ONE PIECE FILM STRONG WORLD

登録日:2011/11/19 Sat 23:09:02
更新日:2024/04/08 Mon 12:46:31
所要時間:約 10 分で読めます





『ようこそ、大海賊時代へ。』


強者(つわもの)のみが生き残る!!



【概要】

正式なタイトルは『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』(ワンピース フィルム ストロングワールド)。


2009年12月12日に公開。漫画『ONE PIECE』の劇場版第10作目。上映時間は劇場公開版113分、Blu-ray / DVD版が115分となっている。
当初は3月公開予定だったが原作者の尾田が一度出来上がったシナリオを全て書き直したため延期となった。類型興行収入は48億円を記録し当時までのONE PIECE映画では第一位*1となっている。

ファンからは劇場版ワンピースでは最高傑作と言われるほどの名作となっており、
ワンピースファンから「ワンピースの映画でなにが一番好き?」と聞かれたら、
ねじまき島の冒険』か『珍獣島のチョッパー王国』かこれ(あるいは『Z』)と答えるのがベターとまで言われている。
そもそも、『オマツリ男爵と秘密の島』以降の劇場版では「絵がきらい」と言われるように普段のアニメとは違うテイストで描かれていたが、
尾田の希望で、監督には同作品のテレビアニメにおいてシリーズディレクターを06年10月から08年9月の放送分までを担当した境宗久
オープニング音楽には小西康陽金獅子のシキの声優には俳優の竹中直人が起用されており、
原作者からの強いこだわりが取り入れられている。

ちなみに尾田はスタッフ側に映画のシナリオを依頼され一度は断ったが、「主題歌がMr.Childrenだったら頑張る」と返したそうだ。
尾田的には冗談だったのかもしれないが、スタッフは本当にMr.Childrenの神曲「fanfare」を引っさげてきたため、
尾田は本気を出さざるを得なくなり、製作総指揮を務めることになった。


ちなみに、ジャンプでは作者が忙しくなったため本編を休載することも多くなったという事もあり、
当時マリンフォードでの戦い(いわゆる頂上戦争)が必要以上に長引いていた為、ジャンプ読者は非常にモヤモヤしたとか。
(正確には当時のジャンプではマリンフォード到着前後のストーリー)



映画のパンフレットの作者のコメントでこのエピソードは「ルフィの17歳最後の冒険」とされており、
ナルトドラゴンボールのように「ルフィが成長するのか?」とも噂されていた(実際こののち2年後編に入る訳だが)。

…え?麦わらチェイス?あれは映画というより半分アトラクションみたいなもんだし…

これが好評となり、次作の『ONE PIECE FILM Z』も尾田監修となった。



【あらすじ】

かつて、ロジャーライバル関係にあった海賊・金獅子のシキにより、海軍本部が襲われた。

同じ頃、ルフィ達の故郷“東の海(イーストブルー)”が謎の襲撃を受けている事がニュースとして報じられる。

そして、ルフィが東の海へ助けに戻ろうとした所にシキが現れ、ナミをさらってしまう───


【登場人物(ネタバレあり)】

麦わらの一味

この映画が公開された時期は上記の通り原作もアニメも一味は各地に散り散りになっていた。
ご存じ海賊王を目指すゴム人間。
伝説の海賊相手に啖呵を切る討ち入りの場面は非常にかっこいい。
しかしナミの伝言の肝心な部分を聞き逃すなどいつもの天然ぶりを発揮してしまう所も。

ご存じ三刀流の腹巻き剣士。
迷子スキルは相変わらず健在で半日で抜けられる冬ゾーンで数日迷ったり、王宮への道を間違えたりする。
しかし故郷を侮辱された際には怒りの表情をみせた。

ご存じオレンジ髪の航海士。
ビキニにホットパンツ、ワイシャツ等色々魅せてくれる。
メインヒロインにして実質今作のもう一人の主役*2
故郷と仲間たちを盾にとられ……。

ご存じ長鼻の狙撃手でのちのゴッド(当時はまだそげキング名義の手配書だが)。
序盤はサンジの女性陣捜索に、終盤はナミの救出に駆け回る。
討ち入り時は甲冑スタイルだった。

ご存じ変態紳士なコック。
不眠不休ではぐれた仲間(主に女性陣)たちを探し回っていた。
愛の力が種族間の言語の壁を越えた。

ご存じトナカイの船医。
毛皮は脱げません。
終盤はウソップを乗せ騎馬の如く駆け回る。

ご存じミステリアスな考古学者。
島の探索時はメガネをかけていたがこれが非常に可愛いらしく人気。
決戦で一時囚われの身になるがこれを救出しようとしたサンジがエライことに(笑)

ご存じスーパーなサイボーグ船大工。
島の生き物たちも彼にかかればあっという間にメカニカルな乗り物に早変わり。
決戦時最初は履いていたはずのズボンを途中で何故か脱いで海パンスタイルに。冬島なのに寒くないのだろうか?

ご存じ骸骨音楽家。
島の動物から全く狙われていなかったがその理由に我慢ならず怒る。
美味しいところは全部もっていった。
ちなみに劇場版は今回が初登場となる。


◎原作キャラ

海軍本部元帥。

海軍本部中将。冒頭にのみ登場。

  • オニグモ、ヤマカジ、ストロベリー
海軍本部中将の皆さん。シキを捕らえにメルビユの近くまで来ていた。ルフィに敗れた彼を捕縛し、麦わらの一味も追うが逃げきられた。

ナミの義姉。
回想とエンディングで登場。


◎オリジナルゲスト

ロジャー、白ひげと肩を並べた伝説の海賊。
歴史上インペルダウンから脱獄に成功した唯一の海賊*3で、脱獄から20年の時を経て世界への復讐を目論む。
詳細は当該項目参照。

  • Dr.インディゴ
CV:中尾隆聖
ピエロのような風貌の科学者。
シキの配下の中でも古株の側近で、彼のボケには容赦なく突っ込む。
パントマイムでコミュニケーションをとろうとするが結局喋る。
歩くたびにおならのような間抜けな足音がする。
一見すると陽気だが、性根はマッドサイエンティストと呼ぶのが相応しい悪党。 
担当声優の中尾氏はのちに本編でマッドサイエンティスト繋がりのシーザー・クラウン を演じている。


  • スカーレット
CV:銀河万丈
ファンシーな装いのゴリラ
元々はメルヴィユに生息していた一生物だが現在はシキの側近となっている。
ドラミングで他の生物を呼び寄せる力を持つ。
美女に目がなく、敵味方から「エロゴリラ」呼ばわりされる。
レベッカの母親と同じ名前だが一切関係はない。
担当声優の銀河氏は本編でも斧手のモーガンやリク王*4を演じている。

  • ビリー
CV:高戸靖広
エレキ鳥と呼ばれるカモと孔雀を足して割ったような鳥。どことなくカルーっぽい。
触れるとビリッとくることからルフィが命名した珍しくまともなネーミングである
巨大生物たちをまとめて気絶させるほど強力な電撃を放てるが性格は温和で、ルフィやナミにもすぐに懐いた。
決戦ではルフィを背に乗せ共にシキに立ち向かう。
担当声優の高戸氏は本編でもMr.9ハートの海賊団のべポなど様々な役を演じている。

  • シャオ
CV:水田わさび
メルヴィユの村で暮らす少女。
祖母のため薬草を取りに出かけた先で怪物に襲われるが、ゾロとチョッパーに助けられる。
びっくりすると気絶する癖がある。

  • エバー
CV:皆藤愛子(特別出演)
シャオの姉。
シキの王宮の酒場でウェイトレスとして働いている。

  • シャオの母
CV:土井美加
シャオとエバーの母親。
ゾロとチョッパーにダフトという病気についてを語った。
ナミを気遣う様子を見せた。
担当声優の土井氏は本編でもコビーを演じている。

  • シャオの祖母
CV:京田尚子
シャオとエバーの祖母。
ダフトという病気を患っている。

  • キタジマ
CV:北島康介(特別出演)
魚人族の海賊。
シキに召集された海賊の一人。

【用語解説】

  • メルヴィユ
偉大なる航路に存在する秘境。
元々は雲にも届く塔のような場所だったが、シキの支配後はその能力によって、宙に浮く複数の島々になっている。
他では見られない生物や植物によって独自の生態系を築いている。
竜とキリンの合成の様なジラゴン、バイソンかヤクの様な見た目だが名前がラクダのラクダなど多様な種類が生息している。
島民たちの腕には鳥を思わせる羽が生えている。
20年前までは人間・動物・植物でうまく共存していたが、シキが介入したことでそのバランスを崩される。

  • ダフトグリーン
メルヴィユの集落やシキの要塞を守るように植林されている植物で動物たちが嫌う特殊なにおいを発する。
粒子には強い毒素があり、人が多く吸い込むと体に緑の痣ができ体が動かなくなる「ダフト」という病気に侵され、最悪の場合命にかかわる。

  • I.Q
メルヴィユの特定の場所にのみ咲く花。
動物を状況に応じた進化をさせる作用を持つ*5。ダフトの解毒剤にもなるが、シキによって全て独占されていた。

  • S.I.Q
Dr. インディゴがI.Qから開発した薬品。
投与された動物はより戦闘的に進化し、連続投与すると凶暴性を増すようになる。


【登場したオリジナル技】

  • ルフィ『ゴムゴムの巨人の雷斧(ギガントトールアックス)
雷雲にギア3で巨大化させた足を突っ込み雷を纏う。
決め技となった。

  • ゾロ『鬼気九刀流・阿修羅 穿威(うぐい)
阿修羅の新バリエーション。
見た目の違いはわからない。

  • サンジ『悪魔風脚・野獣肉シュート
悪魔風脚から放つ強烈な打ち下ろしの蹴り。
『シュート』系なので単発。

  • ウソップ『天竜星
電気の竜を撃ち出す。
ナミの作った雷雲の威力を倍増させた。


【余談・その他】

前述した通り、原作者がストーリー製作に関わった為、原作に密接な関わりがあると言える内容である。
時系列としてはスリラーバークからはっちゃんたちと再会するまでの間にあたる。

ジャンプでは第0話として今作に至るまでの経緯が描かれた漫画が掲載され、若かりし頃のクロコダイル等主要登場人物の主要登場人物たちの若かりし頃の姿が登場している。
さらに、入場者の先行特典として0話や設定画等を収録した『ONE PIECE 巻零』が配布された(本誌掲載時とは一部台詞が異なっている部分もある)。これ以降先行特典としてジャンプコミックスの非売品が恒例になった。


一味のメンバーもしっかりとそれぞれの分野で活躍しており、
劇場版に有りがちな優遇不遇具合が少ない(しかし、主に東の海出身者達にスポットが当たっているのでロビンら当時の大人組が途中まで別行動で出番がやや薄いのは致し方ないか)。


今作はナミのヒロインとしての描写が特に強く描かれたが、実は没となったプロットでは、『クリスタル航海記』という副題で彼女の出生について描く予定だったらしい。
しかし、感動よりも冒険を重視したことや時期的に早いと考えられたことなどから変更となった。
今後場合によっては、当初明かされる予定だった彼女の出生について描かれる機会が訪れるかもしれない。

作中後半、麦わら一行がスーツを着て登場するシーンは非常にインパクトが強く、本作の象徴的存在と言える名場面である。
シャンクスエースといった本作に出ていないキャラクターの「STRONG WORLDバージョン」(つまりスーツ姿)も存在しており、
ゲームやフィギュアなど、様々な媒体に姿を見せている。

声優の青野武 は主要キャラであるルフィ・ゾロ・ナミ・ウソップ以外では、全ての劇場版シリーズに様々な役でゲスト出演していたが、2010年5月末に体調不良のため入院する事になり、シリーズの持ち役であったジュラキュール・ミホークを降板するなどしていたが、2012年4月10日に「多発性脳梗塞」により死去したため、ONE PIECEシリーズに出演したのは、本作が最後となった。

余談だが、ルフィはナミの「最後のアレ」を聞かなかったために終盤でナミを叱責していた。
ナミ曰く「一番鈍感なあんたにむけていったようなものなのに…」
終盤にて音貝でナミのメッセージをルフィが聞こうとしたがナミやウソップと取り合いになり、結局船の外へと飛んで行ってしまった。
しかし、おそらくあの後ナミを除く仲間の誰かからメッセージを聞いたと思うことができる。
証拠とまではいかないが、あれからルフィが怒っていないところを見ると・・。

エンディングではルフィたち東の海出身者の故郷の様子が描かれている。さらに大サビ前には白ひげ・エース・シャンクスの映像が出ている。まだジャンプでも描かれてなかった二人の死やマリンフォード編の今後を示唆する意味だったのだろうか…。



シキ「驚いた! 項目出来上がってると思ってた!!」
インディゴ「追記・修正しなきゃいけねーだろどー見てもー!!」(ビシィッ)
ゴリラ「ウッホ! ウッホ!」

はいっ!!






シキは例えルフィ達が追記・修正しても絶対に敵わない伝説の項目
皆が私を追記・修正してくれても項目をなくす結果になる
これだけ言っておきます


必ず、助けにきて…!!




Next:『FILM Z』

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  • 竹中直人

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最終更新:2024年04月08日 12:46

*1 現在は第五位

*2 エンドロールのキャストクレジット欄でも2番目に表示されている。これはテレビシリーズも同様(原作より登場のタイミングが早いため)

*3 後に本編では100年以上前にインペルダウンから秘密裏に脱獄した人物が登場している。

*4 当初担当声優だった広瀬正志氏の病気療養による後任。

*5 人間も例外ではなく、島民たちはこれにより飛行能力を身につけた。