モンスターファーム〜円盤石の秘密〜

登録日:2012/02/03 Fri 00:44:54
更新日:2024/04/21 Sun 06:11:47
所要時間:約 6 分で読めます




世界が

一つの大陸であった頃
新たな命が誕生した。
人々は再び彼らとめぐり合い

そして今日もまた
出会いを求め続ける。



●概要●
『モンスターファーム〜円盤石の秘密〜』は1999年から2000年にかけて放送された、同名のゲームシリーズモンスターファームモンスターファーム2を原作とするアニメである。通称アニモン。全48話。
月刊少年ガンガンでもドラゴンクエスト 天空物語の幸宮チノによるコミカライズ作品が連載された。

当時、ポケモンブームの中において生まれた原作であるが、本作もアニポケの成功に乗じて企画された感がある。
そして奇しくも同じポケモン人気後乗り作品のあのデジモンアドベンチャーとデビュー時期がほぼ同じで、1ヶ月遅れの99年4月から放送開始された。
先行していたポケモンのテレ東に続き、デジアドのフジ、モンファのTBSという三つ巴の構えとなった。

本作は同作品の世界観をモチーフとしつつも、モンスターが死んだ際の「ロスト」の概念や、ヒノトリの扱いなど独自設定を織り込み、
さらに世界観を深掘りしたうえでハードSFの要素を内包した、ポケモンやデジアドと比較してもかなり異色な部分を持つ。

デジアドが新人とベテランをまぜこぜだったのに対し、本作のメイン声優の多くがこの時代における第一線級の人材ばかりである。

  • オタク人気絶頂だった横山智佐、白鳥由里、國府田マリ子
  • 若手の中でも人気が高まっていた高木渉
  • ベテランの域に達しようとしていた矢尾一樹&佐々木望
  • 戦隊出身でこの頃はまだブレイクには至っていなかったが実力派の内田直哉

という錚々たるメンバーを取り揃えている。
敵のボスも三石琴乃塩沢兼人中村大樹堀内賢雄小杉十郎太とすさまじいメンバーを揃えている。
(ナーガ役の小林和矢などは新人だったがそれを差し引いてもすごいメンバーである。)
トムス製作ということもありゲスト声優も豪華。ダチョウ倶楽部やつボイノリオなどのタレント参加もあったものの、
北村弘一、納谷六朗、内海賢二、辻村真人、そしてアニメ出演が思ったよりも少ない野沢那智なども参加している。

こうして鳴り物入りで製作されたアニメ版モンスターファーム。
が、結果として商業的には不発であった。



●評価と商業成績●
当時の放送時間は土曜の七時半であった。今では週休二日制となっている学校も、当時は土曜にも学校がある日であった。
本作のメインターゲットはゲームをプレイしていた幼稚園から小学生くらいのものだったと憶測されるが、
そういった視聴者がそもそも投稿時間に重なるためにアニメを見ることができない、という事態に陥りやすかった。
日曜放送だったデジモンアドベンチャーと視聴率的な差が激しく、相手が平均7.9%に対し、こちらは4.3%止まりである。
合わせて商業的にも微妙な結果となってしまったようで、VHSリリースも途中で打ち切られてしまった。

内容としてはポケモンやデジモンと比較して、ゲーム内容とアニメの内容があまりに乖離しすぎたこともよく指摘される。
原作ゲームの流れを簡単に説明すると、モンスターを育成して、大会に挑みチャンピオンを目指す…という内容である。
ところが本作は、異世界転移した少年が、悪の心に染まったモンスター軍団と戦い、世界に平和を取り戻す内容…と、ゲーム内容に一切掠っていない
一応序盤には大会に出る話こそあったが、旅費を稼ぐためにほかならず、メインテーマにはなっていなかったうえ、後半はほぼ冒険ものに終始している。
あくまで朝の子供向け番組ということが意識されていたこともあり、ポケモン卒業世代を狙ったデジモンに対し、ターゲットの絞り方も半端であった。

こういったことから原作ファンであった視聴者もすぐに離れてしまい、デジモンアドベンチャーとかなりの差を付けられてしまった。

ではアニモンは視聴者のニーズを見誤って外したアニメ…かというとそういうわけでもない。
本作はアニポケやデジアドとは違ったシニカルな世界観であり、まずデジアトと同様にモンスターが普通に死ぬ。
本作はモンスターが死ぬと、彼等が元々封印されていた円盤石と呼ばれるディスク型の石板に戻る。
これは本来、各地の神殿内に備え付けられたロストテクノロジーを利用することで復活させることが出来るのだが、ロストした円盤石は木の根が纏わりついた状態で地面に固定されるため、通常の手段でもう一度再生させることはできない。
デジアドは世界観的に「転生」がナチュラルに存在したが、本作ではヒノトリという伝説のモンスターを見つけないと復活させられない(しかも一度きり)という一発勝負である。
そのため、デジアド以上にモンスターの死が重苦しい展開になっている。それ故に死亡シーンの物悲しさは随一である。

また、「子供はモンスターに指示するだけで友情関係が成り立っていない」という批判が付き纏う先行作に対し、
本作は主人公の少年がモンスターとの戦闘に飛び込んでしかもちゃんと貢献するという当時としては珍しい描写が行われている。時代を先取りしすぎである。

ゲームとは違いモンスターを育てることは一切なく、技は強敵と戦うことで勝手に覚えていく。
また、人の業を容赦なく描いたり、人やモンスター問わず復讐劇を展開する様は、かなり生々しく印象が強いものになっている。

そのシニカルな世界観から死の重さがデジアドとは違う方面で重く、どす黒く、泣けるレベルの感動回が非常に多い。
特に本作の最終回はコアなアニヲタから語り草になる程の名エピソードで、ここもデジアドとはまた違う味になっている。
作画は微妙と言われることが多いが、流石に海外からも見初められるほどの企業だけあって、デジタル作画黎明期でありながら安っぽい作画になっている回は少ない。
キャラクターデザインもドラゴンボールZの前田実が担当しているなど、アクションに特化したメンバーとなっており、戦闘シーンも見応えがある回が多い。

こうした作風の違いは当時の視聴者の印象に残り、放送時間が被っていないこともあって、ポケモンは勿論、デジモンとアニモンを掛け持ちしていた視聴者も多かった。
VHSこそリリースが打ち切られたものの、後年にファンが商品化希望サイトで熱心に発売希望を募った甲斐あって、放送終了から8年後にDVD-BOX化された。
さらにその10年後には続編の伝説への道と合わせたBlu-ray BOXも発売された。
現在は公式が円盤石の秘密、及び伝説への道を最初の3話までセットにして恒久配信している他、配信サイトで有料視聴も可能である。

●ストーリー●
モンスターファームが大好きな少年ゲンキ。モンスター甲子園の優勝賞品である「モンスターファーム200X」をワクワクしながら起動させると、テレビに吸い込まれ、モンスターファームの世界にやってきてしまう。
そこはゲームのような世界ではなく、ワルモンのボス、ムーに支配されたまったく違うモンスターファームの世界……
全てのワルモンをイイモンに戻し、元の平和な世界を取り戻す為、ゲンキとその仲間達の旅が始まる……!




●登場人物●
◇メインキャラ
佐倉ゲンキ(声:横山智佐)
モンスターファーム甲子園で優勝できるレベルにやり込んでいる少年プレイヤー。5年生。ゲーマーでありながらアウトドア派。
名前の通りかなり元気で常に前向きな少年だが、落ち込む時も全力であり、嘘が付けないタイプ。
身体能力も優れており、甲子園の時点で自分よりガタイのいい相手からわざと握手で強く握られても平気で握り返せるくらい元から強かった。
当初こそあまり相手にならなかったが、ローラースケートで相手を蹴りつけるという戦法でワルモンとも十分張り合うことができる。
某携帯獣の主人公とは気が合いそう…もっともあっちは直接モンスターを殴る機会はほぼないのでこちらの方がある意味戦闘民族寄りである。

漫画版ではショタ度がパワーアップしていて可愛い。

ホリィ(声:國府田マリ子)
本作のヒロインで仲間内の紅一点。ゲンキより年上で、一行のまとめ役を務める。
しかしゲンキと違い戦闘力はほぼなく、父の形見のナイフでかろうじて自衛する程度である。
故郷の村をワルモン四天王の一人、ナーガに滅ぼされたことからヒノトリを探す旅に出る。
ムーに取り憑かれた男性の娘でもあり、後半からは父への思いとムー打倒の間で大きく揺れることとなる。
ヒノトリの在処を示すガイア石と、それを扱う不思議な能力をもち、ガイア石を失った後も感覚でヒノトリの位置を探っていた。
美人であるため、一行にとってはアイドル的存在。

ゲンキと一緒に転送された「モンスターファーム200X」から再生されたモンスター。
生まれたばかりは甘えん坊だったが徐々に成長していく。名付け親でもあるゲンキと行動することが多い。「チー」が口癖。
主な技は、もんた、桜吹雪、もっち砲。
二話でいきなりゲンキと喧嘩になり、かなり幼かったことから戦いに巻き込まないよう老夫婦のところに預けられそうだったが、結局一行に加わる。
戦力として最初はそこまで活躍しなかったが、技を覚えていくごとに経験不足を補って戦いでも引けを取らなくなる。

ホリィが初めて発見した円盤石から生まれたモンスターでお調子者な性格。
生まれた直後は陽気でノリのいい標準語口調だったが、現在は故郷の村で姉の様に慕っていたピンキーの影響で関西弁を話す。
視力がかなり良く、ゴーレムに上空に投げてもらうことで遠くにあるものを探したりできるがほぼ毎回受け止めてもらえず落下する。念力系の技は苦手。
主な技はベロビンタ、しっぽアタック、テレポート等。
かしこさ系の技が苦手な物理アタッカーであり、メンバーの中では戦闘においてモッチーにも遅れを取るくらいに弱かったことにコンプレックスを抱く。
しかし修業と仲間の危機により真価を発揮しテレポートを習得する。ただしその気にならないとテレポートの精度が非常に悪い。
故郷を滅ぼしたナーガに対する怒りは人一倍強く、不安定だったテレポートを完全に使いこなしてナーガを一時圧倒する程だった。
その気になれば強い奴。

気は優しくて力持ちを地で行くキャラ。仲間になる前はロストしたモンスターの円盤石を1人で守っていた。
ワルモンに墓を荒らされたことに怒り、勢いのままに敵をロストさせてしまったことを悔やみ、ヒノトリで復活させるため一行に同行する。
その反動か加入後は寂しがり。
体が岩でできているので石や砂を好んで食べる。水がかなり苦手で、視聴者も「ゴーレム、水キライ!!」という台詞は有名。
戦闘技術がなく力任せであるが、その恵まれた体格から一行の中では一番の力自慢にして強キャラクターである。
主な技はでこぴん、竜巻アタック。ウンディーネのエピソードは名場面の内の一つ。

ツンデレその1。仲間になる以前は盗賊団を率いて「疾風のライガー」と呼ばれていた。
過去にムーに挑んで額に傷を負い、弟を拐われた為、ムーに因縁がある。大怪我を負ったところをゲンキたちに救われた借りを返すために一行に加わった。
元々の強さに加えて盗賊団時代の戦闘経験もあることから、戦闘力は技術・センスともにゲンキ一行の中でも随一。
それだけに、大会で文字通り汚い手でハムに敗れた時はかなりお怒りであり、以降ライバル関係に。
ホリィにホの字なのか、まったく頭が上がらない一面もあった。また、酒癖が悪い。
中の人が中の人だけにたまに入るアドリブでキャラ崩壊を起こすことも。
主な技は雷撃、ブリザード等。

元は詐欺師をしていた不良モンスター。赤いスカーフがトレードマーク。
金を根こそぎ奪おうとターゲットにしたゲンキたちの目的を知り、ヒノトリの円盤石を横取りするため自らもワルモンと戦うために仲間に加わる。
しかし旅の仲で仲間意識が沸き、途中からは損得勘定抜きでワルモン撲滅のために戦うようになる。
自他ともに認める高い知能を活かしてチームの頭脳を務めるが、金にがめついのが玉に瑕。
ライガーとは先の犬猿の仲。いや、猿じゃないけど。
「食ってやる!」「なんですと!?」のやり取りはお決まり。
大会のルール内とはいえライガーに勝てるくらいには強い。
主な技はドラゴンキック、おなら等。


◆ワルモン
ムー(声:小杉十郎太
ワルモンのボス。本来はドラゴンのような姿だが物語終盤までは人型。普通のモンスターをワルモンにする力がある。
人型なのは実は肉体と魂が分裂していて、魂の方がホリィの父に憑依しているため。
さらにドラゴン型に復活した後も身体と魂の定着が不完全だったためか、太陽光に当たると身体が焼けるという状態だった。

ピクシー(声:三石琴乃
ワルモン四天王の1人。ツンデレその2。人間に対し強い憎しみを持っていたがゲンキによって改心していき、ピンチの時に駆けつける心強い味方になる。
忠実な部下にブルーマウンテンがおり、殆ど常に行動を共にしている。
原作通り格好がすごくエロい。ゲンキさんうらやましいです。
主な技はライトニング、炎の壁、ビッグバン等。
終盤で致命傷を負ってロストの危機に陥るも、彼女を助けるために自分の身を投げ出すことを選んだブルーマウンテンと合体し、ビーナスとなって蘇る。
この時流した涙によってワルモンであることを示す紋章が消滅し、名実ともにワルモンたちと袂を分かつこととなった。

ワルモン四天王の(ry
今は亡き塩沢兼人が亡くなる前年に声を当てた貴重なキャラなキャラであるが、出番が実質一話だけ。
フェアな戦いを好むと自称するが実際は結構卑怯で、食事に誘うと見せかけてゲンキ達を包囲したり、ガッツダウン技で弱らせて砂地獄に叩き込んだりする。
ゲンキに仮面を傷つけられた時はすごく取り乱した
あと部下にジョーカーがいる。
技はゴッドファイナルやゴッドナックル等多彩。

ギンギライガー(声:中村大樹)
ワルモン(ry
本当の兄弟かは定かではないがライガーの弟。ムーに拐われ、ワルモンにされた上に自分がライガーに売られたという記憶を刷り込まれている。
幼い頃は弱虫だったがワルモンになってからは勝つ為には手段を選ばない卑劣な性格になった。
技も実力もライガーと拮抗する。最後にはロストするがライガーと和解する。

ナーガ(声:小林和矢)
ワ(ry
ホリィやスエゾーの故郷の村を滅ぼした張本人。見た目通り残忍な性格。真空弾やアイビーム等、使う技は意外とかしこさ系が多い。
戦いの末に崖から落ちそうになったところ、手を差し伸べてきたゲンキ達の優しさを目の当たりにして、あれだけ残虐なことをしていながら遂に改心。
しかし生きて償うには罪を重ね過ぎたと思ったのか、差しのべられた手を敢えて掴まずにそのまま落ちて逝った。落ちる直前、彼は不敵に微笑んでいた……

ワルモンのナンバー2で魔将軍と呼ばれている。東の大陸を支配しており、ワルモン四天王の遥か上を行く実力者。リリムを侍らせている。
某ガンダムのガウみたいな飛行船で移動し、船内に精鋭を冬眠させてコレクションしている。
セリフに四字熟語が入ることが多く言動自体も芝居がかっているものの、見た目通りに騎士道精神溢れる性格なので精鋭たちを解凍する際に大袈裟な言葉で讃え、討ち死にしたら嘆くなど下の者を大事にしている。
その一方でムーの忠実な部下と見せかけて実は冷酷な野心家でもあり、ムーの弱体化を好機と捉えて野心を露わにするも……


◇その他
  • アラン(声:内藤玲)
ワームを連れている少年。ゲンキがキレるほどワームを厳しく躾けていたが、愛情は強い。
ワルモンから必死にワームを守ろうとするも及ばず、ロストしてしまうが……

ドラゴン盗賊団のボスのドラゴン(純種)。ライガーとは旧知の仲。演じる若本規夫は本作のナレーションも担当している。(というよりこっちが兼役)

・モノリス(声:納谷六朗)
伝える為に作られたというモンスター。ブレインにダイレクトアクセスすることでゲンキ達に古代に起こった事実を伝えた。
話の途中で寝てしまうという悪い癖がある。

・ツノマル(声:つボイノリオ)
ツノマル海賊団の船長。名古屋弁で話す。2話にわたり登場する。
ホリィにセクハラしようとしたりするが、スエゾーより戦いの実力は上で、続編ではその真価の一端が見られる。
声を担当したつボイノリオは本来ラジオパーソナリティとして有名な人物であり、所謂タレント起用だが、普通に聞き応えのあるキャラ付けなのでご安心を。

・ジム船長(声:大塚明夫)
渡船の船長。普段はレストランを営む。ミミニャー(声:かないみか)が相棒。
ワルモンだろうが金さえ払えば仕事を受ける、という豪快な性格で、ゲンキの憧れの大人になる。
1話しか登場していないが、エピソードの印象深さもあって非常に人気が高い。

ブリーダーではなく古代遺跡を研究する人物として登場という形で一度だけの友情出演を果たす。
ゲーム『モンスターファーム2』では本来ホリィの代わりにブリーダー補助の役目として登場していたキャラ。
ホリィが原作コスチュームなのに対し、こちらは原作コスチュームをピンク色にしたうえで飛行服の要素を交えたアレンジ衣装となっている。


【備考】

放送当時の義務教育は土日が週休二日制になる3年前であった。そのため、午前7時30分開始の本作を見終えた8時手前に家を出て学校に遅刻した同志も多いはず(ちなみに筆者は常習犯)。
この現象は後にデビチルカービィに受け継がれていく。

また、本作の続編として『モンスターファーム~伝説への道~』がある。詳細はリンク先にて。


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最終更新:2024年04月21日 06:11