船長

登録日:2012/07/26(木) 09:51:09
更新日:2022/12/06 Tue 01:20:23
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船長  「面舵いっぱい!」(hard starboard!)



操舵手Q/M(復唱)「おもーかーじいっぱい!」(hard starboard! )



Q/M(舵を面舵にしてから)「おもーかーじいっぱい」(hard starboard sir!)



船長「もどーせー」(midsips)



Q/M「もどーせー」(midsips.)



Q/M「もどーせー」(midsips sir.)



船長「ヨーソロ」(stedy.)



Q/M「ヨーソロ」(stedy.)



Q/M「ヨーソロ」(stedy sir.)




船長(Capt:Captain 古くはmaster)とは船舶の総指揮を執る人 船舶の中で最も高位についている。
つまりは船の神様である。船の中では乗組員だろうと乗客だろうとこの人に逆らえる人はいない。
(1等航海士は船内の風紀などに関して船長でも逆らえない権限をもっているが)
いわずもがな船の最高責任者である。

Wiki篭りの諸君も船にのる機会があったら船長には従おう。

通常、船長は甲板部から選任されている。
そのため機関士等は船長になれない。
船長になるためには、すくなくとも航海士として経験が必要である。


軍艦の船長は特に艦長と言う。
イギリスでは常備海軍が無かった時代、戦時には民間の船舶を徴用し艦隊が編成された。
この時の民間船長がMasterであり、政府から派遣された軍人がCaptainである。Masterは操船の責任者としてCaptianを補佐した。
やがて制度が確立するとMasterは航海長の名前になった。

軍艦の艦長は海軍士官でなければならないことや、一般の船長は航海士を経験せねばならないのはこういった経緯による。

またヨットの場合は艇長あるいはスキッパー(sk。


特筆すべき点はその権限である。 船舶では航海中、陸上から孤立している。そのため船長はかなり広い分野で権限をもっている。


たとえば一例をあげると

指揮命令権
船長は、海員を指揮監督し、且つ、船内にある者に対して自己の職務を行うのに必要な命令をすることができる。
海員とは船長以外の船員のこと。
船内にある者とあるので乗客だろうかなんだろうか船に乗っている人なら命令をすることができる。

水葬
船長は、船舶の航行中船内にある者が死亡したときは、国土交通省令の定めるところにより、これを水葬に付することができる。

司法警察権
船長は特別司法警察職員である。つまり船内で犯罪がおこった際、犯罪の捜査や容疑者の逮捕をおこなうことができる。
(船長だけの権限ではなく機関長、通信長、事務長も権限がある)
また問題のある人間に対し下船命令(船をおろされるということ)をおこなうこともでき乗組員を解雇したりすることもできる。
緊急時には船主(船のオーナーのようなもの)の意向に反した行動もとることができる。
超法規的措置を行使できる職務権限(Overriding Authority)をもっており時には法律を超えたことも行える。

そのため「なんでも船長」 という愛称がついている。

ちなみに機関長は「いうこと機関長」。


権限もある一方責任もかなり重い。

たとえば


在船義務
船長は、やむを得ない場合を除いて、自己に代わって船舶を指揮すべき者にその職務を委任した後でなければ、
荷物の船積及び旅客の乗込の時から荷物の陸揚及び旅客の上陸の時まで、自己の指揮する船舶を去ってはならない。(船員法第11条)


これが拡大解釈され(この条文は当時のものではなく現在のものであることに注意)、
「船長は海難があった際船と運命を共にする」というのが昔の船乗りの常識であった。
このため、船と運命を共にした船長は数多い。
これは日本人特有のものではなく欧米でもみられる。
(有名な事例ではタイタニックの船長があげられるだろう)
えっ! イタリアの座礁船の船長も船長だって?
あの船長はどうみても(ry

とはいえ、あまりに殉職が増えたため、今は必要な手段を尽くすことのみが求められており最後に退船することは義務ではなくなっている。


太平洋戦争では日本の艦長が少なからず船と運命を共にしている。
戦艦「比叡」の沈没時、比叡艦長西田正雄は将来の聯合艦隊司令長官とされた逸材であった。
そのため、ソロモン海での比叡沈没の際、彼自身が「死なせてくれ!」と絶叫する中、優秀な人材を死なせてはならないと部下に連れ出されたが、
結果として査問すら開かれずに出世コースから最底辺まで落とされる仕打ちを受けてしまっている。
もっとも、沈んで生還しても次から次へと艦長を転任して武勲を上げ続けて昇進した艦長もおり、精神論一辺倒で死ね死ねと言い続けるほど日本海軍もバカではなかったが。

アメリカでは、船長には生きて帰ってくるようにさせていた。
確かに船長の責任は重いが、他方で戦いで必要な相手の情報を最も知りえる立場にいるのは船長に外ならない。
こうして情報を集めることで長い目で見て戦争を有利にさせていたのである。

船長は普通、当直に入っていないので前述のように船長が操舵することはないが、
航海士が手に負えない場合(視界不良時や協水道など)は船長が操舵することもある。

そのため船舶の当直は4時間だが時には4時間をこえて船長が指揮をとる場合もある。
ときたま海上保安庁から船舶に対して台風避難の勧告などがおこなわれることがあるが、あくまでも船の最高責任者は船長なので最終判断は船長が行う。
避難しないで遭難し海難がおこった例があり避難を義務化しようという話し合いも現在進行形でおこなわれている。



海王丸の場合は大型のマストを持つ船であり一概には責められないが海王丸の座礁事故もどうみても(ry

このように船長は各種権限も持っているが一方でそれに見合う責任も持っているのである。
ちなみに『ふしぎの海のナディア』でネモがノーチラスは軍艦ではない艦長ではなく船長と呼べと言っているが、フランスでは艦長も船長も区別されない。



追記 修正は船長として経験を積んでからお願いします。

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最終更新:2022年12月06日 01:20