エリザヴェータ=フォミナ

登録日 : 2012/10/21(日) ??:??:??
更新日 : 2015/07/30 Thu 08:51:15
所要時間 :約 7 分で読めます




ライトノベル『魔弾の王と戦姫』の登場人物。
CV;小林ゆう


三巻のエレンソフィーの会話でその存在が明かされた、両名と同じく当代の七戦姫に名を連ねる女性。
その場では本人は未登場に終わるも、
  • エレンと過去に何らかの因縁がある(これによりエレンは彼女を嫌い、低い評価を下している)
  • エレンと同盟を組む主人公ティグルヴルムド=ヴォルンの敵対者、テナルディエ公爵と繋がりがある
などの情報が明かされた。
この時点で濃厚な敵対フラグが読者に匂わされており、エレンの嫌悪ぶりから“いかにもな悪役”として現れるとの予想も挙がっていたが……



以下、四巻以降のネタバレ注意











あまり抵抗すると、痛くなってしまうわよ、エレン?

私も、この雷渦も手加減はとても苦手なんですから



所属国:ジスタート王国
所有公国:ルヴーシュ
身分:貴族(ただし私生児であり姓を持たない)→戦姫
武器:『砕禍の閃霆』ヴァリツァイフ(鞭型竜具)


【人物】

四巻時点で17歳。約三年前に竜具を受け継いで以降、ジスタート北部沿岸の公国『ルヴーシュ』を統治している戦姫。
近辺の公国とは、南のヴァルタ大河を越えるとアレクサンドラが治める『レグニーツァ』に、そこから更に南下するとエレンの『ライトメリッツ』に辿り着く位置関係にある。

腰まで届く赤い髪と華美なドレス、そして何より左右で色の異なる瞳が目を引く女性。
ジスタートではこの瞳を持つ人間を 『異彩虹瞳(ラズイーリス)』 と呼ぶが、戦姫としての通称 『雷渦の閃姫(イースグリーフ)』 と共に、そちらも彼女を指す異名として定着している。
戦場においてもドレスを着用するが、これは乗馬や戦闘を妨げない造りの特注品とのこと。

「~ですわね」と上品なお嬢様口調で話し、部下や領民の扱いを見るに、親しい相手にはいたわりをもって接する性格だと思われる。
その一方で、後述する迫害の過去から『異彩虹瞳』へのコンプレックスが強く、度々周囲の者に「私の瞳をどう思う」という問い掛けを行って相手を試す傾向がある。
そして 過去の軋轢 からエレンに対してだけはどうしても挑発的な態度が目立つもののそうした悪感情とは別に、幼少時での出会いの記憶からくる親しみも混じっている。
時として過去の生い立ちと理解者に恵まれない人間関係が原因による孤独感や疎外感、劣等感から辛さを打ち明けられず抱え込みすぎにも関わらず自分一人で解決しようとしたり、周囲に自分自身もしくは己の認める人間や事柄の価値を皆に認めさせようと功を焦るあまり物事を強引に推し進めようとして却って周囲の反感を買う等といった事態の悪化を招いてしまうことも。



【生い立ち~戦姫になるまで】

ライトメリッツ付近を治める貴族「ロジオン=アブト」の家に生まれるが、その地において 不吉の印 とされる異彩虹瞳が災いし、存在を秘して私生児として扱われた。
自分が貴族の出だと知らないまま、後に田舎の寒村へと放逐され、そこでも特異な瞳から周囲の子供たちに虐められつつ過ごしていたが(当時は虐めを避けるために片目を眼帯で隠していた)、その時にまだ白銀の疾風団の下働きだった幼少時のエレンに助けられ、心構えや喧嘩の仕方を教わったことで虐めにも毅然と立ち向かうようになる。(四日間という短い期間だったことからエレンの方はこの時の邂逅を覚えていない)
それから3か月後、世継ぎの子を失ってしまいリーザに家を継がせざるを得なくなったロジオンからの使者が彼女の下を訪れて初めて自分の出生を知ることになり、再び貴族として迎えられることになる。


そして5年後、次代の戦姫として竜具に見出されたことでさらに事態が一変する。
というのも、彼女が受け継ぎ治めることになったルヴーシュは異彩虹瞳を 吉兆 と崇める土地だったのである。
念願の“自分を受け入れてくれる場所”を得た後は眼帯を捨て、自分を支え慕ってくれる臣下や民のために尽力していくことを決意、現在に至るまで懸命な統治に励んでいる。
だが、先代の戦姫が有能すぎたせいで事あるごとに手腕を先代と比較されており、武力においては先代に勝るとも劣らないことを見せつけられたことで武官たちからは信頼を勝ち得ているが、政治力においては先代に劣るため文官たちには時々陰口を叩かれてしまうこともあって今でも苦悩は絶えない。
こうした人間関係に恵まれない経緯から、「他者に認めてもらいたい」という思いが強くルヴーシュを豊かにすることや、ルヴーシュを守るべく他の戦姫に負けない強さを得ることに並々ならぬ執着を持つ。




エレオノーラ(エレン)との確執】

そもそもの発端は、ジスタート国王の直轄地である一つの村で約一年前に発生した疫病。
王から疫病の対処を任されたリーザに対し、エレンは「戦姫となる前、その村に世話になったから」という理由で協力を申し出た。
“二人の戦姫の同時干渉”で事態を混乱させないためにリーザはエレンの申し出を断るが、その後、懸命の尽力も報われず村を壊滅させてしまう。これがまずエレンを激怒させた。

それから間を置かず、リーザの父であるロジオンが領地の税を横領していたと発覚する。
「罪を償うよう自分が説得する」と訴えるリーザの意に反し、ロジオンは事態の露見に慌ててさっさと逃亡。そのロジオンを、王の勅命でやむなくとはいえ、よりにもよってエレンが討ってしまう。

エレンに父を殺されたことについて、理屈として受け入れられても感情が納得できず(なぜなら彼女の根底には「他者に認めてもらいたい」という想いがあり、かつて自分を捨てた父親は自分の価値を特に認めさせたい相手だったため)、エリザヴェータはエレンに決闘を挑み、しかし全く敵わずに敗北。
村の一件に続くこれがとどめとなり、両者の関係は修復不可能なほど険悪になってしまった。

リーザの過去のトラウマとコンプレックスから他者に素直になれず自分一人で物事を解決しようとする姿勢とエレンの己の価値基準から外れた人間に対する狭量さという二人の短所が最悪の形で折り重なってしまったが故の悲劇といえる。



【戦闘能力】

前述のとおり、約一年前の決闘でエレンに惨敗している。
とはいえ作中では「高い身体能力を持つ」と言及されており、またどうみても癖の強そうな『鞭』の竜具を使いこなしているあたり、その強さ(あるいは素質)は戦姫として十分な域にあると思われる。
本編開始前、エレンとの決闘に完敗したことで自信を失って無力さに苛まれていた矢先に神殿でバーバ=ヤガーと契約し人間とは思えぬほどの怪力を得ており、当初は慄きながらもその力をもってエレンに再挑戦する機会を狙っていたが、怪力と引き換えに悪夢にうなされることになり徐々に精神までも蝕まれ始めたことから危険視し、ヤガーとの決戦の際にその力と決別したものの同時に右腕の自由を失ってしまった。

《所有竜具・ヴァリツァイフ》
『砕禍の閃霆』『雷禍』とも呼ばれる漆黒の短鞭。リュドミラの竜具と似た伸縮機能を持ち、作中では間合いが約40チェート(約4m)まで伸びている。
固有能力は 雷撃を操る力 。攻撃時は常に雷光を放ち、標的を巻き取れば一瞬で焼き殺し、触れるだけでも感電・麻痺させることができる。
近距離の範囲でしかないが電磁波を用いることで索敵も可能……即ちレーダーとしての機能を持つ。
竜具である以上、鞭そのものの威力も高く、馬の首程度は容易に切り飛ばす。

鋼鞭(クスタル)
鞭をやや短めの硬質な棒状武器へと変形(変質)させる。
鞭の攻撃を潜り抜けて接近したエレンを迎撃するために使用。

闇夜斬り払う刹那の牙(ノーデ・ルビード)
鞭形態のヴァリツァイフを振り下ろすことにより、先端から前方へと眩い光を伴う雷撃を放つ。
見た目の派手さの割に威力は低く、人間を数人纏めて吹っ飛ばす程度という竜技としては破格の威力の低さを誇る文字通り撹乱目的の目晦まし技である。

天地撃ち崩す灼砕の爪(グロン・ラズルガ)
九本に別れた鞭に特大の稲妻を纏わせて振り下ろす大技。
ヴァリツァイフの 『竜技(ヴェーダ)』 (いわゆる超必)に該当。



【本編での活躍】

《三巻》
この時点ではエリザヴェータの仕業だと判明しないが、終盤にてエレンの盟友である戦姫アレクサンドラが治めるレグニーツァに宣戦を布告。この報せは隣国ブリューヌで転戦するエレンの元に間もなく届く。
アレクサンドラが病床に伏して戦えない以上、戦姫不在のレグニーツァは圧倒的に不利。それゆえ、アレクサンドラと「互いの危機には必ず駆けつける」と約束したエレンはティグルと一時的に別れてジスタートに帰還せざるを得なくなる。


《四巻》
「以前に共同で行なった海賊討伐における失態の責を問う」 との名目でレグニーツァに進攻したことが判明。
しかし実際の目的は他にあり、 「厄介者であるエレンをブリューヌから追い出し、ジスタートへ誘き出す」 こと(これはテナルディエ・ガヌロン両公爵の要請による)と、それに乗じて 「エレンと戦い、今の自分がどの程度通用するか試す」 ことだった。

中盤ではレグニーツァの外れの地にて、エレンと互いに軍を率いて衝突。竜技まで交えた激戦を繰り広げる。
現時点での自分の実力がエレンに肉薄するものになったと確信すると、ティグルに危機が迫っていることをちらつかせて戦いを中断させ、自身もこれ以上の侵攻を中止すると宣言した上でエレンを撤退させた。
また、この際にはエレンに“不自然に力が強くなっていること”について指摘され、本人でも心中でそれを認めている。この怪力はバーバ=ヤガーの神殿で祈りを捧げ、力が欲しいと望んだことでヤガーと契約し授かったもの。


《五巻》
直接の登場機会は無し。エレンを通して興味を持ったティグルに一応の“繋ぎ”を作っておくため、ブリューヌで戦っている彼に幾らかの物品を支援した。
ちなみにこの巻では、後に登場したのヴァレンティナに先に表紙絵デビューされてしまっている。


《六~七巻》
特に出番なし。


《八巻》
オルシーナ海戦におけるサーシャとの共同戦線の下、トルバラン率いる海賊達との壮絶な戦いを繰り広げる。
始めてみる魔物を前に驚愕するもトルバランとの戦闘において絶体絶命に陥っていたサーシャを間一髪で救い、時間を稼ぎと隙を創りだすことで、サーシャが竜技を持ってトルバランを討伐することに成功した。
終戦後にルヴーシュへの帰還の最中にウルスと名乗る青年・・・即ち命は助かったものの記憶喪失に陥っていたティグルと出会い共に村を襲おうとしていた海賊の残党を始末すると、自分の眼に対して「猫みたいです。昔、そんな猫を見たことあります」と忌憚のない感想を述べた彼を気に入り部下として迎える。
ウルスと過ごすうちに偶然が重なった出会い、素性不明を理由に孤立する彼を見てかつての自分を連想する同情と親近感、初めて自分の意思で抜擢した部下という拘りなど様々な要因や感情が重なった結果、ウルスに対し強い執着心を持つようになり、新参の従者としては破格の待遇を与えるなどして周囲の反発を受けつつも必死に彼を自分の下に繋ぎ留めようとする。
その矢先、ジスタード王国の玉座をめぐる騒乱を鎮圧するために、自軍を率いて出立した先で再会したエレンの言動からウルスの素性を現在行方不明となっているティグルヴルムド=ヴォルンと確信するが、リーザも初めての部下にして理解者となりうるウルスを今更手放すことなどできるはずもなく、ウルスとティグルは別人であると自らに言い聞かせ、ティグルを返せというエレンに反発し、一触即発の事態になってしまう。


《九巻》
一触即発の事態になってしまった二人を見かねたウルスが仲裁に入ったことでリーザもエレンも頭を冷やしてその場は矛を収める。
これまでの軋轢から互いに思うところをありながらもどうにか堪え、ウルスの活躍もあって騒乱を収束に導く。
その後、ルヴーシュに帰還して活躍したウルスに銀貨百枚を与え、騎士見習いに任命した後、新参者でありながら著しい栄達を遂げるウルスに不満を抱く者たちを黙らせるためタルナバとザブルの二つの村の調停を命じる。
そして見事に調停を果たしたウルスに対して銀貨千枚と三か月間限定とはいえ隣の部屋を与え、戦姫相談役という新たな役職を与える。
数日後、ひょんなことからウルスと一緒にお忍びで城下に下りたり悪夢にうなされているところを慰めてもらったりなどそれまでの人生にはなかった充実を味わい深めていく。
ある日、ウルスと共にかつて祈りを捧げて現在の力を授かった場所…バーバ=ヤガーの神殿を訪れるとそこにヤガーとウルスへの嫉妬と彼を重用するリーザへの不満を付け込まれて傀儡にされたルヴーシュの騎士たちの襲撃に遭う。
ヤガーによって神殿の奥に追い込まれ、その先に控えていた双頭龍と対峙すること危機に陥るも黒弓を再び手にしたウルスの助けによって何とか窮地を脱するが、ウルスは別の場所に転移させられてしまい離れ離れになってしまう。


《十巻》
ボロボロになりながらもウルスの助けもあってバーバー=ヤガーを退けたリーザは公都に帰還する。
自身の力の悩みを絶つためにもバーバ=ヤガーを討つべきと考え、公都を密かに抜け出して単身で対峙するも彼女一人で勝てるような生易しい相手ではなく窮地に陥ってしまう。
しかし、駆けつけたウルスとエレンの手助けもあり、悩みを断ち切ってついにバーバ=ヤガーを撃退、右腕の力を消し去るが代償として右腕の機能を失ってしまう。
その後、「ティグル」としての記憶を取り戻したウルスの本心を察し、惜しみながらも別れを告げる。同時にティグルからは「何かあればすぐに駆けつける」と約束されてしまい、エレンと自分が争った場合に彼が仲介する意向を聞いてからは、その言葉を否定することはなかった。
直後にヴァレンティナの姦計に踊らされてティグルの引き渡しを要求してきたポルス伯爵オルゲルト=カザコフ率いるポルス軍をティグルとエレンの助けを得て闘い撃破すると自分の公宮から去っていくティグル達を見送った。


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