マスク(映画)

登録日:2010/03/25 Thu 17:03:55
更新日:2024/02/23 Fri 06:57:31
所要時間:約 7 分で読めます





THE MASK


『マスク(The Mask)とは、アメリカのダークホースコミックス*1の同名漫画を原作とするスラップスティック・コメディ映画。
1994年7月29日にアメリカで公開、日本では翌年2月25日にギャガ=ヒューマックス(現・ギャガ)配給で公開された。

原作のマスクはサイコホラー的な要素を含む作品だったが、サタデー・ナイト・ライブ(SNL)の出演コメディアンであり、既に幾つかのコメディ映画で注目されていたジム・キャリーを主演に据えたかこともあってか、ジムの芸風に合わせた明るい作風に変えられた。

マスクも原作の残酷な面もあるダークヒーローではなく、ちょいワルヒーロー程度にアレンジされており、アニメ化されたり、93年に途絶えていた原作が本作の路線で95年から復活してたりする。

製作途中の段階で目玉や心臓が飛び出したり、竜巻のように回転したりと漫画のような演出をVFXで表現した映像が公開されて話題を呼び、実際の映画も世界中で大ヒットを記録し、当時のアカデミー賞の視覚効果賞にノミネートされた。

これによって、ジム・キャリーは世界的な知名度を獲得すると共にトップクラスのスターにのし上がり、(当時は若干21歳でド新人にもかかわらず)ヒロインに抜擢されたキャメロン・ディアスも抜群の存在感を見せつけて若くしてスターの仲間入りをした。

日本語吹き替えも豪華声優陣。字幕版だけでなく吹き替え版も視聴することをおすすめする。
ただし、吹き替えについてはTV初放送された日本TV(いわゆる金曜ロードショー)版が主演の山寺宏一はソフト版と同じものの、共演者や台詞のはっちゃけ具合から、知ってる人間にとってはソフト版より人気が高く、「こちらもソフト版に収録して欲しい」との声も。

大ヒット作で続編も期待されながら長い間かなわなかったが05年に『MASK2』が製作された……が、第1作の足下にも及ばない大凡作となってしまった。ぶっちゃけ黒歴史


●あらすじ

銀行マンのスタンリー・イプキスは冴えないお人好しでツイてない毎日を送っていた。
ある日、彼は溺れた人間と勘違いして河で木製のマスクを手に入れる。

それを顔に付けると、緑の竜巻と共に型破りの魔人、マスクに変身!
本人の過剰な本性と、マスクの超強力なパワーで、歌姫のティナにアタックするが……


●登場人物(俳優/日本TV版吹き替え)
本作主人公。人の好さが災いしやること為すことが失敗ばかりの冴えない銀行員。
口うるさい大家がいるアパートで愛犬マイロと暮らし、アニメ鑑賞が少ない癒し。でも夜中なんだし音量は下げようね。
しかしマスクを拾ったことで自分の奥底に眠る欲望、そして大騒動に巻き込まれていくことに……

引っ込み思案な性格だが、同時に「思慮深い」「思いやりがある」ことにもつながる性格であり、人柄の誠実さは本物。
一方でマスクの影響からか、次第にマスクを外していても大胆な行動を取るようになっていく。

ジム・キャリーのパフォーマンスと当時最先端のCGIの見せたアニメーションの相乗効果は凄まじいものがあり、現在でも語り種になっている。
元々、声質が似ていることもあってか吹き替えはソフト版でも金ロー版でも山ちゃんが担当。
台詞回しの違いはあるものの、どちらも山ちゃんの演技の広さが光る。山ちゃんは日本では10話のみ邦訳されたアニメでもスタンリー・イプキス/マスクを演じている。

  • ティナ・カーライル(演:キャメロン・ディアス/吹替:井上喜久子17歳
本作ヒロインでありクラブ「ココ・ボンゴ」の歌姫。
ドリアンの愛人であるがマスクの強烈(すぎる)アプローチで彼に惹かれていくように。
スタンリーに対しても「仕事真面目」「誠実な人」と高評価で、天然ボケ気味なれどマスクの正体にも気付き、仮面の奥のスタンリーの優しさを感じとった。

  • マイロ
スタンリーの愛犬。犬種はジャック・ラッセル・テリア。
遊び盛りで小ボケをかますこともあるが中々賢く、朝にスタンリーを起こしたり部屋の鍵を探したりとまさに名犬。
中盤でスタンリーが逮捕された際は留置所まで走って追いかけるほど。健気なワンちゃんである。

  • チャーリー・シューマーカー(演:リチャード・ジェニ/吹替:大塚芳忠
スタンリーの友人。彼とは対照的に社交的で軽い性格。
しかしスタンリーは大事な友人として交流しており、作中で手助けする場面も。

  • ペギー・ベラント(演:エイミー・ヤスベック/吹替:高島雅羅)
マスクの引き起こす事件を追う若き女性記者。
早々にマスク=スタンリーと見抜き、彼に接触することに。
内気な性格で悩む彼を励ますなど気があるような様子も見せていく。そしてスタンリーがケラウェイ警部に捕まりそうになった時には自動車で逃走を手助けするが……
+ ...
実はギャングであるドリアンと繋がっており大金と引き換えにスタンリーを引き渡した。
一応「手は出さない約束」で協力していたらしいが、スタンリーにしてみればまあ大した違いはない。
劇中にて、ドリアン初変身のくだりからは全く顔を出さなくなるが、DVD収録版の追加シーンではマスクを被ったドリアンに殺されるシーンが収録されている。インガオホー!

  • ドリアン・タイレル(演:ピーター・グリーン/吹替:大塚明夫
「ココ・ボンゴ」の従業員にして、ギャングの首領であるニコの手下。本作のヴィランである。
暴力的で嫉妬深く、何事も自分の思い通りにならないと気が済まない性格。さらにその生意気な態度を隠そうともしない。
前々からボスであるニコを始末し、ティナも自分のものにせんと画策していたが、かねてから資金調達のために計画していた銀行強盗を邪魔されたのをキッカケにマスクの存在を知り、行動に出る。
”協力者”の存在もありスタンリーからマスクを奪うことに成功、最悪の魔人が誕生する……*2

  • ミッチ・ケラウェイ(演:ピーター・リーガート/吹替:若本規夫
マスクによる事件を追う警部。良くも悪くも正義感溢れる性格で融通が利かない。
マスクの能力で警官たちが無力化される中、彼は最後まで正気を保つなど中々すごい人物。
日本TV版では若本声と台詞のセンスの良さが光る。

  • ドイル刑事(演:ジム・ドゥーハン/吹替:安西正弘)
ケラウェイ警部の相棒。堅物なケラウェイ警部と違って、こちらはどことなく情けない暢気な人物。
中盤のダンスシーンでは案の定、他の警官たち同様ダンスに加わろうとしていた。

  • ニコ(演:オレステス・マタセーナ/吹替:麦人
ギャングのボスで、クラブ「ココ・ボンゴ」のオーナー。
ドリアンにとっては目の上のタンコブだが、ニコにとってもドリアンは目に余る部下だった模様。
(ドリアンの詐欺行為が原因で)店が警官の摘発で営業停止処分を喰らったことから「一週間以内に町を出ていけ」と脅した。
終盤で魔人マスクと化したドリアンに店を襲われ、銃撃するも弾丸をお返しされて死亡。

  • ピーンマン夫人(演:ナンシー・フィッシュ/吹替:青木和代)
スタンリーのアパートの大家。夫人とあるが夫は出てこない。
口うるさい性格だがそれ以上にスタンリーとは人として相性が悪そうに見える。
マスク化したスタンリーと遭遇するや否や大声で驚いたものの、即座にショットガンを持ち出してぶっ放した。自分も住んでいるアパートだというのに結構物騒な人である。

  • アーサー・ニューマン博士(演:ベン・スタイン/吹替:上田敏也)
古今東西の仮面に関する研究の第一人者。
彼が出演しているテレビ番組を見たことがきっかけでスタンリーはマスクを被ることになった。
彼の見立てではマスクは4~5世紀頃の北欧で作られた、北欧神話のロキを模したものではないかと推測されている。
恐らく唐突に来訪したであろうスタンリーに対しても無下にせずに説明し、(頭おかしい人だと思ってか)「医者に診てもらった方がいい」とアドバイスした。


◆マスク
スタンリーが河に浮かんでいたカカシ(というかゴミの寄せ集め?)を溺れた人と勘違いして発見したもの。時折顔に触れる側の面が謎の光沢を放つ事もあるが、通常は何の変哲もない木製の仮面である。*3
しかしひとたび顔に当てるとゴムでもこうはならんだろうというくらい激しく伸び縮みし使用者の顔を覆ってしまう。
そして緑の竜巻とともに回転し、それが消えると首から上だけ緑色で無駄に濃い顔立ちの魔人マスクに変身する。

装備者に超人じみた身体能力と摩訶不思議な特殊能力───ハチャメチャでなんでもありなカートゥーンキャラのような力を与え、同時に深層心理の欲望を刺激する謎のアイテム。
事実内気だったスタンリーは、初めてマスクに変身した途端小言のうるさい大家をおちょくり、通りすがりのゴロツキ達をバルーンアートから実物化したトミーガンで追っ払い、代車と称してスクラップ寸前のボロ車を貸した悪徳自動車工場*4の従業員のケツを特大マフラーでアッー!したり……と人が変わったようになる。コメディチックな描写で大暴れするその姿は笑うこと間違いなし。
特殊能力も様々で、無から多様な物品を取り出したり一瞬で早着替えしたり、自分の歌や踊りで周囲の人間を操ってノリノリで参加させたり、果ては第4の壁を破壊して授賞式をおっぱじめちゃったり。
ただし、昼間に被っても何も起こらなかったため、スタンリーは「夜の神は夜でなきゃダメだ」と考えた。現にドリアンも夜になってからマスクを被っている。
なお、実は人間でなくとも装着できる。この事がスタンリーの危機を救う事になる。

裏設定では北欧時代にヴァイキングによりアメリカ大陸へ封印されたことになってる。
その後本編OPで河川調査作業員が鎖で巻かれた箱を発見、その際に偶然の事故で箱が開いてしまい再び世に解き放たれることになる。
ちなみに調査員は開く原因となる事故(吊るしていたパイプが河に落ちる)に巻き込まれているが、安否について何も触れられなかった。不憫。


とにかく歌のノリが良く、クラブでの「Hey Pachuco!」やルンバのリズムで警察達と踊る「CUBAN PETE」のシーンは一見の価値あり。
♪チク・チキ・ブン チク・チキ・ブン チク・チキ・ブン♪




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最終更新:2024年02月23日 06:57

*1ヘルボーイ』や『シン・シティ』と同じ出版社。

*2 ちなみに、映画以前の原作のマスクは、こっちのヴィランバージョンに近いとの声まである。

*3 とは言え、スタンリーに一度ベランダから放り捨てられたが即座にブーメランのように部屋の中に戻ってきたため、少なからず意思を持っているように思える。

*4 ちなみにこの工場は『ゴーストバスターズ』で使われたビルと同じとのこと。