月光仮面

登録日:2009/07/31(金) 00:38:58
更新日:2024/03/27 Wed 10:13:58
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本作は川内康範原作のTV番組における特撮ヒーローの元祖。
1958年に特撮ドラマとして放送され、後にアニメや映画化もされた。

目次


【登場人物】

祝 十郎
職業は私立探偵。明晰な頭脳や高い運動神経を持っており、依頼された事件を追っていく。
祝が姿を消すと入れ違いに月光仮面が現れ、月光仮面が姿を消すと祝が入れ違いに現れることが多く、どう考えても「月光仮面の正体=この人」にしか見えないが、本編では結局最後まで明言されることはなかった*1
だからこそ どこの誰かは知らないけれど(視聴者は)誰もがみんな知っている のだろう。

袋 五郎八
十郎の助手。力持ちだが、かなりのおっちょこちょい。

カボ子
同じく、十郎の助手。
五郎八のボケのツッコミ役。

月光仮面
白いターバン、白いコスチューム、覆面、サングラスマントを着けて、
悪人によって危機にさらされてる人達の前に、オートバイ陸王に乗って現れるおじさ…、もとい、正義の使者。
額の三日月のマークが特徴。
拳銃を携帯しているが、敵の武器を撃ち落としたり牽制をしたり、あくまでも己の身を守る為にしか使用せず、
自らの正義の心と屈強な身体を武器とする。その正体は誰でしょう。
ちなみに、もし月光仮面の正体が祝だった場合、探偵である彼が銃を所持しているのは法律では銃刀法違反にあたる。
また最初のドラマ版の時点ではバイクにヘルメットの着用義務はなかったが、後述のアニメの時期には適用されたためアニメではヘルメットの仮面になった。


【特徴】

そのコンセプトは和製『スーパーマン』だったといわれており、月光仮面のモチーフは「人々の苦難を救済する」というイメージから薬師如来の脇に侍する『月光(がっこう)菩薩』からきている。ネーミングもその月光菩薩に由来する。ちなみに額の三日月マークは旗本退屈男が元ネタ。
そのため、彼は正義そのものではなく、主題歌でも歌われているように正義の『味方』であるというのがポイント。
月光仮面は正しい者の手助けをするためにこそ現れるのであり、彼自身が主導権を握ったりすることはないのである。
それを示す座右の銘として『憎むな殺すな赦しましょう』という言葉があるが、言葉の通り、月光仮面はたとえ相手が悪人であろうとも懲らしめるだけで決して命を奪うことはせず、過剰に傷つけることもしない。
拳銃こそ持っているが、もっぱら威嚇や牽制、悪人の武器を打ち落とす以外には使用しない。
たとえ正義という建前の元であっても、それが行き過ぎて過剰になれば暴走して『悪』と同じようになってしてしまう事を戒めている。
また、月光仮面の眉間の三日月は月の満ち欠けを人の心になぞらえ、「今は欠けて(不完全)いても、やがて満ちる(完全体)ことを願う」という理想、「月光は善人のみでなく、悪人をも遍く照らす」との意味が込められており、罪を赦すことでいつか悪人が心を入れ替えてくれることへの願いが込められているのである。
現代ではいかなる事情があろうが罪を犯した者が100%悪い、という価値観も定着しつつあり「罪を犯すような人間及びその人間性が悪である」という考えが根強いが、この教えはある意味我々現代社会が失いつつある寛容的な考えに気づかせる、哲学的な教えだと言え、後の川内氏の作品にも継承されている。

制作予算は当時としても低コストだったため、若手の新人俳優などが多く起用され、企画者の小林利雄の自宅がスタジオ代わりとなった。*2


【評価】

人気は、当時の子供からは非常に高く、平均視聴率は40%、最高で69%強という好視聴率を叩き上げだ。
しかし、月光仮面の真似をした子供達が高い所から飛び降り、怪我をしたという事件が多発したことから、
マスコミから多くの批判を受け、最終的には打ち切りとなってしまった。

*
【放送内容】
第1部 どくろ仮面篇

第2部 パラダイス王国の秘宝
サタンの爪一味が暗躍

第3部 マンモス・コング
怪獣マンモス・コングが登場

第4部 幽霊党の逆襲

第5部 その復讐に手を出すな



TV版、劇場版ともにソフト化されているが、TV版の方は、なにぶん古い作品ということもあってマスターフィルムの保存状態はお察しレベルであり、回によって画質はバラバラ、映像や音声が完全に壊れて部分的に欠落しているような回すらある。
また、フィルム自体を紛失したため欠番となったエピソードも。
肝心の第1話も、フィルム自体は現存しているが、ケースの中でフィルムがくっ付いて再起不能になってしまっていたとのことで、そのためDVDは第2話から始まる。
さすがにあんまりだと思ったのか、後年になって、当時のオリジナルキャストらの協力を経て第1話を再現・新撮するという試みが行われた。


幸い、第二部、三部は保存状態が良好なものが多かったため、積極的にDVDが発売されており、ワンコインで買える値段に設定されている。
1972年に『チャージマン研!』でおなじみのナックにより『正義を愛する者 月光仮面』というタイトルでアニメ化した。
オープニングテーマは歌詞のみが原曲と同じで、メロディと伴奏が当世風に改変されたものとなっており、大変かっこいいアレンジに仕上がっている。
『チャー研』より2年前の作品だが知らずに見比べれば「こっちの方が後発でしょ?」と思うほどには出来が良く、
内容自体の評価も決して悪くない。使えた予算が違うからしょうがない


1981年にリメイク映画が一本制作され、1999年にはコメディ風味のアニメ『ごぞんじ! 月光仮面くん』が制作されている。
コミックボンボンでは漫画版も掲載された。


サタンの爪が焼き鳥屋を経営していたり、月光仮面のスクーターが生命体だったりと何故かすごいカオスな内容に。

ちなみに月光仮面くんの中の人がアスカからピカチュウになった。
永井豪のお色気アクション漫画『けっこう仮面』はこのパロディ作品。
当然川内先生から許可は取ってある。

また仮面ライダーやウルトラマンより先に「偽ヒーロー」を出した作品でもある(って、日本初のテレビヒーローだから当たり前か)
東北新幹線が八戸まで延伸した際、新列車の愛称にちなんで『はやて弁当』が八戸駅etcで発売された。
その駅弁のイラストに(『はやて』だけに)月光仮面が登場したのだが……。

よくよく考えてみると、別に狙って低速運転してる訳じゃない。
それも東日本の新幹線最速コンビの片方であるE2系がスクーターと並走……。



近年では珍しくなったが、たまに国会議事堂などの公的施設に「月光仮面」を自称する者が乱入して騒ぎを起こす事件が発生することがあった。
が、疾風のように現われたはいいものの、大抵の場合、疾風のように警察に連れ去られていく。
おそらく、月光仮面の名を騙る偽者だったのだろう。



削るな、除くな、追記・編集しましょう。


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最終更新:2024年03月27日 10:13

*1 一応現場写真や後世での証言によって「月光仮面役」自体は祝役の大瀬康一氏だったと判明しているが、単なる人手不足による兼役配置の可能性もあるので微妙な所ではある。

*2 ちなみにリビングが祝の探偵事務所、ガレージが悪の組織のアジトとして撮影に使われている