幕之内一歩

登録日:2010/06/07(月) 17:21:45
更新日:2023/08/30 Wed 11:28:55
所要時間:約 7 分で読めます







強いって…一体どんな気持ちですか?


漫画「はじめの一歩」の主人公。

CV:喜安浩平(ドラマCDでは三木眞一郎)

作中においては前・日本フェザー級チャンピオンの立場。

■データ
出身:東京都
所属:鴨川ボクシングジム
階級:フェザー級
受賞歴:全日本新人王、A級ボクサー賞金トーナメント優勝、日本フェザー級チャンピオン
タイプ:インファイター
身長:164㎝
生年月日:1973年11月23日
血液型:O型
好きな物:宮田君久美ちゃん ボクシング
苦手な物:運転(物凄くヘタ)
副業:釣り船屋店員

生粋のインファイターであり、国内屈指のハードパンチャー。
その強さは現在の戦績26戦23勝3敗23KOという記録が全てを物語っている。
板垣や青木のような万能型ではないため、野球回では凡打の山を築くなど運動神経がめっちゃいいというわけではない(体力はゴリラのレベルだが)。

勝った試合のKO率は100%であり(というよりも、自分が打つ以上に相手に打たれるスタイルであるため判定に持ち込まれるとまず勝てない)、
国内でも人気ボクサーである。

お世辞にも防御は上手ではないが、反面極めて打たれ強く、粘り強い。
ミゲルはウォーリー戦で百発以上打たれてなお立ち上がってくる姿を見て、「奴は相当揺れに強い! 船の上ででも暮らしているのか!」と
実に的確な推測をしていた。

また、とてつもない巨チンでもある。



■性格
鷹村や青木村などアクの強い先輩方が多い中、極めて真面目で心優しい性格。
元は気が弱かったが、ボクシングを始めてからは「強さ」とは何かを探し求め、一心不乱に研鑽を積んでいく。
板垣曰く「頭蓋骨にグローブが詰まってる」。

元がお人好しなのもあり、怒りの沸点は極めて高いものの、仲間意識が強く、今まで本気で対戦相手に怒りを露わにしたのも
VS間柴…宮田を傷つけられたこと
VS沢村…久美ちゃんを傷つけられたことやボクシングそのものを馬鹿にされたこと
VSゲドー…八百長試合とそのターゲットであった福井を騙されたこと
VS小島…今までの対戦相手を馬鹿にされたこと
と、自分ではなく他の誰かのためにキレたことしかない。
青木も「あいつが人を捨ててまでキレたらどうなるんだろうな…」と思案を巡らせている。



■スタイル

強固なピーカブースタイルと素早いウィービングで守りを固め、相手との距離を一瞬でゼロにする驚異のダッシュ力で懐に飛び込み、その強打で沈める。
元来器用な事ができない一歩は前進あるのみのこのスタイルしかないが、全てが非常に高いレベルで纏まっているので生半可なボクサーでは対応すらできない。インファイターは同階級でも小柄な一歩の回転には付いてこれず、アウトボクサーはそのダッシュ力で最も簡単に撃沈させる事ができる。そのシンプルさ故か、ファンは非常に多い。

リバーブローで相手を悶絶させてから、全身のバネを使ったアッパー「ガゼルパンチ」
それで相手がのけぞった所に一歩の代名詞的なフィニッシュブロー、
∞の軌跡を描きながら頭を振り、全体重を乗せた高速連打「デンプシーロール」で止めを刺す。

またパンチの間に「殺気のフェイント」(一歩の場合は勇気)を加える事により、決定力を上げている。
これが「デンプシーロール」の完成形であり、一歩の必勝パターンとなっている。


特に得意技「リバーブロー」の破壊力は凄まじく、相手の肋骨を粉砕することも珍しくない。
最近では打たれた相手が「腹ごと抉り取られた」と錯覚するほどのダメージを与えている。



しかし、これらの戦果は才能やセンスから来るものでなく、「練習の虫」とまで言われるほどの真面目さと努力。
そして何事にも臆さない「勇気」を最大の武器として勝ち上がったきた。

逆に、完全に型に嵌ったボクサーであるため予想外の攻撃には直ぐに対応できない。

■人間関係

高校時代は梅沢にいじめられていたが、ボクシングがきっかけで彼と和解し、唯一無二の親友になった。

元々お人好しで友達想いであり、対戦相手は勿論女性とも良好な人間関係を築くことが多い。

彼を巡る人間達は殆どが我が強いエゴイストであるため、本人の知らない、若しくは近くにいても気づかない所で衝突やいがみ合いを繰り返している。一歩自身が我の乏しいのもあるが。

余談だが、彼を巡る主なライバル関係と女性関係は非常に似通っている。

  • 宮田一郎=間柴久美(若い頃の寛子に容姿が似ている。嫉妬深い性格で一歩と最初に知り合ったのを強みとしている)

  • 千堂武士=板垣菜々子(一歩に初対面時から猛アタックを繰り返す。コミュニケーション能力が高い反面学力が低いので底辺高通い)

  • ヴォルグ・ザンギエフ=飯村真理(トリリンガルのエリート。冷静だが一言多い。一歩に公私共に興味を示す)

  • 真田一機=山口智子(頭脳派の医療関係者。一歩にアドバイスする事がある)

  • ウォーリー=愛川さん(素直で思慮深い性格。一歩との再会時に「ボクシングが好きじゃなくなったのか」と尋ねる)


■来歴
釣り船屋の一人息子として生まれ、幼い頃に父親を海難事故で亡くす。
以降は母・寛子を助けるため釣り船で働き、強靭な筋肉を作り上げる(上の階級の青木村を腕相撲で秒殺している)が、釣餌の臭いなどから小学校からずっと苛められていた。

高校2年の時にいつものように苛められていたところを偶々ロードワーク中の鷹村守に助けられ、試しに鴨川ジムでサンドバッグを殴らせた時に凄まじいパンチ力を発揮。ボクシングを始めたい、強くなりたいと奮起し、鷹村の課題を見事にこなして鴨川ジムに入る。
そこで生涯の好敵手となる宮田一郎とのスパーリングを行い、一歩をライバルと見定めた宮田はジムを抜けることとなる。

こうしてプロテストに合格した一歩は破竹の勢いで勝ち進み、遂に新人王決定戦で千堂武士を下し全日本新人王の座に輝いたのである。
そして宮田バカと化すこととなる

最初の敗戦は日本フェザー級タイトルマッチの時、当時フェザー級チャンピオンであった伊達英二との試合。

しかし、鷹村は伊達の事を「世界に通用するボクサー」としているので、当時の一歩の経験からは、仕方がないと言える。
現在の一歩はこの時の伊達を超えているそうなので、きっちり強くなっているようである。

この敗戦をバネに生み出したのが、後に「風神」とあだ名される由来となる「デンプシーロール」である。

その後、千堂武士との日本タイトルマッチに勝利し日本チャンピオンに就任。
日本チャンピオンに君臨し、防衛すること実に8度。さらにタイ・フィリピン・インドネシアの国内チャンピオンを総ナメに倒して
東洋最強の一角に名乗りを上げる。

だが、世界挑戦を目指し日本タイトルを返上した直後に迎えた世界2位、アルフレド・ゴンザレスとの試合。
一歩は7回KO負けを喫し、さらにそのダメージが引き金となり、とうとうパンチドランカーを発症。
1か月のジム出入り禁止を言い渡されてしまった。

さらにこの敗戦により、一歩が抱えていたボクサーとしての重大な欠点を指摘される。
それは、ある種の暴力性の欠如である。
本気で怒らせないと相手を叩きのめしに行かず、それを理解していた小島はあえて一歩を挑発することで本気を引き出していた。

そもそも一歩はメンタル面を重視する、という発想自体を持っておらず、伊達からも「お前の拳は軽い(=ボクサーとしての覚悟が足りていない)」と指摘されていた。
そのため実力は高いながらも、追い込まれないとそれを発揮できないという弱点を抱えており、ゴンザレス戦後には鷹村に「今までは単に運が良かっただけだ。お前はボクサーには向いていない」と断言されてしまっている。 *1







それでもどうにかこうにか復帰戦にこぎ着け、アントニオ・ゲバラを相手に試合に臨む。
パンチドランカーの後遺症は一歩の心身に強く影響を与えており、攻撃面こそ過去にないレベルの勢いを見せたがそれを制御する精神の方が限界に近く、呆気なくダウンを奪われ冷静さをなくしてペースを失うなど劣勢。

が、幸か不幸か、押しまくられる中でゲバラの顔面に渾身のカウンターを炸裂させ、立て続けに二度のダウンを奪い取って互角に持ち込む。

一歩はこの試合で新型デンプシー・ロールを完成させ、同時にこの試合で引退することを考えていた……
が、土壇場でその新型を発動するも射程外で空振りし、その直後にゲバラが繰り出したクロスカウンターを食らい倒れ、3度目のダウンとなりKO。
新型の完成を見ぬまま敗北し、二連敗を喫した事から現役を引退した。

そもそも、この時の一歩は未来への「はじめの一歩」を踏み出す事を完全にやめてしまっていた。
「未来への一歩を踏み出す事をやめた男」が、「諦めずに未来への一歩を歩み続ける男」に対峙した時点で、この勝敗は決まっていたのかもしれない…。





「フハハ何だこの記事は! オレ様が追記修正してやるぜ!」
「やめてくださ~~い!!」






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最終更新:2023年08月30日 11:28

*1 作中でもマスコミ相手にKO宣言などは一切せず「頑張ります」等の発言ばかりで、ゴンザレス戦でも鴨川たちに「世界に通用するか試したい」と発言したものの「勝つ」とは言っていない