マチェーテ(映画)

登録日:2012/07/07(土) 21:59:33
更新日:2024/03/03 Sun 00:32:30
所要時間:約 7 分で読めます






マチェーテ やればできる




『マチェーテ』とは2010年9月3日に公開されたアメリカン・バイオレンスアクション映画。
監督は名作『デスペラード』や『スパイキッズ』シリーズで有名なロバート・ロドリゲス氏。

因みに題名であり、主人公のあだ名(?)でもあるマチェーテとはのスペイン語(特にメキシコ)での表現である。



話の大筋としてはかつてメキシコの巨大麻薬組織の手により全てを失い、今はアメリカ南部テキサスの街で日雇い労働者に身を落とした主人公がふとしたきっかけからその組織に復讐をしていく…と言う、この手の映画に良くありがちな流れ。

だがこの映画のトピックは何と言ってもこの一点。










大事な事だからもう一度言おう





あのスティーヴン・セガールが悪役





…なのである。

しかも役職も上記の麻薬組織のドンで当然ラスボスと、これまで正義と家族と友人の為に悪党にとっての歩く死亡フラグとなっていたイメージの強い人からすれば、また違った一面のセガールを知る事が出来るだろう。

他にもミシェル・ロドリゲスやロバート・デ・ニーロと言った知る人ぞ知る怱々たる人物達が参加しているので、少なくとも見て損は無い。

だがバイオレンスアクションと言うジャンルが故、のっけからゴアなシーンが多々あり、




  • 一度に四人の首チョンパ
  • リアル十字架の刑
  • 相手の腹をかっさばいて腸を引き擦り出し、ロープ代わりにして窓からジャンプ




…と、二次元であっても思い付かないだろうとんでも無い描写もある反面




  • マ〇コから携帯を取り出す
  • 金髪巨乳の裸体を惜し気も無く晒す
  • パッキンダイナマイト母娘丼




…と、思わず我々のマチェーテがいきり立ってしまいそうなシーンも数多い。




  • ストーリー

主人公・マチェーテはかつてはあだ名の由来である鉈の使い手として、犯罪者を草を毟るが如く狩る凄腕の連邦捜査官だった。
だがその強い正義感が故に、ある時メキシコの麻薬王トーレス率いる組織と衝突した結果目の前で妻娘を惨殺されてしまう…

それから三年。
かつての凄腕捜査官は故郷メキシコを離れて、そことアメリカ・テキサス州とのとある国境沿いの街で不法移民の日雇い労働者として全てを諦めて暮らしていた。

そんなある日の事。
仕事を探しに来ていた彼はとある男に声を掛けられる。

身なりの良いその男は名をブースと言った。

そして彼から持ち掛けられた話とは、徹底的な不法移民嫌いで知られるマクラフリン上院議員の暗殺…
半ば脅しに近い形で狙撃銃を渡され引き受けたマチェーテだったが、いざ実行に移そうとした瞬間彼を貫く一発の銃弾。

それは最初から彼に全ての罪を着せて葬ろうとした、ブースの策によるものだった。

それに気付いたマチェーテは傷付いた身体で必死に逃亡を図り、迫る法の手を潜り抜けながらブースへの復讐の機会をうかがう。

そしてブースの背後には、かつて己が全てを失うきっかけとなった『あの組織』の影がちらついていた…





  • 主な登場人物紹介



  • マチェーテ

ダニー・トレホ演じる物語の主人公。

どう見てもこっちの方が悪役面だが気にしてはいけない。
演者は罪歴持ちの元ガチ囚人だが。*1

かつては凄腕の捜査官として鳴らしていたが、今ではほぼ世捨て人。
強面に加えドライな所もあってか初対面では取っ付きづらい印象を受けがちだが、実際には義侠心と正義感に溢れる好漢、そして紳士。
言動が時々可愛いオヤジである。
「マチェーテ、メールしない」

尚、ダニー・トレホは10代から刑務所暮らしだが、将来の夢はプロボクサーで、刑務所の中でボクシングのチャンピオンになっている。
色んな意味でセガールに勝るとも劣らない。

  • サルタナ

本作のヒロインでI.C.E.(移民・関税執行局)の女性捜査官。

故に不法移民の多いこの街においては鼻摘まみ者扱いされており、自身も先祖にメキシコ移民が居ると言うだけで付かされた今の仕事には不満を抱いていた。

そんなある日(実際は違うが)マチェーテが事件を起こし、彼を捜査していく内に彼女も騒動に巻き込まれていく事になる。

因みに演者はファンタスティック・フォーの一人。



  • マクラフリン上院議員

本作のメイン悪役の一人。

演者は言わずもがなハリウッドの重鎮。
不法移民に対して徹底した弾圧を行う事で知られ、街の治安の悪さは全てそれらにあると断じて国境に高圧電力を流した巨大な柵を張り巡らすと言う構想をぶち上げ高い支持を集める一方、裏では差別思想主義の白人自警団と繋がり夜に紛れて不法越境してくるメキシコ人達を『狩り』と称して撃ち殺す外道。
話が進むにつれ見る見るうちに小物化していき、最終的には自警団の方から手を切られてしまうハメになる。



  • ルース

マチェーテの数少ない友人である、タコス売りのメキシコ人女性。
だがその正体はメキシコからの不法越境を手助けする組織のリーダーである。

事件後傷付いたマチェーテをいち早く匿い、治療や武器の隠し場所を教えるもその事を嗅ぎ付けたブースの放った殺し屋により自宅は爆破され、彼女も射殺された…かと思いきやしっかり生きていて、終盤では眼帯を付け組織の仲間を引き連れてマチェーテの援護に駆け付けた。

演者は『アバター』や『ワイルド・スピード』にも出演している。



  • マイケル・ブース

本作のメイン悪役の一人であり、実はマクラフリン上院議員の補佐官を務める妻娘持ちの男。
マチェーテを利用したのも不法移民である彼に議員を狙わせる事で同情票を集めてその力を強め、それを背景に繋がりを持つトーレスの麻薬組織のアメリカ本格進出を手助けしようとしていた。
だが次第に自分が仕える主の思想と、組織の思惑との板挟みとなっていく。

自分の娘に対してちょっと危ない思いを抱いてる模様。

演者は兄弟が12人もいる。



  • エイプリル・ブース

本作のエロシーン担当
マイケル・ブースの娘であるが、その性格は悪い意味でのアメリカ人女性気質。
親の金でヤクをキメまくるジャンキーであり、終いには自宅のプールで母親を誘ってエロビデオを録ろうとする等奔放の極みを見せる。
(母親も母親で咎めるどころか寧ろノリノリだった。正にこの親にしてこの娘あり)

その最中に敷地の中へ忍び込み、たまたまプールサイドにやって来たマチェーテによって母娘丼にされそのまま(で)拉致。
そして一部始終を捉えたビデオはマイケルへの挑発として使われる事になる。

演者はかつて『世界で最もセクシーな人物TOP100』の一位に輝いた事がある程。
納得である。



  • パードレ

マチェーテと同じく元連邦捜査官であり、そして彼の『聖なる兄弟』(自称)

現在は街のカトリック教の教会で神父をし自らを『に仕える身』だと言いながらもマチェーテがやって来た時は霊柩車を貸す等割と協力的だったり、それに乗せられて拉致られてきたブース母娘の裸体まじまじと眺めていたり、更に神聖なる教会の中にショットガンなんて物騒な物を隠し持っていたりと本当にそうなのか疑わしい。
終盤でマイケルとその部下達の襲撃を受け、奮戦するが…

演者は『ゴーストバスターズ2』等や『カーズ』にも声優として出演している。



  • トーレス

本作最大の悪役。
演者が演者なだけに、今までの連中とは明らかに違う正に『犯罪組織のボス』と言う風格を醸し出している。

マチェーテから全てを奪った張本人。
己の『ビジネス』の拡大のためにマイケルと手を組み、テキサスとの国境を麻薬の一大流通路にすべく裏から指示を出して暗躍するもマイケル側が不手際の連鎖を引き起こす。
更にはそれにマチェーテが関わってる事を知ると、因縁を感じた彼は自ら部下を率いて乗り込んでくる。

終盤では大小の日本刀二刀流で用いて、マチェーテの振るう特製の鉈と切り合いを演じた。






ちなみにクエンティン・タランティーノとの合作映画『グラインドハウス』で、彼の作品『プラネット・テラー』の上映前に今作の嘘予告が挿入されていた。
それが数年後にこうして実現した形となっている。
そして、続編も・・・





追記・修正は相手の腹をかっさばいて腸を引き擦り出し、ロープ代わりにして窓からジャンプした人がお願いします。



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最終更新:2024年03月03日 00:32

*1 彼は幼い頃から周囲に麻薬中毒者や武装強盗団たちのいる環境で育てられ、12歳でヘロインに手を出し、15歳で初めて刑務所に入ったという。その後もグレまくった生活を続け、23歳の時には、おとり捜査中の捜査官に3万ドル分のヘロインを売った罪でサン・クエンティン刑務所に投獄されている。