衛宮切嗣

登録日 :2009/08/16(日) 13:06:16
更新日 : 2017/05/26 Fri 21:19:02
所要時間 :約 29 分で読めます






ケリィはさ、どんな大人になりたいの?

僕は―――








Fate/stay night及びFate/Zeroの登場人物。
CV.小山力也/年少期CV.入野自由


衛宮家五代目継承者。父は衛宮矩賢
衛宮士郎の養父でイリヤスフィール・フォン・アインツベルン(以降イリヤ)の実父。

SNでは故人となっており、回想や言葉の中のみの登場。
Zeroでは第四次聖杯戦争におけるセイバーのマスター。
だが、妻のアイリスフィール・フォン・アインツベルン(以降アイリ)を表向きのマスターにし、本人は単独行動を行う。






プロフィール

身長:175cm
体重:67kg
血液型:AB
生年月日:11月11日
年齢:29歳(Zero時)
好きなもの:効率、安易で雑な料理、お汁粉、落語(大河の影響らしい)
嫌いなもの:英雄、戦争
得意なもの:射撃、破壊工作
苦手なもの:家族愛、高級料理
天敵:セイバー





【人物】

聖杯戦争参加前はフリーランスの暗殺者として、世界各地で暗躍。
外道戦法を用い、狙撃や毒殺はもとより、公衆の面前での爆殺、対象の搭乗した旅客機ごと撃墜というものまで、手段を選ばない。

「魔術師であれば魔術で勝負してくるはず」といった思い込みの裏をかき、魔術師が忌避する近代兵器も用いて多くの魔術師を葬ってきた。
それ故に『 魔術師殺し 』の異名を持ち、一部では有名だった。

例えるなら聖堂教会における代行者だが、よりタチが悪い。教会と対立したこともあり、要注意人物として扱われていた。
その戦力をアインツベルンに買われ、第四次聖杯戦争の9年前に雇われのマスターとして招かれる。
そこで聖杯という万能の釜に救済を見出すと共にホムンクルスのアイリと出会い、以後は傭兵としての活動を止め、
聖杯戦争の布石と、アイリとイリヤとの生活に専念する。
愛しい存在に囲まれた生活を送っていたが、第四次聖杯戦争で確実に命を落とす事が運命付けられたアイリと、
ホムンクルスとして胎内で調整を受けた事でワルサーWA2000より体重が軽く遠からず成長が止まるイリヤという妻子を取り巻く状況から、
一概に幸せな生活を送っていたとは言えなかった。
だが、出立前に交わしたイリヤとの最期の会話の中で「自分の身の上を不遇と思わないほどに幸多くあって欲しいと願うのはエゴだろうか」と悩んでおり、父親として必ずアインツベルンの城に戻ることを彼女に誓う。

愛煙家だが、アインツベルンにいた9年間は禁煙していた。
吸い慣れた銘柄が現地では手に入らなかった、という理由もあるが、一番の理由は妻子への気遣い。
第四次聖杯戦争にて冬木に訪れた際にNarlboro(恐らく元ネタはMarlboro)という銘柄の煙草を吸っており、これが切嗣の吸い慣れた銘柄なのかもしれない。

食に関するこだわりは薄く、某ダメットさんと同じく、ただの栄養補給と割り切っている節もある。
アインツベルンの宮廷料理もかくやという豪華な食事を9年間味わっておきながら、当人が好むのはハンバーガーなどのジャンクフード。
好んでいる理由は「何かをしながら食事も摂れること」に価値を見出しているため。聖杯戦争で再び食べた際には「殺伐とした食感が懐かしい」と述懐しており、愛着もある様子。
衛宮士郎が料理、特に和食を得意とするのは、体が弱っているのにジャンクフードばかりの困った養父の健康のために練習した成果だったりするが、
子の心親知らずというべきか、切嗣は士郎が料理を作るようになり、ジャンクフードが遠ざけられたのを残念がっていた。

魔術師としての属性は『火』と『土』の二重属性で、かなりレア。起源は『切断』と『結合』の複合属性。
これに加えて衛宮家の魔術刻印も、二割程度だが戦闘用に調整を加えたものを用いる。
第四次聖杯戦争終了時の騒動で受けた呪詛によって魔術師としての能力を殆ど失った後でも、
時間をかけて魔法陣を描く儀式を行えばAランク魔術を発動出来る程度の腕前を養子の士郎に披露しており、
魔術師としての実力も、超一流には遠く及ばないが比較的高い方と言える。
(その時後述の泥により魔術回路が破壊されつつあったという事を考慮するとケイネス・時臣には及ばないものの、
四次マスター勢の中で3番目に位置すると思われる)

マスターとしての適性は、SN作中では「アインツベルンはマスターとして高い適性を持つ魔術師を選んだ」とセイバーが評価していたが、
同梱のサイドマテリアル用語辞典ではノーマルだとされており、のちのコンマテ3でも変更されていない。






【使用魔術・魔術礼装】

  • 固有時制御
衛宮家が研究していた、時間操作の大魔術を戦闘用にアレンジし、短時間での発動を可能にしたもの。
自身の身体を結界として時間経過速度を操作し、倍速化させることで高速移動を、停滞させることで生体反応消失を可能にする。
しかし解除後は世界からの「修正力」を受け、身体に負担がかかるため、2倍速以上の使用には深刻なリスクが存在する。
ただ、どんな損傷も即死さえしなければ即座に修復する『全て遠き理想郷』の加護下にあれば、リスクを度外視した倍速化が可能で、劇中の切嗣は4倍速まで行っている。
ただし致命傷を負った際に苦痛は覚えるため、4倍速の状態で戦闘を続けることは文字通り『死にながら蘇生し続ける』、致命傷を受け続けることと同義で、とんでもない苦痛に苛まれ続けることになる。


  • 起源弾

その起源は切断と結合。
多くのものを切り捨て、より多くのものを繋ごうと足掻いてきた。
ひび割れた窓に映る映像よ。
どうか、あの美しい日々のままに。
Fate/Grand Order『起源弾』フレーバーテキストより

切嗣の起源「切断」と「結合」を当たった相手に付与する魔弾。.30-06スプリングフィールド弾(7.62×63mm弾)と同規格である。
切嗣の肋骨から創りだした弾丸に魔術的処置を加えたものを心材とした銃弾で切嗣の切り札。ただこれは当てるだけでは
古傷(内面的には神経・毛細血管は元通りには再生していない)のようになるだけで致命にはならない。
この魔弾の真の恐ろしさは相手が魔術を使っている時に魔術に当てることで魔術回路をショートさせ自滅させることである。
特性上、より魔力を使う魔術ほど殺傷力が上がる。
また、魔術回路は体内の臓器などと密接な関係にあるため、大規模な魔術を使って全身の魔術回路を励起させた状態でこれを食らうと、
魔術回路が駄目になる上に暴走した魔力によって全身の臓器などに深刻なダメージを負い、致命傷になりうる。
ダメージを防ぐには魔術防御をせずに回避するか物理的に防御をすればいいが、
.30-06スプリングフィールド弾の威力は、対戦車装甲クラス(作中に登場した礼装ならば月霊髄液以上)の物理防御が必要…というまさに悪辣な品物である。
奈須きのこは「対象のMP分のダメージを与える」と例えている。
作中では配線で例えて、高圧の電気が流れている配線に、一滴の水を垂らすことで結果ショートを起こしてしまうというものとされている。 
なお、この弾丸の影響は魔術回路以外にも及ぶが、生身の肉体に当たった場合は「血が出ずに壊死した古傷のようになる」とのこと。
但し、最終決戦時の言峰のように本人由来でない魔力を通した礼装に当てても効果はなく、39発目が不発となったのはこれが原因。
全部で66発作られ、第四次聖杯戦争までに37発が使用済み。これは切嗣が起源弾で始末した魔術師の数と比例し、作中ではケイネスが38人目。
更に言峰に対して1発使用したが預託令呪の魔力を通した黒鍵に防がれてしまった。
第四次聖杯戦争終了時点で最大27発が残っているが、処分したのか隠したのか発射装置として使用したコンテンダー共々衛宮邸から発見されていない。
後述の第五次聖杯戦争を阻む仕掛けを行う際に「手持ちの火薬をやりくりして~」との記述があるので、起源弾に関してはそれで使い切ったのかもしれない。
コンテンダーに関しても、分解して撃鉄などを上述の仕掛けの起爆装置に流用した可能性がある。


【使用武器】

使用する銃器は
  • トンプソンコンテンダー
起源弾用の単発銃。
.30-06スプリングフィールド弾仕様かつ起源弾用の魔術伝達経路を設ける改造を施したもの。

50or100発のヘリカルマガジンを使用可能。
切嗣は前者を採用。

オートマチック式狙撃銃。
スコープマウントを特注し、光学式暗視スコープと熱感知スコープを搭載している。重量は10キロを超えるキワモノ。

の三種。
敢えて現実のミリオタ的な視点で言うと、実際に戦場で使うものとすればかなり非常識。
一概に言うなら『ゲテモノ』の銃ばかりを扱っている。
単にゲテモノというよりは『特定性能を過剰に求めている』銃ばかりで、いずれも癖が強い。
もっとも、作者自身「切嗣は銃の使い手としても異端であることを示す意図がある」という演出的な理由と「自身の趣味」を採用の理由として挙げており、現実性は重視していない。
その他聖杯戦争用に用意した武器は、サバイバルナイフや爆弾類等。およそ魔術師らしくない装備を揃えている。
遠隔操作可能なタンクローリーを用意して、いざとなれば敵の拠点に突っ込ませることも考えていた辺り、手段だけを見れば完全にテロリストである。

ちなみに上記の聖杯戦争の為に用意した武器の費用はアインツベルン持ち。
伝統的な魔術師であるアインツベルンがよく我慢したなと思えなくもないが、流石に城に電話線と発電機を要求したときはアハト翁と一悶着あったとか。


【経歴】

幼少時は子どもらしく漠然とした奇跡を夢見た「正義の味方」に憧れる普通の少年で、父矩賢と共に南海のアリマゴ島で暮らしていた。
島の人達とも仲良くなり、父の助手をしていた少女シャーレイに想いを寄せるなどささやかながらも幸せな生活をしていた。
しかし、ある時、矩賢の試薬を好奇心から飲んでしまったシャーレイが死徒化。

それを発見した切嗣は彼女に自分を殺すように懇願されるが、
想い人を殺すことが出来なかった切嗣が彼女を救おうと島の神父に助けを求めたことが原因で教会と協会の介入を招き、切嗣と矩賢を除いた島民は皆殺しにされる。
そのことを、矩賢を追ってやって来たフリーの封印指定の執行者ナタリア・カミンスキーに聞かされた切嗣は、
自分が愛する人を殺せなかったばかりに大量の犠牲を出したことを理解すると共に、父が生きている限りこの惨劇が再び起こる可能性があることも理解して、
ナタリアから受け取った拳銃で、愛する父親の矩賢を射殺する。

その後ナタリアの手伝いをしながら暮らしている内に、島で起きた悲劇など日常茶飯事で、矩賢を殺したことなど虚しいほどに些細な処置であったことを知る。
父を殺したことを意味のあるものにするには悲劇を起こす異端の魔術師を殺し続けることしか無いことを悟り、彼女と同じ魔術師を狩る道を志す。

暗殺術・追跡術・各種兵器の取り扱いや魔術について学び、彼女と共に「仕事」に奔走する。
そんな日々の中、切嗣とナタリアは信頼関係を深め、お互いを「家族」と思うようになっていった。
だが、「魔蜂使い」として知られるオッド・ボルザークを討伐する任務中、ナタリア以外の乗客全てがグール化してしまう。
その時、切嗣が取った行動は愛するナタリアが万が一空港に着陸を成功させることでグールが放たれることを危惧し、ジャンボ機ごと撃墜することであった。
ナタリア一人の命より、彼女を殺さなければ失われるであろう無数の人々の命を優先したのである。

この行動は正しく愛情より被害を出さないことを優先した「正義」たる行動であったが、
切嗣は自身の行為で大勢の人間を救ったことを理解しつつも、愛する家族を殺してしまったことに絶望し、後悔した。
これが決定打となり、切嗣は『全てを救う正義の味方』などいないと確信し、
誰かを「正義」の名のもとに切り捨てながら賞賛される『正義の味方』という存在に絶望、憎悪し、人の命を奪う戦場こそ地獄であるという思いを抱く。
同時に、多くの人をその煌びやかな伝説と姿で惑わし、地獄である戦場へと誘い、命を落とさせる要因の一つである『英雄』という存在にも憎悪するようになる。

だがそこに至るまでの犠牲を無駄にしたくないという一心から「正義」、つまりより多くの人を助け、その為に人を殺すことを辞めるもできず、深みに嵌まっていった。

その後は魔術師殺しの傍ら、世界中の紛争地帯に戦況が最も激化した時期に出向き、紛争を殺戮で早期に沈静化させる傭兵のような事をしていた。
その卓越した殺人技術を見込んだアインツベルンにマスターとして招かれ、聖杯の中身に興味も示さず第三魔法「天の杯(ヘブンズフィール)」の成就に固執するアハトに対しては
「1000年の彷徨の末に目的と手段を履き違えるまでになったか」とある種軽蔑の眼差しを向けながら、聖杯に「恒久的な平和」の奇跡を願うことを見出す。


切嗣は多くの殺し屋が数年がかりで身に付ける『指先を心と切り離したまま動かす』覚悟を最初から持ち合わせていた。
目的の為には手段を選ばないという言葉の体現者。
世界平和を願う夢想家でありながら、その実現においては冷酷非情のリアリスト。
あらゆる人間を愛し、あらゆる人間を殺す覚悟を決めた男。その心に葛藤はないが悲しみを捨てきれない。


聖杯戦争中は、サーヴァントであるセイバーと相容れないと思いガン無視し、信頼関係を築かなかった。
彼にとって、戦争において華やかな存在として扱われる英雄という存在自体が嫌悪の対象に過ぎなかった。
それに加えてセイバーの場合、女性という身でありながら王という立場を受け入れた彼女とそれを押し付けた周囲への嫌悪感が彼の頑な態度へ後押ししてしまったと、
アイリは推測している。

聖杯戦争においてはケイネス・エルメロイ・アーチボルトを殺害する為にホテルを爆破したり、
彼の許嫁であるソラウ・ヌァザレ・ソフィアリを人質にし、自己強制証文を用いた詐術でサーヴァントのランサーを自害させた後、
ケイネス・ソラウ両者を部下の久宇舞弥に射殺させる、手段を選ばない外道っぷりを披露した。
しかも自己強制証文はあくまで「切嗣はケイネス達に危害を及ぼさない」と書かれていただけで、 「他の人間がケイネス達に危害を及ぼさない」と書いていない 等、その手腕は悪辣の一言に尽きる。
更にアインツベルン城におけるケイネスとの戦いでは、逆上した彼が全力で展開した月霊髄液に取り込ませるような形で起源弾を命中させ、
上述した起源弾の特性から彼の魔術回路を破壊し(これにより恐らく魔術刻印も壊滅)、アーチボルト家を没落の危機に陥れた。
だが、自身が「魔術師なら魔術で勝負を仕掛ける」という固定観念の裏を掻いてきたのと同様に、
本人は無自覚ながらウェイバーに自身の「魔術師ならば工房を拠点にする」という固定観念の裏を掻かれ続けるという失態も犯している。

しかしアイリとイリヤという『喪うもの』を得てしまった彼にとって第四次聖杯戦争で、昔の自分に徹するだけでも、相当の無理を強いられていた。
ホテルを爆破する前にケイネス達以外の宿泊客や従業員を避難させた自身の判断を以前より劣っていると焦りを覚えたり、
セイバーへの行き過ぎた態度を咎めようと声をかけたアイリを抱きすくめて弱音を吐いたりと、確実に切嗣の心は追い詰められつつあった。
セイバーを非合理的なまでに拒絶したのも、彼自身の心に余裕が無かった為。
自身を一個の『殺人機械』と定義し、それに徹しようとするも、一度取り戻した心を押し殺しはしても打ち消すことはできなかった。
これらのことからファンの間では、士郎を形容する「人間のふりをするロボット」になぞらえて、切嗣をその対極・「ロボットのふりをする人間」と評されることも。

終盤はアイリに『全て遠き理想郷』を託され、最後のマスター同士として言峰綺礼と一騎打ちをする。
言峰の予託令呪を使った魔術の特性上、起源弾が通用しない上に、執念と令呪によって強化もされた彼の圧倒的な体術に大苦戦。
一度は心臓を破壊されるという致命傷を与えられるも、『全て遠き理想郷』の加護で蘇生。
その驚異的な性能に勝機を見出した切嗣は禁忌としていた2倍速以上の倍速を活用することで盛り返し、相討ち直前まで持ち込む。
だが戦闘中に聖杯から溢れ出した泥を2人は浴び、切嗣は聖杯の内側でアイリの人格を被った『この世全ての悪』と対話、
聖杯の『殺戮を以て願いを叶える』という正体を知り、家族以外の全人類を殺す願いを求める聖杯を拒絶。破壊を決意する。
その対話の中ではアインツベルンの城に残して来たイリヤも姿を見せるが、聖杯の誘惑を拒絶するために、
そして(人類60億人)を救う為に(家族2人)を切り捨てる選択を取るために、彼女達を手に掛けた。

拒絶したことが功を奏したのか、切嗣の方が言峰より先に意識を取り戻し、『私に譲れ!』と乞う言峰の心臓を撃ち抜く。
そしてセイバーに令呪で聖杯を破壊させたが、既に形成され始めていた「孔」が溶解し呪いとなって、冬木市の一角に大火災を巻き起こしてしまう。
切嗣はその火災により、平穏に暮らしていた人々が一転して地獄に叩き落とされて死んでいく様を、何もできずに見届けることしかできなかった。

しかし切嗣はどうにかしてその火災の中を生き延び、生存者を求めて焼け跡を駆けずり回った。
そして、危うく息を引き取りかけていた少年を発見し、『全て遠き理想郷』を彼に埋め込むことで命を助けることが出来た切嗣は、
涙を流しながら、彼が生きていてくれたことに感謝し、笑顔を浮かべた。
この少年こそ、後に彼が養子とする衛宮士郎であった。

第四次聖杯戦争終結後、切嗣は士郎を養子に迎え、生前のアイリと最期の会話を交わして舞弥を看取った場所であり、拠点として用意していた武家屋敷をどうにか暮らせるくらいに手直しし、そこで暮らし始めた。
それからの暮らしは、切嗣がそれまで手に入れられなかった、平和で穏やかな日々であったという。

だがその一方で、アインツベルンの所領に残してきた愛娘のイリヤとは最期まで会うことは許されなかった。
士郎に旅行と偽って何度かアインツベルン領に足を運んだが、聖杯の呪いで衰弱した切嗣には結界を破ることは叶わず、
当然アインツベルンも彼を城に招き入れることもなかったため、切嗣は凍死寸前まで冬の森を彷徨う羽目になった。
そしてこれがイリヤに「士郎が切嗣を自分から奪った」という認識を抱かせ、第五次聖杯戦争でイリヤと士郎の間に軋轢を生じさせてしまう事になった。

元々呪いに蝕まれたことで縮まっていた切嗣の寿命はこれによってさらに縮まり、
晩年には目も掠れ、切嗣は自らの死期を間近に感じつつ、家にこもって思い出に浸りながら、自身の人生の意味を考え続けたという。


そして聖杯戦争から5年後の、ある月の綺麗な夜。
切嗣は士郎と共に、ぼんやりと月を眺めながら、口を開いた。




「―――僕は子供の頃、正義の味方に憧れていた。」




その言葉に反発する士郎に、切嗣は苦笑を返して言葉を続けながら、内心悲痛な思いを抱えていた。
切嗣に「歪んでいる」と言っていいまでの過剰な憧憬を向け、「正義の味方」を目指す士郎は、いずれ自分と同じ轍を踏むのではないかと。




「しょうがないから、おれが代わりになってやるよ」




しかし、士郎がまるで自分に誓うかのように言ったこの言葉に、切嗣は希望を見出した。


自分はかつてシャーレイに問われた時、はっきりと言葉にして『正義の味方になる』とは言えなかった。だから迷い、諦め、絶望した。
しかし士郎は違う。おそらく大事に思ってくれているであろう自分に、『正義の味方になる』と言った。

こんな綺麗な月の下で誓ったのであれば、士郎はきっとこのことを忘れない。
この思い出がある限り、士郎がいずれ傷つき、迷っても、自分の原点に立ち戻ることができる。
『正義の味方』となることを志した、この時に。


それは自分には望むべくもなかった救済だと確信した切嗣は、心が癒されていくような感覚に包まれながら、静かに目を閉じた。




「ああ―――安心した。」




そうして、衛宮切嗣はその夜、士郎に看取られながら眠るように衰弱死した。
享年34歳だった。
遺体は柳桐寺の裏の墓地に埋葬された。


なお、第五次聖杯戦争を阻止する為の手段として、大聖杯が鎮座する地下巣窟の入り口に爆弾を設置。
周囲を地脈から徐々にマナを吸い、数十年後には自動で爆発する仕掛けを施した。
しかし、彼の思惑とは違い僅か10年で再び聖杯戦争が開催した為に阻止する事は叶わなかった。


その後ろ向きな在り方から、“赤い外套の騎士”と比べて『正義の味方』としての格は大きく劣ると語られている。
また、もう少し悪のカリスマ的ラスボス属性があれば大成したかもしれないが、平和な安らぎの中で家族と過ごしていた場面こそが本当の素顔とも言われている。
だが、この語らいが士郎が『正義の味方』に憧れる要因となり無間地獄に陥る可能性にも直結してしまった。
しかし、その地獄に陥って自身の目指したものに迷いを抱いた彼に「間違いじゃない」という答えを導かせた一因になったのはあの日切嗣と交わした月下の誓いでもある。
記憶が摩耗して薄れゆく思い出の中で、たった1つ鮮明に覚えていたのも、この月下の誓いだった。
士郎に取って、命の恩人であり、正義の味方を目指すキッカケを与え、挫折した彼に立ち直るキッカケにもなった切嗣は士郎に取ってやはり大きな影響をもたらした人物である。

余談ではあるが、アニメ版Zeroにおいてシャーレイを亡くし父を射殺した回の放送日は「こどもの日」、
ナタリアをジャンボ機ごと撃墜・殺害した回の放送日は「母の日」、
そしてアイリとイリヤの皮を被った『この世全ての悪』を射殺した回の放送日は「父の日」だった。
アニメ版Zero前編において、重要なファクターとなるものが含まれる話の放送日は何かしらの記念日と重なる場合がある *1 が、切嗣の場合は全てが洒落にも出来ない日と重なっていた。
別名、「母の日スティンガー」「父の日コンテンダー」


【stay nightでの設定】

原作SNと、Zeroとではかなり齟齬が出ている。
セイバーからは「目的の為なら非情な典型的な魔術師」と評されているが、これは日本の土蔵で召喚され、イリヤとの触れ合い等は一切知らず、
冷徹に殺す彼しか見ていたなかったため。
士郎に接する切嗣を士郎の夢を通して知った際には、その穏やかさに大いに驚いた。

また、戦闘時においては、相手に応じて手口を変えて、次から次へとマスター達をその手で仕留めていったという。
Zeroではセイバーをほぼ放置していたが、SNにおいては、
「快楽殺人鬼や戦闘狂の類ではなかったが、一切の感情が見えない男だった。」
「私も、切嗣自身すらも道具扱いして、勝つ為には手段を選ばなかった」
ともセイバーは述べており、どうやら良くも悪くもいろんな意味で、場にあるものを有効活用していた模様。

この様にstay nightの設定を見るとZeroの切継は最早、別物と言えるぐらい設定がかみ合っていない。
この点が批判される的となり、荒れる原因となることもある。
いずれにせよ切嗣がセイバーに話しかけたのは令呪を使った時。
stay nightの設定からZeroの様に徹底的に無視はしなかっただろうがセイバーと切嗣の二人しかいない以上、
それ以外はセイバーが話しかけて必要最低限の会話をしていたようで、双方の関係は相当険悪だったか利害の一致による関係でしかなかったと思われる。


【本編以外での登場】

プリズマ☆イリヤ

夫婦共に存命。
ただし愛娘であるイリヤとの絡みは今現在なく、そもそも登場しても顔が描かれないという不遇っぷり。
極めつけに現在連載中の3期ではイリヤが平行世界に行ってしまっているので絡むのは絶望的。

せっかくなんのしがらみもなくイリヤを可愛がれる世界なのにこの仕打ちである。切嗣は泣いていい。



…………と思っていたら、アニメ1期DVD/BDの初回特典ドラマCDでようやく登場。家族とも絡めたよ! やったね!!

だが、完全にではないが平和になった環境で家庭を持ったためか、それまでの人生の反動もあり妙な方向にはっちゃけた変人と化してしまっている。
具体的には

  • イリヤが幸せになるためなら、自分の居場所が家庭から無くなっても良いなどと言い出す。
    イリヤが学校の宿題で母親を題材に作文を書こうという話になっていたのだが、
    会話が悪乗りして士郎が「自分とセラがイリヤの両親だ」とのたまったところでタイミング悪く帰宅し、
    「ほとんど家にいない自分より良いかもしれない」と本気で受けてしまったため。イリヤのフォローにより回復。

  • 食卓について夕食(おでん)を食べ始めたかと思うと、 唐突に嗚咽を漏らし始める
    暖かい家庭の食事を囲んでいることに感動したため。
    士郎が「やれやれ、またか」、イリヤが「いつも変なタイミングで泣き出す」と呟いており、散発的にやらかしている模様。
    アイリにも「泣き虫さん」「ちょっとしたことですぐ感極まっちゃう」と評された。

  • イリヤにもらった餅巾着を、「イリヤが成人するまで大切にとっておこう」と言い出す。

  • あまりのダメさ加減にイリヤが「今すぐ(餅巾着を)食べないと、これからお父さんのことをキリツグって呼ぶからね」と宣告
    餅巾着を丸呑みしようとして熱さにのたうち回った。
    さすがに無茶だと士郎が止めようとしたのだが、「この熱さと痛みが僕を父親にしてくれる」などと訳の分からない理論をぶち上げ、
    しかも士郎も士郎でそれを聞いて「これが本物の父性……!」と感動していた。

  • 翌日の朝に外国へ戻ったのだが、家を出る際「焦げ跡だらけの大変アバンギャルドなシャツ(セラ談)」を着ていた。
    たまには母親らしいことをしたいとアイリがアイロンがけした結果で、夫として文句一つ言わずに着ていった模様。

—————と、以上のように「Stay night」や「Zero」から想像もつかないような変貌っぷりである。
ちなみに別のドラマCD「プリズマアイリ」にて、イリヤから「メンタルが弱い」と見抜かれていることも判明した。

なお、「ドライ!!」で「世界と美遊のどちらを選ぶのか」とアンジェリカに問われたクロエが「美遊」と即答した際のやりとりでは、
「同じような問題に直面して、正義(世界)ではなくたった一人を選んだ先人」とクロエが例に出した人物が切嗣であることから、
「プリズマ☆イリヤ」の切嗣は、聖杯戦争にてもしも「正義の味方になる」という理想ではなくアイリと共に生きることを選んだら、というイフの切嗣なのかもしれない。

ちなみに、「ドライ!!」では美遊が元々いた世界(イリヤたちから見れば平行世界)の切嗣も登場した。

こちらの世界では聖杯戦争には関わっていないようだが、それゆえに士郎を災害から助けて養子として引き取った後も自身の理想を諦めておらず、士郎と共に世界中を巡っている。
世界を救済する手段を模索する旅で拾った為か、士郎との関係は養子というよりもどちらかというと助手のような扱い。

こちらの世界ではアイリと出会うことはなく、また世界の方もstay night本編よりもヤバい状況なので、その精神はある意味Zeroよりも悪化している。

マナの枯渇によって滅亡の危機に瀕している世界を救済する手段を求めた末、冬木市にてそれを可能とする神稚児・逆月美遊を発見したが、力を使うための研究の途中で病死。
月の無い夜空の下で士郎に正義と理想を託して亡くなった。


フェイト/タイガーころしあむ アッパー

虎聖杯によって妻と共に平行世界の冬木に召喚されて騒動に巻き込まれる。
本編時空のイリヤにキリツグ殺す宣言されて「娘に反抗期が来ちまった!」とショックを受け、
士郎や大河に「大きくなったなぁ」と親戚のおじさんのような反応を見せるが、もう一人は安定のガン無視。
彼の個別ルートのラストでは、嫁と娘と息子 と居候 と共に和気藹々と食卓を囲む。まさに全て遠き理想郷……
まあ「職場にコネでゴリ押しされた派遣の女の子が若いし態度気に入らないしで苛めて解雇にしたら息子の彼女になって家で同棲してたでゴザルの巻」というパパの修羅場でもあるが。 いや擁護できねえなこれ。

スピンオフ作品では大体このようなダメ親父扱いな一方、本編ではありえなかった一家団欒も多い。
幸せそうな姿に(色んな意味で)涙が出てくる。



Fate/Grand Order



また汚れ仕事か…まあいい。いつものことだ


2016年4月27日、『Fate/Zero』とのコラボイベントに関連するピックアップ召喚より、アサシンクラスのサーヴァントとしてまさかの恒常参戦。
レアリティは☆4(SR)。

ステータスは以下の通り。
筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具
D C A+ C E(EX) B++

【クラススキル】
気配遮断:A+
サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。
完全に気配を絶てば発見することは不可能に近い。
ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。

単独行動:A
マスター不在でも行動できる。
ただし宝具の使用などの膨大な魔力を必要とする場合はマスターのバックアップが必要。


【保有スキル】
魔術:B
魔術を習得している。
翻って、魔術を知るが故に魔術師を殺す術に長けている。
本スキルのランクは、本来であればキャスターとの戦闘時には各種判定のボーナスとして働く。

聖杯の寵愛:A+
何処かの時代の大聖杯に、彼は深く愛されている。
その愛は世界最高の呪いにも等しい。
本スキルの存在によって、彼の幸運ランクは跳ね上げられている。特定の条件なくしては突破できない敵サーヴァントの能力さえ突破可能。
ただしこの幸運は、他者の幸福を無慈悲に奪う。
彼自身は本スキルの存在に気付いていないし、時折聖杯から囁きかけられる「声」も耳にしてはいない。

スケープゴート:C
戦場を生き抜く狡猾なテクニックの集合。


【宝具】
時のある間に薔薇を摘め(クロノス・ローズ)
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~10 最大補足:1人

カードを切ろう

―――さあ、付いてこれるか

時は流れ、今日には微笑む花も明日には枯れ果てる。
自身の時間流を操作する能力。
生前の彼が有していた能力「固有時制御(タイムアルター)」を基礎としている。
時間流の加速によって高速攻撃や移動を行い、減速によってバイオリズムを停滞させて隠行を行うのが「固有時制御」の運用方法である。
宝具として昇華されたこの力により、彼は対人戦において無敵とも呼べる超連続攻撃を可能とする。

彼の魔術『固有時制御』を用い、文字通り目にも止まらぬスピードで連続攻撃を加え、トドメはトンプソンコンテンダーで背後からヘッドショットを見舞う。
宝具となった影響か、ゲーム上はほとんど瞬間移動に近い『倍速』を行っている。
こと対人戦闘においては無敵と言えるほどの宝具らしい。
また、『Zero』で苦しんでいた使用後の「世界からの修正」を受けている様子もない(『守護者』となったためか)。


神秘轢断(ファンタズム・パニッシュメント)
ランク:C+ 種別:対人宝具 レンジ:0~2 最大補足:1人

自身の起源である「切断」「結合」の二重属性が込められたナイフ。
魔術回路ないし魔術刻印、或いはそれに似たモノを体内に有する相手に対して致命的なダメージを与える。
通常時攻撃に使われているナイフと同一。
真名開放によって真の能力が発動するが『FateGO』では基本的に使用されない。
簡単に言ってしまえば起源弾のナイフ版。
一撃一撃に起源弾と同様の効果が内包されているうえ、弾切れもないナイフによる攻撃が
『固有時制御』による超速度で襲ってくるという初見殺しにもほどがある恐ろしい宝具である。



ifの切嗣が英霊化したものだが、真名は『エミヤ(アサシン)』となっており、召喚時は赤いフードを被って包帯で顔を覆っているため、顔は見えない。
そのため、ビジュアル公開時はその真名からアーチャーの別クラスかとも思われていた。
第三段階まで霊基再臨するとアーチャーのように白髪と色黒になった切嗣の顔が現れる。最終再臨すると、彼に愛を注ぐ聖杯が寄り添う。 そこ、憑りつかれてるとかいわない。

守護者となった経緯は同名の英霊と同じく、世界との契約を果たして死後守護者になったという。
zeroの方でも『正義の味方としての格は同名の英霊に遥かに劣る』とされ、GOの説明文でも『英霊もどき』の守護者と言われている。
実際このエミヤは英霊の座に存在が刻まれていないどころか、正しい人類史では存在しないとされる。
FGOの世界におけるアイリスフィールも彼のことを「遠い世界の異聞、有り得ない世界の、有り得ない可能性の欠片」「信じた道を走り抜けて消えてしまった、名前さえ棄てた人物の最後の記憶」と称した。
このようなifが存在し得るのは、人類史の危機というグランドオーダー案件のみとされる。
要は緊急事態なので間口を広げて本来なら採用されないような存在にまで臨時職員として雇っている感じか。


精神は青年期の切嗣と近く、徹底して最小限の犠牲を払って『正義』を行ってきた暗殺者。
アイリスフィールや士郎といった、平行世界の自分が持った人とのつながりを持たなかったため、心は完全に冷え切っている。
「たとえその結末が自分の否定であったとしても、貴方の戦いが正しいものだったと肯定する」と語りかけたアイリスフィールに対しても、「時々、違う国の言葉で話しているではと思うほどに君の話はよく分からない」と突き放している。
だがそれでも、彼女が嘘を言っていないことだけは分かると発言しており、冠位時間神殿ソロモンにおいて「君(アイリ)があの怪物たちと戦うというのなら戦う理由が出来る」と、何のために戦うかも分からないままに銃把を握ることからアイリに対して何か考えることがあるのだろう。

曰く「僕の仕事はせいぜい、少しだけ罪のある人間を、独断のもと排除するだけ」で先述したように名前さえ棄てて走り抜けて消えてしまった―小を切り捨て大を救う事に徹底したifの突き当りが、この彼なのだろう。
彼を愛したどこかの聖杯から加護を受けているが、彼自身はそれに気付いていない。
この加護により、本来ただの暗殺者である彼も名だたる英霊と戦えるようになっているらしいが、幸運を周囲から吸い取るという悪質さも持つ。

バトルでは、ナイフや銃火器といった近代兵器を用いた攻撃を行う。 おい空気読め
そのため、Arts属性以外の攻撃のHit数が多く、スター獲得率が群を抜いて高い。
宝具『時のある間に薔薇を摘め』はArts属性のために自前の『魔術』スキルで強化できる。

保有スキルはどれも使い勝手が良く、『聖杯の寵愛』は自身に貫通付与とクリティカル威力アップを与える。
しかし『幸運を吸い取る』という性質故か、味方の弱体耐性を下げるデメリット効果も(自分には付与されない)。
『スケープゴート』は『敵のターゲット集中』を味方の誰かに付与するという異例のスキルであり、彼の外道さをなんとなく垣間見れるが、
それはさておきマシュクーフーリンなどの無敵・回避スキルを持つサーヴァントと相性が良い。 ランサーが死んだ!
自分にも付与できるため、特にライダーばかりの時、味方のキャスターやバーサーカーを守る囮役もこなせる。
なお、アーラシュに『スケープゴート』をかけた状態で宝具による自爆特攻でターンを終えると相手の攻撃をスキップさせるという裏技染みたテクニックもあったが、仕様外のバグだったらしく16/5/31に修正された。

起源弾は☆5礼装として実装されているもののエミヤ自身が無敵貫通を持っている上にクラス相性が悪く、そもそも無敵を持ったキャスターは何の因果なのか 最愛の嫁と実子。
因みにキャスター特効も付与されるので、必然的に グランドキャスターに対しても特効効果が乗る。
人理救済を賭けた最終決戦「 終局特異点 冠位時間神殿ソロモン 」という大一番で、正義の味方になりたかった男の礼装が文字通り世界を救った事に、誰かが呟いた。
「魔術師なら、冠位だって殺してみせる」と。




追記・修正は正義の味方に憧れた方にお願いします。




――僕はね、正義の味方になりたいんだ

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