坂田おさむ

登録日:2013/06/18 Tue 00:14:00
更新日:2023/10/05 Thu 20:58:48
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坂田(さかた) おさむとは、北海道出身のシンガーソングライター。本名、坂田 榮一(えいいち)
NHK・Eテレ(NHK教育テレビ)の長寿番組「おかあさんといっしょ」の元うたのおにいさんであり、「おさむお兄さん」としてあまりにも有名な方である。




~~概要~~

 うたのおにいさんとなる以前からバンドメンバーやソロシンガーとして音楽に携わっており、当時は『坂田修』名義で活躍していた。
1982年から、あのなぎら健壱氏とユニット『フォークマン・ブラザーズ』を組んでいた過去を持つ。また、それと並行してなんと土曜ワイド劇場のドラマに出演した事もあると言う。
ちなみにデビュー当時は流行りのロングヘアーだった。

 そんな中、娘さんのイメージを基に作詞・作曲を手掛けた曲がNHKで採用された。その後再び新曲を売り込みに来た時、「おかあさんといっしょ」のうたのおにいさんのオーディションに誘われ、見事合格。ここに7代目のうたのおにいさん「おさむお兄さん」が誕生したのである。

 1985年~1987年は森みゆきお姉さん、1987年~1993年(卒業時)までは神崎ゆう子お姉さんとコンビを組んでいた。足掛け8年にも渡る活躍期間は、歴代うたのおにいさん史上2番目の長さである。*1
この頃から曲のPVでダンスが多くなり始め、実はダンスが苦手だったおさむお兄さんは最初の頃は振り付けなどに苦労していたが、子供たちと楽しく踊るのが一番というみゆきお姉さんからのアドバイスで元気づけられたと言う。その一方、PV内で自慢のギターの腕を披露する機会も多かった。
それ以外にもファミリーコンサートもこの頃から始まっており、ある意味現在の「おかあさんといっしょ」はこの代でほぼ形作られたと言っても良いかもしれない。

 その後も「おかあさんといっしょ」やEテレ(教育テレビ)との関わりは強く、卒業すると早速当時の姉妹番組に多数出演していた。現在も後述の作品群の提供などを始め、様々な番組やコンサートへの出演を続けている。他にも短期大学で客員教授も務めていたりと活躍は衰えるどころかますます活発になっている。

 実は「うたのおにいさん」抜擢時の年齢は33歳、こちらは歴代最年長である。そして2012年には還暦(60歳)を迎えているのだが、各地のコンサートやCDで昔と全く変わらない歌声やMCを披露している。
あまりにパワフル過ぎて、ゲスト出演のはずが完全に『坂田おさむオンステージ』状態になってしまった事も。

 ゆう子お姉さんとのコラボは各地のファミリーコンサートなどで今も続いており、後輩の曲もキッズソングのCDなどで見事に歌いこなしている。
現在はアメリカ在住のみゆきお姉さんとも、おかあさんといっしょ50周年の夏の特番などで何度か共演を果たしている。


~~作品~~

 そんなおさむお兄さんを代表するのは、「うたのおにいさん」の実績ともう一つ、多彩多種な作品群にある。

 シンガーソングライターの腕前を、「おかあさんといっしょ」現役時代から現在に至るまでいかんなく発揮し続けており、作曲のみならず作詞も手掛けている。その際大半の曲は冒頭に述べた『坂田修』名義となっているので、気付かなかった人もいるかもしれない。
実際、おさむお兄さん自身もコンサート会場で「坂田修=おさむお兄さん」という事を知らない子供から「おさむお兄さんは歌を作らないの?」と尋ねられた事があったらしく、1999年頃から徐々に現在の芸名である『坂田おさむ』名義でも楽曲提供を行い始め、2010年代前半には一旦全ての活動で『坂田おさむ』名義に統一していたが、シンガーソングライターとしての活動40周年を迎えた2017年以降は、新たに『坂田修一』の名義を作詞・作曲活動において使用している。
『修一』は『しゅういち』ではなく、かつての名義である『坂田修』や現在の芸名と同様『おさむ』と読み、修の後ろについている「一」は本名である『榮一』に由来している。

 これまで手がけた曲には現在の童謡の定番ソングになり歌い継がれているものが多数存在し、世代によっては思い出のあの曲もこの曲も全部おさむお兄さんの作品、なんて言う事もあるかもしれない。コンサートやCDなどでの製作者自身によるカバーも積極的に行われている。
「おかあさんといっしょ」以外にも、「みんなのうた」や「すくすく赤ちゃん」、様々な体操ソング、さらにはねんりんピックにも作品を提供している。東宝のミュージカルの音楽担当に抜擢された事も。

 ちなみに、おさむお兄さんの代の1986年以降、月替わりの新曲コーナー「今月の歌」が本格的にスタートしており、以降のおかあさんといっしょの新曲はこれと人形劇での発表がほとんどとなっている。

代表曲

 全部挙げるとあまりにも多いので、代表的なもののみ掲載。

☆印: 作詞を担当した曲
◆印: 作曲を担当した曲

  • ☆◆はるのかぜ
    • 前述の「娘さんのイメージ」を基にした作品。ある意味おさむお兄さんの原点。
  • ☆◆わっしょい
    • 「うたのおにいさん」時代で初の作詞・作曲を手がけた作品。
  • ☆◆どん色が好き
  • ☆◆つめ・かみ・みみ太郎
  • ◆星ひとつ
    • 作詞は神崎ゆう子お姉さん。2人にとって最後の「今月の歌」となった。
  • ☆◆ぼくらのロコモーション
    • 卒業後初の作品。けんたろうお兄さん&あゆみお姉さんコンビに早速曲を提供した。
  • ☆◆どんどんゴロゴロ
  • ☆◆にじのむこうに
  • ☆◆公園にいきましょう
  • ☆◆シアワセ
  • ☆◆すてきな言葉
  • ☆◆あしたははれる
    • けんたろうお兄さん&あゆみお姉さん時代最後の「今月の歌」。なんと音楽の教科書にも掲載された。
  • ☆◆夢のパレード
  • ☆◆タンポポ団に入ろう!!
  • ☆◆夢の中のダンス
    • バックコーラスはおさむお兄さんと編曲担当の池毅さん。
  • ☆◆君に会えたから
    • ゆうぞうお兄さん&しょうこお姉さん時代最後の「今月の歌」。
  • ☆◆ありがとうの花
  • ☆みんなだれかがすきになる
    • 作曲は先代である林アキラお兄さん。夢のコラボレーションが実現した。
  • ☆◆ママの結婚
    • 『みんなのうた』で唄った曲。シングルマザーの応援歌を作って欲しいというファンレターから生まれた作品。当時から大反響を呼び、何度も再放送された。


~~その他~~

おさむお兄さんとコンビを組んでいた神崎ゆう子お姉さんも、歴代うたのおねえさん史上2位タイ(2021年現在)の6年間の出演で、それ以外にもこの頃は長寿コーナーや長期間の担当者が非常に多い。例を挙げると……
  • にこにこぷん」(人形劇で歴代最長)
  • 「ぞうさんのあくび」(体操のお兄さんの体操で歴代最長、最初に担当していた瀬戸口清文さんは出演年数歴代2位の出演者)
  • 「ハイ・ポーズ」(体操のお姉さんの体操で歴代最長、担当の馮智英さんは出演年数歴代二位の出演者)
  • 「志ん輔ショー」(司会の古今亭志ん輔さんは出演年数歴代最長の出演者)
  • 「はみがきじょうずかな」「パジャマでおじゃま」(歴代最長のコーナー)
  • 「百面相ブリッジ」(14年間放送)


現在は服装を担当するスタイリストという役職が存在しているのだが、おさむお兄さん&ゆう子お姉さんの頃はまだ存在しておらず、自分の足で衣服店を訪れ、子供番組に合いそうな派手な色の服を共に選んでいたと言う。


実はうたのおにいさん2年目にステージで足を骨折してしまった事がある。
まだNHKホールでのファミリーコンサートが春秋2回開催になる前の1986年、ゴールデンウィーク中に渋谷の放送センターで開催されていたイベントの特設ステージでおかあさんといっしょのステージが催されていた。

負傷当日もいつも通りステージを駆け回っていたおさむお兄さんだったが、「ドラネコロックンロール」歌唱中にマイクのコードを踏んで転倒。痛みを堪えつつどうにかステージを終えるも、日本体育大学出身でスポーツ医学の知識もある体操のセトちゃんこと瀬戸口清文お兄さんが状態を確認した所、がっつり骨折していることが判明する。
不幸にもその日2ステージ予定されていた中の1ステージ目での負傷だった為、2ステージ目は骨折したままみゆきお姉さんや清文お兄さんの肩を借りつつ、座りながらステージを乗り切ったと言う。
しかも、うたのおにいさんは言うまでもなく替えの効かないポジションの為、このイベントの後も傷が癒えない中、地方収録や東京でのいつもの収録などをこなさないといけない日々が続き、歩くのもままならない状態で出演する事態となった。

しかし、「うたのおにいさん骨折!」なんてニュースがテレビで報じられたわけでもない為、骨折後治癒するまでの間の収録が放送されてた期間、「最近大人しめの歌が多い」(アップテンポな曲は踊れないので撮れない)、「おさむお兄さんがサボってる」(足の骨折により歩けないので基本的にその場から動けないだけ)などのクレームがNHKに届いていたそう。
ただ、収録から放送までには1ヶ月前後の時間差が空くことから、そんなクレームが届く頃にはおさむお兄さんの足は完治しており、元通り動けるようになっていたのだが。
なお、この「おさむお兄さん骨折事故」がきっかけとなり、以降の「おかあさんといっしょ」ステージイベントのハンドマイクは全てワイヤレスになったとの事。


現役メンバーだった30周年コンサートをはじめ、40・50・60周年コンサートなどの節目にも参加しており、初代の田中星児お兄さんから2023年現在のゆういちろうお兄さんまで、歴代のうたのお兄さん全員と何かしらの形で共演した事がある。
2020年に今井ゆうぞうお兄さん、2022年に水木一郎お兄さんが鬼籍に入った為、初代から12代目までのうたのおにいさん全員と番組内での共演歴を有するのは、判明している限りおさむお兄さんただ1人である。


ソロデビュー後の新人歌手時代には、テレビ朝日の「土曜ワイド劇場」の作品にちょい役で出演したりラジオ関東(現・RFラジオ日本)の深夜番組「ミッドナイトプラザ」のパーソナリティを務めるなど、いわゆる俳優・タレント活動を行っていた時期があった。
後者では、木曜第二部(27:00〜29:00)のパーソナリティを1978年から1980年に務めたが、この当時その前枠の木曜第一部(25:00〜27:00)パーソナリティだったのが、2代目うたのおにいさんの「アニソン界の帝王」こと水木一郎アニキ*2で、連続した時間帯に同じスタジオで生放送だった事から、出演者・スタッフの入れ替えの時間に談笑する機会も多かったという。
おさむお兄さんがうたのおにいさんに就任して3ヶ月経った頃には、アニキからおさむお兄さん宛に助言と励ましの手紙が届いたとの事で、歴代うたのおにいさんの中でも比較的ひょうきんなタイプと言えるおさむお兄さんのスタイルは、お兄さん時代以前の素の姿を知る先輩からの助言にルーツがあったという。


音楽以外にも「夢のクレヨン王国」でシルバー王女のお供のニワトリ「アラエッサ」の声を当てていた。そう、プロの声優さんたちに混ざって名演を披露していたのだ。
ちなみにニチアサキッズタイム絡みでは、スーパー戦隊シリーズでも「激走戦隊カーレンジャー」にイメージソングを提供している。


他にも、自身の作品群を基にした絵本やエッセイも多数執筆している。おさむお兄さんは多彩な才能の持ち主でもあるのだ。


前述の娘さんこと坂田めぐみさんも、タレントや歌手として各方面で活躍中。コンサートや番組などでの親子共演もかなり多い。
ちなみにおさむお兄さんが「おかあさんといっしょ」に出演していた当時にも2回共演が実現しており、2回目は1990年5月の「母と子のファミリーコンサート」に、当時子役として活動を始めていためぐみさんがゲスト出演し、ステージ共演したと言うものである。
では、1回目はと言うと、そこから更に5年遡った1985年、おさむお兄さんがまだ新人おにいさん時代に実現していた。しかもその共演は「うたのおにいさんと一般参加の子供」と言う形。たまたま就任前にスタジオ収録参加募集に応募していたのが、おにいさん就任後にそのお鉢が回ってくるというミラクルが発生していたのだ。*3
この時のエピソードはおさむお兄さんの自著エッセイ「オーロラを見たよ」に詳述されている。

なお、めぐみさんとの共演は前述の通りだが、実は後任の速水けんたろうお兄さんの長男とも、番組卒業目前の時期に「うたのおにいさんと一般参加の子供」としてスタジオ収録で共演した事があった。
これはけんたろうお兄さんが後輩の横山だいすけお兄さんのラジオ番組に出演した際に語った事で判明した。
実は収録参加募集に当選していたのが、けんたろうお兄さんがオーディションを受ける事になる少し前の1992年11月だった事から、翌年2月の収録日当日はオーディションに合格したけんたろうお兄さんが研修の一環でスタジオに同席しており、父親であるけんたろうお兄さんが見守る中、息子さんはおさむお兄さんやゆう子お姉さんとのスタジオ収録を楽しんだ。
なお、収録から2ヶ月後の1993年4月、けんたろうお兄さんは無事うたのおにいさんデビューを果たしブラウン管に登場したのだが、初登場回の1993年4月5日放送で、おさむお兄さんから新しいうたのおにいさんとして紹介される父親の姿を見た息子さんは、大好きなおさむお兄さんやゆう子お姉さんがいる遊び場にパパだけ内緒でまた行っていると思ったらしく「パパだけずるい!」と怒っていたのだとか。


ちなみに「おかあさんといっしょ」の歴史には、もう一人『おさむお兄さん』がいる。
『BSおかあさんといっしょ』(2002年~2010年)で歌のお兄さんを担当し、現在はポコポッテイトのメーコブの声でお馴染みのひなたおさむお兄さんである。コンサートなど様々な機会でダブルおさむお兄さんの共演も多いとか。


追記・修正はおさむお兄さんの歌を歌いながらお願いします。

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最終更新:2023年10月05日 20:58

*1 2018年現在。現在の最長記録保持者は、2008年~2017年の9年活動した横山だいすけ

*2 この当時現役うたのおにいさんでありながら深夜ラジオのパーソナリティを務めるという、現在では到底考えられないシチュエーションだが、当時はうたのおにいさんと他の活動の並行が可能だった。

*3 ちなみに現在でこそ収録参加は抽選制で当選後2ヶ月以内に参加できるが、かつての参加募集は「応募すれば応募者多数で相当な時間はかかるが順次参加できる」形式がとられていた期間が長かった為、応募から参加通知が届くまでのタイムラグを見る限り、当時はまだその時代だった可能性が高い。