ギャオス(平成シリーズ)

登録日:2010/03/11 Thu 21:46:26
更新日:2024/04/09 Tue 10:59:16
所要時間:約 4 分で読めます







朱鷺は人を喰いませんよ。


ただの鳥じゃなか!翼長約15メートル!
しかもこいは、人ば襲う!




ギャオスとは怪獣映画『ガメラ』シリーズに登場するコウモリ型の怪獣である。

この項目では平成三部作シリーズに登場したギャオスを取り上げる。
そのため個人製作の続編『ガメラ4』や世界観の異なる『小さき勇者たち』、検索候補にやたらと割り込んでくるタレントの『ギャオス内藤』関連の情報はこの項目では取り上げない。




【超遺伝子獣 ギャオス



身長:85メートル
翼長:185メートル(幼体時は約15メートル)
体重:75トン
飛行速度:マッハ4.2以上
主な武器:口から吐く「超音波メス

ガメラ 大怪獣空中決戦』に登場。
赤褐色の巨大な翼をもった怪獣で、矢じりのような形状の頭部が特徴的。
その容姿から劇中ではよく「鳥」と呼ばれているが、「鳥じゃありません! 羽毛がなくて牙がある、あんな鳥はいません!!」と言われたように、どちらかと言えば蝙蝠に近い特徴をもつ。
見かけに違わず凄まじい飛行能力をもち、戦闘機どころかミサイルにも匹敵する超音速飛行が可能。
孵化直後は強い光が苦手で、夜間か夕暮れ時にしか活動しない。

最大の武器は、超音波を収束させて口から放つ「超音波メス」。
その威力は幼体時でさえ、鉄の檻をやすり掛けしたかのようなキレイな断面でスッパリ断ち切る程。
劇中の描写ではレーザー光線の様な印象を受けるが、実際には音(空気の振動)の衝撃波による攻撃のため、音の速度を超えて飛行中や空気の無い真空中では使えないという欠点をもつ。
超音速飛行が可能なギャオスにとって宝の持ち腐れのようにも思えるが、後述するギャオスの生存戦略的には致命的な欠点とは言い難い。

習性は極めて凶暴かつ残忍。肉食で人間・牛・馬・犬、さらには食い物が無ければ仲間のギャオスですら平然と共喰いする。
そのため、一見動くモノには見境なく襲いかかる血に飢えた野獣のように思えるが、実際は高い知能に裏打ちされた優れた状況判断力を持つ。
劇中で散々見せた「逃げるモノは追い、追ってくるモノからは逃げる」という行動にそれがよく表れている。
ギャオスが本気で逃げれば音速の4倍超というスピードに、敵は攻撃どころか追いつくだけでも困難なことを知っているのだ。
無論逃げてばかりではなく、あくまで自分が勝てない土俵には決して上がらないだけ
逃げている最中も突ける隙は抜け目なく突いてくる上に、勝てると判断すれば積極的に攻勢に出るなど、いやらしく狡猾な性格をしている。

総じてかつての昭和ギャオスをより生物的にした設定であり、昭和版にはあった「火災を消す煙」「光る頭頂部と耳」といった明らかに「なんじゃそりゃ」と言われそうな能力はオミットされた*1ついでに人間をお行儀よく手掴みで食べたりもしない。
また昭和版は太陽光に含まれる紫外線が致命的な弱点だった*2のに対し、平成版は単に強い光で目が眩むだけであり、成長に伴い克服もしている。

鳴き声は基本的に猛禽類のような平成ギャオスオリジナルの鳴き声を発するが、富士樹海で成長を遂げ雄叫びを上げるシーンなどでは昭和ギャオスと同じ鳴き声が流用されている。



【劇中の活躍】

□災いの影

長崎県の五島列島に属する小さな島、姫神島の洞窟内に産み落とされていた卵から孵化。
5羽が孵化したが、2羽は孵化直後に共喰いで仲間に殺害されている。
姫神島の島民によって発見され、九州大学の平田准教授率いる調査隊が向かうが、嵐の夜に島民17人共々捕食し全滅させた。
翼長15メートルにまで成長し、周辺の島々にまで食指を伸ばし始めたところで、安否確認のために姫神島へ上陸した大迫警部補率いる長崎県警と鳥類学者の長峰により確認され、存在が公になる。
この時、行方不明になった長峰の恩師・平田の眼鏡と万年筆が、ギャオスの吐き出したペリット(未消化物)から発見されるシーンは結構衝撃的。
また、長崎県警のヘリに接近したところを長峰のカメラのストロボの光で撃退されたことで強い光が苦手であることも判明。
その後は、自衛隊の監視下に置かれる。


日本政府は発見された「鳥」を希少生物として保護すべく、捕獲を決定。
やめときゃいいのにと思いつつも 長峰は福岡ドームへ誘導し、閉じ込めてから捕獲する計画を発案。
計画は順調に進み、3羽のギャオスをドーム内へ誘導することに成功するも、ドームの屋根が閉まりきる前に狙撃班が麻酔弾を発砲。
1羽はその場で昏倒させることに成功するが、もう1羽はドームから逃走。
最後の1羽はプレーヤーズベンチに陣取る狙撃班と長峰に猛然と襲いかかるも、照明の一斉照射で怯んだ隙に昏倒させられた。
一方、ドームから脱出した1羽は海上へと逃亡しようとするが、その前に海中から突如としてガメラが出現。
不意を突かれて逃げる間もなく、ガメラの掌底でコンビナートに叩きつけられ爆死する。
そのまま福岡に上陸したガメラは福岡ドームに囚われた残りの2羽へと迫る。
ガメラがドームを破壊する音で麻酔から目覚めた2羽は、超音波メスで鉄の檻を切断し逃亡。ガメラも飛翔してその後を追うのだった。

──最後の希望・ガメラ、時の揺りかごに託す。
災いの影・ギャオスと共に目覚めん。──

ガメラの背に隠されていた古代の碑文の記述から、災いの影と称されたギャオスこそが「鳥」の正体と判明。
以降は、日本政府も「鳥」を「ギャオス」と呼称することを決定し、マスコミに周知する。


しかし日本政府は、ギャオスとは比べ物にならない巨体を持ち、福岡市街地に多大な破壊の惨禍をもたらしたガメラの方を危険視する向きが大きく、ギャオスへは捕獲・保護の方針を維持しつつもガメラへは武力攻撃による排除を決定する。

□急成長と明かされる真実

長らくガメラ共々行方をくらませていたが、ガメラが瀬戸内海より飛翔したのと時を同じくして木曽山中に出現し、小さな村を襲撃*3
調査に来ていて逃げ遅れた長峰とそれを助けようとする米森に襲いかかるが、そこにガメラが出現。
ガメラが放ったプラズマ火球が直撃し、2羽目が爆死。
最後の1羽は超音波メスでガメラに手傷を負わせ、再び逃走。ガメラも飛翔して追撃を開始する。


駿河湾上空で追走劇を繰り広げるが、その最中にガメラが自衛隊の地対空ミサイルの攻撃を受け、富士山の裾野に墜落。
ギャオスは自衛隊の戦車隊や航空隊の苛烈な攻撃に晒されて身動きが取れなくなったガメラの前に飛来し、超音波メスで攻撃を加える。
ガメラは飛翔を強行して自衛隊とギャオスの攻撃から逃れることに成功するも負傷・消耗共に激しく、ギャオスへの追撃を一時断念し、海上への離脱を余儀なくされる。
ガメラの追撃を振り切ったギャオスは富士樹海に潜伏する。


木曽山中に出現した時点でギャオスは翼長45メートルにまで急成長しており、すでに人の手で捕獲できる域を超えているにもかかわらず、政府はガメラ排除・ギャオス保護の方針を固持。
ギャオスの危険性を訴える長峰や米森とも認識の差が広がる中、姫神島に残されていた卵や遺骸を調査した結果、ギャオスについて様々な知見が得られる。
そしてそれはあまりに絶望的な事実の数々であった

  • 姫神島のギャオスの卵は一万年以上前に産み落とされたもの。
  • ギャオスの染色体はたった一対*4しかなく、しかもあらゆる生物の能力を集めた「完全無欠の一対」という自然生物として異常なもの。
  • 確認されたギャオスの性別は全てがメスであったが、染色体にはオスのタイプも存在。つまりオスへの性転換も自由に可能な上、単為生殖によりたった一羽で産卵・繁殖することすら可能
  • すなわち、ギャオスは現代文明を遥かに超越した技術をもつ超古代文明によって創られた人工的な生物。そして超古代文明を滅ぼした原因であり、放って置けば無限に繁殖し、あらゆる生き物を喰らい世界を滅ぼす。


□ギャオス東京へ

富士樹海で野生動物を貪り喰い続けていたギャオスはとうとう成体化。凄まじいスピードで翼長185メートルにまで成長を遂げると、ついに東京を襲撃する。
武蔵野市吉祥寺付近で走行中だった中央本線の列車をつかみ取りし、新宿や銀座の上空を悠々と飛行。
空自の戦闘機が急行するも市街地上空故に攻撃が躊躇われる中、日比谷公園に降り立ち、中の乗客達をムシャムシャ喰らった。


ガメラと変わらぬ巨体になり、未曾有の大被害*5を齎したギャオスを特別視する理由も無くなったこと と東京に攻め込まれてやっと事態の深刻さを悟ったこと で、政府もようやく捕獲から攻撃に方針転換。
長峰はギャオスが太陽光に弱い点を突いて日中に攻撃をかけることを提案する。
朝になっても日比谷公園から動かないギャオスに対し、攻撃の準備が進められる。
その最中、ギャオスを司令部から観察していた長峰はギャオスの目に遮光板のような物が発生していることに気づく。
ついにギャオスに向けて地対空ミサイルが発射され、日比谷公園を爆炎が包むが、なんとギャオスはミサイルが直撃する寸前に目にも止まらぬ速さですでに離脱していた。
日比谷公園から新橋上空を南下するギャオスをミサイルの第二波が追尾するが、ギャオスは接近音で後ろから迫るミサイルの動きを完全に把握しており、旋回することでミサイルを東京タワーへと誘導。
ミサイルの誤爆で東京タワーの第一展望台から上を倒壊させ、それを「巣」に見立てて着地すると、高らかに嘶く。
ギャオスはすでに弱点であった太陽光をも克服していたのだった。


□大怪獣空中決戦

最後の希望・ガメラ ── 古代人の碑文の一節が現実味を帯びる中、政府は自衛隊の全戦力を投入したギャオスとの総力戦を決定。
ところが、攻撃開始直前になってギャオスを倒すべくガメラが出現する。
ギャオスは東京タワーの地下から急襲したガメラにプラズマ火球を浴びせられるも、間一髪のところで飛翔し、そのままガメラとの空中戦にもつれ込む。
なお、このガメラの奇襲で破壊された「巣」からは大量の卵が落下しており、例の懸念が的中していた。


ガメラから執拗に追撃を受けるギャオスだが、成体となったことで空中での機動能力はすでにガメラを上回っていた。
次々に放たれるプラズマ火球を容易く躱し翻弄するばかりか、逆にガメラの背後に回り込んで超音波メスで撃墜。
撃墜後もガメラへの攻撃の手を緩めず着地し、今度は陸上戦へともつれ込む。
ガメラと同程度の体格になったこともあり、互角の肉弾戦を繰り広げるが、さすがに陸上ではガメラに分があり押され始める。
分が悪くなったギャオスは飛翔からの蹴りヅメ攻撃でガメラを翻弄。
しかし、攻撃の隙を突いたガメラのエルボクローで足を切り裂かれてふっ飛び、ビルに激突。瓦礫に埋もれてしまう。


戦況はガメラにとって完全に有利な状況であったが、ガメラはなんとその場から上空へと飛翔。
その様子を瓦礫の中から見ていたギャオスはガメラが敵わずに逃げ出したと判断。
この機を逃すまいとしたギャオスも飛翔し、猛然とガメラに追撃を仕掛ける。
二体の怪獣の追走劇は地球の大気圏を突破し、宇宙空間でついにギャオスがガメラを追い詰める。
が、それはガメラの罠であった。
ガメラはギャオスの足に咬みついて自由を奪うと、そのまま大気圏へとギャオスを引きずり込む。
ガメラの狙いはギャオスに超高々度からの脳天落としを喰らわせることだったのだ。


二体の怪獣は大気との摩擦熱で炎上しながらも縺れ合ったまま落下していく。
さすがのギャオスも大気圏外から隕石の速度で地面に叩きつけられればタダではすまない。
大気圏内に戻ったことで超音波メスが使用可能になったギャオスは、半狂乱でガメラの頭部目掛けて超音波メスを放つが、ギリギリ届かず。
とうとう雲を突き抜け、地面が目前に迫るのを見たギャオスは、ガメラが咬みついている自らの足を超音波メスで切断。離脱に成功する。


地面に至る寸前でギャオスに拘束を離脱されたガメラは態勢を立て直す間もなく、神奈川県横浜市の根岸製油所へ落下。
石油施設の大爆発に巻き込まれる。
その様子を上空から見ていたギャオスは超音波メスで他の石油施設も誘爆させ、さらにガメラを追い詰める。
ガメラの死を確認すべくギャオスは地上に降り立つが、目の前に現れたのは爆炎をエネルギーに換えて吸収し、復活したガメラだった。
皮肉にもギャオスはガメラをダメ押しで攻撃したつもりが、復活に手を貸してしまったのである。


決闘前の西部劇のガンマンのように二体の怪獣は静かに睨み合う。
すでに片足も無く、満身創痍なギャオスにこれ以上ガメラと戦闘を続ける余力は残っていなかった。
ギャオスは次の一撃で決着をつけるべく、ガメラの脳天に狙いを定める。そして…
互いの一命を賭して、ガメラのプラズマ火球(ハイ・プラズマ)とギャオスの渾身の超音波メスの早撃ち対決となる。
音速の超音波メスが先にガメラへ到達するが、僅かにガメラの顔を逸れ*6、命を取ることはできなかった。
一方、吸収した爆炎のエネルギーを乗せて威力を増したプラズマ火球はギャオスの頭に直撃。
頭部を爆砕されたギャオスは死亡。地面に倒れ込み、爆炎の中へと消える。
爆発の後にはギャオスの断末魔とも言うべき超音波メスの一筋の光が天高く昇っていくのであった。*7

これで姫神島で生まれたギャオスは全て殲滅されたが、かつて世界を滅ぼしたギャオスの卵があれだけだったという保証はどこにもなく…


結局超古代人が何の意図をもってこの生命体を製造したのかは最後までハッキリとしてないが、
「増えすぎた人口を削減、あるいは文明をリセットするため」という説が存在する。



【余談】

  • スーツアクターは亀山ゆうみ氏(つまりスーツアクトレス)。細身のギャオスの中に入るにはそれ相応の体格の細い人物が求められたため、亀山氏が起用された。
    氏によると『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』を視聴した4、5日後に知人のスーツアクターからこの仕事を進められたとのことどんな偶然だ。演じるにあたってはテレビの動物番組でコウモリやカラスの動きを視聴し、それに似ることが無いよう特技監督の樋口真嗣と相談して動きを考えたという。
    着ぐるみの内部は45度から50度にも達していたが、「尿は汗で出るからいいや」とトイレに行かず、我慢し続けた結果軽い膀胱炎になった上腎臓も悪化してしまい、2日間は血尿が出ていた。それでも撮影には休まず出たそうな。
    なお亀山氏の本職は女優であり、劇中でも女性リポーター役として顔出し出演している。氏によるとギャオス以降はスーツアクトレスをやるつもりはないが、この経験は大事にしていきたいとのこと。

  • 造形物は着ぐるみがアクション用とアップ用の2つが作られ、その他にもギニョールや操演モデルが製作された。
    着ぐるみについては前者は『ガメラ3』のギャオス・ハイパー爆破シーンに流用されて現存せず、後者も『ガメラ1』のクライマックス、ハイ・プラズマを受けるシーンで本当に火をつけて燃やしてしまったため、現在では頭部と足の部分しか現存していない。
    一方で東京タワー営巣時の撮影に使用された通称「お座りギャオス」は現在も保存されており、2022年にはクラウドファンディングで修復されてイベントで展示されている。

  • 公式設定ではないが近藤和久による漫画『大怪獣激闘 ガメラ対バルゴン』では、
    愛玩用に人工生物を生み出し、競技用に改良し、やがて兵器へと応用し、血を吐きながら続ける悲しいマラソンの果てにギャオスやバルゴン、そしてガメラを生み出したことが示唆されている。
    ちなみに、同じくギャオスベースの遺伝子操作により作られた怪獣として、ジャイガー、ジグラ、イリスも描かれていた。
    この説明を考えるに、イリスはギャオスの突然変異体ではなく、最初からあの姿で設計されていたと思われる(遺伝子構造は似ていたが、ギャオスの制作で培った技術を応用したのだとすれば、遺伝子が似るのは道理である)。

  • 初期稿と小説版では5体のギャオスが姫神島から飛び立っている。1体は福岡ドームで自衛隊に射殺され、1体は木曽山中の戦いで負傷した後、仲間に喰い殺された。
    また、航空自衛隊との折り合いのために映画ではカットされたシーンだが、東京上空でF-15Jを超音波メスによって撃墜し、機体が有楽町マリオンに突っ込むという描写もあった。

  • 映画公開時に発売されたバンダイのソフビでの商品名は昭和版と区別するためか、「超遺伝子獣 スーパーギャオス」と表記されていた。





【超遺伝子獣 ギャオス・ハイパー

体長:88メートル
翼長:190メートル
体重:78トン
飛行速度:マッハ4.5以上

ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』に登場するギャオス。
ガメラがレギオンとの決戦で地球のエネルギー「マナ」を使った攻撃「ウルティメイト・プラズマ」により、地球のバランスが崩れたため世界各地で復活した。

復活した時期の違いから体色が黒となり、体型がより細身のシャープな形状となるなど三年前の個体と異なる性質を持つ。
特筆べきはその高い生命力とタフネスさであり、以前のギャオスは一撃のプラズマ火球で爆砕されていた並程度の耐久力だったが、ギャオス・ハイパーは1〜2発程度のプラズマ火球なら直撃でも耐えうることが出来る。*8
その他、超音波メスの切れ味、飛行速度なども以前よりも強力になっている。
劇中では披露されなかったが、設定では新たに爪先から神経毒を分泌する能力を得ているとか。

全体的にパワーアップはしているものの、流石にレギオンとの死闘を潜り抜け肉体をより戦闘的に進化させていたガメラ相手では一方的に狩られる存在へと成り果てている。
しかし、ギャオス特有の「逃げに徹しつつも、突ける隙は抜け目なく突く」いやらしい生存戦略は健在。
まともに取っ組み合ってくれない上に回避能力・耐久力共に高いギャオス・ハイパーを仕留めるには、ガメラも数撃ちゃ当たるのプラズマ火球連射に頼らざるを得ないという厄介な状況を生んでおり、後述の渋谷の大惨劇に繋がる結果となってしまった。



【劇中の活躍】

劇中冒頭、赤道直下のジャングル奥地の村で幼体の死骸が発見される*9
すでにギャオス研究の第一人者となっていた鳥類学者の長峰が現地へ調査に赴き、サンプルを採取。
遺伝子を解析した結果、前回のギャオスとは遺伝情報に一定の差異が確認されたため"亜種"であると判定された。


同時期に日本周辺空域にも未確認飛行物体として頻繁に飛来するようになる。
その度に空自のF-15J戦闘機がスクランブル発進するが、あまりの速力差に捕捉出来ず、正体の確認すらままならない有様であった。


1999年9月17日金曜日の夜、ガメラに追われた二羽が賑わう渋谷上空に飛来。
片方にガメラのプラズマ火球が直撃し、渋谷駅に墜落。着地したガメラは周囲の建物を踏み潰しながら瀕死のギャオスに接近、トドメのプラズマ火球で渋谷駅周辺は火の海となる。
一方、もう一羽はガメラが地上に降りた隙を突いて超音波メスで攻撃。ビルを真っ二つにする凄まじい威力を見せつけながらガメラに攻撃を加えるも大したダメージにはならず。
ガメラのプラズマ火球による逆襲を高い飛行能力で次々に躱すが、建物と人々すら巻き込んで連射されるプラズマ火球を避けきれず直撃を貰う。これで動きが止まったところに追い打ちのプラズマ火球を食らって爆散。
粉々になった死体は代々木公園へと落下し、大迫警部補(元)のホームレス仲間を下敷きにした。
二羽のギャオスは倒されたものの、万単位の死傷者を出し渋谷は完全に壊滅した。


その後は出番こそ無くなるも、テレビニュースで動向が逐次触れられる。
渋谷の大被害を重く見た日本政府がガメラを最優先攻撃目標に据える中、世界中の空でギャオスの目撃情報が報告されるようになる。
エジプト上空では旅客機が襲撃され消息を絶ち、メキシコ湾上空では米空軍と交戦するなど、被害も日増しに深刻化。
ギャオス対策に国連まで動き出した事を伝える新聞記事には、空を埋め尽くさんばかりの夥しい数のギャオスが飛び交う写真が掲載されていた


物語の焦点こそ新怪獣イリスに当てられているが、世界レベルで災いを齎しているのは間違いなくギャオスの方*10であり、それは第一作目で危惧されていたギャオスによる人類滅亡のシナリオが現実のものとなろうとしていることを意味していた


さらに物語最終盤では世界中で復活した数千数万のギャオスの群れが大挙して日本へと迫るのだが……


映画以外

ゲーム『ガメラ2000』ではギャオスを作った罪で異次元に追放されていた開発者が現代に復活し、
双頭のギャオス 人型のギャオス アルマジロ型のギャオス や最後には ガメラの遺伝子を組み込んだバイオニックギャオス などを作り上げる。
バイオニックギャオスを倒すためにはガメラもウルティメイト・プラズマを使わざるを得なかった。





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最終更新:2024年04月09日 10:59

*1 実は着ぐるみ工房の人が気を利かせて頭に灯りを仕込めるようには作っておいたらしいが

*2 もともと、昭和版ギャオスは「ドラキュラ」をモチーフとしていたため。

*3 ちなみにこの時食べていたのは馬。この場面を写したスチール写真ではギャオスの口にくわえられた馬の下半身がしっかり確認できる上、劇中でも木立をかき分けて登場する際に馬の悲鳴が聞こえる。

*4 例えば染色体はヒトの場合は23対、ニワトリの場合は39対ある。一応「染色体が1対のみ」という生物としてはトビキバハリアリが存在するがこれは昆虫であり、ギャオスぐらいの巨体を有する生物で「染色体数が1対」というのは極めて異常

*5 喰われた車両の乗客のみならず、残りの車両も衝撃で高架から転落し、高架下で逃げ回っていた多数の人間を下敷きにしたため、数百から最悪千人単位の犠牲者が出たものと思われる。

*6 直前に自身の足を斬り落としたことにより、自重と反動を保てず狙いが外れたとも言われている。

*7 分かり易いためご存知の方も多いと思うが、このシーンは昭和ギャオスの最期のオマージュである。

*8 『ガメラ3』のガメラのプラズマ火球は『ガメラ1』の頃より遥かに威力が上がっているのにもかかわらずである。

*9 このシーンはフィリピンで撮影されており、腐った魚のすり身などを塗りつけた模型が使われている。ハエも本物である。あまりにひどい悪臭だったため現地で焼却処分したらしい。

*10 イリスもギャオスの仲間なので、災いの一部と見ることもできる。