銀の匙 Silver Spoon

登録日 :2012/03/08(木) 22:15:28
更新日 : 2017/03/20 Mon 19:16:11
所要時間 :約 5 分で読めます





荒川弘作の少年漫画。
少年サンデー2011年19号から連載されている。
単行本は現在13巻まで発売されている。
2013年、ノイタミナ枠にてアニメされ、翌年には中島建人主演で実写映画化された。
2014年には二期も放送。

取材や妊娠、育児や他誌で2作品との並行連載や週刊誌の刊行ペースの速さ等もあり、休載無しを貫いたハガレンとは違い、休載はやや多め。

2014年の36,37合併号からは家族の療養サポートをするために不定期連載化。
それ以降は2015年の春と2016年冬に3話、2016年夏に4話のみ掲載されたくらいで、(事情が全く違うとはいえ)ジャンプの某不定期連載漫画とほぼ同じ状態になっている。


キャッチコピーは「汗と涙と土にまみれた青春物語」。

代表作鋼の錬金術師終了後間もなくの週刊誌連載ということで、どんな漫画を描くのかと思ったら、バトルものとは程遠い、農業高校を舞台にした学園モノ。

しかし、百姓貴族という作品も連載していたので、ファンにとってはある意味予想内の展開だったかもしれない。


ストーリー

北海道の十勝地方に所在する大蝦夷農業高等学校(通称、エゾノー)は、農業に従事することを目指す農家の子供が多く通う学校であった。
進学校として名高い中学出身でありながら、低偏差値校であるエゾノーにわけあって入学した八軒勇吾は、他のエゾノー生徒たちの多くが明確に将来の夢を持つ中、一人だけ何も夢を持っていないことに焦りを感じ始める。
高校としては日本一の広大な敷地面積を持ち、動物と自然に囲まれ、1年生の間は全寮制という慣習を持つエゾノーで、八軒の青春の日々が始まる。

ちなみに、作品に出てくる大蝦夷農業高校は十勝地方の帯広農業高校がモデルになっている。


登場人物

○八軒勇吾
(CV:木村良平)
本作品の主人公。眼鏡をかけ、学生服にパーカーが基本的スタイルの少年。通称『ハチ』。
新札幌中出身。実家は非農家家庭で、エゾノーでは珍しい一般入学者。部活は馬術部。実習班はA班。
兄・慎吾が東大に入り、自らも有名進学校に通っていたが、激しい学力競争に敗れ自信を喪失。これがきっかけで家族と距離を置くようになり、「家に帰らなくて済むから」という理由で全寮制のエゾノーに入学。
『断らない男』と呼ばれるほどのお人好しで頼まれれば断らず、所謂『余計な面倒を背負う』タイプで、無理をしすぎて倒れたこともあるが、その分友人からの信頼は厚い(労働力としても)。
親が食事に気を遣っていたため、味覚は確か。ただしリアクションがオーバーなところも。
男女共にかなりモテる(労働力的な意味で)。
リア充(仮)。だが、周り(特に先輩の大川)から度々制裁を加えられている。
入学当初は、酪農の世界の理不尽さと経済動物の命の選択にショックを受けたものの、ゴールデンウィーク明けのピザ作りや夏休みの御影家のバイトを通して徐々に成長している。しかし、馬術部での障害物を飛び越えることが一人できず、中学時代の悪癖が出てしまったことも。

○御影アキ
(CV:三宅麻理恵)
本作品のヒロイン。
ショートカットが特徴の明朗で社交的な少女。
清水第一中出身。実家の酪農業を継ぐためにエゾノーに推薦入学したが、実家を継ぐことに関して悩みがある様子。部活は馬術部。
仲良くなってからは八軒に女の影がちらつくと、無表情になってものを落とす等の反応をするが、自覚があるかは微妙なラインだった。
しかし八軒の努力と本人の意識の変化もあって八軒を意識することが多くなり、うっかり『好き』といいかけて黙るなど、異性として気にし始めている。
本番には弱いとはいえ、馬術の技能は高く、実家の手伝いをしていたこともあってか体力はあるが、成績は悪い。試験結果を見た八軒が「常磐よりぜんっぜんいいよっ!」としかフォローできないレベルだが……
また、中学時代までは方言を使っていたが、八軒のような人がいることを考えてエゾノー入学を機に標準語で喋っているが、気が緩んだり感情が高ぶると素に戻ってしまう。
やはり荒川氏の描く女性キャラ故か、高1にしてはスタイルがかなりいい。

○駒場一郎
(CV:櫻井トオル)
短髪に鋭い目つき、大柄な体格の少年。
清水第一中出身。父親を早くに亡くし、他になり手のいない実家の酪農業を継ぐために推薦入学。
部活は野球部で、甲子園出場からプロ野球選手を目指している。実習班は八軒と同じA班。
このような過去があってか、斜に構えた考えだが一本気な性格。
授業中は基本寝ているがその分部活動に専念しており、一年でありながら秋の選抜高校野球大会の投手に抜擢される程。

○常盤恵次
(CV:庄司将之)
長めの髪を一つ結びにしているが、夏休み明けに調子に乗りすぎた結果丸刈りにされ、以降は丸刈りに定着化している。
中札内南中出身。鶏農家の長男で、家業を継ぐために推薦入学した。実習班はA班。
教わったことを3歩歩いただけで忘れる鳥頭。愛すべき(?)バカ。
バカだが行動力はあり、ちょっとした機転やアイデアは出る。しかしやっぱり基本はバカ。
作者のお気に入りで、作中屈指のネタキャラ。

○相川進之介
(CV:島﨑信長)
目が細く穏やかな印象。
幕別東中出身。幼少期から獣医師を目指しており、少しでも早く医学研究に携わるために、研究設備の整っているエゾノーに入学した。部活は、授業外でも家畜を見たいためホルスタイン部に入部。クラスの実習班はA班。
誰に対しても物腰柔らかに接し、敬語を使うまでではないが、クラスメイトを呼ぶときには必ず『君』『さん』を付ける。(※ただし常磐は除く)
血を見るのが苦手であり、家畜の手術や屠殺の現場で失神するという、医師として致命的な欠点を抱えており、獣医に向いていないのではないかと悩んでいる。
幼少期に血を克服しようとスプラッタ映画を見続けた結果、作り物の血は克服した。

○稲田多摩子
(CV:高垣彩陽)
タマゴのような体型をしている。
帯広川西中央中出身。実家は共同経営型牧場であり、農業経営を学び、世界と渡り合える農業を築くことを目指している。実習班はA班。
体型により男子から異性と見られていないが、顔のパーツ自体は美形なので「トリミングしたら美人」と言われている。
実際夏バテで激ヤセした時にはまるで別人のようになってしまった。その変わりぶりは八軒曰く『詐欺』。
しっかりしすぎている故に、両親は「後継ぎという言葉に洗脳されて本当にやりたいことに気づかないんじゃないか」と心配していた。
しかし当の本人はお金が大好きで、合理的に高い収益を出すことに充実を感じている。つまり自分がやりたいことを現在進行形でやっている。
それどころか「私が入社したら父さんはお払い箱よ!」と下剋上宣言をした。

○吉野まゆみ
(CV:井澤詩織)
そばかすとツインテールが特徴。
下浦幌中出身。酪農家である実家の牛乳を使ったチーズ工房を立ち上げることが夢。
ズバズバものを言うタイプであり、そのツッコミは斬れ味鋭い。
作中で、八軒と不純異性交遊を噂された。

○西川一
(CV:高梨謙吾)
八軒のルームメイトで農業科学科1年。トラクターなど農業機具が運転できる。
立地の面積をマクロスで例える、バッグにアニメキャラのキーホルダーなどとオタクっぽいと言われていたがガチでオタクだった。
しかも寮の共用パソコンで堂々とエロゲやギャルゲをする、某イベントにも参加するなどの筋金入りのオタク。

○別府太郎
(CV:こぶしのぶゆき)
八軒のルームメイトで食品加工科1年。
丸顔でかなり太めの体格で大食い。
おいしいものを作りたいという理由で食品加工科に入った。
普段は(-〇-)な顔だが、真面目な話をする時は何故か劇画風になる。

○八軒慎吾
(CV:小西克幸)
勇吾の兄。かなり軽い性格で勇吾とは真逆な性格。
東大を中退しラーメン修業の旅をしている。
味覚は素晴らしいが、料理の腕は壊滅的。
父親を嫌っているらしく、顔を合わせようとしない。東大をやめたのも父親への嫌がらせだとか。

○稲田先輩
(CV:小野友樹)
食品科学科の3年で、タマコの兄。体型は普通。名前は不明。
逃げたニワトリを捕まえてくれた八軒達に、礼としてスモークチキンを食べさせる。その時、チキンが無添加食品という事を見抜いた八軒を気に入っている。

○大川進英
(CV:水島大宙)
農業土木工学科3年生で、中盤までの馬術部の部長。
手先が非常に器用だが、器用貧乏で将来に対する明確な夢が無く、特技も履歴書に書けない代物ばかりなため、就職に苦戦している。
初登場時はモブキャラだったが、次第に出番がどんどん増え、12巻あたりからは八軒や御影と並ぶほどの完全なメインキャラクターになる。
代わりに出番の増加と同時にネタキャラ化も進行し、登場するたびに大小様々なトラブルを巻き起こしてくる。


この漫画の魅力と言えば、なんと言ってもリアルな描写である。
前述の学校、帯広農業高校は作者の母校であり、実際の授業内容がしっかりと書かれている為。
普通の授業から本当にやるの?と言った実習まで、農業に詳しくなくても十分に楽しめる内容となっている。

(身内ネタになるが、教師の名前等も作者が通っていた頃につとめていた実在の人物からとっている等、知っている人ならニヤリと出来る部分も多い。)

しかし、アニメ化でファンが増えた結果か、実際の農業高校に押しかけるマナーの悪いファンが出てきたため、アニメのEDの最後に「興味本位で行かないように」という内容のテロップが出るようになった。

ちなみにエゾノーの校訓は「勤労・協同・ 理不尽


この度 本屋大賞を受賞しました。



追記、修正は農業高校に入学してからお願いします。

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