ステレオタイプ・パワープレイ(ライトノベル)

登録日 : 2012/03/22(木) 08:21:23
更新日 : 2015/07/30 Thu 05:46:35
所要時間 :約 6 分で読めます





初めて知ったんだけど、私の幼馴染……

異世界を救ったり、

遠い宇宙の戦争で活躍したり、 __________

__________ 悪の結社を壊滅させたりした、

そんな 勇者様 だったみたいです。


――幼馴染のY・Sさん




『ステレオタイプ・パワープレイ』

出版:スクウェア・エニックス・ノベルズ
著者:川口士
挿絵:ぴと

既刊:2巻(どちらも2007年発行)



【概要】

作者のデビュー作は同年受賞の都合で二つ存在するが、本作がその片割れにあたる。
「ごく平凡の少年と思われている主人公は、実は過去三度に渡って様々な世界を救った英雄だった」
過去に彼に救われた世界の少女たちが現れて始まる騒動に、何も知らなかった彼の幼馴染までもが踏み込んでいく……といった内容である。

「テンプレと言われる色々な物を詰め込んだらこんなのが出来た」と作者が語る本作には、とかく大勢のヒロインが登場する。
ファンタジー世界の王女。
魔族の幼き女王。
遠い宇宙帝国の姫。
ミステリアスな転校生。
女性型戦闘アンドロイド。
あと、何も知らない普通の幼馴染とか。他にもまだまだ。

作者にとり、「現代に生きる少年」が主人公となる作品は珍しい。
そのせいか『戦鬼』や『ライタークロイス』に連なるハイファンタジー系列とは作風が異なり、ややコミカルなタッチに仕上がっている。
様々な世界を同一作品の中で足早に駆け巡り、 ややチートな主人公が多くの面倒を一挙に解決していく 様を軽いノリで楽しむのが吉だろう。

ちなみに、『パワープレイ』という言葉は「人員の一極集中」という意味を持つ。
「ごり押し」的な意味でも使われるが、そちらでも強ち間違いではなかったり。



【加筆修正版『この家(略)』】

2012年1月に、加筆修正版が一迅社文庫から発行された。

『この家に勇者様もしくは救世主様はいらっしゃいませんか?』←タイトル

挿絵:鈴木屋16号店(1~2巻)/美弥月いつか(3~4巻)
既刊4巻。
ページ増と社の出版フォーマットの都合から、原作の1巻と2巻相当の内容をそれぞれ1~2巻、3~4巻に分けて書いている。

大概にアレなタイトルだが、以下の様に初期案はもっと酷い。
『昔救った異世界の王女様たちが俺の家に押し掛けてきて幼なじみが激怒しているのだが』
……一迅社文庫はどこに向かおうとしているのか。
書店の発売カレンダーでは、修正前だったのか『昔~』の名で載っていたりする。



【あらすじ】

日本でごく普通の生活を営む石川涼は、生まれついての勇者の資質を持ち合わせる少年。
その事実を隠しながら、彼は幼少の頃より頻繁に異世界に召喚されてはその危機を救ってきた。

そんな彼の下にある日突然、かつて救った巫女やらお姫さまやらが一斉に押しかけてきた。それも全員が 「自分の世界を急いで救って欲しい」 と言いながら。
しかもその場には運悪くお隣の幼馴染が居合わせ、ずっと秘密にしていた事情を彼女に知られてしまう。

息つく暇もなくやって来た、数々の世界の危機……と涼自身に訪れる家庭崩壊の危機。
平穏を望む勇者さまは、これらにどう立ち向かうのか?



【主要登場人物】

○石川涼(いしかわ りょう)
16歳。普通に生きたいと望む、しかし普通にはなれない主人公。穏やかで大のお人良し。
素ではさしたる力を発揮できないものの、『魔道の道具』などに関する適性が化け物じみて高いという類稀な素質を持つ。
その資質を見込まれて幼い頃から異世界などに度々召喚されては、そこに伝わる武具や兵器を繰って八面六臂の活躍をしてきた。
そうした経験から精神的にも強く、多少のことではビクともしない。……が、あるトラウマのせいで家族関係のトラブルには極端に弱い。


○佐賀夢乃(さが ゆめの)
涼の隣に住む同い年の幼馴染。
過去何度も “親の転勤などの都合(嘘)” で家を空ける涼を気にかけつつ、その実情に気付かないまま過ごしてきた少女。
しかし今回に至って涼の事情を知り、彼の事をもっと知っていくためにも異世界への同行を決意する。
作中ほぼ唯一といえる普通の人間で、異能に関する素質は皆無。その“無能”こそが最大の切り札となる場面も。
『この家(略)』ではおっぱいが増量した。


○富山楓(とやま かえで)
涼や夢乃と同じ学校に通うクラスメイトだが、よく近づいてみると身体の中から機械音が……。
というのも、彼女はとある科学者が生み出した戦闘用アンドロイド。かつて涼と共に、涼の世界のどこかにある悪の秘密結社を壊滅させたことがある。
人の暮らしの常識に疎く、現在は涼とともにそれを勉強中。ボロを出さないよう涼以外とは極力話をしないので、「付き合っているのでは?」と周囲で噂されてもいる。
『この(ry』では涼への気持ちに困惑する様子が細かく描写され、可愛さが増量。


○福井希美(ふくい のぞみ)
涼にいたく懐く、彼の義理の妹。まだ幼くお転婆。
涼と仲の良い夢乃を嫌っているが、それは単なる独占欲からのみ来るものではない。
もう一つの理由は、涼や夢乃が思いもよらないものなのだが……。


○福井美幸(ふくい みゆき)
母を亡くした幼い涼に、ある時期突然、彼の父が継母として連れてきた女性。希美の実母。
以降は父が不在の石川家で涼とともに暮らし、希美と共に暖かい家族(?)関係を築いている。
微笑を絶やさない朗らかな女性で、涼と希美を深く愛している。涼も彼女のことは好きなのだが、“母”と呼んでいいのかは未だ掴みきれていない。
愛深やリリンらが現れると同時に、彼女や希美までもが“異能者側”の存在であることが判明する。


○宮崎愛深(みやざき まなみ)
作中冒頭で涼・夢乃・楓のクラスに転向してくる、どこかミステリアスな雰囲気の少女。
涼の異能者としての側面を知っており、彼に相談を持ちかけてきたことが本編の始まりを告げる。
彼女が持ち込んだ『魔導書』は様々な呪文を内包しており、涼の主要武器の一つとなる。


○シグ=リリン
涼たちの世界とは異なる世界『ファルガードス』にある『ルビナス帝国』の巫女。
10歳だった涼を『勇者召喚の儀』でファルガードスに呼び出した張本人で、当時自分達を救ってくれた彼を今でも救世主と崇めている。
彼女の国に伝わるチート武具『甲冑』は12のパーツから成り、先天的な素質によりどれを装備できるかが決まる。“かなり凄い人”でも数個しか身に着けられないが、涼はその全てを装着できてしまう。


○サラ・パラム・ティバ
ファルガードスにて、ルビナスと敵対関係にある魔族の国を治める女王。シグ=リリンと同じく涼とは親しい。
種族の差から身体的・精神的に育ちが遅く、現在では涼に背を追い抜かれている。
先代の王は涼との戦いで命を落としているが、そのことについては「仕方無い」と納得している。
ルビナスの甲冑と対を成す兵器『魔神像』を有する。


○ナーラ・スィーフィーア・ダイアスト・アヴァロニア
地球からは遠く離れた『星間国家アヴァロニア』のお姫様。闊達で気持ちの良い性格。
他の巫女さんやら女王やらとは毛色の異なる、SFチックな世界観のキャラ(光線銃やら宇宙船、しまいにはクローン技術を持っていたり)。
かつて宇宙海賊によって危機に陥っていた所を、自国の巨大ロボ『バール』を貸し与えた涼に救われている。



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