キングコング対ゴジラ

登録日:2011/06/01 Wed 23:53:52
更新日:2024/01/27 Sat 22:57:41
所要時間:約 4 分で読めます






ゴジラ勝つか? コング勝つか? 世紀の大決斗


キングコングゴジラ






『キングコング対ゴジラ』とは、ゴジラシリーズ第3作目の映画。そして、シリーズ初のカラー作品でもある。
ゴジラ対キングコング」は誤表記なので要注意。

1962年8月11日公開
観客動員数1255万人


●目次

【主要スタッフ】

制作:田中友幸
監督:本多猪四郎 特技監督:円谷英二
脚本:関沢新一
音楽:伊福部昭

【概要】

東宝創立30周年記念作品の1つとして製作されたため、非常に力を入れて作られた娯楽大作である。
本作の最大の目玉はアメリカでもっとも有名な怪獣キングコングとの対決であり、
東宝はキングコングの使用権に当時の金額で8000万円を出している(現在に換算すると8~10億円)。

また、メッセージ性よりも娯楽性を強く打ち出したシナリオは完成度も高く、総じて評価も高い。
ピークを過ぎたとはいえまだまだ邦画が元気な時期、観客動員数1255万人という桁外れの記録を残すゴジラシリーズ最大のヒット作となっている。
後にキングコングを主役にしたキングコングの逆襲も製作された。
これは「コングの著作権を五年借りたら『コング対ゴジラ』が一年でできたため、残る四年でもう一本ぐらいできないか」と考えたかららしい。

実は元ネタになった企画が存在しており、そちらの方ではフランケンシュタインの怪物とキングコングが戦う予定であった。

また「平成VSシリーズ」を手掛けた川北紘一氏が参加したはじめての『ゴジラ』である(氏の初仕事は『妖星ゴラス』)。

1970年には東宝チャンピオンまつりにて短縮版が公開されている。フィルム複製の手間を省くためにオリジナルのネガを裁断しており、この時カットされたフィルムが長らく行方不明になっていたのは有名な話である。
後にオリジナル版公開から15年を迎えた1977年に再び同枠で上映された。東宝チャンピオンまつり内で公開された最初と最後のゴジラ過去作が本作とは、何とも因果な話である…。

そして来る2021年には50年以上の時を経て、『キングコング 髑髏島の巨神』『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の続編である『ゴジラVSコング』にて両者は再び相見えることとなる……。




【あらすじ】

自社提供のテレビ番組「世界驚異シリーズ」の視聴率*1が苦戦していることに頭を痛めるパシフィック製薬宣伝部の多胡部長は、
植物採集を行っていた牧岡博士から南海のファロ島に魔神が出ると聞き、テレビ番組のスタッフである桜井と古江を派遣する。

その頃、北極海では氷山からゴジラが復活し、原子力潜水艦を沈め、NATO基地を蹂躙しながら日本を目指していた。
一方、ファロ島ではキングコングが出現。島民によって眠らされたコングは話題をゴジラに取られて逆転を狙う桜井と古江によって日本に運ばれるが、
輸送の途中で目を覚まし、拘束を逃れて日本に上陸する。

ここに日米を代表する怪獣同士の戦いが日本で行われることとなった。



【登場怪獣】

※各種スペックは講談社『ゴジラ&東宝特撮 OFFICIAL MOOK』vol.03《キングコング対ゴジラ》より抜粋。

ゴジラ

別名:原子怪獣
身長:50メートル
体重:2万トン
武器:放射熱線
演技者:中島春雄、手塚勝巳

ご存知日本が誇る怪獣王。今作ではキングコングと激しい肉弾戦を展開する。
落とし穴に落とされたり、弱点の高圧電流に進路を阻まれたり、計略通りにキングコングと戦わされる等人間に振り回されてる感じもする。
作中で手を頻繁に叩くのは当時のプロレスラー豊登のパロディである。
今作のトカゲのような顔立ちのゴジラのスーツは「キンゴジ」と呼ばれ、ファンの人気が高いスーツの1つである。

◆キングコング

別名:巨大なる魔神
身長:45メートル
体重:2万5千トン
演技者:広瀬正一

ご存知アメリカが誇る猿王。今作では髑髏島ではなくファロ島の怪獣で、島民からは「トウワン」と呼ばれる
アメリカ側からの要望で外見はオリジナルとかなりの違いがあり、日本の猿等の要素も入っているとされる。
そのせいかアメリカのファンから不評である。

赤い実を絞った汁で酔っぱらったり、ゴジラの熱線にビビって逃げる等、妙に仕草が人間くさい。
おまけに放射熱線や尻尾による中・遠距離攻撃を持つゴジラ相手に対し、肉弾戦と投石しかできないコングは分が悪く苦戦するシーンが多め。
だが今作ではゴジラに対抗させるために「帯電体質」という設定を与えられ、を体に貯めて指先から電撃を出す能力を獲得。電気に弱いゴジラと互角に戦っていた。




大ダコ

別名:海魔
全長:30メートル
体重:2万トン

序盤にキングコングと戦った。本物のタコを使ったため圧倒的なリアリティがある。
撮影に使ったタコはスタッフがおいしく頂きました。(実話)

◆大トカゲ

全長:1メートル
体重:不明

その名の通りファロ島のジャングルに棲息している大型のトカゲ。
特に害はない様子だったが、古江に尻尾を掴まれたり、桜井にライフルで撃たれたり散々な扱いだった。


【登場人物】

◆桜井 修
演:高島忠夫

テレビ局TTVのスタッフ。
本作の主人公で相棒と一緒にいきなりファロ島に飛ばされる苦労人。
ドラムが特技で、これが劇中以外な所で役に立つ。

演じた暴れん坊将軍の3代目爺こと高島忠夫は息子の高嶋政宏氏も『ゴジラVSメカゴジラ』で主演を務めたため、親子2代でゴジラの主演をしている。

◆古江金三郎
演:藤木悠

テレビ局TTVのスタッフ。
桜井の相方で漫才コンビのような掛け合いが多い。
大トカゲにびびるなど桜井と比べるとヘタレな面が目立つ。

◆多胡 部長
演:有島一郎

パシフィック製薬の宣伝部長で下の名前は不明。
停年間近のためか自社の宣伝の為に手段は選ばない、作中で一番のトラブルメーカー。
キングコングが日本に上陸してからはキングコングのスポンサーを自称している。
シリーズではお馴染みの「怪獣で一儲けを企むも怪獣に殺されるなど手痛いしっぺ返しを食らう役」だが、根っからの悪人ではないので最終的にそれといった制裁は無く、自らの行いを反省するという形に落ち着く。

演じる暴れん坊将軍の初代爺こと有島一郎は当時の東宝のサラリーマン喜劇物の常連で、本作においてもその演技を遺憾なく発揮している。

◆桜井文子
演:浜美枝

桜井の妹で兄公認の恋人がいる。恋人の安否を確かめに電車に乗ればゴジラに追われ、
その後疎開するために電車に乗ればキングコングに捕まるという、ある意味本作で一番の被害者。
演じた浜美枝氏は、本作に出演したことが縁で競演していた若林映子共々「007は二度死ぬ」のボンドガール役の出演のオファーが来たと言われている。

◆藤田一雄
演:佐原健二

文子の恋人で新しい繊維を開発している。
怪獣の襲撃から何度も難を逃れ、文子のピンチを何度も救っており、従来の作品なら彼の方がよっぽど主人公っぽい。
新開発した繊維は意外な形で役に立つことに。

◆重沢博士
演:平田昭彦

今作の博士。
ゴジラが日本に来たのは帰巣本能によるものだという説を唱えた。
今回は怪獣は倒さない。
決して、オキシジェン・デストロイヤーの発明者ではないし、ペンシル爆弾の開発者でもない。

◆コンノ
演:大村千吉

ファロ島での通訳を務める。


【余談】

どういうわけかアメリカでは「オリジナル版ではゴジラが勝ったがアメリカ公開版では編集で引き分けに見せている」という都市伝説が広まっているのだとか。
日本人ファンがネタ気味に「リングアウトしたのはコングが先だから、この勝負はゴジラの勝ちだ」ということはあったが、なぜ……。
ちなみに、勝敗はいじってないが終盤を米国版で編集しているのは事実(両怪獣の戦いで地震が起きるシーンを『地球防衛軍』の地震に差し替えている)。





追記・修正には、パシフィック製薬の「パシン」をどうぞー。


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最終更新:2024年01月27日 22:57

*1 作中では「聴取率」と呼ばれている。公開当時はこちらが主流だった。