ユニオンフラッグカスタムⅡ

登録日:2009/05/29 Fri 13:17:41
更新日:2024/03/27 Wed 19:37:51
所要時間:約 7 分で読めます





逢いたかった…逢いたかったぞ!ガンダム!

君の圧倒的な性能に、私は心を奪われた…!






UNION FLAG CUSTOM Ⅱ
(GN FLAG)




ユニオンフラッグカスタムⅡとは『機動戦士ガンダム00』に登場するモビルスーツ(MS)。




機体緒元

型式番号:SVMS-01X
頭頂高:17.9m
重量:74.2t
動力機関:GNドライヴ[T]
推進機関:GNバーニア
装甲材質:Eカーボン
所属:ユニオン

武装:
GNビームサーベル
ディフェンスロッド×2
20mm機銃
ミサイル×2



機体概要

グラハム専用ユニオンフラッグカスタムGN-X(初期生産ロット21番機)の疑似太陽炉を移植した急造MS。
通称「GNフラッグ」。

フラッグでガンダムを倒す」という、亡き部下ハワード・メイスンへの「男の誓い」を果たすべく、
打診された『GN-X』パイロットの座を蹴ったグラハム・エーカーの強い思いに応えるべく、ビリー・カタギリらMSWAD技術陣の不眠不休の努力により完成された。

言ってしまえば、せっかくの超高性能機を潰して拵えた妄執と職権乱用の産物。

従来のプラズマジェット採用の背部フライトユニットを取り外し、疑似太陽炉内蔵のコーン型GN粒子推進器(GNバーニア)に換装しており、高度な空中飛翔能力を獲得。通常のフラッグと異なり宇宙空間での戦闘も可能となった。
頭部センサー素子上部のカメラも、少しでもGN粒子に対応させる為に単眼タイプから双眼タイプに変更*1
センサー素子自体も左右に開閉するよう改造され、戦闘開始時に取得出来る情報精度を向上させている。
GNビームサーベルによる高い攻撃力も備え、フラッグのスペックを大幅に高めることに成功している。

しかし、フラッグと全く規格の異なるパーツを強引に接合している為、機体バランスと操縦性は劣悪。
本体に粒子供給回路を持っていないため、GNバーニア化されているのも外付けされた背面ユニットだけで、
脚部のスラスターなどは従来型の物しか積んでいないなど技術的統一性は乏しく、
太陽炉搭載機としての性能や完成度は、世代を重ね蓄積されたノウハウの下開発されたガンダムやGN-Xとは比べるべくもない。
また、背部に追加されたGNバーニアのサイズや構造の関係上、フラッグの特長だった可変機構もオミットされている。
少々極端に言ってしまえば、「原付バイクにジェットエンジンを無理矢理括り付け、とりあえずF1マシン以上の速度を出せるようにした」かのような超アンバランス機。

カスタムフラッグからの問題であった高機動時のG問題も、解決されていないどころか寧ろ悪化しており、
パイロットへの負担を全く考慮しない機体となった(実際、搭乗したグラハムは吐血している)。

更に、GNバーニアの推進力とビームサーベルの出力のカタログスペックだけを見れば目を見張るものがあるが、
基礎フレーム・関節強度等の基本設計はフラッグのそれと一切変わっていない。
そもそも、太陽炉搭載機とフラッグの間には、6倍を優に超える馬力を始めとして埋まらぬ地力の差があり、
元々高機動戦闘中の変形だけでもオーバーホールを要するフレームにそれを遥かに上回る多大な負担が掛かることを考慮に入れると、
存在そのものが無謀であり、戦闘中にふとした拍子に全パーツがバラバラに分解しても何らおかしくない、マジで崩れる5秒前な機体である*2

この様に「MS形態のフラッグに疑似GNドライヴを無理矢理搭載した」というべき無茶苦茶な機体であり、
本当に「心中してでもフラッグでガンダムと戦って勝つ」という一点のみを追及しているため、
操縦汎用性を含む総合性能で言えばGN-Xどころかカスタムフラッグにも大きく劣る。
事実、通常のカスタムフラッグでもガンダムとそこそこ渡り合えたが、本機体はトランザム使用後で性能が大幅に低下しGNソード以外の武器をすべて失ったエクシアとほぼ互角という有様。

しかし、このピーキーという言葉の範疇にすら収まらないような、「フラッグでガンダムを倒す」という目的を果たすことのみを考えた仕様と、
フラッグの細い独特なフォルムにアンバランスなマッシブさが加わった独特なデザインは、この機体の大きな魅力だろう。

空中変形による戦法を得意としていたグラハムがそれを捨てた機体でもあり、
この後歪んでいる間は可変機に一切乗らなかった事も考えると、グラハムの歪みが顕在化し始めた事を示した機体とも言える。



武装

本機の主兵装にして、実質唯一の攻撃装備。
グラハムがガンダムスローネアインから奪取したサーベルデバイスを改造した代物で、左腕に装備される。

グリップから左肩に伸びた有線で直接エネルギー供給を行う方式で、
使用時には背部(後腰部)にある疑似太陽炉内蔵のコーン型スラスターがアームで丸ごと左肩後部へ付け替えられ粒子供給を行う。
つまり、ガンダムシリーズでも比較的珍しい「有線接続される近接武器」である。
有線式になっているのは新たな粒子供給機構を本体内部に組み込むことが出来なかったため。
わざわざ疑似太陽炉を肩に移動させるのも「少しでもサーベルに繋ぎやすくすため」であり、その点でこの機体はサーベルが本体と言えなくもない。

疑似太陽炉に直結させる都合上、使用時にはビームサーベル発振器に粒子が集中して注がれる為、威力やリーチはアインのそれより数段向上している。
反面、推力も左側に偏るうえその状態で左腕を振り回すことになるため、只でさえ不安定な機体バランスが更に悪化してしまう。

因みに、1stシーズンノベライズ版の第3巻では、グラハムがこの武装について、
地の文で「フラッグの力で勝ち取ったものは私の物。お前の物はおれの物!」というトンデモ発言を残している。

  • ディフェンスロッド
両膝関節側面に1本ずつ、計2本設置されている。
本来の主用途は防御用で、プラズマフィールドを形成する事により空力・姿勢制御も行える兵装だった。
が、本機の場合は姿勢制御のサブスラスターとしての機能のみを活かしている。

  • 20mm機銃
唯一の固定装備。
通常のフラッグのものと変わらず、ミサイル迎撃や威嚇射撃、対人戦闘等が主用途。



劇中の活躍

ソレスタルビーイングの傀儡ではなく、自分自身で確立した意志と信念に基き、
破壊者として戦い続けると覚悟した刹那・F・セイエイアルヴァアロン撃破直後、彼のガンダムエクシアの前に突如現れ攻撃を仕掛ける。
アルヴァアロン戦までの連戦で体力消耗著しく、エクシアも『セブンソード』のうちのGNソード以外の武装を全て使い切っていた上、
トランザム直後のパワーダウン状態という、エクシア(刹那)にとっては最悪の状況での乱入者であった。

歪極まりない改造が施されたこの機体は、刹那が生み出した歪みの象徴でもあり、同時に破壊者として活動を続ける限り突き付けられる限界の具現でもあった。

貴様は歪んでいる!

そうしたのはキミだ!ガンダムという存在だ!
だから私はキミを倒す!世界などどうでもいい!己の意思で!

貴様だって世界の一部だろうに!

ならばそれは世界の声だ!

違う!貴様は自分のエゴを押し通しているだけだ!
貴様のその歪み…この俺が断ち切る!

よく言った!ガンダム!


自分が育てたフラッグが飛べる空も、仲間も失い、ただガンダムと戦うことを優先するグラハムと、
そんな彼を切り捨てるべき歪みとしか認識しなかった刹那は、双方ボロボロになるまで斬り合い、殴り合う死闘を繰り広げた末、相討ちとなり大破した。

その後、地球連邦発足後、軍を離れていたビリーの復帰により旧ユニオン開発チームの活動が本格化。
開発系統は厳密には異なるが、本機の後継機としてマスラオが開発された。



関連機体

グラハム専用ユニオンフラッグカスタム

ベース機。

GN-X

ユニオンに提供された初期ロット10機の内1機の疑似太陽炉がGNフラッグに移植された。

ガンダムスローネアイン

グラハム専用フラッグカスタムとの戦闘でプラズマソード二刀流で弾かれたサーベルを奪われて右腕を切り落とされており、奪取・解析されていたサーベルがGNフラッグに移植された。

マスラオ/スサノオ

グラハ……ミスター・ブシドーの要望を取り込んで開発された、事実上の後継機。



立体化

◆フィギュア

ROBOT魂から発売。2ndシーズンのMSが中心の立体化で1stシーズンのMSの数少ない立体化である。
理由はROBOT魂の開発スタッフが「1stシーズンの最終回を見ていて格好良さに惚れ込んだから」らしい。
本編では装備していないリニアライフルが付属しており、フラッグの変形機構が元々シンプルなため、飛行形態っぽい状態にできなくもない。
GNフラッグの立体物はこのROBOT魂のみであったが、後に食玩として発売された。



ゲーム

◆機動戦士ガンダム00 ガンダムマイスターズ

グラハムのプレイアブル機体として参戦。
高速回転しながら突っ込んだり、華麗な回し蹴りを連続でバンバン決めたりとパイロットが壊れるんじゃないかと心配になるほどアグレッシブな動きをする。


SDガンダムGジェネレーションシリーズ

『ウォーズ』にて「GNフラッグ」の名前で登場。
武装が20mm機銃と大出力GNビームサーベルの二種類のみ。
だが機動力、移動力共に高く、耐ビームコーティング装備。更にGNビームサーベルは射程が1〜3有り威力も高いので使い勝手は悪くない。
『オーバーワールド』では、とうとう機銃すら取り上げられてGNビームサーベルオンリーというマジキチ果てしなくエレガントな機体と化した。
『クロスレイズ』では機銃が復活したもののビームサーベルが射程1に弱体化してしまった。


◆ガンダムアサルトサヴァイブ

機動力はユニオンフラッグを上回っているが、攻撃力はフラッグに毛が生えた程度。
設定にならってGNビームサーベルの威力が元の持ち主(ガンダムスローネアイン)より高い……が、それ以外は元のフラッグ以下。
グラハムらしい趣味機体ではあるが、使って見せてこそ真のフラッグファイターだろう。


スーパーロボット大戦シリーズ

『第2次Z破界編』にて、敵専用ユニットとしてグラハムが乗ってくる。
本編通りGNビームサーベルしか使ってこず、ステージは「エウレカセブン(劇場版)」なのでイマージュ等もいるのだが、
それらはおろか、自軍の他ユニットもガン無視して刹那のエクシアのみを狙ってくる。
グラハムの能力が高いので結構な強敵になる…と思いきや、擬似太陽炉を載せている所為で刹那のAB「太陽炉搭載型、若しくはガンダムタイプへのダメージ1.5倍」が適用されてしまう為、
刹那の撃墜数が規定値を超え、エースボーナスを発揮している場合、あっさり倒せたりする。




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最終更新:2024年03月27日 19:37

*1 そのため容姿が通常のフラッグと若干異なっており、後継機のブレイヴに似ている

*2 設定考証スタッフによれば、「GNドライヴを旧世代機に搭載した稼働実験に於いては、フラッグの場合、フレーム強度からして空中分解する事もあっただろう」と言及されている。