DIO(バンド)

登録日:2013/06/22(土) 16:52:34
更新日:2023/08/18 Fri 01:20:54
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ホォォゥリー・ダイヴァァァァァァァァ――――――!!!!\m/\m/

ロニー・ジェイムス・ディオ率いるヘヴィメタルバンド。
ジョジョの奇妙な冒険」の登場人物であるディオ・ブランドーの元ネタは言うまでもなくロニー本人とここからきている。

ロニーがRAINBOWBLACK SABBATHでの大活躍を経て、ついに満を喫して結成した'自分自身の為のバンド'。
結成時は既に41歳と普通のヴォーカリストでは下手すると既に声の衰えすら目立ってくるこの年頃に
自宅を抵当に入れてまで敢えて新バンドを立ち上げた辺りに当時のロニーのこのバンドに懸ける情熱と思いが感じられる。
実質DIOを結成した1983年がボーカリストとしてピークであり、声量、声の張り、艶、抑揚・強弱での表現力など他の年よりも格段に高いレベルだった。
レインボーとサバスの元メンバーに加えて当時無名だったヴィヴィアン・キャンベルを迎え、ロニーの十八番である幻想的な詞の世界と
最先端のヘヴィメタル様式を巧みに用いた曲の組み合わせは当時の従来のロニーファンに加えて多くのメタルファンを獲得し大ヒットした。
しかし、85年にへヴィ・メタル版「ライブ・エイド」にあたる”STARS”を主催した頃を境に事態は急展開する。

成功の裏で今まで押し黙っていたロニー以外のメンバーの酷いギャラ配分問題が表面化し、異を唱えたヴィヴィアンが脱退する。
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グレイグ・ゴールディを迎えて作った「DREAM EVIL」がコケ、メンバー全員解雇。
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心機一転して新作を作るもさらに大コケと悪循環に陥る。
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ツアー中に飛び入り参加したギーザー・バトラーと共に再結成サバスで一儲けしようとDIOを解散させてしまう。
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しかし、世の中そう上手くいくはずもなくサバスの再結成も失敗に終わり、再度ロニーはヴィニーと共にDIOを再結成する。
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が、ギターにヴィニーとジミーが参加していた「World War Ⅲ」のギターリストでインダストリアル・オルタネイティヴ畑出身のトレイシー・Gを招く

そして悪夢の始まった…。

90年代のDIOが掲げたのが

「モダン・ヘヴィネス路線」

だった‥

ロニーなりに当時の若者に流行っていたスラッシュ・メタルやグラム・ロックに合わせようとしたつもりだったのかもしれない。
しかい、その「モダン・ヘヴィネス路線」から1万光年くらい離れているロニーがやった結果

  • 見た瞬間に頭を抱えてしまいたくなる悪趣味なジャケット

  • 思い切り歪ませたギター、ヴィニーの地響きのようなプレイ、そこへロニーがただ単に吐きつけて吼えるようにしか聞こえない「怒りのヴォーカル」…。

  • メロディセンスの欠片も感じない駄曲の数々

唯一の救いはモダンヘヴィネス2作目のAngry Machines(聴いてるこっちがAngry Machinesになるわ!という野暮なツッコミはやめてさしあげろ)に
収録されている隠れた名バラード"This Is Your Life"が聴けるくらい。

古参ファンがドン引きし、若いファンから見向きもされず新規ファンは一向に増えない汚点とも呼べるほどの黒歴史と化した。
更に言うと薄給ぶりにヴィニーが愛想を尽かし脱退してサバスにサポートに行くという事件もあった(後に和解)

2000年代に入り90年代の黒歴史を漸く認め昔の路線に戻ったが、

前述の経緯からジミー以外のオリジナルメンバーもいない状態でギターにグレイグが復帰する。
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しかし、グレイグのサボり癖が治らない事に激怒して解雇

ダグ・アルドリッチを加入させるも余りの薄給振りに愛想を尽かしてWHITESNAKEに引き抜かれる
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仕方なくクレイグに頭を下げてまさかの復帰をしてもらう
                      ↓
これにとうとう愛想を尽かしてジミー再脱退してしまう

とどうしようもない状態だった為、ヨーロッパなどでは根強い人気があったが全盛期の栄光を取り戻すことなくロニーの死去に伴いDIOの歴史は幕を閉じた。



と、ここまでさんざんネタにしてしまったが、海外サイトを見ると初期3作より高い評価をゲットしている後期作品もあったりする。
また後述のHEAVEN AND HELL時代の曲は明らかに後期DIOの系譜を引いており、それがなんと全米8位に入ったんだから皮肉なものだ。



歴代メンバー

ボーカル:ロニー・ジェイムス・ディオ
言わずと知れた小さな巨人、メタル界のサブちゃん。
詳しくは項目参照。

初代ギター:ヴィヴィアン・キャンベル
北アイルランドのベルファスト出身。奇しくもヴィヴィアンが敬愛するギタリストのゲイリー・ムーアと同郷である。
ジミーがWILD HORSES在籍時に前座バンドだったSweet Savageでの活躍に目をつけ、ジミーが紹介する形でジェイク・E・リーを押しのけて選ばれた。
彼のキャッチーで分かりやすいメロディとゲイリー・ムーアからの影響が著しい直情的なソロはバンドの成功に大きく貢献した。
しかし、そのあまりに酷い待遇(彼のギャラは照明係より低かった)改善を求めた為に解雇されてしまう。
どんだけブラック企業なんだよ…
脱退後全盛期だったWHITESNAKEのツアーに参加して漸くまともに纏まったカネを手に入れた後Def Leppardに加入して大スターの道を歩む。
ロニーとは前述の経緯から生前中はボロクソにお互いを罵っていたが、死後になって漸く振り切れたのかオリジナルメンバーによるトリビュートバンド「Last In Line」を結成する。
2013年にリンパ線癌が発覚したが、めげる事無く治療と活動を両立させている。

初代ベース:ジミー・ベイン
元レインボー時代からのお付き合い。キーボードも作曲・プロデュースもこなせる出来る子。
「Rainbow In The Dark」のキーボードリフは実は彼がたまたま弾いたものが大元である。
元Thin Lizzyのロボことローワン・ロバートソンらと組んだWILD HORSESではベースボーカルを担当している。
DIOの作曲にも名を連ねている事からも窺えるように彼の存在もまたバンドの成功に大きく貢献した。
1989年「Lock Up The Wolves」のリハーサル中に脱退(実質解雇)後、ヴィニー・トレイシー・Gと共に「World War Ⅲ」を結成したり、ソロ活動をしていた。

2000年に正気を取り戻したロニーが黄金期のDIOメンバーの再結集を呼びかけた際、
ロニーと絶縁状態だった他のオリジナルメンバーの中で唯一参加した。しかも当時は長年のドラッグ依存症から立ち直ったばかりだったという。
(実際は1999年11月の北欧ツアーで復帰予定だったが、おそらくドラッグ関係のアレでビザが下りずアメリカ以外でツアーできなかったらしい)
しかし、2005年にクレイグ・ゴールディが2度目の復帰をした事に反対して再び脱退した。
ヴィヴィアンの結成したDIOオリジナルメンバーによるトリビュートバンド「Last In Line」にも参加した。
しかし皮肉にも3日前にツアーを開始し、ヴィヴィアンの所属するDef Leppardのクルーズに参加した矢先の2016年1月24日に急逝。

初代ドラム:ヴィニー・アピス
カーマイン・アピスの弟。人生の半分以上をロニーと共に過ごしたさながら「ロニー専属ドラマー」みたいな人。
メタリックで手数が多く、タメるときはモタるギリギリまでタメる非常にヘヴィかつ個性的なプレイが特徴的。
87年の「DREAM EVIL」制作後にロニーと衝突し脱退(解雇)、最初の絶縁をする。
その後ジミーと後にDIOで共演するトレイシー・Gと共に「World War Ⅲ」という物騒な名前のバンドを組んでいた。
しかし、92年にロニー期のサバス再結成に伴い和解してサバスに復帰→そのままロニーに従って脱退→再結成DIOに参加する。
が、98年にBLACK SABBATHのビル・ワードが心臓発作で倒れた時、売上的にも人気もギャラもどん底だったDIOを脱退して代わりに参加した。
その反逆行為にロニーは激昂、再度ロニーと絶交状態になってしまった。
和解には長らく8年の歳月を要したが、HEAVEN AND HELL結成の際に和解した。

ちなみにこのHEAVEN AND HELL時代唯一のアルバム「THE DEVIL YOU KNOW」で、ロニーは67歳にして人生最大のヒットを飛ばしている。


初代キーボード:クロード・シュネル
「Holy Diver」 ツアーから参加。83年のツアー中はサポート・キーボードだったが、84年から正式メンバーとなる。
脱退後は長い間消息不明だったが、2013年オリジナルメンバーによるトリビュートバンド「Last In Line」に参加を表明し、24年振りに表舞台に姿を表した。
しかし、2016年ジミーの急逝の直前に脱退。

2代目ギター:クレイグ・ゴールディ
DIOの歴代メンバーの中ではヴィニー(12年)に次ぐ10年も在籍したが、WHITESNAKEのエイドリアン・ヴァンデンバーグ並に地味で目立たない不運な人。
ヴィヴィアンがゲイリー・ムーアを敬愛しているのに対し、クレイグの場合はリッチー・ブラックモアからの影響を公言している。
幼少期から家族からの虐待を受けていたようで、14歳で家を飛び出し、路上生活をしていたというなかなか波乱な人生を歩んでいる。
最初に加入したバンドのRough Cuttのマネージャーがロニーの奥方のウェンディだったこともあり、加入前からかなり交友があった。
むしろそれどころかロニーは家がないクレイグを自宅に招いたり、食糧の手配をしたりなど、生活面に置いてもかなりサポートしていた模様。
故にディオ夫妻に対しての恩は計り知れないと後年語っている。

87年にヴィヴィアンの後任として大抜擢され佳作である「DREAM EVIL」を作るも、売上は落ち込みロニーに全責任を負わされ解雇されてしまった。
2000年にロニーの呼びかけで復帰するも相変わらず微妙な作品しか作れない所に腕の負傷&家族トラブルが加わり、ロニーに再度解雇されてしまう。
ところが後任のダグ・アルドリッチがWHITESNAKEに引き抜かれるというまさかの事態が発生した為、人材難で復帰を果たす。
そのままロニーの死までバンドに在籍した。
ボロクソに書いたが、ロニーが求める様なヒット曲の作曲が出来ないだけでライブの演奏力自体はヴィヴィアンに劣らず素晴らしいプレイを魅せる。


3代目ギター:ローワン・ロバートソン
若干17歳でDIOのギターリストに抜擢された。おそらく歴代ギタリストの中でも特にテクニカル志向。
若さとそれからくる若者向けの売れ線狙いの曲作りをロニーから期待されたが、コケてしまいバンドを解散に追い込んでしまう。
正直彼には荷が重すぎたと思う。しかしながらトレイシー・Gやクレイグ・ゴールディ脱退後の後釜候補に上がっていたり、
ローワンと作ろうとしていたニューアルバム用のデモも残っている(本人談)とのことであり、ロニーは生前から再共演をいたく希望していたようである。
ちなみに現在もギタリストを続けつつ、不定期でyoutubeチャンネルで時折DIO時代の曲のレクチャーを披露している。

4代目ギター:トレイシー・G
黒歴史を作った張本人。しかしよく考えてみて欲しい。
そもそも畑違いも甚だしい彼を呼んだのはロニーであり、彼はロニーの求める音作りをしたに過ぎない。
それを考慮すると彼もまた悲運な人であったといえよう。
曲作りに関しては批判は多かったが、ライブでの演奏力自体はむしろ高い。

5代目ギター:ダグ・アルドリッチ
クレイグよりもはるかに演奏が上手い。
が、それ故にDIOの薄給・激務ぶりに嫌気がさしたのかデイヴィッド・カヴァディールの誘いに乗って再結成されたWHITESNAKEに加入した。
しかしそのWHITESNAKEも脱退し、現在はTHE DEAD DAISIESでグレン・ヒューズらと活動中。
もっとも勝手に抜けた引け目があったのかグレイグが体調不良時には一時的に復帰したり、ロニーのDIO最後の曲となった「Electra」にも参加している。

2代目ベース:テディ・クック
歴代ベーシストの中では唯一のレフティ。
ジミーが「Lock Up With Wolves」のリハ途中で解雇となり、オーディションを経て加入。
DIOでは正直あまり存在感がないが、むしろ他バンド(有名所だとGREAT WHITE)ではギター、コンポーザー、果てはボーカルもするというマルチプレイヤーである。

3代目ベース:ジェフ・ピルソン
元ドッケン。この人も地味は地味だがM.S.G.にも参加していたり地味に作曲も出来たりする。
なにげにメインボーカルが張れるレベルの歌唱力を持っており、DIO時代ではロニーの上ハモをベースを弾きながらやっていた。
ジミーが2004年に再脱退した後「Master Of The Moon」のレコーディングに7年ぶりに参加した。
現在はフォリナーやDOKKENのオリジナルメンバー再結成にも関わりつつ、DIO人脈のLAST LINEの1stアルバムではプロデュースも行っている。

4代目ベース:ラリー・デニンソン
空気その2。途中何度か抜けたり入ったりしているが誰にも気づかれない悲しい人。

5代目ベース:ボブ・デイズリー
彼もまたジミーに同じくRAINBOW時代のお付き合い。ベーシストとしてもコンポーザーとしても非常に優秀。
1998年後半から99年前半にかけての欧州ツアーでラリーの抜けた穴を埋めるためにスポット参戦。

6代目ベース:チャック・ギャリック
本来1999年11月からの北欧ツアーで復帰予定だったジミーにビザが下りず帯同できなかったため、ヘルプとして参戦したベーシスト。
最終作「Master of the Moon」収録の「Death by Love」も共作としてクレジットに名を連ねている。
DIO以前は1年ほどL.A. Gunsにて活動しており、その後2002年からはアリス・クーパーバンドのメンバーとして20年以上在籍している。

7代目ベース:ルディ・サーゾ
元Quiet Riot、オジー・オズボーン、WHITESNAKE。ヴィヴィアンとは白蛇在籍時の同僚だったりする。2005年からバンド消滅まで在籍。
実はアニメーターとしても活動しており、その流れもあったのかアニメタルUSAではベーシストに抜擢された。

2代目ドラム:サイモン・ライト
元AC/DC。テクニックだけならヴィニーと同じくらいうまい人。
90年から91年にちょろっといた後、ヴィニーが98年に脱退した後からバンド消滅まで在籍。

2代目キーボード:イェンス・ヨハンソン
90年から91年にちょろっといた。入る前は豚貴族の所にいた。演奏は神レベルだが、参加アルバムではなぜかほとんど聞こえない。
95年にSTRATOVARIUSに入り、2016年には再結成されたRAINBOWに加入した。

3代目キーボード:スコット・ウォーレン
93年の再結成時からバンド消滅まで在籍し続けた唯一の人。
事実上の再結成サバスである「HEAVEN AND HELL」にもDIOにいた縁でそのまま参加している。


ディスコグラフィー

スタジオアルバム

「Holy Diver」
「The Last In Line」
「Sacred Heart」…ここまでが誰しも認める全盛期
「Dream Evil」…賛否両論が分れる作品。コンパクトな曲とキーボードが強め。
「Lock Up The Wolves」…このアルバムでどっかの誰かさながらの全員解雇を行う。
「Strange Highways」…黒歴史その1。これでも次作よりはマシという声もある。
「Angry Machines」…黒歴史2。DIO及びロニーの作品史上類を見ない駄作。
「Magica」…コンセプトアルバム。なんと「Sacred Heart」よりも傑作とされることがあるから外国人の考えることは分からん
「Killing The Dragon」…唯一のダグ参加作。いちばん初期っぽい
「Master Of The Moon」…DIOとしての遺作


ライブアルバム

「DIO AT DONINGTON 83&87」…ロニー死後発売された全盛期のライブアルバム。文句なしの傑作
「Inteamission」…何故か新曲が1曲ライブの流れをぶっちぎって真ん中にある変なライブアルバム。
「Inferno/Last In Live」…98年のライブアルバム。売上的にも人気もどん底だった頃だがライブの凄さは相変わらずなので聴けなくはないライブアルバム。
「Evil Or Divine」…ギターはダグ・アルドリッチ
「Holy Diver Live」…「Holy Diver」 の全曲完全再現ツアー時の物。
「Finding the Sacred Heart - Live in Philly 86」…86年のライブビデオのリマスターアップVer。


「彼こそが追記・修正の王だーーーー!」

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最終更新:2023年08月18日 01:20