波旬に特殊な能力など必要ない(神咒神威神楽)

登録日:2012/03/30(金) 21:37:25
更新日:2018/05/28 Mon 18:35:34
所要時間:約 6 分で読めます






そうだ、分かっておるだろう。これが我だ。
波旬に特殊な能力など必要ない。


18禁PCゲーム神咒神威神楽の登場人物・中院冷泉坂上覇吐に対して放った作中最高の迷言



以下、神咒神威神楽のネタバレも含んでおりますので、未プレイの方は見ない事をオススメします。















大欲界天狗道が完成した世界で、第六天波旬と同調した冷泉が対戦相手の覇吐を圧倒しながら放った台詞。
正確には、波旬の思想を冷泉が代弁している。


※以下、原文


「そうだ、分かっておるだろう。これが我だ。波旬(われ)に特殊な能力など必要ない。」


「時を止める?修羅を率いる?万象、宇宙の星を操り、永劫の回帰を繰り返す?」


「なんだそれは?なんなのだ?なぜそんなに小賢しい?」


「弱いから、つまらぬから、物珍しげな設定をひねり出して、頭が良いとでも思わせたいのか?」


「せせこましい、狡すからい。理屈臭く概念概念、意味や現象がどうだのと、呆れて我は物も言えぬわ。それで貴様ら、卵を立てたような気にでもなっておるのか。」


「能力の相性?馬鹿臭い。力を使う際の危険要素?阿呆か貴様ら。」


「質量の桁が違えば相性などに意味はなく、使用に危険を伴う力なぞは単なる使えぬ欠陥品だ。少し考えれば稚児であろうと分かることを、己の矮小さを正当化するためにみっともなく誤魔化しておる。」


「やりよう次第で、弱者であっても強者を斃せるとでも言うように。そのほうが、さも高尚な戦であるかのように演出して悦に入る。」


「嘆かわしい。くだらない。なんと女々しい。男の王道とは程遠い。」


「絶望が足りぬ。怒りが足りぬ。強さにかける想いが純粋に雑魚よ。貴様らのごとき、小理屈をこねる輩が横溢するようになって以来、圧倒的というものがとんと見当たらなくなってしまった」


「ゆえに波旬(われ)が生まれ、太極(てん)を握った。徹頭徹尾最強無敵。誰であろうと滅尽滅相――」


「力、ただ力!この不愉快な塵めらを跡形残らず消し飛ばす力が欲しい。波旬(われ)の宇宙(カラダ)は波旬(われ)だけのものであろうがよ!」


「ゆえに特殊な理など何も要らん。必要ないのだ白けるわ!」


「これをつまらんと思うなら、それはそやつがつまらんのだ。能無しどもが、熊を素手で撲殺する程度の膂力もない分際で、際物めいた一芸さえあれば山をも崩せると迷妄に耽りおる」


「救い難い無知蒙昧。恥を知らぬ滓の群れども。要らぬ要らぬ、実に目障り!汚らわしいのだ我に触れるな」








この台詞の内容を一言で纏めると能力バトル全否定
しかも、自作品のジャンルである厨二バトルを痛烈に否定している。

十四歳病患者の正田崇が突如、能力バトルを否定してドラゴンボール理論を持ち出し、唖然としたユーザーも多い筈。

要は「素の戦闘能力さえ高ければ特殊な能力もリスクのある必殺技も意味が無い」という事。
「レベルを上げて物理で殴ればいい」を体現したような台詞である。
基本的に格下では格上には勝てない正田作品に対する、シナリオライター自身による、最大にして屈指の自虐発言でもある。

もっと言い換えるなら、能力バトル系の世界に突然ステータスがインフレしている系の世界のキャラが現れたようなもの。
即死や時間停止などの特殊効果への耐性がMAXなので意味を成さず、属性攻撃への耐性もMAXなため相性も弱点もない。
結果、純粋にステータスという名の地力でしか勝ち負けが決まらなくなる。

「干渉を無効化する能力」ならば無効化できないほど強大な力をぶつければいい
「戦闘に絶対に勝利する能力」ならばそれを捻じ伏せるほど強大な力をぶつければいい
という理屈にもなっていない理屈が全てである。

ぶっちゃけるとバグっている。




○舞台背景

そもそも、この思想を持つ波旬の能力は「独りになりたい」「世界に自分以外は必要ない、自分だけあればいい」という渇望を具現化しただけ。

しかし、その渇望を最大限まで極めて究極のひきこもりと化した波旬は文字通り「最強」となる。

要約すると、特殊能力は無いが、レベルと全ステータスがカンスト+自分よりレベルが1でも低いと攻撃無効化+弱点無しという能力。
どれくらい強いんだ?と言われるが、カール・クラフト=メルクリウスを90、天魔・夜刀を100とすると、波旬は計測不能とされ、正確な数値は不明。




更に、「独りになりたい」という渇望から「独りに近づく程強くなる」という非常に厄介な能力を持つ。

波旬は戦闘に置いて、己に取り込んでしまった覇道神の魂を使う(波旬としては己にへばりついた塵を投げ捨ているだけ)

本来であれば魂の消耗により弱体化するのだが、上記の通り、独りになればなるほど強くなる。
ゆえに、覇道神を倒してもダメージを与えるどころか余計に強くなるので手に負えない。

波旬自身も、独り言をつぶやくだけで宇宙をいくつも吹き飛ばし、覇道共存が破壊されたことで覇道神連合が弱体化していたとはいえ、それを瞬殺するほど。
仮に覇道共存が破壊されなくても、打てる最適解を全てこなしてなおメルクリウス1人を残して、覇道神連合と相打ちになるという有様。

正に「最強」を極めた波旬だからこそ言える台詞である。

しかし、作中でも言及されたが「最強」に近付けば近付く程、単純で陳腐な攻撃になり易いので正しいといえば正しい。












…さて、ここまで読んだ人は不思議に思う筈。
「どうやってこんな化け物を倒すのだ?」と。
当然、神咒神威神楽の登場キャラでタイマンで勝てる奴はいない。
ならば、どうやって勝ったのか?







相性と弱点を突いて勝ちます





矛盾していると思った貴方。ある意味、正解です。
端的に述べるなら、元々波旬自身の渇望に矛盾があるため、それが弱点になっている。


本来、波旬の「一人になりたい」という渇望は『自分』に向かなければならないが、それが『他者』にも向いているという矛盾。

あまりに魂が強大な為、自分以外を塵としか認識できない波旬だが例外がいた。自らの畸形嚢腫である坂上覇吐である。

波旬の「一人になりたい」渇望は、自分の中にいる他人、畸形嚢腫の存在により膨れ上がっている。
であれば、それを排除する為には自分以外を認識しなくてはいけない。

「『一人になりたい』波旬に、他人の『坂上覇吐』を排除する為に意識を向ける」必要が発生し、覇吐と向き合うと弱体化するのだ。

当然、それでも覇吐との差は途方もなく、まともに戦えば相手にもならない。


だが、前述の通り

「『独りになる』為に『強くなる』」が、覇吐に対しては「『向き合う』為に『弱体化』せざるをえない」

ゆえに、覇吐との対戦時に大きく『弱体化』し、皮肉にも自分で自分の首を絞める結果となってしまった。
更に、凶月刑士郎と凶月咲耶の二人の愛により「自分以外」いらないという波旬の自己愛の法に亀裂が生まれ、
加えて、力の源である畸形嚢腫が波旬から飛び出してしまい、それが致命傷となる。



解り易く言うと、波旬の天敵である覇吐が愛と絆の力で大勝利という事だ。






ちなみに天魔・夜刀も、覇吐を取り込めば勝てる可能性がある。勝っても地獄だけど。

尚、覇吐は弱点であると同時に波旬の力の源でもあるので、もし覇吐が生まれなければ大幅に弱体化し、夜刀と獣殿とメルクリウスにフルボッコされる。


散々「俺に弱点ねーよ。能力?相性?なにそれおいしいの?」と、やりたい放題してきた波旬が、格下に弱点を付かれて、しかもワンパンで敗北という余りにも情けない最期から、壮大な前振り・ネタ台詞として愛されている。
しかも他人を見ていなかったために、自分の力自体が畸形嚢腫という他人ありきで成り立っていたことに気づかなかったゆえ、という皮肉な結末である。


まあワンパンで決めなきゃ逆にワンパンで殺されるから仕方ないけどね!





余談だが、この台詞を吐いた冷泉は増大した力に器が耐えきれず自壊する、という力を使う際の危険要素によって自滅している。

更なる余談だが、実はあのロート・シュピーネさんも同じ様な台詞を残している。

もっともシュピーネさんは質量と顔の差で敗北しているが。



仮に「自分以外が持つ『全ての存在の能力を受け付けない』能力」があったとして、使うのが意思を持つ人間であればその孤独に耐えることはできない。
衣食住だの寿命だのに縛られない神様であろうとそれは同じことである。人は皆寄り添い他者と手を取り合って生きていかなければならないのだ。

あらゆるものの干渉を受け付けないとはつまり存在していないことと同義。そんな一人ぼっちの宇宙を望むのは徹頭徹尾ただ自己のみを愛する波旬だけであろう。





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