみに20年間コールドスリープされていたからか外見的には若々しい。足まで届きそうなやたら長い髪におっぱいの露出が多い扇情的な衣装と「悪の女首領」感丸出しルックスで台無しだが


●ノイバー・フォルツォイク
CV:飛田展男
そんなエヴァの息子で、ビクティムの友人。
母親を閉じ込めた世界への復讐と、勇太によって偶発的に生まれた超AIを打倒するためトニー・クルセイダーの偽名を使いエクセレント社へ潜り込み、チーフテンシリーズの開発に携わる。
病的なまでのマザコンで、母を解放した後彼女と共にマッドマザーを用い、自分たちを認めない世界全てに復讐しようと企む。
肉体的に同年代に見える母とは物理的にも距離が近すぎ、その関係性は非常に背徳的に見える。
エヴァによく似ており容姿端麗だが、極端な切れ長の目が悪役らしさ全開である。
異次元の悪役をイメージしたのか、フォルツォイク母子は他のキャラと極端に乖離したキャラデザになっている。
お陰でスパロボ30に登場した時は(同じキャラデザの)魔法騎士レイアースのキャラと勘違いするプレイヤーも多かった。


●ブラックチーフテン
CV:松尾銀三
チーフテンシリーズの量産型で、個々の性能は試作型よりも劣るが集団戦闘において高い性能を発揮する。
フォルツォイク母子の指揮の下、世界各地に飛び回り、無差別的に破壊活動を繰り返していった。
精神的には悪党側だが、ブレイブポリスのロボたちとは別方向ながらも人間臭く、仲間とは冗談を飛ばしたりもする。
特に破壊活動中に発したセリフからブラックなギャグのセンスも高い模様。
「五月になったら俺たちで赤の広場をパレードしようぜ!」
「(ベルリンの)壁が壊れて嬉しいんなら街の壁全部壊してやらあ!」
「パリは燃えているかって? おうよ、今燃やしてるところだぜ!」



【主題歌】

OP: HEART TO HEART
刑事ドラマよろしく、ブレイブポリスのメンバーを紹介する演出が特徴。増員の度にアニメーションが少しずつ変更された。
1.勇太、デッカード、マクレーン、パワージョー、ダンプソン、冴島総監を紹介
2.既存のメンバーのシーンを少しずつ詰めて、ダンプソンと冴島総監の間にシャドウ丸を追加
3.冴島総監が入っていたところにドリルボーイを追加、ビルドチームが並んで出て来るシーンにドリルボーイ追加、最後のビルドタイガーをスーパービルドタイガーに差し替え
4.デッカードの肩に勇太が乗るシーンをガンマックスに差し替え
5.ビルドチーム4人が並ぶシーンをデュークの紹介に差し替え
6.サビの合体バンクをファイヤージェイデッカーに差し替え

ED: 笑顔は君の忘れ物
オープニングほどではないが、メンバー増員の度にアニメーションが差し替えられ、同時にうるにゃんも成長して行った

合体

本作の特徴。
勇者シリーズも5作目ということもあり、視聴者もだいたいどういった合体パターンになるか予想がつくようになった。
そこで、本作は単純なイベント事になりがちな合体、変形にドラマ性を与えた。
阻止されてもいないのに合体が上手く行かないパターンが非常に多い。
また、尺の都合で合体バンクを端折られることが非常に多く、フルバージョンで流れたことがそれぞれ初回か2回目くらいしかない。
デッカードとビルドチームへの合体命令が同時に出るような場面ではほぼ間違いなく片方が省略されている。
更にビルドタイガーの合体バンクに至っては途中で一部場面が変更されて尺を短縮されている。
初期は腕と脚の接続場面を個別に描き、結合後に手先と頭部を展開していたが、
途中からマクレーンが変形する時点で頭部を展開し、全体が映る場面で手と脚がいっぺんに結合、その後両手を展開する形になった。
スーパービルドタイガーになってからは結合する場面さえも省くことが多かった。
ファイヤージェイデッカーマックスキャノンモードのバンクに至っては使い回しで、ジェイデッカーのバンクを描き直して使っている。


  • ジェイデッカーはデッカードのAIが感情を持つと言う想定外の変化が原因で合体プログラムが上手く動作せず、合体シミュレーションは全て失敗→実戦でのぶっつけ本番で一発成功
  • パンダ回では巨大化パンダがジェイデッカーへ合体するデッカードを掴み、合体失敗。まさかのギャグ回で合体阻止。
  • ビルドタイガー、合体に二回失敗→三回目はそれぞれ大切な人を想いながら合体したら成功。通称・煩悩合体。
  • Sビルドタイガーはドリルボーイが調子に乗り、一回失敗。
  • ガンマックスは武器にされることを拒み、最初はマックスキャノンへの合体を拒んでいた。
  • シャドウ丸が自ら生み出したタンク形態、設計にさえなかった大筒変化と巨大化。
  • デッカード殉職後の改造チーフテンIとの戦いではシンキングソード断によりデュークファイヤーとSビルドタイガーへの合体が妨害される→マトモな対抗策を取れないため、妨害を気合いで突破する
  • 上記したFジェイデッカーの合体成功確率。合体直前のジェイデッカーとデュークファイヤーのやり取りは感動的。

など、合体はデリケートな作業でなかなか上手く行かないものなのだ

因みに次回作『黄金勇者ゴルドラン』では、逆に合体がギャグとして使われる

一応合体シーン自体が全部手抜きかというとそうでもなく、なにかと演出が凝っている回もある。
  • 勇太の合体命令バンクは夏服バージョンと冬服バージョンが存在。
  • フェアリー型ロボットの回ではビルドタイガーにドリルボーイが追加合体。警察手帳を掲げる勇太のシーンは固定アングルの新規作画で、勇太の「ブレイブアップ」の後にスーパービルドタイガーが名乗りながら合体した。ちなみに勇者シリーズ最後の追加合体となる。
  • 伝説の女装回では勇太が女装姿のまま合体命令を行なったため、バンクの勇太が出る部分が完全新規作画のものに差し替え。
  • 鯨回では合体バンクが省略されたが、警察手帳を掲げる勇太の手のシーンのみバンクが修正され、手袋をはめた手になっている。
  • 宇宙へ向けて出撃するシーンでは勇太の「ブレイブアップ」の後に一斉合体を披露。尺の都合上フルバンクではなかったが、デュークファイヤーへの合体バンクがしばらくぶりに登場した。このときのBGMは古澤徹氏と森川智之氏が歌うキャラソン「ブレイブアップ!! ファイヤージェイデッカー」。



伝説の女装

主人公の勇太が女装した回。女子校に潜入捜査するために冴島さんが提案した。潜入捜査なら仕方ない。
この回のおかげで女装ショタにも目覚めた人も多いとか。
なお、このときは女装したまま合体命令を出しており、バンクで勇太が警察手帳を掲げる部分はこの回のためだけに新造された。
他のバンクはやたらと端折ることが多いのに…。


また女装はしていないが、後に発売された「勇者ヒロインコレクション」にてシークレットとして勇太が選ばれている。まさに男の娘である。
なお、『スーパーロボット大戦30』でも当然の様に再現されているが有料DLCである。汚いなさすがバンナムきたない


「デッカード、追記修正よ!うふ」
「うっ!……ふぅ…了解、ボス!!」

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最終更新:2023年09月05日 17:17

*1 まあ本編でも登場人物の死亡自体はあるが

*2 せいぜいビルドタイガー合体成功時に腰を抜かしたくらいか。

*3 ロボットアニメの機体としては小型で、他作品でこれらと同じ大きさの人型メカというと、『コードギアス』のランスロット・アルビオンや紅蓮聖天八極式あたりである。ただし、車両から変形していると考えるとロボット形態になる際に巨大化している

*4 小型ロボの馬力は4ケタ台、大型ロボでも20,000~40,000馬力くらい。

*5 他の勇者は宇宙からやってきたものや、太古より眠っていた神秘の存在という設定のものが多い。同じく現代の技術のみを使って造られたのはマイトガインくらい。

*6 警察車両ゆえに電飾ギミックを搭載されているが、そのために内部が圧迫されていることもこれに拍車をかけている

*7 合体時にデュークの機体が左右が分割し、それぞれがデュークファイヤーの腕になる。