ショーシャンクの空に(映画)

登録日:2012/10/01(月) 21:09:37
更新日:2024/03/17 Sun 13:35:07
所要時間:約 6 分で読めます






「希望は、誰にも奪えない」


『ショーシャンクの空に(The Shawshank Redemption)』とは、1994年に制作された米映画。
ジャンルはヒューマンドラマ。

【概要】


主にホラーの大家として知られる米作家スティーヴン・キングの人間賛歌を謳った中編小説『刑務所のリタ・ヘイワース』をフランク・ダラボンが脚本化。
映画会社の薦めもあり、ダラボン自らがメガホンを取る事で映画化された。

公開当時は同年公開の数々の話題作(『フォレスト・ガンプ 一期一会』『スピード』…etc.)の影に隠れてしまい、配給収益は赤字になってしまった。
しかし、その後のソフト版の普及により練り込まれたストーリーと深く心に突き刺さるメッセージ性が高く評価され、隠れた名作の代名詞的タイトルとなった。

現在ではダラボンが当代を代表する名匠としての地位を築き上げた事もあり、映画史に残る不朽の名作、感動作として知られているものの、
噂が広がるまでは「映画ファンを名乗るなら当然知っていなければならない映画」…として、にわかに対する踏み絵的な扱いを受けていた時代もあった。



元々、キング作品を題材にしたホラー映画等で脚本化を担当していたダラボンが同様に脚本化して制作会社に回した所、その余りの内容の素晴らしさからダラボン自身が監督をする事を薦められ、そのまま映画化と監督デビューが実現する事になった(TV作品では監督経験があった)。

興行自体の収益は前述のように残念な結果に終わっているが、映画自体の評価は当時から高く、アカデミー賞を始めとした各映画賞にノミネートされている他、日本でも批評家(おすぎ)から太鼓判を押されていた。

ソフト化により、高い認知と収益を得た事により確固たる地位を築いたダラボンは99年に同じキング作品を題材とした『グリーンマイル』、01年には『マジェスティック』と本作から始まる感動三部作を完成している。

07年にはキング作品の再度の映画化で、ホラーとヒューマンドラマをミックスした傑作『ミスト』を発表……映画史に残る衝撃のラストを作り上げている。

本作でも初監督作品ながら、後の作品に通じる淡々としながらも細やかな人物描写を重ねる演出を見せており、実力派の俳優陣の演技がそれを支えている。

尚、原作からの変更点は全てダラボンによる感性から生み出されており、キング原作の映画化作品としては『スタンド・バイ・ミー』以来の一級の人間賛歌を描いた名作として、人によっては『スタンド・バイ・ミー』をも超える評価を与えられている。

【物語】


……1947年。
若くして銀行の副頭取を務めるアンドリュー(アンディ)・デュフレーンは、妻と不倫相手のゴルファーを殺害した容疑により、冤罪にもかかわらず、二重の終身刑を課せられ「ショーシャンク刑務所」に収監される。

当初は、なかなか周囲と打ち解けられなかったアンディだが、刑務所の古参で調達係の“レッド”と知り合いになった辺りから、徐々に自分の居場所を見つけていくのだった。
……一方、アンディに淫らな目を向ける同性愛グループにより連日の様にレイプや暴行を受けていたアンディだが、レッドの配慮により解放的な屋外での施設の屋根の修復作業中に、銀行員としての知恵を活かし囚人達から恐れられる暴力刑務官の助けとなった事を契機に、刑務所内での存在感を増していくのだった。

所長や刑務官の財政面の悩みを引き受ける一方、レッドを始めとする仲間達の生活を改善する活動を進めていくアンディ……。

所長にとっても、囚人達にとってもアンディの存在が無くてはならないものになっていた1965年。

……アンディの冤罪事件の真犯人を知るトミーと云う若い囚人の登場により、危ういバランスで平穏を保っていた「ショーシャンク刑務所」の生活が崩壊する事になるのだった。

……そして、運命の1966年がやって来る。

【登場人物】


※吹替はソフト版

■アンディ・デュフレーン
演:ティム・ロビンス
声:大塚芳忠
冤罪で捕まった若い銀行家で、物静かながら高い知性と強い意志を持つ男。
鉱物を加工しチェスの駒や小物を作るのが趣味で、地質学にも造詣が深い。
原作タイトルの『刑務所のリタ・ヘイワース』は彼がレッドに依頼して入手した女優のポスターから。
銀行家としての知識を活かし、所長の所得隠しに協力させられる。
原作では小柄な人物とされるが、ティム・ロビンスはレッドの台詞にある様にかなりの長身である。


■エリス・ボイド・"レッド"・レディング
演:モーガン・フリーマン
声:池田勝
本作の語り部で、20年(最終的には40年)近くも「ショーシャンク刑務所」で過ごして来た老年の男。
希望に応じて様々な物を外部から入手して来る調達屋で、アンディと最初に親しくなる。
原作ではアイルランド人で本当に赤毛(レッド)なのが名前の由来。
……物語の終盤、遂に仮釈放が許可され娑婆に出されるが……。


■サミュエル・ノートン刑務所長
演:ボブ・ガントン
声:仁内建之
「ショーシャンク刑務所」の所長で、聖書の言葉を語る一方、金銭面に執着を見せる汚い男。
アンディの能力に目を付け、自分の子飼いにする。


■バイロン・ハドリー主任刑務官
演:クランシー・ブラウン
声:田中正彦
苛烈な暴力により囚人達に恐れられる所長の腹心。
偶然から妻に転がり込んだ資産を巡りアンディに助けられた事から、彼の価値を所長らに伝えた張本人。


■ヘイウッド
演:ウィリアム・サドラー
声:江原正士
囚人仲間の一人で、お調子者の陽気な男。
中の人は『ミスト』等でも印象的な役を演じていたダラボン作品の常連さん。


■トミー・ウィリアムズ
演:ギル・ベローズ
声:真地勇志
65年に「ショーシャンク刑務所」に収監されて来た若い囚人。
窃盗の常習犯で、州内の刑務所の殆どに入っているらしい。
当初は反骨精神を剥き出しにしていたが、妻子の為にアンディに習い教育を学ぶ。
本作最大のキーパーソンで、企画段階ではブラッド・ピットにオファーされる予定だったらしい。


■ボッグス・ダイアモンド
演:マーク・ロルストン
声:金尾哲夫
アンディを狙った同性愛グループのリーダーで、仲間と共に日常的に彼に暴行を加えていた。
性的行為に及べなかった事でアンディを半殺しの目に遭わせるが、それがアンディを利用しようとする面々の怒りを買い、ハドリーに散々叩きのめされた末に、半身不随の身で刑務所から出される事になる。


■ブルックス・ヘイトレン
演:ジェームズ・ホイットモア
声:宮田光
「ショーシャンク刑務所」で50年も服役して来た老人で、巣から落ちたカラスを育てていた優しい男。
物語の中盤で仮釈放の身となるが、彼が刑務所に居る間に世間では余りにも時間が進み過ぎていた……。


【余談】


  • 原作版は日本では中編集『恐怖の四季』に収録されている。
当時のキングにはホラー作家のイメージしか無かった為に、こんな邦題になってしまったとのこと。
なお、原作版は同書収録の『死体(スタンド・バイ・ミー)』他と世界観を共通しており、アンディの妻を殺害した真犯人は弁護士になったクリスを殺した犯人と同一人物である。

  • Mr.Childrenの楽曲『one two three』の歌詞に当タイトルが歌われている。

  • フリーゲームSeraphic Blue』(セラフィックブルー)に、「クナース・ワース」という本作が元ネタとなった、内容そのままの小説が登場する。
    (クナース・ワース=Knahs Wahs=ショーシャンク(Shawshank)の逆読み)
本作のブルックス(老司書)のエピソードに焦点が当てられており、
『Seraphic Blue』のある登場人物に重ね合わせて、やがて自由となる身に何が起こるかが問いかけられている。
“自由”は“彼”に何を与えたのだろうか。やはり何も与えなかったのか。それとも逆に何かを奪って行ったというのか。


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最終更新:2024年03月17日 13:35