ヒーローズファンタジア

登録日:2012/02/05(日) 20:47:54
更新日:2024/04/08 Mon 11:24:55
所要時間:約 6 分で読めます






異なる二つの世界の邂逅



集う異界の戦士たち



PSP用ゲームソフトとして発売された1990年〜2000年代放送のアニメ10作品(後述)のキャラクターたちが共闘し、入り乱れて戦うクロスオーバーRPG作品。多彩な必殺技によるグラフィックムービーカットイン、異なる作品群の新鮮な絡みの会話イベントなど知ってるアニメのファンにはたまらない作品。

主題歌はファフナーでおなじみのangela。



《あらすじ》

主人公が所属する国際調査機関「沢田国際リサーチ」通称S.I.R.にある依頼が来る。その依頼途中に突如出現したリュードック達に連れられて異世界アドロアスにたどり着く。そこはあらゆる生物が生存不可能となる赤い霧*1に侵され、滅亡の危機に瀕し、大魔導師アーヴィンが次元怪獣レインを使い支配していた世界だった。アーヴィンは滅亡する世界を見捨てこちら側の現実世界に侵略しようとしていた。主人公はその世界の姫セリッシュに救世主になるよう頼まれ、アーヴィンの野望を阻止すべく異なる世界の英雄達(ヒーローズ)を結集させアーヴィンに立ち向かって行く。



システム
  • パーティ構成
4人1組を4組セットしておき、戦闘時は自由に切り替えることができる。
最初は同じ作品同士でしか組ませることはできないが、イベントが進むと自由編成が可能となる。
1ターンの間に参加しているすべてのキャラが1度は攻撃するとクロスオーバー状態となり、コンボが続く限りはクリティカル率が3倍になる。
このゲームはクリティカル判定は命中より上であるため、34%以上あればクリティカル確定に加えて必中となる

  • 強化
レベルアップによりパーティで共通して増加するポイントを使って能力を強化できる。
ポイントは個別なので取り合いになることはない。また、使ってないキャラでも成長するので、気まぐれにパーティを変更したりもできる。
未使用のポイントはキャラごとに設定された形で全体のHP・PP強化にあてられる。つまり、主戦力以外は強化しないのが正解というなかなかに尖った仕様。

  • 戦闘概要
攻撃ターンと防御ターンを交互に行い、敵の撃破を目指す。敵は共有HPの減少によって勝手に減っていくが、こちらは個別にHPを持つ。
攻撃はAPというポイントを消費して行い、これが一定を下回るとターン終了となる。余分に消費することで攻撃を強化することもできる。
防御では、防御値によって命中判定が行われ、敵の攻撃力と味方のダメージ減衰率によって決定する。減衰率はマスクデータなので詳細不明。

  • 必殺技
PPを消費することで各キャラの必殺技を使用する。「必殺…技…?」的なものもあるが気にすんな。
キャラによってムービーがあったりなかったり。
使用すると、各キャラに装備させた「スピリット」に応じて、フィールド全体にバフ・デバフ効果を展開できる。
バフ・デバフは1系統の物しか存在できず、同系統は加減算され、それ以外の物が適用されると上書きされる。
ボスクラスは必殺技抜き&低AP消費でこのスピリット効果を発動してくるため、邪魔するために様々な種類のスピリットを装備しておきたい。

  • リヴァイブアクション
戦闘中に倒れたキャラは次第にHPが回復していき、任意のタイミングで蘇生することができる。蘇生後のHPはその時点での回復量。
HPが全回復状態で蘇生すると、英雄モードという状態になり、2ターンの間HPもPPも減少しない無敵となる。
ヒーローがピンチで立ち上がり、一発逆転する様の再現と思われる。
当然、回復までそれなりに時間を食うため、さっさと戦線復帰させてアクションで回復させるか全回復するまで粘るかの選択が求められる。


《登場作品及び登場人物》


ゲームオリジナル

S.I.R.のエージェントでエース。バリバリの王道主人公気質。男の英司だと右利き、女の忍だと左利き。
武器は父親の形見の「クラックエンホース」。ワイルドアームズXFっぽい。元々右利き用で、女性だと左利き用に改造されたクラックエンホース改となる。
ちなみに最初に出会う版権キャラは、なんと556&ラビーの兄妹。

  • セリッシュ姫
主人公に世界の救世主になってくれと頼んでくる女子高生風の娘。結束の森で待ってます。
遠回しではあるが、終盤で滅びゆく世界のために犠牲になれと宣う。

  • リュードック
姫に仕える魔導師。よく敵陣営に敵視され対立される原因になる人物。いわれのない敵意をふっかけられる可哀想な人。空間を移動できる。
実際、主人公に協力させるために平然と嘘や隠蔽を行うので、普通にプレイヤーからも胡散臭がられることも多い。
戦力にはならないが、追跡してもすぐに巻かれてしまうため斥候としては有能。

アドロアスの実権を握る魔王的立ち位地の人。侵略に対して緻密かつ人脈を作りあげ着実に事を運ぶ頭脳派で、現実世界の悪役達と手を組む。裏切りには寛容だが、自慢のペットの事となるとムキになる面を持つ。
レインを制御しているためその立場にあるが、そもそもレインを創り出したのがこいつ。やむを得ない事情とかもなく、しかもそれを黙っているクソマッチポンプ野郎。
ついでに、主人公たちの世界の文化に感銘を受け、アドロアスもレイン創造の責任も放棄してそちらに逃げ出そうと考えている……が、考えているだけでそれが許されないことであると重々自覚している。強すぎる責任感が裏目に出てしまったというのが正直なところ。

  • 魔導騎士レッド
全身にトゲトゲの赤い鎧を纏う騎士。アーヴィンの腹心の部下。侵略に際して大義名分を持つが、その理由は…。

  • アプトリオ
踊り子のような衣装の褐色女性。同じくアーヴィンの部下。モッドリーフ族最後の一人。特有の言葉をたまに使う。
リュードックを心底疑っている。
おまえのような17歳がいるか。

  • 次元怪獣レイン
次元を切り裂きあちこちに異次元の穴を開ける怪獣。開けた穴からは生物を死滅させる赤い霧が噴出する。
アーヴィンの自慢のペット。みんなから好かれないがアーヴィンだけは頑なに好んでやまないオウム返しの怪獣。
素材は人間。この作品における最大の被害者。


BLOOD+

  • 音無小夜
世界で唯一、『翼手』を殺す血を持つ女子高生。数々のトラウマイベントは再現されない。
本作ではシリアスシーンと縁遠いのんびりキャラ。任務で風華学園に転校してきたが、舞衣たちとは普通に打ち解けている。
なお、本作の翼手は彼女でなくとも殺せる。クロスオーバーだから仕方無い。

  • ハジ
小夜の付き人。寡黙だが面倒見がよく芸達者。
某「これだから現実の女は!」の人をアンシェルの同類と見なした。


◆R.O.D -READ OR DIE

  • 読子・リードマン
大英図書館工作員のエージェント。『紙使い(ザ・ペーパー)』の異名を取るビブリオマニア。必殺技では紙飛行機をめっちゃ投げる。
こちらも任務で風華学園に教師として赴任。碧と一緒に年齢の話題に反応する場面が…。
ジョエルの日記も読もうとした。止めろ。

  • ナンシー
同じく工作員。ミス・ディープ。
何でもすり抜けられるボンテージ美人。武器は銃。
蘇芳の恋心にいち早く気付き、彼女をからかうことも。

  • ドレイク
傭兵。数少ない普通の戦闘員ながら指揮を務める。
厄日だな……


◆DARKER THAN BLACK

  • 黒(ヘイ)
『契約者』と呼ばれる能力者にして暗殺者。電撃を放ち、ナイフとワイヤーを駆使して攻撃する。
何故か原作ではルイにしか言っていない「ヘドが出そうだ」が口癖になっていて敵に対して頻繁に使うが、「黒曜の君」に対してだけは「ヘドの出る話だ」と更なる怒りを見せた。
本作でもっとも優遇されたキャラクターであり、戦闘では通常攻撃が多段ヒットするため途中から「全部こいつでよくね?」なことになる他、シナリオでも『R.O.D』以外の作品に深く関わるキャラクターが最低1人はいる。
ただ便利だったのか贔屓なのかは不明だがやりすぎな面もある。『スクライド』のラスボス、無常を殺害したことはその最たる例。

  • 蘇芳・パブリチェンコ
『流星の双子』から登場。時間差はクロスオーバーなんで気にするな。
銀とエンカウントしてしまったため、ちょいちょい黒との関係が気になって仕方ない。おまけにノーベンバー11からハヴォックの話題が出たため黒がモテることに気づいてしまう。
対戦車ライフルは必殺技。


◆ケロロ軍曹

  • ケロロ軍曹
ケロン星からやってきた侵略宇宙人兼軍人。基本的に他の力を借りて戦う。必殺技もモア。
リナからは「ホシガエル」と呼ばれている。

  • タママ二等兵
腹黒で光線吐く武闘派。黒いキャラとして黒に憧れる。おかげで銀にも嫉妬するようになってしまった。
「おたまじゃくしが喋った!」と猫(マオ)に驚かれた。

  • ギロロ伍長
ジョージ。原作でのかませ犬要素は雲慶の能力に簡単にかかったぐらいで、終始真面目でシリアスな軍人。
なつきを「夏美に匹敵するペコポンの女ソルジャー」と評して仲良くなる。

  • クルル曹長
メカニック。珍しい状態異常攻撃タイプ。大抵こいつのおかげで話が進む。ドラえもん。

  • ドロロ兵長
忍者。原作よりはるかに存在感が増しており、アメリアやメリッサと一緒に敵を説得しようとしたり、ズーマの暗殺者としての行動に疑問を感じたりとちょいちょい出番がある。
戦闘でも避けるわ硬いわで序盤の壁として重宝する他、トラウマスイッチが入るのはHPが0になった時だけ。
だが、シナリオでは表情差分を含めて立ち絵が二種類しかない。


◆スクライド

  • カズマ
『アルター使い』と呼ばれる能力者。人の話を聞かないケンカバカ。通称、『シェルブリットのカズマ』。
コイツだけ形態変化が可能。……まあ君島が死ななかったので最終形態出ないけど。3発しか使えないという原作通りの制限を持つ。
クリーオウとマジクからオーフェンに似ていると評された。

  • ストレイト・クーガー
何よりも速さを求めるアルター使いの兄貴。早口で長話でグラサンのグッドガイ。
遂にみのりさんの名前をフルで間違えた。
やはり最終形態なし。その代わり離脱することなく最後まで仲間として使える。

  • 劉鳳
正義の信念と理念を追求するアルター使い。
通常技は第一形態での鞭打ち。第二形態は必殺技オンリー。
カズマ同様最終形態はない……まあ、シェリスが生存したので良しとしよう。
今回無常が原作以上の悪事を働くため、それに伴ってホーリーもほぼ完全に悪の組織化。よってカズマとのケンカも口論の段階で負けてしまうことも…。


◆スレイヤーズ

  • リナ=インバース
ナイチチなドラまた。通常技はファイヤー・ボール。必殺技はお馴染み『竜破斬(ドラグ・スレイブ)』。
必殺技は重破斬に切り替え可能。ただし、通常の消費に加え、HPを半分消費・命中率超低い・3ヒットしかしない、という重すぎるデメリットを持つため超使えない
…というのは、このゲームのシステムを理解してない人の意見であり、ちゃんと理解していれば最強の技となる。
原作以上の良識人になっており、カズマと劉鳳のケンカの仲裁役を買ってでたりする。
なお、オーフェンとは過去に共演済みだが、本作では「なんかどこかであった気がする」と語る程度。

  • ガウリイ=ガブリエフ
アホだが超絶剣士。『R』なので『光の剣』も『斬妖剣』もない。必殺技技は『烈光の剣(ゴルンノヴァ)・レプリカ』。レベルが上がると鍛冶スキルも上がる。
カズマとはお馬鹿友達。

  • アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン
正義かぶれの王女様。回復担当だが、必殺技は親父譲りの『平和主義者クラッシュ』。

  • ゼルガディス=グレイワーズ
石人形と邪妖精との合成獣にされたグリリバ。防御力の高い剣士で沈着冷静な常識人。必殺技は『魔皇剣(アストラル・ヴァイン)』。
なお、劉鳳と声が似ていることはばっちり指摘された。


◆舞-HIME

  • 鴇羽舞衣
『HIME』と呼ばれる能力者。炎使い。
悩んだり落ち込んだりするとすぐに他作品キャラにフォローされる。

  • 玖我なつき
ツンツンなガンナー。手数が多い。必殺技は三種類。
なんとヘタレない。最初から最後までクールビューティー。

  • 美袋命
元気いっぱいの短髪おさげ。チャイルドは無く、剣で戦う。

  • 杉浦碧
正義の味方な先生。必殺技はかなり気合いが入っている。先生にも色々いるもんだ……


◆魔法戦士リウイ

  • リウイ
偉大な魔術師を義父に持ちながら、本人は冒険者を志す青年。出生の秘密は明かされない。
未熟な時期なので戦い方は喧嘩殺法。

  • ミレル
盗賊ギルドの少女。態度は悪いが腕と面倒見はいい。川上とも子に代わり、松岡由貴が演じる。

  • メリッサ
『勇者』に仕えるはずが、何の因果かリウイに仕える事になった神官。
実はリウイがああなった原因。

  • ジーニ
少数民族出身の凄腕剣士。リウイの剣の師匠も務める。強く逞しい女性。
楯祐一と交流したことで『舞-HiME』のいろいろなフラグを1人でへし折った。


◆魔術士オーフェン

  • オーフェン
人類最底辺の最凶黒魔術士にして暗殺技能者。通常技は『光の白刃』、必殺技は『原始の静寂』。実は殴る蹴るのが得意。
カズマとはお互いを「シェルブリットの」「魔術士さん」と呼びあうほど仲良くなる。

  • クリーオウ・エバーラスティン
頭にディープ・ドラゴン『レキ』を乗せたじゃじゃ馬娘。本人の戦闘力はアレだが、なんせレキが強い。

  • マジク・リン
若干反抗期なオーフェンの弟子。光の白刃を使うが、ある程度のレベルまでは威力が……。


◆戦闘メンバー以外

銀(イン)やかなみ、爪核などといった人気キャラ達。
しかし残念ながら戦闘では使えず、ボイスもない。
まあチャイルドマンはギロロがいるんでCVが表記されていたが……なら出してやれよ……

ちなみにジュライは『流星の双子』基準で登場するが、ノーベンバー11とはニアミスする。また、猫は猫の姿とモモンガの姿の両方が登場するが、こちらも揃うことはない。


◆評価
参戦作品的にはいわゆる20代ホイホイ的なものであり、その筋の人は期待しがちなクロスオーバー……なのたが。
システム面などでは面白い部分もありながら、「イベントが薄い」「原作再現が微妙……」「オリジナルが……」といった声もちらほら……
オリジナルに関してはジフトの項目を参照。
また、ぱっと見王道っぽいようで、英雄TUEEEEとか雑にやってると途中で詰まる仕様。
色々考えてゲームに取り組むタイプには受けがよさそうだが、参戦作品のファン層とマッチするかは微妙。

基本的にラノベ・漫画は『アニメ版』のネタのみ。
ただし『オーフェン』は絵こそアニメ版だが、全体的に原作を意識している。


総じて手探り作に見えるが、今までは『ロボット』と『特撮ヒーロー』が主流だったクロスオーバーに新しい形を作ったという意味では評価できる。
続編も製作するなら様々な夢の共演が可能になるかもしれない。

また、必殺技のアニメーション再現率はかなり高い。
それだけに全員に複数パターンの必殺技があれば評価はもう少し上がっていたハズ。





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最終更新:2024年04月08日 11:24

*1 酸素と二酸化炭素を破壊する。毒ではないため、抗体とか抵抗力とかも意味を成さない。生き残れるとしたら精々乾眠中のクマムシくらいである。