登録日:2012/07/15 Sun 00:30:05
更新日:2024/03/10 Sun 18:43:14
所要時間:約 4 分で読めます
◆あらすじ
月星商事に勤める待機室長・句楽兼人は、新聞に何の大事件も載っていない事をボヤいていた。
特にする事もないので帰ろうとした所、同期の片山と出会う。
最近会えなかったことから、旧交を温めるため「飲みに来いよ」と誘いをかけ、句楽は帰宅。
夜になり、車で句楽邸へ向かう片山。
と、そこに女性の影が。
なんとかよけるが、電柱に激突、車が大破してしまう。
……その時、空から一人の超人が舞い降りた。
彼の名はウルトラ・スーパー・デラックスマン。
弱き人、善良な人を助けるために日夜働いている、正義の味方らしいが……?
◆登場人物
CV:
龍田直樹
ご存知
ラーメン大好き
小池さん......によく似た人物。名前の読みは「くらく けんと」。
まんまである。
強い正義感を持ち、世の中の不正に怒りを感じているが、新聞への投書以外に悪に対して何もできない自分への無力感も覚えていた。
実はウルトラ・スーパー・デラックスマンの正体。ある日、突然超人的な能力に目覚め、正義の味方ウルトラ・スーパー・デラックスマンとして活動を始めた。
CV:増岡弘
句楽の同期。
要領が悪く、純朴な人柄のため出世できずにいる。しかしそれゆえに妻など慕う人も多く、句楽も気を許す存在であった。
アニメ版は愛と勇気のマスオさん。
CV:柳沢三千代
句楽邸へ向かう片山の前に現れた女性。
何やらただならぬ雰囲気だが……?
追記・修正は正義の心を持つ人にお願いします。
本作は、超人的能力を得た一人の平凡な人間が止めどない力と正義感の赴くまま暴走していく姿を通し、人間の偽善心や、暴走する正義に潜む恐怖、正義とは何かを強烈に風刺する作品である。
ウルトラ・スーパー・デラックスマン
登録日:2012/07/15 Sun 00:30:05
更新日:2024/03/10 Sun 18:43:14
所要時間:約 4 分で読めます
◆登場人物
CV:
龍田直樹
ご存知
ラーメン大好き
小池さん......によく似た人物。名前の読みは「くらく けんと」。
まんまである。
異常な程の正義感を持ち、世の中の不正に怒りを感じているが、
業務中の新聞への投書以外に悪に対して何もできない自分への無力感も覚えていた。
ある日、突然超人的な能力に目覚め、正義の味方ウルトラ・スーパー・デラックスマンとして活動を始めたのだが……。
アニメ版の狂人じみた演技には一見の価値あり。龍田さんノリノリである
CV:増岡弘
句楽の同期。
要領が悪く、純朴な人柄のため出世できずにいる。しかしそれゆえに妻など慕う人も多く、あの句楽ですらも
地球で唯一気を許す存在であった。
句楽の下へ行く事を妻に止められるが、
制裁を恐れて廃墟の中にある句楽邸へ向かう。
アニメ版は愛と勇気のマスオさん。
CV:柳沢三千代
句楽邸へ向かう片山の前に現れた女性。
何やらただならぬ雰囲気だが……?
◆「正義の味方」の行く末
ウルトラ・スーパー・デラックスマンとなった句楽は、様々なこの世の悪をひねり潰していった。
暴走族、汚職代議士、無能な国会、公害を垂れ流す企業……あるいはケチなかっぱらいまで。
しかしそれは、
文字通りの殺戮でもあった。そんな無法が、法治国家で許されるはずがない。
警察・文化人・マスコミと、様々な手段を持って句楽の鎮圧を試みる社会だったが、無敵の超人たる彼を止める事は不可能だった。
句楽を逮捕しようとした警官隊は逆に首や腕を引きちぎられ、皆殺しにされた。
マスコミはビルごと叩き潰され、
自衛隊の攻撃でも句楽の体に傷一つつける事さえできない。
ついには
句楽が寝ている隙に近所一帯の住民を避難させ、小型核ミサイルを撃ち込んだものの、句楽はそれでも死ななかった。
現在、句楽が住んでいる家の周り一面が
世紀末でヒャッハーやってるモヒカンが現われそうな廃墟と化しているのも、そのせいであろう事は間違いなかった。
とうとう句楽の抹殺を諦めた社会は、句楽を刺激する事のないように「待機室長」という実務の無い役職のみのポストを与え(
国が直接「句楽を刺激させるな」と会社に命じた可能性あり)、一般市民には「ウルトラ・スーパー・デラックスマンなどという荒唐無稽な人物は存在しない」と発表。
句楽の殺人行動を促さないように重大事件の報道を禁止した。
そして──
- 会社に行っても、目が合った途端に他の社員が一斉に逃げ出す
- 句楽の要求には誰であろうと何でも応じる
- 具体的には破壊された自宅を豪邸として廃墟の中建て直してもらったり、アポなし電話1本で人気アイドルをデリヘルのように即座に呼びつける事もできる
- 句楽に頼まれて出前に向かった寿司屋も「お代は要らない、桶の鉢上げも結構」と怯えながら逃げるように去る
このように、いつの間にか片山も含めた人々は句楽に対して腫れ物に触るように接するようになっていた。ひとたび事あれば句楽が何をしでかすかわからないからだ。
句楽は、社会が自分に活動されると困るから真実を隠す事を知っている。だからこそ、彼は憤っていた。
「おれを甘く見るな」と。
気晴らしにテレビをつけると、アイドル歌手が歌っていた。
その姿に一目惚れした句楽は、無理やりテレビ局にアポをとってアイドル歌手を自宅に誘う。
その時、片山が轢いてしまいそうになったあの女が
包丁を手に現れた。
句楽を刺し殺そうとする女だが、句楽の
ウルトラ・スーパー・デラックス細胞は刃を通さない。
句楽によると、女は先日ひねったかっぱらいの彼女で、仇をとろうと何度となく襲ってきたらしい。
句楽は「今度来たらギタギタにする」と女を脅して追い払う。
「ひねったというと…つまりこう…グイッと?」
その光景を想像して怯える片山に、他の連中が自分を見るのと同じ目線を感じた句楽は、片山にまで怒りの矛先を向け始めた。
「なんでそんな目でおれを見るんだ。おれの力は世の不正を正せと神があたえたもうたものだ。そのおれに逆らうものはすなわち悪だ。悪を抹殺するのがなぜ悪い!?」
一触即発──だが句楽はすぐに落ち着きを取り戻し、時々湧き上がるという気持ちを片山に告げる。
「こんな気持ちってわかるか。ひとりで車にのってんだ、ブレーキの無い車に。ひょっとしておれ一生死ねないんじゃないかと…いや死ぬまで死ねないんじゃ……」
やがてアイドル歌手が句楽邸に来た。
「仕事があるので早く用事をすませてほしい」と言われたため、さっさと彼女を抱こうと寝室に案内する句楽。
そして、句楽を狙う女が今度は
ハンマーを手にして現れた。
片山の制止も聞かず、アイドルと
悦楽の行為に及ぼうとしている最中の句楽を襲う女。
肉欲を妨げられた句楽は、女を殺そうと襲いかかった。
片山は女を連れて廃墟の地下に逃げるが、弾丸よりも速く飛行し、あらゆる物を見通すX線眼を有する句楽には無意味だった。
「女を渡すなら許してやるが、渡さないならお前も同類とみなす」と恫喝する句楽。
あまりにも理不尽な要求に片山も我慢の限界だった。
いったな!!
生 き 埋 め に し て や る !!!
その言葉に逆上した句楽はついに片山と女を殺そうとする……
が……
句楽の攻撃が突然収まった。
片山が恐る恐る外に出ると、句楽は膝を地につけ、血を吐いていた……。
「吐血の原因は胃ガンだった」
「公平に言って、ウルトラ・スーパー・デラックスマンは現代が成しうる最高の医療を受けたと言えよう」
「しかし、ウルトラ・スーパー・デラックスガン細胞の増殖を抑える事は不可能であった」
片山に出来ることは、強大な力を持った句楽の呆気ない最期を見届ける事だけだった......。
◆アニメ版での追加・変更点
- 片山に「茂雄」という中学受験を控えた子供がいる。茂雄自身に台詞はない。
- 句楽がひねる描写をマイルド化。
- 自分を逮捕しに来た警官隊を返り討ちにする回想と自衛隊と戦う回想の間に機動隊との戦闘シーンが追加されており、本家スーパーマンめいた突風並みの吐息で機動隊を壊滅させる。
- 句楽を説得しに来た文化人の一人(CV:田中亮一)がテレビの討論会で「彼は最早正義の味方ではありません!」と批判し、それを見た句楽が激昂してテレビ局に乗り込みその文化人を壁に叩きつけるシーンが追加。
- 小型「核」ミサイルとは明言されなくなった。
- 句楽の独白で「自分が不死身である(と思い込んでいる)」を追加。
- 謎の女の武器がナイフとマシンガンに変更されている。
- また、謎の女の恋人はかっぱらいではなく、句楽の方から「悪口を言った」と言いがかりを付けられて殺されたとされている。
- 謎の女から二度目の襲撃を受けた句楽は不気味な笑いをあげるようになり、片山に血に飢えた化け物と糾弾された際は原作とは違い逆上しなかった所か、「オマエモコロス」と冷たく言い放つ。
- 句楽は能力を手に入れてから数年間、前述の思い込みから健康診断に行っておらず、それ故にガンが手遅れになっていたとされている。
- 句楽の手術(の失敗)と、死後のシーンが追加されている。
- 最後は片山が句楽のいたベッドの前で、彼の棺にウルトラ・スーパー・デラックスマンのコスチュームを納めない事を決める独白で終わる。
私は、彼の棺にこの服を入れるのはやめようと思う。
彼は、ウルトラ・スーパー・デラックスマンではなく……
平凡な一人のサラリーマン・句楽兼人として、
一生を終わりたかったに違いないから……。
追記・修正は正義とは何か考え続けられる人にお願いします。
- アニメ版ビューティフルジョーでも似た回あったなあ。アベンジャーズみたいに多数のスーパーヒーローが居る映画の世界なのに、敵が(その映画の)悪役たちを匿ったせいでヒーローたちが力を持て余してピリピリして結果的に市民の安全を脅かしてたっていう -- (名無しさん) 2023-07-19 21:00:46
- 私はこれになりたい……絶対的な暴力による破壊と恐怖があれば、一瞬でも前のめりな -- (名無しさん) 2023-08-13 11:37:46
- に行われる戦争とか、開発や競争による人類の生息圏の破壊とか誰も止められないことを抑止できるかもしれない -- (名無しさん) 2023-08-13 11:48:55
- ↑この作品を読んでその結論に終るのは作品の理解が浅すぎ -- (名無しさん) 2023-08-14 20:15:31
- DCコミックスのスーパーマンが過去に何度も悩んできたのを思うと、こんな形でピエロにされるのはちょっとムッとくる。 -- (名無しさん) 2023-08-14 20:15:49
- 一般人が過剰な能力を持つとこうなるけど、デスノートの月のような知力と責任感がある人間がもしUSD能力を得たとしたら「効率のよい暴力による世界平和」を実現しそうな気がする -- (名無しさん) 2023-08-14 22:59:14
- ↑『DEATH NOTE』の結末を読んでなんでその結論になるのか? -- (名無しさん) 2023-08-14 23:10:12
- ↑実際にキラは戦争を止め、多くの人がキラを支持している。キラと敵対した者たちも月の功績だけは認めている。というかデスノートって、終わり方の受け取り方が人によってさまざまな漫画なんじゃないかな -- (名無しさん) 2023-08-15 07:00:20
- ↑それは彼のもたらした結果のみであってデラックスマンといっしょで絶対的な力をもったときに人はエゴイストになれるのいい見本例では -- (名無しさん) 2023-08-15 08:12:26
- 手順をともなわないものは独裁者とかわらない、けっきょくキラの政治もこんぽんはデラックスマンとおなじ恐怖政治であって知性や道徳ではないし、彼の「正義」だけを反映したエゴまるだしのものだから -- (名無しさん) 2023-08-15 08:15:29
- ↑そう思わないで、キラによる恐怖支配でも戦争や犯罪の無い世界のほうがいいっていう人間もあの世界に大勢いたじゃん。デスノートの最終回も、キラがいなくなって犯罪が蔓延しだした世界へのやるせなさで終わってるし。そういう意味で、ウルトラスーパーデラックスマンの超人の力を得た自分のすべきことでじっとしてられない一般人の気持ちもわかる -- (名無しさん) 2023-08-15 09:09:46
- ↑「デスノートで金儲けを企む」後日談の読み切りの時代だと道徳の授業でキラが極悪人として説かれているのもLやニア達みたいな反キラ派だけじゃなく、キラの世界の賛同者のその後の世界への諦念や虚無感による世相もあったのかもしれないのかな……。 -- (名無しさん) 2023-08-15 14:57:19
- 正義の心があろうがなかろうがやってることは犯罪であり、周りから見たら悪そのものだよ -- (名無しさん) 2023-08-15 15:54:21
- 2↑君が学生であることを祈るよ、夜神月は高校生あたりがあんいに考える「犯罪のない世界・平和な世界」をあんい成し遂げたからこそ問題なのだよ、本人曰く「神になる」と曰って本来浄化装置として機能していた罪のないLたちのような人々を「思想がちがうから」と処罰の対象にするのは、デラックスマンが反対派の権威者を虫けらのように殺している行為とかわらない -- (名無しさん) 2023-08-15 16:15:34
- その行為について本人は「正義」ととられられても、それこそ信者や賛同者でなければ「人殺し」だけれども、その基準を「自分は神だから無罪」と究極の特権階級におくのはかつての王権神授説の世界や現代の独裁者ですらなしえない特権と、そんなものを誰が許すかといったら「自分が許す」という自己弁護しかないもの、さいどいうけれども彼がもたらしたものは過程を省いた結果(なぜ罪をおこしてはいけないのか、起こるとしてどうすれば最小にできるのかなど)だけをもたらした最短のものをもたらしたぶん質が悪いともいえるよ -- (名無しさん) 2023-08-15 16:22:42
- ↑信者や賛同者でピンときたけど、実際にいたとしたら昨今のあれこれの事件の世の中の反応を見るに孤独になるどころか賛同者が押し寄せて神に祭り上げられそうに思える。なにせ自分たちに都合の悪い存在を消すのにウルトラスーパーデラックスマンほど確実なものはない。むしろ徹底的に句楽をヨイショする集団が乱立して、ウルトラスーパーデラックスマン争奪戦争になるのでは -- (名無しさん) 2023-08-15 18:48:18
- ↑生殺与奪を握る絶対的な人間に群がるのは狂信者くらいで、いつ自分がひねりつぶされる対象になるか(言論弾圧・たった一人の個人による判断によって自由が規約される)で結果最初こそもてはやされても最終的に隔離対象になり友人(という役割)が会いに行くことすら身近な人がとめに行くような存在になっていたよね、本当に本編を読んでる? -- (名無しさん) 2023-08-15 18:55:31
- 本当に今更過ぎる話だけれど、USD癌細胞は句楽兼人が無意識下で自ら生み出したものだったりして……? 劇中で今後への不安を吐いていましたし。 -- (名無しさん) 2023-08-15 19:08:05
- 自分をひたすら正しいと信じてる殺人○やんけ。 -- (名無しさん) 2023-09-05 19:08:14
- 悪役がいたとしても自分より強い悪役が出たらそっこー逃げ出しそうだな句楽 -- (名無しさん) 2023-09-05 19:24:41
- アニメ版だと句楽以外のキャラがちょっと美化されてたな… -- (名無しさん) 2023-09-22 12:50:19
- まさに「大いなる力には、大いなる責任が伴う」だなぁ -- (名無しさん) 2023-09-25 13:24:45
- 正しい事なら何してもいいと元々潜在的に思ってそうな感じはある。本来なら力を持つべきじゃない人なのかもね -- (名無しさん) 2023-10-06 23:42:59
- 哲学的な話になるけど、世の中絶対正義、聖人君子のような人間なんて居ない。人間なんて必ず何処かに落ち度があるものだし、完璧じゃない存在だからさ。やはり悪い事も正義を振りかざすのも行き過ぎればダメなんだって事。やはり正義のヒーローなんかになるより、普通の人として毎日穏やかに過ごせれば何ものにも変え難いものではないでしょうか。、 -- (名無しさん) 2023-11-16 01:05:48
- ↑最近、正義という大義名目の元で行き過ぎた暴走や虐殺に繋がってると思うことが多いと思う。正義という綺麗な言葉の建前さえあればなんだって許される、という言わば免罪符的に使われているのですが、その正義も濫用されて悪い事に使われ続ければ正義自体の価値も意味も無くなると思うんです。だから、それに代わってほんのちょっとの親切と思いやり、対話で解決出来れば争い合う事もないと思います。正義という便利なワードはむやみに濫用なんかせず、あくまで『普通の中立の心を持った人間』として振る舞う事が良いと思うのです。僕ならそんな正義が持つ大きな責任には耐えられないし扱いきれないと思うので、普通の人間として毎日心穏やかに過ごせれば幸せだと思います。 -- (名無しさん) 2023-11-16 19:33:41
- OVA未視聴だが女の恋人の素性と殺された理由の変更は要らないと思う。テーマがブレる -- (名無しさん) 2023-11-25 17:58:32
- 個人的には「法治国家がどうとか私的制裁がどうとか…俺は小難しい理屈は嫌いなんだ」の下りが一番怖い。その程度の認識しかないのに、自分の尺度で暴力振るいまくってるわけで -- (名無しさん) 2024-01-04 20:03:36
- ↑現在でも社会保障を否定したり私人逮捕を支持する人はいますからね。自分の尺度でしか物事を見れない人はいる・・・。 -- (名無しさん) 2024-01-12 11:19:36
- 正義ってのは個人で完結するものではないんだな。周囲の人間、はたまた自分と何の関係もない人たちとも共有できるものでなくては。 -- (名無しさん) 2024-01-21 10:28:24
- 悪だと思ったやつを懲らしめることばかりして、その力で誰かを助けるっていうことを思いつかなかったのがこの男の限界なんだな -- (名無しさん) 2024-03-10 19:29:22
最終更新:2024年03月10日 18:43