Gay bomb

登録日 :2011/06/18(土) 18:36:11
更新日 : 2017/01/28 Sat 21:54:28
所要時間 :約 3 分で読めます




──戦況は芳しくなかった。

弾薬も食料も尽きた。
極限状態で神経を擦り減らし、皆の表情は既に憔悴しきっている。

そんな中、この屈強な青年が平常心を保っていられたのは、隣を歩く少年のおかげかもしれない。
およそ戦いなど似つかわしくないこの少年の存在は、彼の心に余裕と落ち着きを与えていた。

「軍曹……僕、この戦いが終わったら結婚するんです。」

隊列を組み進む中、その少年はそう唐突に話し掛けてきたのだ。もしかしたら、少年も既に誰かと話していなければならないほど追い詰められているのかもしれない。

「そうか。それじゃ、とことん喜ばせてやらないとな──」

戦地で交わされる会話。
しかしその時を待っていたかのように、飛んできた黒い鉄の影が空から次々に“何か”を投下した。

「ッ!」

男の本能が、危険信号を響かせる。この投下されてくる物体はまずい。まずいまずいまずい──

「道下、伏 せ な い k」

次の瞬間、青年が言い終わるより一瞬早く、霧のようなものがその物体から辺り一面に撒き散らされた。










Gay bomb

邦訳ゲイ爆弾、ホモ爆弾。
米軍が大真面目に開発に取り組んでいた史上最強最悪の非殺傷化学兵器である。


このだらしねぇ兵器が考案されたのは1994年、米国のライト・パターソン空軍基地内にある空軍研究所。

そこで三ページに渡る 「非殺傷兵器の多角的な可能性」 という文書が作成されたのだが、そこにこの ゲイ爆弾 に関する記述がある。


それによると、ゲイ爆弾の効能は敵軍に強烈な 催淫剤 を含んだ爆弾を投下し、 敵軍兵士をガチホモ化させる事で敵軍内部をアッー!という間に混乱させ士気の低下を謀る というもの。

当空軍研究所は研究費として、国に750万ドルを要求した。どういうことなの……


結局、この「同性愛を誘引する化学物質」は発見されず、1994年から続いた研究も六年で棄却せざるを得なくなってしまった。仕方ないね

しかし、則ち米空軍は 六年間もゲイ爆弾の開発研究を行っていた という事である。空軍ェ……




なお、当研究所は2007年10月にこの研究のおかげでイグノーベル平和賞を受賞した。



追記・修正よろしkアッー!
































──彼の周りは天国だった。
屈強な男達は服を脱ぎ、鍛えられた肉体に迸る熱いパトスを抑え切れなくなっている。既に行為に及んでいる者も少なくない。

しかし──ノンケでも構わず食ってきた彼は、これに一切の興奮を覚えない。むしろ怒りが込み上げる。

「ぐ……軍曹……僕……もう……アッ────!!」

「道下!おい道下!……くっ」

彼の怒りの矛先は、同性愛に目覚めれば士気を失うと考えたであろう浅はかな敵の思考。そして、少年の意思を捩曲げ彼から国に待つ幸せを奪い去った事。

銃を捨てる。
ナイフも不用。
もはや手榴弾もいらぬ。
男には最強の名刀があるのだ、わざわざ劣る武器を使う必要はないではないか。

鞘から抜いた武器を振りかざし、青年は生まれて初めて感情をぶつけ高らかに叫んでいた。


「なめたことしてくれるじゃないの。それじゃ──とことん喜ばせてやるからな!」


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