戦闘メカ ザブングル

登録日:2011/02/16(水) 23:40:03
更新日:2024/03/10 Sun 04:28:28
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惑星ゾラと呼ばれる地球
しかし人々はゾラの名前を忘れて、久しい……。


砂塵渦巻く地の果てで、熱血ジロンと美女2人!



命をかけて生きてます!!



「戦闘メカ ザブングル」は1982年に放映された、日本サンライズ制作、富野由悠季監督の『ロボットアニメ』。

翌年には総集編の「ザブングル・グラフィティ」が劇場公開。
併映は「ドキュメント・太陽の牙ダグラム」。

機動戦士ガンダム」「伝説巨神イデオン」に続く、富野監督の、世間で言う『リアルロボットアニメ』路線第3作目にあたる。


<概要>

西部劇風な舞台で生命力溢れる登場人物達がコミカルかつパワフルに暴れまくる、冒険活劇であり、シリアスだった「ガンダム」「イデオン」とは(一見)ガラリと作風が変わっている。
だが、イノセント関連での暗い設定や荒地を舞台に人の生き死に等、特に中盤から終盤にかけてはシビアな政治劇をメインとしたシリアスなストーリー展開をしている。(これについては、ナレーションでも、「ああ悲惨。決して暗くなりたくはないザブングルが、土壇場で根暗な物語になりますか」と自虐している)
ちなみにグラフィティはそうした要素が無くなった事で最後のビターな終わり方も改変され、より一層明るい仕上がりとなっている。

元々は富野由悠季が監督をする予定ではなく、『エクスプロイター』(仮称)というタイトルで吉川惣司氏が監督を務めるハードSFとして企画されていたのだが、吉川氏が多忙により監督を辞退した事で富野氏に話が回ってきたという経緯がある。
上述した世界観はこれまた多忙の中*1富野監督が一晩で考えついたものを元にしているらしく、宮崎駿氏の「未来少年コナン」を意識していたとか……
主役機のザブングルのデザインが作中世界観からするとかなり浮いているように見える事がしばしば指摘されるが、これは企画自体こういった少々行き当たりばったりな経緯を経たせいでデザインの変更が間に合わず『エクスプロイター』時代のデザインを流用しているため。
尚、現在のロボットアニメでは定番となった物語途中での主人公機乗り換えを行った元祖の作品だが、これも元々はザブングルのデザインが作中世界観に合わないために行われた事だったりする。

因みに作品に対して余り感情を持ち込まない富野監督が唯一「作っていて楽しかった作品」らしい。*2


<あらすじ>

「惑星ゾラ」と呼ばれる植民星。
“イノセント”と呼ばれる特権階級と、どんな罪でも三日逃げ延びれば無罪放免という“三日の掟”に人々(シビリアン)は支配されていた。

両親の仇・ティンプを討つ為、運び屋・キャリング・カーゴから新型ウォーカーマシン“ザブングル”を盗み出す少年・ジロン・アモス。
“こだわり”を捨てない彼の生き方は、サンドラットやアイアン・ギアー、ソルト等様々な人々に影響を与え、やがてイノセントの支配を覆す大きな力となっていくのだった…。



<主な登場人物>


■ジロン・アモス(声:大滝進矢)
ドマンジュウとかメロン・アモスとか散々な云われようの主人公。
いわゆる当時流行だった美形キャラとは真逆な容姿ながら、行動力と男気、肉体的にも精神的にも人間離れしたタフさを持ち、エルチとラグをはじめ、作中ほぼ全ての女子からモテモテ。
オトコは顔じゃない、生活力だ!な、時代だった。
ただ、オープニングで銃を華麗に捌くジロンの姿は、非常に男前で、カッコいいから必見。
普段は気持ちのいい性格をしているのだが、父母をティンプに殺された過去を持っており、彼関係の話となると目の前が見えなくなる事もあった。

■ラグ・ウラロ(声:島津冴子)
少年少女のブレーカーグループ〈サンドラット〉のリーダー。
男まさりというか、ほとんんど男の子みたいなのだが、実は「女には優しくしろ、って親父に言われた」というジロンの言葉にコロリと参ってしまう、純情娘。
彼女が惚れる男は死んでしまうケースもある。
乳首ポロリというよりしょっちゅう丸見え。
…大らかな時代だった。
中の人はTV版のフォウ・ムラサメ

■エルチ・カーゴ(声:横尾まり)
運び屋・キャリング・カーゴの娘で、父の死後は跡目を継ぎ、アイアン・ギアーを指揮する。
お嬢様ながらもやはり一筋縄ではいかない根性の持ち主で、ナイフの達人でもある。パンチラ要員。
文化的なイノセント(というよりビエル様)に憧れているが、中盤、そのイノセントに洗脳されてしまう。
なお終盤に失明してしまいテレビ版と劇場版ではその後の展開が変わっている。

■チル(声:TARAKO)
サンドラットのメンバー。明るく逞しい幼児だが、時代のせいかロリな香りはあまりしない。
中の人は後のちびまる子。
ジロン曰く「いい女になる」らしいがサントラ特典の7年後イラストでは本当に美人に成長している

■ブルメ(声:古川登志夫)
サンドラットのメンバー。
チビで皮肉屋だが何気に美形。ラグに惚れている。
だからかジロンに惚れてるラグを見て不機嫌な時もあった。
中の人はカイ・シデン

■ダイク(声:山下啓介)
サンドラットのメンバー。気は優しくて力持ち。ジロンにサブキャラ認定される。
そんな性格だからかサンドラットメンバーではチルと同じくすぐジロンと打ち解けていた。
7年後をモデルとしたイラストではビリンとくっついている。

■コトセット・メムマ(声:岡和男(第4話まで)/広森信吾)
アイアン・ギアーのメカニック。
当初はマトモだったが、終盤には狼男になったり、ラグに抱き付かれニヤケたり、アイアン・ギアーをジャンプさせたり。
中の人はアストナージ。

■ファットマン・ビッグ(声:銀河万丈)
名前に反してマッチョマン。エルチの忠実なボディガード、男純情。
かつてロックマンの下で強制労働をさせられていたが、幼いエルチに気に入られてカーゴ一家に買い取られ、以後は彼女に恩義を感じ、守ることに全精力を傾けている。
エルチが洗脳された時は元に戻す事に奔走し、エルチの失明した目がアーサーから治せると告げられた時は涙を流していた。
7年後をモデルとしたイラストではエルチの子供をあやしていた。
ほとんど、フンッフンッ!としか喋らないが、中の人ギレン閣下

■ティンプ・シャローン(声:銀河万丈)
ジロンの両親の仇であり最後まで立ちはだかる宿敵。
流れ者のブレーカーだが、実は仕掛人としてイノセントと通じており、イノセントが本格的に動くまでは暗躍していた(最終的には見限っている)。
ジロンの父と母を殺した事が物語の発端であり、少なからずイノセント崩壊の原因かもしれない
設定はシリアスで普段は二枚目を演じようとしているが、吸っていた葉巻で自分の鼻を根性焼きするなどマヌケな部分が目立ち、どこか憎めない奴。
この人も中の人はギレン閣下。

■キッド・ホーラ(声:二又一成)
キャリング・カーゴの片腕だったブレーカー。怒ってもタレ目。
エルチに振られ、アイアン・ギアーを追い出された後も、しつこく追い回す。やはり男純情。
まだストーカーという単語が広まっていない時代だったのだ…。
ICBMの爆発に巻き込まれても黒焦げ&尻丸出しで済むくらい頑丈(アニメだからね!)。
中の人は三河屋のサブちゃん。

■マリア・マリア(声:第9話のみ島本須美/能村弘子)
惑星ゾラには珍しく、身を守る為にさえ銃を持とうとせず、孤児達の世話をしていた少女。
ラグ達に「変な子」扱いされる。
終盤には戦闘に参加する決意を固める。
ついでにブルメの頭を蹴っ飛ばしていた。
スパロボでは川澄綾子氏が代役を務めている。

■ビリン・ナダ(声:間嶋里美)
反イノセント組織・ソルトのメンバー。
マリアとコンビを組む事が多い。
何気に美少女。

■アーサー・ランク(声:塩沢兼人)
イノセントのリーダー。だが象徴的存在で、実権は側近のカシム・キングに握られている。
イノセントの本来の役割に忠実で、ジロン達の味方につく。
ジロン曰わく「美形キャラ」で性格も男前な事からジロン以上に女子からモテモテだった。
テレビ版と劇場版で生死が別れる。

■カシム・キング(声:緒方賢一)
表向きイノセントの長であるアーサーの補佐を務める人物。
しかし、裏では実質的実権を握っており。シビリアンが進化を果たした後に大地を譲り渡すというイノセント本来の教義を否定してアーサーを幽閉、物語後半はジロン達イノセントに反抗的なシビリアンと対決する姿勢を取る本作の黒幕。



〈ウォーカーマシン〉

本来はブルーストーンの採掘用重機。
ブルーストーンを巡っての抗争が絶えない為、大抵武装してあり、戦闘に特化したタイプも多数存在する。
開発・製造の技術はイノセントが独占しているため、入手するにはイノセントから購入するか、バザー(交易商人が開く蚤の市)で中古品とかを入手する。
人型が多いのは、「再び人類がこの地に自分達の足で立てる様に」という願いから。
動力はガソリンエンジンで、操作はハンドルやレバー、アクセルで行う。まさに自動車や、建設重機のような感覚。
というかボスボロット感覚(ボロットも同じ操作をするから)。
最低限の整備だけで安定して長期間稼働し続けられるなど頑丈で、部分的なカスタマイズや修理も容易であるなど、精密機械の兵器としてではなく、生産性と汎用性、信頼性に優れた局地用の普及品として、惑星ゾラの過酷な環境下での運用に大いに適している他、長距離移動手段として使われることも多いためか、多くの機体に簡易的な居住設備が設けられており、小型のタイプでも簡易ベッド程度は備え付けられている。

『ガンダム』シリーズに出てくる“兵器的な量産機”であるMS(モビルスーツ)などと異なり“自動車や重機と同じ操縦感覚で覚えれば誰でも操縦できる操作のしやすさ”と、“多少の荒い運用や過酷な状況下にも耐えうるほど頑丈であり、改造・メンテナンスも容易”、そして何よりも“中古品も出回るほどの入手の容易さ”という特徴を持った量産型ロボットという設定は『装甲騎兵ボトムズ』シリーズのアーマードトルーパー(AT)や『機動警察パトレイバー』のレイバーなどと同じく、リアル系ロボットアニメ作品に於いては後の作品にも影響を与えた存在と言えよう。

ちなみに、スパロボとかの他作品のロボットアニメと共演する作品では「モビルスーツとかと比べるとウォーカーマシンは格下の存在」扱いされている事も多く、『∀ガンダム』に登場するギム・ギンガナムからボスボロットと共にガラクタ呼ばわりされたり、
ゲーム『リアルロボット戦線』ではウォーカーマシンは「安上がり」という改造費が他の機体より安くなる効果の特殊能力があり、同じ種類の機体は改造が連動するという仕様も相まって実際に安上がりに改造できる。
もちろん、一部の例外を除けば陸上以外の適正は低めで、当然宇宙での適正も低い。そもそもガソリンエンジンは可燃性物質であるガソリンを燃やして動く機関なので、酸素が存在しない宇宙ではそのままでは稼動しないのでまともに動く訳も無いのだが、“何とかして動かせている”。まあ、アニメだからね! *3

■ザブングル
キャリング・カーゴが見栄でイノセントから二台購入した最新型ウォーカーマシン。
純粋な戦闘用ウォーカーマシンであり、ザブングル・カーから上半身がブングル・スキッパー、下半身がブングル・ローバーという飛行機に変形、
合体する複雑な変型合体機能と、従来よりはるかに人型に近いシルエットを持つ。
ちなみに設定上は20機近く生産されているらしく、スピンオフでも登場している。

ジロンが搭乗した機体、通称サブザブングル(またはザブングル2)は前輪と主翼を壊したため変形不能に。後にカラス・カラスとの戦闘で大破して、ラグ機の部品取りになった。

頭部がコクピットなのだが、キャノピーを破壊されて危うく放り出される場面も。ウォーカーマシンはちゃんとシートベルトを付けて操縦しましょう。

■ウォーカーギャリア
ジロンがイノセントから前借りと言う名前で強奪した、
元祖?二代目主役メカ。
ザブングルに比べるとかなりシンプルな変型合体機能になり、マッシブなシルエットになった。
今では当たり前な主役メカ交代だが、当時は(劇中でも)「パターン破り」と大騒ぎしていた。

もっとも同時期の『タイムボカンシリーズ 逆転イッパツマン』でも逆転王→三冠王乗り換えイベントはあったが。

ICBMを投げ返したとんでもないウォーカーマシン。
ジオン兵「ガソリンで、何であんな力が出せるんだ!?」

■アイアン・ギアー
カーゴ一家が所有する交易船(ランドシップ)。
巨大ウォーカーマシンに変型するうえに、そのままジャンプまでしてしまった反則兵器。

「グレタ・ガリー」
「ギア・ギア」
という同型艦も敵として登場。それも当時は(劇中でも)「パターン破り」と騒がれた。



〈その他〉

放送当時にバンダイから発売されていたプラモデルは、ガンプラブームの熱気が覚めやらぬ時期に発売され、ダグラムと人気を二分した(実際はダグラムの後塵を拝していたが…)。
特に1/100スケールシリーズ(+1/1000アイアン・ギアー)は、タミヤのスケールモデルをインスパイアした白箱、アニメ設定にはない細部のアレンジと緻密なディテール、ドラム缶やバイクなどの豊富な小物が特徴。
しかし、1/100ウォーカーギャリアは発売中止になってしまい、終了から数年後にペーパークラフト(一応変形可能)として発売され、ファンの怒りを盛大に買ったものの、
2008年にR3(リアルロボットレボリューション)シリーズの第4弾として発売され、あくまで「1/100ウォーカーギャリアのプラモ」を求め続けてきたファンの20年以上にも及ぶ心の渇きは癒された。
ちなみに、1/144全種(ギャロップ・クラブ・トラッド11はセット販売)と1/48ホバギーは再販がかかったが、1/100のうちガバメント・プロメウス・オットリッチは金型紛失で再販されていない

2022年現在、『月刊!スピリッツ』にてスピンオフ「戦闘メカ ザブングル アナザー・ゲイル」が連載されている。
世界観は同じであるがアニメ本編のような茶目っ気は抑えられておりよりこの世界の苛烈さが表現されている





「で、俺は何やりゃいい?」

「サブキャラだからな、追記・修正でもしといてよ」

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最終更新:2024年03月10日 04:28

*1 当時劇場版ガンダムの制作も平行して行われていた。

*2 尤も、後に制作した『∀ガンダム』でも、放映当時に出版した自伝の後書きにて関与したスタッフ、声優がみんな笑顔で仕事を終えれたなんてことは今までなかった。たまにはこんな作品があってもいいじゃない。とまで振り返っている。後付け的に『ザブングル』も白富野作品に加えられていたりもするが、やはり希望のある作品は精神衛生上もいいのかもしれない。

*3 ただ、密閉性を保った上でガソリンと酸素の混合気体を燃料として最初から用意しておけば外気は必要ないので、まあ、様々な作品の技術が混在するスパロボとかでは問題は無いと思う。