魔弾の王と戦姫(ヴァナディース)

登録日: 2011/09/28(水) 17:19:25
更新日:2023/01/12 Thu 03:35:00
所要時間:約 7 分で読めます




魔弾(まだん)(おう)戦姫(ヴァナディース)』とは、MF文庫Jより刊行されたライトノベルのひとつ。

レーベル:MF文庫J
著者:川口士
イラスト:よし☆ヲ(1~8巻)、柳井伸彦(5巻挿絵)
     →片桐雛太(9巻~)
第1巻は2011年刊行。2017年11月に全18巻完結。

また、月刊コミックフラッパーにて2011年11月号から作画・柳井伸彦による漫画版が連載されている。全10巻。
やや展開を端折りぎみな点が指摘されてはいるが、それ以外の内容、特に絵については原作読者からも好評な様子。公式アンソロジーも発売。


2018年9月より、本作のパラレルワールドを描いた『魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア)』が、集英社ダッシュエックス文庫より刊行。全12巻。
イラストは、美弥月いつかが担当。
コミカライズは「序章」をKaKao、その後は過去におまもりひまりを描いた的良みらんが担当。全3巻(的良みらん版)。

2019年9月より、魔弾シリーズの世界観を描いた『魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン)』が、集英社ダッシュエックス文庫より刊行。現在5巻まで発売。
著者は瀬尾つかさ、イラストは八坂ミナトが担当。

2022年9月より、本作の合本版が電子書籍限定で販売開始。
著者である川口士氏の手で大幅に加筆修正され、イラストは全て白谷こなか氏による完全新規描き下ろし。
これに伴いタイトルの読みが『魔弾の王と戦姫(せんき)』に変更された。


概要

弓が蔑視される国で育った弓しか取り柄のない弱小貴族の少年が、戦姫と呼ばれる隣国の少女らと共に繰り広げる戦いを描いた戦記ファンタジー系ライトノベル

作者の川口氏は、元は富士見ファンタジアなどで王道ファンタジーを書いていた人。
「女の子がたくさん出る物語を書かない?」と誘われて初めてMF文庫で執筆した今作でも、レーベル向けに“萌え”を含ませつつ相変わらずの筆力を披露している。
中世的な世界観における重みのある戦記描写を軸に据え、そこに竜や魔法の武器などのファンタジー要素を絡めた骨太のストーリーは燃え所満載。
物語の性質上モブキャラが容赦なく死ぬが、2巻の後書きによると名有りでも死ぬ予定があるとか……。


あらすじ

竜より与えられし超常の武具を振るい、戦場を駆ける少女たち――戦姫(ヴァナディース)
王の下に集う7人の戦姫は“ジスタートの七戦姫”と呼ばれ、周辺諸国に恐れられていた。

ブリューヌ王国の小貴族ティグルは、隣国ジスタート相手に駆り出された戦で戦姫の1人、“銀閃の風姫(シルヴフラウ)”エレンに出会う。
敵の総大将であるエレンを討ち取ろうとするも、ティグルは彼女の人間離れした剣技の前に敗北。
そして弓の腕に一目惚れしたというエレンにより

「お前は私の捕虜(もの)だ」

と、彼女の領地へ連行されてしまう。

「私の部下になればそれで良し、帰還したくば自らの身代金を払え。どちらも出来なければ奴隷として売り払う」
……とエレンに告げられたティグルは金策を練るも、自領の収益数年分にも匹敵する額を前に先行きは暗い。
そうして捕虜生活を送る中、ティグルは図らずも様々な人と交流を深めていく。

それと同時期、先の戦で一人しかいない王子を失ったブリューヌでは、有力貴族による内乱の兆しが見られつつあった。
その先駆けとして、自らが治める領地アルサスが戦火に包まれるという報せがジスタートのティグルに届く。
果たしてティグルはアルサスに帰り、故郷とそこで待つ人々を守ることが出来るのか。


――そしてこの時のティグルは、この騒動が長い戦いの始まりに過ぎないことをまだ知らない。



序盤の主要登場人物

CV.石川界人
本作の主人公にして、ティグルの愛称で呼ばれる若き貴族(作中では、王侯貴族などの上流階級のみ姓を持つ)。16歳。
最後の肉親だった父を2年前に亡くし、伯爵位とともに片田舎の領地アルサスを受け継いでいる。
狩りをしつつ日々を平和に暮らすのが望みという、出世とは無縁なのんびり嗜好の持ち主。
しかし領地と領民を守るためには命を賭して戦う気概も持ちあわせ、非常時の行動力も優れている。
そうした人柄と温厚かつ堅実な統治により、領民からの人望と信頼は厚い。

ただし、剣や槍をロクに扱えないせいで他の貴族からは最底辺の評価を下されており、唯一胸を張れる弓の腕も、弓を『臆病者やでき損ないが使う武器』と蔑む風潮があるブリューヌでは役立たず扱い。
……そうして埋もれていた怪物じみた実力は、皮肉にも捕虜として連行された他国ジスタートで日の目を見ることになる。

ちなみに、全くと言っていい程ヘタれることがなく、地に足を付けて着実に進んでいくタイプの主人公である。


CV.戸松遥
本作のメインヒロイン。16歳。近しい者からの愛称はエレン。
ジスタートが誇る戦姫の1人にして、風を操る剣『アリファール』を携える凄腕の剣士でもある。
本編冒頭の戦争にて指揮官として出撃し、その終結間際、敵の生き残りであるティグルと遭遇した。
他のブリューヌ兵が逃げ惑う中で冷静に自分を射殺そうとした精神とその腕前に惚れ込み、部下にするべくティグルを自領に連れ帰るが……。

口調はやや男性的で、サバサバとした性格……と思えば意外にお茶目な面、照れ屋な面もあったりする。
戦姫として「部下にならないなら奴隷として売り飛ばすか殺す」と公言するものの、ティグルを気に入っているので個人として許される範囲では協力の姿勢を見せてくれる。
趣味は自領にお忍びで出掛けての食べ歩き。


CV.上坂すみれ
アルサスの領主邸に仕える侍女。ティグルとは幼馴染。15歳。
ティグルに好意を抱いており、日々明るく献身的に尽くしてきた。
ジスタートの捕虜となったティグルの帰りを待ち続けるが、再会が叶う日は訪れるのか。


リムアリーシャ
CV.井口裕香
エレンの副官として、文武両面で彼女を支える女性騎士。19歳。
愛称はリム。
先の戦でもエレンの傍に控えており、そこではティグルに馬を射られて落馬させられてしまう。
このこともあってティグルに抱く第一印象は最悪だったが、ジスタートの日々で少しずつそれを改めていく。
堅物な性格ながら、熊のぬいぐるみを前にすると可愛らしい一面を覗かせることも。


  • マスハス=ローダント
CV.飯島肇
ティグルとは別の地を治める老貴族。
大した兵力はないものの広い人脈を持ち、年齢相応のどっしりとした貫禄を備える好人物。
ティグルの亡き父ウルスと親しくしており、ティグルやティッタのことも昔から可愛がってきた。
本編にて捕虜となったティグルを取り戻すため、身代金の工面に奔走する。



用語

  • ブリューヌ王国
ティグルの生国。
本編冒頭の戦争で唯一の跡継ぎたる王子を亡くしたのを契機に、王位を狙うテナルディエ、ガヌロン両公爵の争いが激化。
ティグルの治める田舎領地アルサスはこれに巻き込まれてしまう。


  • ジスタート王国
ブリューヌの東に隣接する、建国後約三百年を数える国。
かつては戦乱の最中にあった一帯を、“黒竜の化身”を名乗る初代国王と、彼に嫁ぎ竜具と呼ばれる武具を与えられた七人の女性(初代戦姫)が平定して生まれたとされる。


竜具を代々受け継ぎ、文字通り一騎当千の強さを誇る七人の女性たち。
初代国王の「戦姫が跪く相手は後にも先にもジスタート国王のみ」という取り決めにより、昔から現在に至るまで一人ひとりが国王に次ぐ権力を握っている。
また、戦姫はジスタート国内に一つずつ公国(税制などが本国から独立した領土)を持つ。
エレンの治めるライトメリッツはジスタート西端にあり、ブリューヌとの国境を兼ねる山脈を挟んでティグルのアルサスと隣どうし。


  • 竜具(ヴィラルト)
初代国王からもたらされたとされる、戦姫の証たる七つの武具。
剣、槍、錫杖など形状は様々で、そのどれもが特殊かつ強力な固有能力を秘めている。
エレン曰く、「竜具の中に『弓』は存在しない」とのこと。


高い知能と戦闘能力を有する巨大生物。
野生の個体はその多くが山奥などに棲息し、まず人前に姿を見せない。
体色に個体差があり、それとは別に地竜、飛竜などの種別もある。ジスタートではその中で「幼い竜や黒い竜」に対する危害を堅く禁じている。
全身を覆う鱗を始め、竜の牙や爪は人の手ではどうあっても傷つかないとされる――が、竜具の一撃はそれらを容易く断ち貫く。


  • ヴォルン家の黒弓(正式名称不明)
ティグルの家に家宝として伝わる、その由来も材質も謎という黒一色の弓。
どこか得体の知れない雰囲気や、何かを知っていたであろう亡き父の「本当に必要な時にのみ使え」との遺言もあり、ティグルがこれを手にすることは無かったのだが……。
タイトルにもある『魔弾』は、この弓から撃ち出される一撃を指す。



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最終更新:2023年01月12日 03:35