吉良吉廣(ジョジョの奇妙な冒険)

登録日:2012/09/09(日) 12:26:24
更新日:2023/07/19 Wed 13:15:08
所要時間:約 7 分で読めます






人間は誰でもこの世に思いどおりにならない事がある事を幼い時に学習する…
ほしいオモチャを買ってもらえなかったりほめてほしい時に誰も頭をなでてくれないといったようにな…






吉良吉廣(きら よしひろ)は『ジョジョの奇妙な冒険 Part4 ダイヤモンドは砕けない』の登場人物。
CV:千葉繁(TVアニメ)/島田敏(ジョジョの奇妙な冒険ASB&ジョジョの奇妙な冒険EOH)

【概要】

M県S市杜王町に潜伏する凶悪殺人鬼吉良吉影の実父。両サイドを残して禿げ上がった頭が特徴の老人。
劇中ではもっぱら後述のスタンド能力に因んで『写真のおやじ』の呼称が用いられており、
本名で呼ばれることは殆ど無い。

歳をとってから授かった息子である吉影を周囲の人間から『とても仲の良い親子』と証言されるくらい溺愛していたが、
実は生前から我が子の人を殺さずにはいられないサガについて知っており、『息子を守る』という意思の元、
吉影の犯す殺人を黙認するどころか積極的に幇助していた。

1987年、吉影が21歳の時にガンで亡くなるが、その執念故に死後も幽霊と化し、吉影を守り続けている。
スタンド使いは幽霊を認識できるので、吉影は既に父が自分の守護霊となったことを知っており、情報収集や今後のプランの検討等で密な連携を取り合っている。
『振り向いてはいけない小道』についても知っていたらしい。
地縛霊の杉本鈴美と違い、写真に宿り宙を舞うようにしてどこにでも移動が可能。
また、幽霊故にある程度勝手が利くのか、パジャマを糸状に解いて狭い隙間を移動したりもできる。それを利用して仗助達からの逃亡に成功した。

生前*1魔女エンヤ婆と知り合い、彼女から『弓と矢』を一組貰い受けており、吉良親子のスタンドはその矢に貫かれて発現したものである。
また、矢の持つ性質=『スタンドの素質を持った者を矢が自ら選ぶ』についてもエンヤ婆からレクチャーを受けており、後に味方のスタンド使いを増やす際にも強引に目星をつけた者を矢で射て回っていた形兆よりスムーズに事を運んでいる。

息子の吉影に対する愛や執念は凄まじい反面、他者に対しては排他的で偏屈な性格をしており口も悪い。
登場初期は割りと幽霊らしい暗く不気味なイメージをかもし出していたが、吉良が川尻家に潜伏し始めてからは4部恒例のデフォルメ化が進み、鼻水を垂らしたりノリノリで矢を放ったりとコミカルな様子も見せるようになった。
特にジャンケン小僧こと大柳賢を露伴にけしかけた時等、最初は大いに期待しておきながら、
失敗すれば『最初からボンクラだと思っていた』等と見え見えの負け惜しみを吐いており、チープな小悪党そのものである。


【劇中での動向】


逆だッ!マヌケッ!
そのわしの顔はおまえらをこの屋敷から絶対に「帰さない」という決意だッ!
「息子」を追う者は死んでもらう!

顔を変えて逃走した吉良吉影の手がかりを追って実家の家捜しにやってきた仗助達を始末しようとするが、無敵の承太郎さんの機転(後述)の前に完敗。
出口の無い写真の中に閉じ込められそのまま孤独にリタイアするかと思われたが、老獪な口八丁でいらんことしいのアホを騙して脱出、『矢』を奪回し逃走に成功する。

その後川尻家に潜伏した吉影と合流、逃げ回るだけでなく積極的に追跡者である仗助達を排除することを決意。
『矢』を使い協力者となるスタンド使いを次々に増やし刺客として送り込んできた。
しかし刺客はことごとく撃破され、さらにその戦いを経て仗助たちの戦闘経験を高めてしまうという結果となってしまった。

最終決戦においてはどこにでも簡単に紛れ込める写真の性質を利用して川尻早人の上着のポケット内に伏兵として潜入。
事前に用意していた携帯電話でひそかに仗助の位置を吉影にナビゲートし、本来自動追尾機能を持たない空気弾を見えない位置にいる相手に確実に着弾させるという凶悪なコンビネーションを見せた。
しかし、そのトリックを見抜いた仗助によって炙り出され、携帯電話を奪われてしまう。
最期は仗助が自分を演じて行った嘘のナビゲートで誘導された空気弾によって跡形も無く消し飛ばされ爆死(強制成仏)した。
守っていた最愛の息子に殺されるという、自業自得かつ皮肉な最期であった。(しかもその爆発が原因で別の所にいた承太郎達にも異変に気付かれてしまうというオマケ付きである。)
なお、持っていた『矢』は爆破と同時に消失した。


スタンド

スタンド名:『アトム・ハート・ファーザー』
破壊力-E
スピード-E
射程距離-なし
持続力-A
精密動作性-E
成長性-E

特定のビジョンを持たないスタンド。

◆能力

『本体が写った写真の空間を支配する』能力。
能力の行使には本体が幽霊である必要がある。

発現すると現実世界とスタンド影響下の領域とを隔離する次元の分断線(写真のフレームに相当)が発生し、
写真に写った対象をフレーム内の空間に閉じ込める。
写真を撮影→現像せねば発現しない為、通常なら即効性に欠けた能力だが、この問題は撮った写真が即座に出てくるポラロイドカメラを用いることで解消可能。

この写真空間は見た目こそ発現前と比べて何の変化もないが、
内側から物理的な攻撃でフレームを破壊・突破することは不可能であり、外側から入ろうとしても
ワープのように空間の向こう側に跳び越してしまい一切の干渉ができない。
また、オリジナルの写真に対する攻撃は攻撃者に跳ね返される(例:写真を破くと写ってる部分と同じ所が裂ける)。

写真自体に写った物体を本体が動かすことも可能で、本体の起こしたリアクションは
数秒のタイムラグを経て現実の写真空間内でも再現される。
例:吉廣が写真の中で引き出しから包丁を取り出し、写っている仗助・承太郎の首を切り落とす
  ↓(数秒後)
  現実の空間でも引き出しが独りでに開いて中から包丁が仗助の首めがけて飛んでくる。

この現象は因果が反転されているのか、一度写真内で起こった事象は絶対に回避できない必殺必中の攻撃となる。
室内などの狭い空間ならこの上もなく恐ろしい能力である。

弱点はあくまで本体が写った空間を支配する能力である為、支配できる空間は本体の写った1枚分に限定されること。
写真に写った本体を被写体にしてもう1回撮影することで、強制的に本体しか写っていない=支配できる空間が殆ど無い写真に隔離されてしまうし、そうなると以前いた写真の空間支配も解除されてしまう。
さらに写真を2つに折り畳んで面と面を密着させることで出入り口となる境界面も消失するので、
ぶっちゃけ折ってテープで外からぐるぐる巻きにするだけで完封可能だったりする。
この方法で攻略すると、本体は狭く暗く幽霊なので死ぬこともできない空間に永遠に閉じ込められる無間地獄を味わうことになる

劇中では承太郎にカメラを壊されてしまって以降新たにカメラを手配できなかった為、初戦以外では本格的に使われず、写真に取り付いて動き回るくらいにしか利用されていない。

なお、生前は『写真の中に入る』能力だったとの事。恐らく単純に写真の中に自在に入り込めるといったシンプルな能力だったのかもしれない。
(その能力が消失したわけではないようで、吉廣自身は写真の中と外を自在に行き来可能)
本体死亡時に能力が変化したか、『ノトーリアス・B・I・G』のように、死ぬことで始めて発現するタイプであった可能性がある。

元ネタはイギリスのプログレ・バンド、ピンク・フロイドのアルバム「Atom Heart Mother」(邦題「原子心母」)。
吉廣は父親なので『ファーザー』という洒落である。


【余談】

☆没になった設定で、吉良は幼少時から母親に虐待されており
(といっても過保護・過干渉といった類のものらしいが)、
父・吉廣が息子の殺人を幇助するのは、それを見て見ぬふりをしてきたことで息子を助けられなかった罪悪感からくる歪んだ贖罪であるというものがあった。
繰り返すがあくまで(裏設定に近い)没設定であり、実際の物語には反映されていない。
理由は、悪役に同情されるような悲劇設定を付加することを荒木先生が是としなかった為。

☆想像の域は今は出ないが、彼は実はDIOの手下の残党の一人で、DIOの手先となりうるスタンド使いを探す任務を持っていたのではないかという説もある。
  • 吉影の祖父(つまり吉廣の父)の代で落ちぶれてしまった吉良家を息子が金に困らない程度にまで立て直したこと
  • 彼が『弓と矢』を譲り受けた時期はDIOが復活して水面下で活動していた時期
  • 小説「OVER HEAVEN」にて虹村父が空条家を監視していた時期と完全に一致する*2
…などから、『弓と矢』を譲られた条件として、エンヤ婆の依頼で多額の報酬と引き換えに、世界中を旅してスタンド使いの適合者を探していた…という可能性は十分に有り得る。
この時、自身には末期ガンで余命がない事は知っていた筈なので、息子の為に少しでも金を残そうとした…と言ったところだろうか。
結局第3部の直前(1987年)に死去し、その時に承太郎達と相見える事はなかったが、ひょっとしたら、承太郎達が戦ったスタンド使いの何人かや、虹村父のスタンド能力を引き出したのも、吉廣の『弓と矢』であったのかもしれない…。
なお、荒木氏が後のインタビューにて、「吉廣もまた、虹村兄弟の父親と同じようにDIOが才能を認めた一人であった」という発言をしており、この説の信憑性が増してきている。
この事から、DIOと1度は会った事があるのかもしれない。*3

ジョセフとは『老いた父』・『写真に関する能力を持つ』という点で共通点がある反面、
それぞれの息子が『主人公』と『宿敵』であることや、
『遠く離れていたが絆を築けた』・『近くにいたのに息子の歪みを放置していた』という関わり方など対照的な存在でもある。
計算されての配置かは不明だが、中々に感慨深い。

☆アニメでCVを担当した千葉繁氏は、ファンの間では高木渉氏と並んで億泰の声優候補として名前がよく上がっていたが、吉廣役として共演が実現した。
アドリブ帝王として名高い彼だが、今作ではアドリブは一切無しで冷徹かつコミカルな吉廣を見事に演じてみせていた。

☆有名なネタ台詞「無敵の『スタープラチナ』でなんとかしてくださいよぉーッ!」は仗助が写真のおやじとの戦いでテンパって発したもの。
因みにこの時既に承太郎さんは前述の攻略法を閃いていたが、態々諦めたフリをしたせいで、マジギレした仗助との信頼関係に一瞬ヒビが入りかけた。
相変わらず隠れドSというかイヤな方向にお茶目というか意地悪すぎである。
まあ勝利後は仗助に決め台詞を譲っているけど仗助は全然子供みたいな台詞で台無しにしたが。
なお攻略法を見ての通り、この戦いにおいて承太郎はそのスタープラチナを使うまでもなく勝利している。



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最終更新:2023年07月19日 13:15

*1 恐らくは1986年に家族で行ったエジプト旅行の際。

*2 ただし、本書自体は外伝的位置付けであることには注意。

*3 末期ガンで余命がない事などから、その必要も無いとして『肉の芽』は植え付けられなかったようだが。もしくは、DIOは吉廣の息子が殺人を犯してる事に気付いており、彼の中の闇がどんな結果をもたらすのかという好奇心があったのではないか、とも言われている。