ダール(星図詠のリーナ)

登録日 : 2012/06/16(土) 06:37:32
更新日 : 2016/12/26 Mon 15:17:45
所要時間 :約 5 分で読めます





あいつは地図を作りたがっている
そのために、世界を見てまわるつもりでいる

――俺は、そいつを見てみたい



ライトノベル『星図詠のリーナ』の登場人物。


本編冒頭にて野盗の襲撃を受けていた主人公の王女リーナを救い、それ以降、彼女の護衛として行動を共にする男。
物語全編を通して中心人物の一人として描かれるが、リーナがまともに戦えないぶん、特に荒事での見せ場に恵まれやすい。
そういった場面だけを見れば、リーナよりも主人公のポジションに相応しいといえるかもしれない。



【人物】

乱雑に切った髪、擦り切れた服、傷の目立つ薄鉄の鎧……といった野盗まがいの出で立ちの傭兵。18歳。
ただ一点、左腕を覆う籠手だけはやたらと立派で、他の装いと比べて異彩を放っている。

からかい癖のある捻くれた性格で、物言いが荒いことに加えて目つきも悪い。
更に王族や貴族への反発心から、そういった面々には特に態度を悪くなる……などなど、かなりのアウトロー気質を備えている。
リーナへの敬意を強制する騎士タルヴとは、それらが災いしてひたすらに仲が悪い。顔を合わせるたびに口論となり、最後はリーナに止められるのがお約束。



【本編までの経緯】

元々は、ごく普通の家で5人兄弟の末っ子として生まれた農民。
貧しくとも平和に暮らしていたが、10歳の頃に戦乱のあおりで村を焼かれ、他の家族は生死不明に。
そのまま約1年間を1人で放浪したのち、ある傭兵に拾われて自身も同じ道を歩み出す。

師であり相棒でもあったその人物とは数年前に死に別れた。以降は基本的に一人で行動し、あちこちの戦いに参加しながら現在に至る。
そして現在。偶然に出くわしたリーナを野盗から助けたことをきっかけに、彼女に護衛として雇われることとなる。

半生を剣と共に過ごしてきただけあり、並の傭兵を歯牙にかけない実力を持つ。リーナの姉・パルヴィが従える騎士ユスカとも互角に渡り合えるほど。
その反面、厳しい戦いの日々はそれ相応の捻くれた性格を形作ってもいるのだが。



【旅仲間との関係】

《護衛対象・リーナ》
あまりにも王族らしくない人柄や、一介の傭兵であるダールに自然に接する態度もあり、一行の仲ではもっとも付き合いやすい相手。
リーナからしても、自分を王女と知っても態度を変えず接してくれるダールを得がたい存在と感じている。
リーナへの呼称は「嬢ちゃん」「あんた」など。これは初期の呼び方が変に定着してしまったものだが、後に一度だけ彼女を名前で呼ぶ。


《リーナの侍女・サラ》
リーナへの溺愛からくる 「リーナ様に近づく不届き者は死ね」 的な思考により、ダールの 物理的排除 をたびたび目論む人物。
時には ガチで殺る気 の攻撃を仕掛けられることもあり、ダールの方では彼女をかなり苦手としている。


《護衛の老騎士・タルヴ》
前述の通りの犬猿の仲。後の展開では、皮肉を言い合いつつもある種の連帯感を帯びた間柄となる(かも)。




ここからネタバレ。















嬢ちゃん、ひとつ手品を見せてやるよ

融かし尽くせ 魔銀(ホルプ)



【左腕に憑く “竜” について】

常に着けている籠手に隠された、指先から肘付近まで 銀の塊 に変質した左腕(普通の腕のように動かすことはできる)。
ダール曰く「大陸北部の砂漠で出会った竜に憑かれた結果」らしく、この銀塊自体が 竜という生き物 とのこと。
意思の疎通はできず、ダールの方で勝手に 『魔銀(ホルプ)』 と名づけている(名前は知人の発案らしい)。

この左腕は 「触れた金属を問答無用で融かして飲み込む」異能 を秘めており、非常時の防御手段として役立つこともある(普段は化け物扱いされるのを避けるため、籠手で隠している)。
ホルプを「起こし」て発生させる“霧”も同様の効果を持つが、こちらは効果が広範囲に及ぶため、大人数の武装を一瞬で消滅させることすら可能となる。
さらに“霧”は一定の形に束ねることで物理的な干渉力を生むこともでき、これを活かした巨大な“剣”の一撃がダールの切り札。

……とはいえ良いことばかりではなく、人間離れした見た目に加え、ダールは 生身の身体が少しずつ銀に侵食され続ける という問題を抱えている。
それを防ぐにはホルプに一定量の銀を摂取させなければならず(銀貨程度の大きさなら日に1~2枚)、文字通りの金食い虫状態。
ホルプに憑かれた当初、銀となっていたのは指先部分だけ。しかし侵食を抑える手段の発見に手間取ったこともあり、本編時点では左腕の半ばにまで侵食が及んでしまっていた。
また、前述のようにホルプを「起こし」て“霧”を用いた際にも、その代償として侵食が一気に進んでしまう。



「やがて侵食が進んだ先に自分がどうなってしまうのか」 という恐れから、ダールは 「いっそのこと左腕を切り落とそうか」 と考えることもあった。
しかしそう考えるたびにホルプの反抗にあい、そうした無理やりな手段での除去は不可能と結論付けている。

ちなみに、妖精と総称される種族の一部は見ただけでホルプ(ダールの腕)が竜だと分かるらしい。
作中で登場するある妖精曰く、ホルプは 「媚びない、頼らない、甘えない」 といった尖った意思を宿しているとか。
また、他の妖精が言うには「素直でいい子」とも。




以下、余談など(ネタバレ?)。












『星図詠のリーナ』の数百年後を描いた(と示唆されている)千の魔剣と盾の乙女には、『ホルプ』と名乗る“意思を持ち、人語を話す魔剣”が登場する。
この剣は『千の魔剣』の作中にて、 「以前の自分の持ち主は傭兵であり、一人の女性と出会った末、彼女と添い遂げるために自分を手放して戦いから身を引いた」 と語っている。

『リーナ』本編では、ダールの行く末について最後までは描かれていない。
しかし、『千の魔剣』におけるホルプが語る“前の持ち主”がダールだとすれば、彼は最終的に異形の左腕から解放され、愛する人と幸福な結末を迎えたと考えられる……かもしれない。



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