新ゲゲゲの鬼太郎 スポーツ狂時代

登録日:2012/10/02(火) 21:27:09
更新日:2023/07/04 Tue 17:28:11
所要時間:約 7 分で読めます




■新ゲゲゲの鬼太郎■
スポーツ狂時代

『新ゲゲゲの鬼太郎 スポーツ狂時代』は1978年(昭和53年)にお父さんの為の情報誌『週刊実話』にて連載された水木しげるの青年漫画作品。
前年に約半年に渡り連載された『続ゲゲゲの鬼太郎』とは地続きで、事実上の第二部となるのだが、水木しげるらしく若干の矛盾や設定の変更が加えられている。

物語の流れは大きく二つに分けられており、前半は鬼太郎の超能力を狙う吸血鬼のモモ子一味との戦いを通じて、何故か鬼太郎が力士となって活躍する「相撲編」と、
ヤクザに野球の才能を見込まれた鬼太郎が紆余曲折を経て母校墓の下高校に戻り高校野球に挑戦する「野球編」の前後編構成となっている。



【相撲編】


鬼太郎は一時期、人間として高校に通っていたが成績が悪いわ学費も払えないわで、山の中の生活に入って食うや食わずの生活を続けていた。

半年ばかりたった頃、偶然にもねずみ男が訪ねて来た丁度その時に見ず知らずどころか存在すら知らなかった“東京のおばさん”から手紙を受け取った鬼太郎親子(+ねずみ男)は、
渡りに船とばかりにおばさんの家に行くが、案の定それは罠で、鬼太郎はおばさんの娘のモモ子に先祖の霊力の籠もったトレーナー(ちゃんちゃんこ)を奪われた上に、
血液を人間の物と入れ替えられて無力化されてしまうのだった。

実は、モモ子らは吸血鬼で鬼太郎の霊力を奪い、更には注入すればスーパーマンになれる鬼太郎の血液を高値で売りつけ商売にするつもりだったのだ。
ねずみ男の機転で血液だけは取り戻して脱出した鬼太郎は、ひょんな事から転がり込んだ、その名の様に貧乏な貧乏部屋に拾われ力士となるのだった。
その頃、鬼太郎の行方を探すモモ子は、鬼太郎の血の効果でミス日本の栄光を受けると、次にはミス世界をも見据えていた……。



【野球編】


何とかモモ子一味を撃退(やられっぱなしだったが)した鬼太郎とねずみ男は、
またもやひょんな事から草野球に参加した事で人間離れした能力をヤクザとプロのスカウトに目を付けられるのだった。

鬼太郎を利用し金儲けを企むねずみ男の思惑もつゆ知らず、母校墓の下高校が野球部を結成し甲子園を目指していると云う話を聞き、
義憤により野球部員として復学する事を決意する。

しかし、お化けの学校が甲子園を目指すという前代未聞の事態に、対戦相手に選ばれた富士の山高校野球部の水島監督ら高校野球関係者は大慌て。
更に、以前に鬼太郎に目をつけたプロスカウトやヤクザや宇宙人までもが絡んで来て、事態は更にややこしい事になっていくのだった。

そんな中、墓の下高校を出場停止処分に追い込むついでに借金を返して貰いたいスカウトマン(富士の山高校後援会長)は、
墓の下高校の生徒である本物のお化け達にショーをやらせ、金を稼がせると共にスキャンダルに追い込もうとするが……。



【主な登場人物】


ゲゲゲの鬼太郎
高校を退学してからは世捨て人のような生活を送っていたが、おばさん一家を名乗る吸血鬼一味に騙され、力を奪われてしまう。
ねずみ男の活躍で脱出すると貧乏部屋で力士になり、重力と反動を利用した跳躍相撲を駆使するゲゲゲ山として幕下優勝を果たすまでの力士となる。
懐かしの砂かけ婆と子泣き爺の助けも借りて、しつこく血液を狙うモモ子一味を撃退すると、今度は超人的能力を野球で発揮。
復学した墓の下高校でエースで四番として迎え入れられ、それなりに燃えていたものの、何故か野球を出来ない状態ばかりが続くのだった。
今回は「髪の毛針」を始めとした往年の超能力も披露。
腐っても鬼太郎は鬼太郎だった……?


目玉の親父
ご存知鬼太郎の親父にしてこの漫画のマスコット。
……が、今回はもうろくしていて居る筈の無い親類に騙されたりと基本的に役に立たない。
更に、借金のカタに取られて殆ど出番も無しの体たらくである。


ねずみ男
やっぱり無職に戻っていたトリックスター。
食うや食わずで食うや食わずの鬼太郎を訪ねた際に、偽物のおばさんの手紙を受け取った鬼太郎に付いて東京に戻り、居候の鬼太郎の居候の生活をしていた。
冷静に事情を見抜き、吸血鬼一味から鬼太郎の血液を取り戻す活躍を見せてからは鬼太郎のマネージャーを名乗り、相撲や野球で荒稼ぎを目論むも何れも失敗。
最終的には自分も高校一年生として甲子園を目指す羽目に……が、スナックで飲んだくれたりとやっぱり大人。


◆砂かけ婆・子泣き爺
かつての鬼太郎の仲間で、都会生活ですっかりと腑抜けた鬼太郎達とは違い往年の実力は健在。
お化け界の天皇陛下たる鬼太郎に自信を取り戻させるべく協力する。
全員で「ゲゲゲの歌」を歌うサービス(?)シーンがある。


◆モモ子
美人だが高慢な、鬼太郎の親類を名乗った娘で、正体は吸血鬼。
自分の母親はおろか、欲深という吸血鬼医師や、かのドラキュラをも従える若きカリスマで、鬼太郎の力を奪い召使いにした。
鬼太郎が血液を取り戻してもトレーナー(ちゃんちゃんこ)をパンツに編み直して力を保ち、
更には既に身体に入れていた鬼太郎の血液で更に美貌を増してミス日本の座にも就いた。
しかし、昔の仲間の助けにより嘗ての妖怪魂を取り戻した鬼太郎と力士の廃業とミス日本の引退を賭けて相撲対決。
パンツをマワシに編み直して鬼太郎に挑むも、マワシ(ちゃんちゃんこ)が鬼太郎を懐かしがり外れて全裸を晒した上に鬼太郎に乳首に吸い吐かれる恥辱を受ける。
色ボケになった行事らの判定では勝利したものの、最後は吸血鬼である事がバレて国外追放となった。


◆貧乏部屋親方
路頭に迷っていた鬼太郎とねずみ男を拾ってくれた親方。
鬼太郎の才能を買い力士にする。
ねずみ男の商才を信じマネージメントも任せるが、最初は上手くいかず窮地に追い込まれていた。


◆安
墓の下高校の野球部員で、鬼太郎に高校に戻るように依頼した。
お化けの通う学校(にされた)である墓の下高校に入学出来たのは、身体を透明に出来る能力があるからだが、すぐに忘れられた。
実は鬼太郎を狙うヤクザの子分。


◆ヤクザ達
草野球で八百長を利用した賭け試合を行っていた。
鬼太郎に目を付けるが、ねずみ男の邪魔により失敗。


◆魔人軍スカウト
ねずみ男が連れて来たプロ野球「魔人軍」のスカウトマン兄弟。
鬼太郎を多額の契約金でプロに引き抜こうとするが、がめついねずみ男により失敗。
元プロレスラーで、兄は富士の山高校野球部の後援会長として墓の下高校に資金援助する一方で、甲子園出場を阻もうとした(鬼太郎だけには好感を抱いていた)。


◆水島監督
地区を代表する強豪校、富士の山高校野球部の雇われ監督。
平和な生活を滅茶苦茶にした墓の下高校を毛嫌いしている。


◆墓の下高校野球部員
どっかで見たような奴や、第一部(『続ゲゲゲの鬼太郎』)で死んだ筈の猫娘とか混ざってるが、何れも別人なので気にするな。
……ちなみに、墓の下高校は人間の学校だった筈なのだが……。


◆モンロー先生
墓の下高校教師。
鬼太郎と安とついでにねずみ男を同居させてくれている。
当初はお化けに同情して教師になった善意の人だったが、後に本物のモンローのお化けになった。


◆柳田国男
墓の下高校顧問(?)。
かつての大民俗学者のお化け。
当初は墓の下高校の問題を持ちかけられただけの町の民俗学者だった。


◆ぬらりひょん校長
墓の下高校校長。
『ゲゲゲの鬼太郎』のアレとは別人。





【余談】

※現在は角川書店から『ゲゲゲの鬼太郎 スポーツ狂時代』として文庫版が発売されている。
確実に入手して読みたい方にはオススメ。





追記・修正は、お化けも真昼のグラウンドで運動会してからお願いします。

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最終更新:2023年07月04日 17:28