東京BABYLON

登録日 :2011/09/23(金) 21:47:28
更新日 : 2016/08/17 Wed 20:33:58
所要時間 :約 8 分で読めます







「あなたは東京が嫌いですか?」


『東京BABYLON』とは、1990年から1993年にかけて連載されたCLAMPの漫画。
単行本は全7巻で、文庫版は全5巻。

今でこそ「陰陽師」を題材にした作品は数あるが、
連載当時としては珍しく、いわゆる先駆けとなった作品。

ただし、悪霊よりも人間の暗部に触れ社会を風刺する色合いが濃く、どちらかといえば社会派ドラマに該当する。


各章のテーマとして不倫やレイプ・イジメや自殺などの、
陰惨な事件が取り上げられており、CLAMPは毎回のように様々な団体から抗議文を受け取ったと述懐している。
加えて、 壮絶なバッドエンド が反響を呼び、
さらに後述の作品へ繋がったことで大きな話題を呼ぶことに(勿論、単独作品としても内容が高く評価されている)。
その衝撃的な結末から、ファンの中には 「初見は第1巻を読んだ後に最終巻を読むべき」 とする声も多い。

豪華声優陣でオリジナルストーリー(所々に原作が混ざっている)のOVA版は全2巻で発売され、実写版も制作された。


【あらすじ】
皇昴流は日本陰陽師を束ね、皇一門の若き当主。
彼は霊的事件の解決に乗り出す度、人間の悲しみや苦悩に直面し、
その純真無垢な繊細さ故に傷つきながらも、最愛の姉・北都と温厚な獣医師・桜塚星史郎に支えられ、不夜城都市を奔走する。
だが、3人の幸せな関係は『賭け』の上に成り立つ、あまりにも危ういものだった……。


【登場人物】

◆皇昴流(すめらぎ すばる)
CV.山口勝平(OVA)
/宮崎一成(劇場版X)
/杉田智和(TV版X)
/東根作寿英(実写版)

遠い昔から日本を霊的に守ってきた皇一門の13代目当主で、日本陰陽師の頂点に立つ存在。
実力は歴代当主でもトップクラスだが、本人は至って穏やかで純粋、絶対に誰かを傷つけられない心優しい性格。
あまりにも優しすぎて他人の痛みを自分の痛みのように感じてしまい、
相手の気が済むなら刺されようとする等自分を全く省みず、その無私無欲さを北都からいつも心配されている。
好意(?)を寄せてくる星史郎に戸惑いながら、徐々に彼に惹かれていく。
(初恋ではないかと感じた女性もおり、完全なホモという訳ではないと思われる)。

祖母の言いつけで常に革手袋をしているがそれが何故なのかは自身も知らない。
実家は京都に存在し、現在は東京で北都と二人暮らしをしながら在学中。

高校生と陰陽師の二足のわらじを履く多忙の日々で進級が危ぶまれているが、
将来の夢である「動物園の飼育係」を諦めていない。


◆皇北都(すめらぎ ほくと)
CV.伊藤美紀(OVA)
/雪野五月(TV版X)

昴流と瓜二つの容姿を持つ双子の姉。
もっとも、性格は似ても似つかぬ愉快痛快なお姉さん。
無茶苦茶な言動で昴流を強引に振り回して星史郎とのカップリングを面白おかしく
応援するが、それも全て弟を案ずるが故。
陰陽師としての才能はからっきしで、簡単な術をほんの少し使える程度だが、
肉弾戦に関しては訓練を受けているらしくかなり強い。
また、隠された能力を持ち、実はこの頃から“ある人物”と交流していた。
将来の夢は「団地妻」で、それを叶えるために料理修業を積んでいる。


◆桜塚星史郎(さくらづか せいしろう)
CV.子安武人(OVA)
/古澤徹(劇場版X)
/かわのをとや(TV版X)
/四方堂亘(実写版)

新宿で動物病院を営む獣医師。
穏やかで常に笑顔を絶やさない好人物……が、昴流に対し、
本気とも冗談とも取れない求愛を事あるごとにアプローチを繰り返し、真面目な顔でいきなり親父ギャグやボケをかましたりもする変人。
ただ、昴流を大切に思っているのは本当らしく、ピンチの時には助け、何があろうと彼を支えて優しく諭す。

その苗字や知識から、皇一門の宿敵である暗殺集団 『桜塚護』 の関係者ではないかと疑われているが、本人はどこ吹く風で飄々としている。

番外編で明かされた、彼が獣医師をしている理由は必見。



【各章解説】
★Vol.0:T.O.Y
昴流は悪霊に乗り移られた女性を開放すべく、北都・星史郎と共に現場へ向かう。
3人の関係性や人物紹介を兼ねたイントロダクション。

★Vol.1:BABEL
東京タワー展望フロアで起こる謎の怪現象を解決するよう依頼された昴流。
深夜、張り込んでいた昴流と星史郎の前に現れたのは、夢破れてビルから身を投げた女性の霊だった。

★vol.2:DREAM
妙な噂が流れ始めた団地。
そこに住む一人の少女が原因不明の昏睡状態に陥り、目を覚まさなくなる。
彼女を覚醒させて欲しいという依頼を受けた昴流だったが、
その相手は近頃よく夢に見るようになっていた昔の友達・鏑木実月だった。
彼女を救うべく、術で実月の精神世界へ入り込む昴流だったが……。

★Vol.3:CALL
次に昴流に舞い込んだ依頼は、有料電話回線上で頻発する怪事件の解決。
それは、自分たちが世界を救う『特別』な人間だと信じ込み(今でいう中二病)、
勝手に敵と認識した存在に独学で会得した密教の呪詛で攻撃を仕掛ける少女たちの仕業だった。
所詮素人に過ぎない彼女たちは術の危険性や制約を知らずに使い続けており、
このままだといずれ反動を喰らい、ただでは済まないと危惧した昴流は彼女たちを助けようと動き出す。

★Vol.4:CRIME
神社で学校の課題を写生していた昴流は、不穏な気配を感じた末にやつれきった女性を発見する。

彼女は変質者に幼い娘を殺され、精神鑑定の結果無罪となったその男に、
『罪に問われない方法』……犬神の呪術で復讐を目論んでいた。
犬神の呪術を使えば使った人間も破滅してしまう為、
昴流は彼女を止めようと、殺された娘の魂を一時的に呼び戻して説得を試みるが……。
推理漫画やサスペンス劇場でよくあるイベントへの痛烈なカウンターを描いた好編。

★Vol.5:SAVE
同級生たちから陰湿なイジメを受け続ける少女・橋本の前に、進攻宗教団体『MS研究所』を主宰する奈岐久美子が現れた。
一方、祖母から調査依頼を仲介された昴流もMS研究所に潜入し、橋本と対面する。
やがて橋本は誠実な昴流に好意を抱くようになるが、そんなささやかな幸せも束の間取り返しのつかない悲劇が彼女を襲う。
橋本の身に起きた惨事を知りつつ無自覚な傲慢さを振りかざす久美子へ、かつてない怒りを燃やす昴流。
しかし、MS研究所を調べ回る人間はもう一人いた……。

★Vol.6:OLD
公園で鳥を集める老人と仲良くなった昴流。
その老人は家に帰ると娘一家に邪魔者扱いされ冷遇されていた。

娘は生活のストレスのはけ口として辛辣に当たり、
幼い孫たちでさえ「おじいちゃんが死ねば部屋が自分たちのものになる」と残酷なことを無邪気に考えている始末。
それでも娘を大切に想い、亡き妻との約束を果たそうとする老人だったが……。
後味が比較的爽やかな章。

★Vol.7:BOX
都内のカラオケボックスに来た昴流たち。
星史郎に煙草の買い出しを頼まれた昴流はその途中、一人で歌っていた女性に引っ張り込まれる羽目に。

★Vol.8:REBIRTH
風邪を引いて病院に行った昴流は、腎臓の不全で人工透析を受け続けている少年・勇弥と知り合い仲良くなる。
かつて勇弥には同じく腎臓を患う姉がおり、
臓器提供で母親は息子と娘のどちらかを選ばなければならず、姉を選んだが拒絶反応が起こり姉は死亡。
母親は「勇弥を選んでいれば娘は死なずに済み、勇弥も今頃元気になっていたのかもしれない」と自分を責め続け追いつめられていた。
そんな親子を見て、昴流は自分の腎臓を勇弥に提供しようと決意するが……。

★Vol.9:NEWS
星史郎が右目を失い、絶望して自暴自棄になる昴流。

そんな彼を一喝し、優しく慰める北都。
しかし、彼女は初めて見た弟の姿に得体の知れぬ危機を感じ取っていた。
一方、当の星史郎は普段と変わらず優しい態度で昴流に接し、逆に励ます有様で……。

★Vol.10:PAIR
昴流は星史郎の見舞いに向かう途中、盲導犬珍しさに盲人に絡む高校生たちを一蹴。
星史郎の為に目の見えない人の話を聞きたいと思い、色々と話を聞く昴流だったが、
そんな中で盲人から思わぬ事実を指摘されることに。
そして、昴流が自分の気持ちを自覚した瞬間、遂に運命の時が来る……。

★Vol.11:END
昴流・北都・星史郎。三人の物語に、一縷の救いもない衝撃の結末が訪れる……。









以下ネタバレ




昴流の物語は何の決着もつかないままX(漫画)へ舞台を引き継がれることになり、当然ながら読者から戸惑う声や批判があったらしい。

これに対してCLAMPは 「東京BABYLONは東京BABYLONとして確かに完結した」 とコメントしている。





東京が好きな人は追記修正お願いします。




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