武器物語(DOD、Nierシリーズ)

登録日:2011/11/20(日) 06:07:40
更新日:2024/02/21 Wed 18:13:50
所要時間:約 20 分で読めます




武器物語(ウェポンストーリー)とは、ドラッグオンドラグーン(DOD)シリーズ及びその派生・関連作品(ニーアシリーズ、シノアリス等)に登場する武器にまつわるショートストーリー。

+ 目次


概要


ゲームクリエイター・ヨコオタロウが関わったゲーム作品に実装されている、ファン人気の高いコンテンツ。

ヨコオ氏の関わったゲームに登場する武器は曰く付きの物が多く、大体血にまみれた逸話が設定されている。
ゲーム内で武器を入手すると、その武器に関する逸話の導入部(起承転結でいう“起”の部分)を読むことができ、さらに武器を使い込んでいくことで物語の続きが少しずつ解禁される。

一定数の敵を倒すことが武器物語解禁の条件なので、我等が主人公たちは敵兵の死体の山を築かねばならない。
初代DODだけで武器は全65種類、全て読む為にはいったい何万人の死体を戦場に転がせば良いのやら…。
中にはかなり使い勝手の悪い武器もあり使い込みに苦労することもあるが、なに、赤い目をしたプレイヤーには造作もないことだろう。

物語のテイストは様々で、昔話風/説明口調/語り手がいる体裁等々、非常に多彩。
同じ武器が作品を跨いで登場する場合、武器物語のストーリーが繋がっている場合もあり、ファンならニヤリとできる。

武器物語の内容は、基本的にグロ奇妙な内容になっており、良い話はほとんどない。デポルポポルや草原の竜騎槍などは例外中の例外。
その数少ない”良い話”も、後の作品でその武器が登場した際に続編となる武器物語が書かれ、そこでバッドエンドを迎えてしまうことさえある。

なお、武器物語はゲーム内のみならず、設定資料集などの書籍に記載されている場合もある。
ニーア レプリカントやシノアリスが代表例。読まないほうが幸せなことも多い。

なお、ヨコオ氏によれば武器物語のシステムは
「初代DOD開発時、予算がない中で“お金をかけずにプレイヤーの時間を奪う策”として思い付いた」
「ステージや敵を増やすのは予算的に無理でも、文章を書くだけなら一晩あればできる」

…とのことで、全ては『貧乏ゆえの工夫』らしい。*1


関連作品





代表的な武器物語


編集者の独断で選定していますので、他にもあれば追記修正してください。
ネタバレのため格納しています。また、関連性のある(と思われる)物語はまとめて記載しています。


+ 領主の狩猟刀(DOD、DOD2)

領主の狩猟刀

出典:ドラッグオンドラグーン

とある国の領主が狩猟の際に必ず用いた、お気に入りの剣。
領主は動物の命を奪う快感に溺れ、意味もなく日々の狩猟を続けていた。

ある夜、森の動物達が集まり話し合いをした。
「これ以上、殺戮を繰り返すつもりなら自分たちが領主を討つしかない!」

領主の屋敷を囲み、機会を窺う森の動物たち。
この様子に気づいた領主は大喜びする。
「このわしに狩られたがっておるのか!」

喜び勇んだ領主の前に、非力な動物達はなす術もなく、すべて狩り殺され森からは動物の姿が消えた。
結局、領主は天命をまっとうしたという。

出典:ドラッグオンドラグーン2

とある国の領主が狩猟の際に必ず持ち歩き、快楽にまかせて森の動物を根絶やしにしたという伝説の残る刀。
数十年後、領主の孫が新しい領主となった際、この刀を受け継いだ。

新しい領主は柔和な性格で、狩猟も熱心ではなかったが、この刀を手にしてからは好んで狩猟に出るようになった。

領主はしだいに奇怪な行動をとるようになっていった。食べ物を皿から直接舐めとるようになり、城内でも這い回る姿をたびたび目撃された。
やがて、領主は姿を消した。

領主の行方は誰も知らない。ただ、今でも城の地下からは、獣のような叫び声が聞こえるという。

+ 解放の剣(DOD)

解放の剣

出典:ドラッグオンドラグーン

自由の象徴としてその時々の英雄が所持していた剣。
正義を執行する者への祝福として教会より魔術である「神の槍」を使うことが許されていた。

最初の英雄は、攻め込んできた異国の軍隊を圧倒的な力でねじ伏せた指揮官だった。
彼はその手で何人もの敵兵を血に沈めた。

次の英雄は、国王に刃向かう革命軍を打ち破った司令官だった。
彼は革命軍のメンバーを次々に捕らえ、処刑していった。

最後の英雄は、異国を侵攻し植民地とした功績をたたえられた将軍だった。
占領後、彼は何万人もの罪なき人々を虐殺した。

+ 拷問部屋の肉塊(DOD)

拷問部屋の肉塊

出典:ドラッグオンドラグーン

最初のひと月でその鉄塊は百人の男と女と老人と子供の両足を潰した。

次のひと月でその鉄塊は百人の男と女と老人と子供の両腕を潰した。

次のひと月でその鉄塊は百人の男と女と老人と子供の頭を潰した。

次のひと月ですべてが潰されそこには肉塊だけが残り血に染まった鉄塊とそれの区別はつかなかった。

+ 背理の鎌 / 嵐神の閃撃(DOD)

背理の鎌

出典:ドラッグオンドラグーン

ある風の精霊が人間の若者に恋をした。
精霊が人間と交わるのは禁忌であるにも関わらず、彼女の想いは日々募るばかりであった。

種族を裏切る精霊に与えられるのは死である。
風の精霊の長は彼女の首を刈るように仲間に命じ、精霊にのみ効果があるという鎌を用意する。

気配を察知した彼女は、最後に若者にひと目逢おうと、森を駆け、海を渡り、山を飛ぶ。
だが鋭い鎌を持った追っ手が彼女を追い続ける。

数年後、村ではある少年が元気に飛び回っていた。
少年は自在に風を操ることができたのである。
父親は彼を見守り続ける。
何も語らずに。


嵐神の閃撃

出典:ドラッグオンドラグーン

破壊的な風を巻き起こす嵐神の怒りが込められた槍。
運悪く、この突風を受けてしまった者は、骨だけ残し血と肉が吹き飛ぶ。

ある村に風を自在に操るやさしい青年がいた。
青年の評判を聞きつけ彼の前に現れた嵐神。
「お前の力がどんなものか、わしと勝負じゃ!」

道行く剣士の外套を風の力で脱がせた方が勝ち。
強烈な突風で外套を吹き飛ばそうとする嵐神だが勝負は暖かいそよ風で薄着にさせた青年に。

「人間の分際で、このわしに勝つな!」
怒り出した嵐神は青年の血と肉を吹き飛ばす。
その時の怒りが剣士の持つ剣に刻まれたという。

+ 草原の竜騎槍(DOD)

草原の竜騎槍

出典:ドラッグオンドラグーン

昔、飛べない竜がいた。荒々しい高潔な心を持つ彼は人間と交わることはなかった。
だがある日、傷ついた若き騎士と一匹の竜が出会う。

竜は騎士を助けると、彼が目覚めるのを見届け、その場を立ち去ろうとした。
翼のない竜は、役立たずと人に忌み嫌われていたからだ。

別れ際、騎士が言った。 「この恩は生涯忘れない」
時が流れ、年老いた竜は人間の軍勢に取り囲まれる。
竜が死を覚悟したその時……

「翼なき友よ!長く待たせたな!」あの時の騎士が国王となり、数千の兵と共に現れたのだ。
竜は忘れていた牙を剥き出しにして吼えた。

※Nier Replicant設定資料集にこの話の続きがあるが………。
このまま良い話で終わっておきたいなら見ない方がいい。絶対。*2

+ ゆりの葉の剣(DOD、Nier Replicant)

ゆりの葉の剣

出典:ドラッグオンドラグーン

美しく湾曲した刀身からは考えられない、おそろしい呪いが込められた剣。
自らを裏切った恋人を我が身と共に貫いた少女の怨念が宿っている。

この剣に魅入られたものは、己の手が剣から離れなくなり、自らの意思とは関係なく人を殺める。
この呪いを解くには自分の腕を切り落とすのみ。

自らの腕を切り落とし呪縛から逃れた者は、その剣に自分の精神が宿り、念じるだけで自由自在に操れるようになる。

腕を切り落とさなくてもすむ唯一の方法は、剣に宿りし少女の魂を魅了することらしいのだが、いまだかつて切り落とさずに済んだ者はいない。

出典:Nier Replicant

アイシテル。私は彼を心から愛していました。彼も私を愛していました。
外で目が合えば私にだけ分かる合図を送り、私の贈るものはなんでも喜んで、
「勿体無いから金庫にしまっておく」と言うくらい大事にしてくれました。
自慢の恋人でした。

シンジナイ。私の親友が彼をたぶらかし、私から彼を奪ってしまいました。
忽然と私の前から消えてしまった彼。
残ったのは、私と、部屋に錯乱した私の贈り物の数々。
金目のものは、村の市場で売られていました。

ユルサナイ。彼は私を棄てたんじゃないわ、あの女に騙されてるのよ。
彼はきっとまだ私に未練があるわ。だってあの女より私のほうが素敵ですもの、
彼を理解しているもの。早く、早く目を覚ましてねえ!
あの女を引き離さないと、あの女を殺さないと!ハヤク、ハヤクコロセ!

狂人と化した女はそのうら若き夫婦を、持っていた剣が歪む程殴りつけ、叩きつけ虐殺した。
以来女は行方をくらまし、残されたのは元は人だったとも思えない男女の肉塊と、
真っ直ぐな刀身が醜く歪んでしまった剣。
刀匠たちがいくら直そうとしても、その刃はもとに戻ることはなかった。

+ 信義(DOD、DOD2、Nier Replicant、NieR:Automata)

信義

出典:ドラッグオンドラグーン

遥か東の国の都に歌を詠むことで生計を立てて
いる歌人がいた。
自分の才能に限界を感じ始めていた彼は、ある日妖怪と契約をしてしまう。

妖怪の力により、次々と新しい歌を発表する歌人。
どの歌も素晴らしく、都中の評判となる。
ついには将軍家のご指南役にまで昇進した。

ある日、妖怪が再びやってきて歌人に言った。
「おまえの一生分の才能はもう使い果たした。おまえは二度と歌を詠むことはできないだろう。」

妖怪の言ったとおり、彼は一行の歌も詠めなくなってしまう。
世を儚んだ彼は、自害してしまった。
その剣は今でも彼の血で鈍く光っているという。

出典:ドラッグオンドラグーン2

遥か東の国の都に歌を詠むことで生計を立てている歌人がいた。
自分の才能に限界を感じていたある時、質屋に飾られていた美しい刀を目にした。
赤く輝く刀身に魅入られた歌人は、刀を購入し持ち帰る。

傍らに刀を置き、うとうとと寝入ると、夢枕に一匹の妖怪が現れ、歌人に取引を迫った。
おまえの名をくれれば、万能の才を授けよう、と。

歌人は才を得る為に、自らの名を妖怪に与えた。
契約どおり、歌人は優美な肢体と、卓越した才能を一夜にして手に入れた。

才の代わりに名を失った歌人は、次第に人の姿を失っていく。
ついに妖怪と成り果てた歌人は、闇の中へと消えていった。
後に残るは、名を得てさらに輝きを増した刀だけだった。

出典:Nier Replicant

東の果ての都に高名な歌人がいた。
けれど歌人の才は、晩年には一首の歌すら詠めぬ程に枯れ果ててしまう。
落ちぶれて嘆く歌人に、いつの間にやら傍に佇んでいた僧がそっと一振りの刀を握らせ語りかけた。

「この刀で一人殺せば一首、二人殺せば二首、この世に二つとあらぬ程素晴らしい歌が詠めましょう」
僧の言葉に縋りつくようにして、歌人は夜の闇にまぎれ路傍の男を斬り捨てた。
すると翌日歌人は素晴らしい歌を詠み、再び名声と栄華を手に入れた。

それからも歌人は一人殺して一首詠み、二人殺して二首詠んでは、目も眩む程の富と名声を手に入れ続ける。
ところがある時、大切な者を殺せばどんなに素晴らしい歌を詠めるのか、という欲求を抑えきれなくなった。

そして歌人はとうとう自らの妻を殺して一首詠み、子らを殺して子の人数分歌を詠み、屋敷中の者を殺して歌を詠み 歌を詠み 歌を詠み 歌が追いつかぬ程に、道行く者を殺しては歌を詠み 殺しては歌を詠み 殺して 殺して 殺して 殺し、やがて最期は歌も詠まずに自害した。
残ったのは血に濡れた刀だけだった。

出典:NieR:Automata

遥か東の国の都に歌を詠むことで生計を立てている歌人がいた。
しかし彼の歌は人々の心に届かず金にはならない。
日々の生活は苦しくなるばかりだった。

己が才の限界を感じた男はやがて筆を折り、
畑を耕すようになっていった。真っ白だった肌は日に焼けて黒くなり、
華奢だったその身体は力仕事で逞しくなってゆく。

やがて男は妻をめとる。気立ての優しい穏やかな妻だった。
数年後には子宝にも恵まれた。平和な日々が通り過ぎてゆく。
男は知った。これ以上の幸せはないと。

そこまで書くと歌人は筆を置き紙を飲み込んだ。
才は要らない、次はこの様な人生を歩みたいと願いを込めて。
そして自分のモノではない血で汚れた信義を自らの胸に深く沈めた。

+ 輪廻転生 / 百獣の剣王(DOD、Neir Replicant、NieR:Automata)

輪廻転生

出典:ドラッグオンドラグーン

深い森に囲まれた領地を持つ貴族に伝わる、丸い刃を持つ特殊な剣。
その剣を使う者は大天使の祝福により三度再生するといわれている。

元々は拷問用の武器で、外の刃は相手を両断できるように鋭い切れ味で、内側の刃は苦痛を与えるために刃を鈍くしている。

柄の部分には毒を入れることができ、相手の身体に剣先を突き刺すと鋭い突起の先端から毒が飛び出し、相手を即座に死に至らしめる。

あまりの残虐さゆえ時の皇帝より使用を禁じられた後、歴史の裏舞台で暗殺用の武器として独自の進化を遂げることになった。

出典:Neir Replicant

そうさ、これは君の命を絶つ為の武器だ。
なあに心配は要らない。今まで感じた事のないような苦痛を与えてやろう。
最初は痛みなど感じない。まるで水が肌の上をスッと流れたように思うだけだ。
痛みを感じる前に流れる血で叫びだす奴が多いんだがな。

ああ、そんな簡単に終わりはしないさ。刃のこの部分を使うともの凄く痛いんだ。
だからここを使うときはなるべく後の楽しみに取っておくんだ。
声が枯れちゃってからだと何を言ってるか判らなくなるからね……
うるさいなあ。もう少し静かにしてくれないか?手元が狂うから。

なあに、すぐに殺したりはしないから安心してくれていいよ。
じっくりなぶりながら殺してやろう。
人間はね、意外と簡単に死なないんだ。
それに人間には目が二つあるんだ。耳も二つ。
指と爪は二十づつ。関節に至っては百四十四個もあるんだ。
ゆっくり楽しもうじゃないか。

なぜこんな事をするかって?
ふふ……いやだなあ。君が今までずっとやってきた事じゃないか。
国民を無実の罪で捕らえて、拷問して、晒し首にするってのは
君がやってきた事じゃないか。いやいや忘れてても大丈夫。
僕の妻と娘に対して君がやってくれた事を一つずつ
ゆっくり思い出させてあげるからね。うふ……フふフフふふ……。


百獣の剣王

出典:Neir Replicant

むかしむかしある王国に3人の兄弟がいました。
3兄弟の長男はその国をしはいする王様でした。
王様はとても残酷でみんなこわがっていました。

王様は毎日毎日国民からひとりイケニエを選んで処刑しました。
今日は家族の見ている前で母親の首をはねました。
母親の頭は3回転ほど回って、既に殺されたその息子の頭の隣に落ちました。
ああ、なんという事でしょう。王様はそれを見て笑っているのです。
ゲヘゲヘと、気持ち悪い声で笑っているのです。

そんなある日、王様は病気になりました。
生きながらして体が腐っていく病気でした。
くさった体をひきずりながら王様は処刑を続けました。
家臣達は逆らいもせず毎日毎日毎日毎日処刑を続けました。

最後に王様はくさって死にました気持ち悪いにおいをだしながら
王様はくさって死にましたでも家臣達は王様の前で処刑を続けました
毎日マイ日殺しましタくさった王様とくさった家臣とくさった国民とくサったくさっおまエたチの

出典:NieR:Automata

むかしむかしある王国に三人姉妹の王女がいました。
中でも長女は世界一賢いと評判で、やがて女王となって国を治める立場に上り詰めました。

女王は国を強くする為に軍の強化を始めます。
その為にはお金が必要なので、民への税金を増やしました。
民には稼ぎ口として、新たに建てた軍の工場で働かせました。

民は働き税金は増え軍は強くなり、軍が強くなれば工場の需要が
増え民は働き税金は増え軍は強くなり民は働き──賢い女王の下で全ては計画通り効率よく進みます。

ソシテ国ヲ強クスル為ニ、我々民ハ工場デ良ク働クタメ工場デ機械ニ改造サレ、軍モ強イ機械ニ改造サレマシタ。
今デモ国ハ制御システムニナッタ女王ノ下デ完璧ニ統治サレテオリマス。

+ 鷹羽根の槍(DOD2)

鷹羽根の槍

出典:ドラッグオンドラグーン2

雨の日に目が覚めた。見上げると、自分がさっきまでいた巣と兄弟達が見える。
どうも落っこちたらしい。狭い巣だったのでこうなるのは目に見えていたが…。
体が濡れて冷えてきた。生まれて二ヶ月短い人生。「こんなもんか…」諦めかけたその時、親鷹が帰ってきた。
彼らはちらりとこっちを見たがすぐに兄弟達の方に向き、兄弟達に餌を与えだす。

かわいく鳴いたが見向きもしない。
「いよいよだ」と思ったその時目の前に閃光その後に轟音、木が燃える。木に落雷したらしい。もちろんその上には兄弟達がいる巣がある。
「逃げなければ」必死でバタバタと羽を動かす。何とかその場を離れ振り返ると「巣」自体が炎に包まれていた。
巣の兄弟達の全身は赤く染まり雨の暗闇を照らす。

人生、次の瞬間がどうなるかわからない、後ろから気配を感じる。振り返ると「ヒト」の姿が。雷の音に驚きやってきた。
「ヒト」は俺を抱き上げた。それが「ヒト」との運命的な出会い。
一年も経つと俺は立派な鷹になり、いつも「ヒト」の腕の上にいた。
「ヒト」は独り者で年は五十を越えていた。あくまでも想像だが「ヒト」は大酒飲みで貧乏だった。

「ヒト」とは二年を共にした。
別れはあっさりしたもので俺は「酒代」と交換に売られると同時に俺の一生はあっけなく終わる。
売られた俺はあっという間に潰され肉塊となり胃袋へ。羽は「槍」の飾りに。
俺の羽をあしらっただけの平凡な槍はそこそこの高値で売られたそうだ「鷹羽根の槍」と名付けられて。
くだらない。俺の人生で作った槍。実に滑稽だ。

+ 盗賊の極意(DOD2)

盗賊の極意

出典:ドラッグオンドラグーン2

多くの盗賊達を纏めた、主に各国の汚い仕事等をしている、大きな組織があった。
組織の幹部には左目と呼ばれる男がいた。
諜報活動を得意とし、一線ではなく、さまざまな裏工作で組織に貢献していた。

左目には直接本人が戦うことをせぬ故、抜かれぬ剣があった。
持つだけで富をうむという魔法の剣であった。
実際左目は裕福であった。組織を監視し、裏工作や情報収集を行う彼には多くの報酬が支払われていた。

しかしある時、組織の若い盗賊達は左目を取り囲んだ。
言い分は最前線で命を懸けている自分達よりも取り分が多いのが不満だということだったが、狙いは左目の富であった。
左目は躊躇うことなく剣を抜いた。

かつて盗賊達を纏め上げた頃の、左目の姿がそこにあった。
若い盗賊達は、一瞬の地獄の後、屍の山となっていた。
左目はうんざりした様子で組織を抜けると言うと、古参の盗賊達の静止も聞かず、稼いだ富とともに荒野に旅立ったという。

+ 悲しみの棘(DOD2、DOD3)

悲しみの棘

出典:ドラッグオンドラグーン2
※DODである人物が使った武器。

「…クイタイ」
ホブゴブリンの彼は、いつもどおり指導者の手伝いをすることにした。
大抵は雑用をすることで食欲は満たされていたが、この日は何をすることもなく食べ物をあてがわれた。
明晩人間の村落を襲うということだったが、さておき食欲は満たされた。

果たして彼らは攻め込んだ。彼らが襲った村落の人間は必死で抵抗し、戦いは激化した。
熾烈な殺し合いの最中、彼は井戸に落ちてしまった。
何とか上れそうであったが、彼は井戸の底で禍々しい形状の鎌を見つけた。
それは歪んだ付与魔術師の失敗作であった。

この鎌は相手に勝ちたいと言う欲求が増幅される、というように作られた筈だった。
だが、実際にはさまざまな欲求が抑えられなくなる呪われた鎌であり、使われなくなっていた。
鎌を手にした彼は、井戸から出ると、膨れ上がった食欲と殺戮の衝動のままに、人間を屠っていった。

鎌の呪いは凄まじく、人間が目の前からいなくなると、彼は他のホブゴブリン達に襲いかかっていった。
しかし、同族を殺し尽くすも満たされず、ついに彼は自身に刃を向けるに至った。
残された鎌は、死体が地に還る頃美しいエルフに拾われたという。

出典:ドラッグオンドラグーン3

何故、私は子供を失ったのだろうか。
何故、子供は死んでしまったのだろうか。
何故、こんな罰を受けなければならないのだろうか。

他の家の子供達は生き残ったのに、私の子供だけがどうして?
いっそ他の子供達も死んでしまえばいいいいのに……
いや、こんな考えはいけない。みんな大切な命なのだ。

失われた私の子供も、失われなかった余所の子供も、護らな
ければならないのだ。だが、この狂乱の世界でどうやったら
可愛い可愛いカカわいいい子供達を護る事が出来るのだろうか。

そうだ。守る為には一つになればいいのだ。幸いにも、世界には
子供達がたくさんいるだからひとつになるためにこのくちで噛み
しめながららら可愛いわたたたたしの赤チャンンンンンアァァア

+ 名もなき刀工の剣(Nier Replicant)

名もなき刀工の剣

出典:Nier Replicant

ガツ ガツ ガツ ガツ
採掘場で男達が汗を流しながら鉄の石を削っている。
男達の陽気な歌声が暗い洞窟に響き渡る。
俺達は労働者。鉱山の労働者。
土にまみれた労働者。今日も元気に鉄を掘る。
ガツ ガツ ガツ ガツ……

ブオ ブオ ブオ ブオ
たたら場で女達がふいごを踏む音がする。
真っ赤に焼けた砂から鉄を取り出す音がする。
私達は労働者。たたら場の労働者。
風を送る労働者。今日も元気にたたら踏む。
ブオ ブオ ブオ ブオ……

カン カン カン カン
鍛冶場で刀匠が槌を振るう音がする。
鋼を鍛え刃とする為の力強い槌の音が鳴る。
我は刀鍛冶。一振りの刀を生み出す刀鍛冶。
鋼を御する刀鍛冶。
カン カン カン カン……

ザク ザク ザク ザク
戦場で肉が切られる音がする。
敵を殺して、誰かを殺して、人間を殺す音がする。
だれがたすけて。いたいよ。くるしいよ。
おかあさんたすけて。
ザク ザク ザク ザク……

+ 夜叉暝楼 / 高潔なる飾剣 / 騎兵長の鉄鎧(DOD3)

夜叉暝楼

出典:ドラッグオンドラグーン3

ある国の末の王子は王位を我が物にしようという野心があった。
王位継承権のある上の王子は次々と戦で功績を上げ、国民に絶大な人気もあり、末の王子にとっては邪魔な存在でしかなかった。

隣国との戦で小隊を率いた末の王子は、進軍中に一振りの槍を手にする。
その槍を手にした瞬間、耳元でどこからともなく「力が欲しいか?」と囁く声がした。
王子は黙ってコクリと頷いた。

末の王子はその後、戦で勝ち続け、邪魔な存在であった上の王子は次々と戦で倒れた。
ついに王位を継いだ末の王子は栄華を極めた。
だがその矢先、「返してもらうぞ」とあの時の声がした……

声を聴いた直後から、信頼していた家臣達が次々と倒れ、妻と子供も病でこの世を去った。
国も人も全てを失った王は血の涙を流し、この世の全てを恨みながらその槍で自らの命も絶ったのだった。


高潔なる飾剣

出典:ドラッグオンドラグーン3

私が仕える王子が守るべき国は、彼が王になる前にそれはひどい戦争で滅びてしまいました。
あろうことか裏切り者がいたのです。

私が仕えた王子は健やかに成長し、強く美しい青年となりました。
再び国を再興すべく決起し、見事目的を果たし王となったのです。
それはもう素晴らしい国でした。

けれどその国も既に滅びて地図にも載っておりません。
王も国が滅びる時に逝ってしまわれました。

こちらがあの方が生涯手放さなかった形見の飾剣でございます。
ああ、王が終ぞ私を疑う事なく逝ってしまわれたのが心残りです。
どこにでもある他愛のないお話でございます、お恥ずかしい。


騎兵長の鉄鎧

出典:ドラッグオンドラグーン3

はい。私はどんな時代でも王に忠誠を尽くしておりました。
どんなに過酷な戦場でも、どんなに無茶な命令でも、
国家と王の為であればこの身を賭して王を守ってまいりました。

しかしその王は戦いの中で命を落とされてしまいました。
まだ即位されたばかりのお若い王でしたから跡継ぎも
おられません。一体私はどなたにお仕えすれば良いのでしょうか?

嘆いてばかりもいられませんね。
私の仕事はこの国を守る事ですから。
私の使命は王に仕える事ですから。

だから探しているのです。
この鎧の中で砕け散った肉と骨の替わりになる人間を。
私を着こなす事の出来る、新たな王を。

+ 聖帝の牙(DOD3)

聖帝の牙

出典:ドラッグオンドラグーン3

溢れる緑の息吹は全ての生命に祝福を与え、
輝ける蒼の清流は全ての生命に恩恵を与える。
そこには花が咲き、小鳥囀る、命に満ちた約束の地。

突如その地に現れた各地の軍勢が土地を巡って争い、
踏み荒らされた大地は彩りを欠き、祝福も恩恵も失い、
枯れ果てた大地には屍が折り重なるようにして山になっていた。

時は経ち屍は草木が覆い、やがて花が咲き、いつしか鳥の囀りと
小川のせせらぎが響く豊かな大地となった。
大地に突き刺さった一振りの美しい剣が、唯一の戦の名残だった。

大地から剣を抜いた若い王は、笑みを浮かべ声を張り上げた。
「この豊かな地を我が国の領土としよう!」
再び争乱が始まるのか平穏が保たれるのか。それはまた別のお話。

この武器物語には続きがあり、「聖帝の牙」→「聖帝の爪」→「聖帝の棺」→「聖帝の涙」の順にストーリーが繋がっている。

+ 四〇式斬機刀(NieR:Automata)

四〇式斬機刀

出典:NieR:Automata

開発日誌:0504 タカダ
凄い事を思いついた。このアイデアは誰も実現出来ていない。
明日からさっそくテストしよう。

開発日誌:0704 タカダ
金属と魔素の合金を作るというアイデアは部長に却下された。
部長はわかってない。これがどれくらいの金になるかを……

開発日誌:1201 タカダ
進捗状況が思わしくない。ストレスのせいか、
最近髪がよく抜ける。早く開発を成功させなければ。

開発日誌:1215 フジタ
データを確認したが問題を発見できない。だが諦めない。
タカダさん亡き今、受け継ぐのは自分しかいないのだから……

+ 悪魔の穢牙(NieR:Automata)

悪魔の穢牙

出典:NieR:Automata

昔、心の優しい天使がいた。
天使は度々地上に降りては、困っている人々を救済して回った。
病気であれば治し、貧しければ恵み、泣いている者を癒やした。

だが、天使は咎人や異教の信徒にまで救済の手を伸ばす。
それは許されざる行為であった。
天使がそうした者を救う度に、一枚また一枚と羽根が抜け落ちていく。

ある日、天使は小さな娘に出会う。
重い病を患った彼女は苦しみながら、ただ日々を過ごしていた。
だが、天使は彼女を治せない。全ての羽根が抜け落ちてしまっていたのだ。

天使は己の不覚悟と、世界の不条理さを呪った。
その憎悪は全身を黒く染め上げ、新たなる黒い翼となって広がる。
そして血の涙を流しながら、少女の首にゆっくりと手をかけていった。

+ エンジンブレード(NieR:Automata)

エンジンブレード

出典:NieR:Automata
※『FINAL FANTASY XV』とのコラボ武器。

広い広いお部屋。小さな王子は一人で寝ていました。
とうさま、とうさま。本当はひとりじゃこわくて眠れないの。
でも王子はがまんしました。忙しい王様を困らせたくなくて。

広い広い執務室。孤独な王は一人政務に追われていました。
本当は家族を……息子を優しく抱きしめてやりたい。
だが駄目だ。僅かな時間も、民の為にこの国を支え続けねば。

ひさしぶりの親子の夕食。父親は息子に欲しい物を問いました。
本当は、息子と二人、ゆっくりと過ごしたかったのだけど。
やがて、息子はゆっくりと、ある一振りの剣を指差します。

それは王家に伝わる剣。国を継ぐ覚悟の証。
「いつかな」と呟く父王の笑顔はどこか寂しく。王子も少しの微笑みを返し。
……本当は、一緒に絵本を読んで欲しかったのだけれど。

+ ひのきのぼう(NieR:Automata)

ひのきのぼう

出典:NieR:Automata
『ドラゴンクエスト』シリーズとのコラボ武器。

おきなさい おきなさい きょうはとてもたいせつなひ。
〇〇〇が はじめて おしろに いくひ だったでしょ……
という乱暴な母の声が聞こえる。
少年はイヤイヤ布団から抜け出す。

今日は16歳の誕生日。王様に会いに行く約束の日だ。
いきなりの仕事だと大変だから、と心配性の母親がヒノキで出来た棒を持たせてくれた。
こんな細い棒で何が出来るのだろうか?

お城への道中、母親は僕の使命の崇高さと、今日という日がいかに大事かを延々繰り返していた。
もう聞き飽きていたが、反論するとうるさいので、いつものように黙っている。

その時、お城から同い年の友達が出てきた。
精悍な眼差しはまるで未来の勇者のようだ。
お互い大変だよな、親の期待に応えるってのは……
俺も立派な大工になれるようにがんばるよ。

+ 百獣の双槍(NieR Re[in]carnation)

百獣の双槍

出典:NieR Re[in]carnation

むかしむかしある王国に3人の領主がいました。
力の騎士、智の騎士、心の騎士と呼ばれた3人は、3つに分けた国の領地をそれぞれ任されましたが、その内の一人、心の騎士は、真面目なだけの平凡な青年でした。

心の騎士はその誠実な性格と人当たりの良さから、多くの領民に信頼されました。
しかしその心労は余りに重く、彼はある事に深く頭を悩ませる事となります。
それは自身が選ばれた理由、「心」の意味についてでした。

「力」の騎士はその武勇を、「智」の騎士はその知識を。
ならば王は何を望み、「心」の騎士という名を私に授けたのか。
彼は日夜考え続けましたが、どれだけ考えても納得のいく答えを見付ける事は出来ませんでした。

そうして彼は今日も、寝台の上で王の獣欲を浴びながら、「心」の意味について考え続けます。
彼が王の真意に気づくことはありませんでしたが、それでも彼はその身の全てを捧げ、王の「心」を満たし続けました。


この他にも様々な呪われた、もしくは猟奇的逸話を持つ様々な武器が存在する。
感動的な話もたまにある。『バールベリトの涙』とか『奇術師の杖』とか。
興味があったら、是非実際にプレイするかネットで調べてみてほしい。


アニヲタのツイキシュウセイ(neet)
出典:neet

ポチ ポチ ポチ ポチ
来る日も来る日も追記・修正

カチ カチ カチ カチ
まだまだまだまだ追記・修正飽きないよ

イラ イラ イラ イラ
ツイキ・修正邪魔さレた…声をカケるヒトは誰だロウ?早くデてこイ

イタ イタ イタ イタ
くさった野郎だアニヲタめ許しハしナい!覚悟シろ

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • DOD
  • DOD2
  • DOD3
  • NieR
  • NieR:Automata
  • 読みたきゃ殺せ
  • ドラッグオンドラグーン
  • 鬱←稀にハッピーエンドもある
  • 曰く付き
  • 呪い付き
  • カイム
  • ドラッグオンドラグーン2
  • 武器
  • 物語
  • 武器物語

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年02月21日 18:13

*1 予算が理由というなんともミもフタもない話だが、実際のところヨコオ氏はゲーム作りにおいて何事も『予算』をベースに考えているらしく、「このぐらいの予算なら登場人物は◯人、ステージ数は◯個くらい、そうなるとシナリオの長さは◯◯くらい」と全て予算から逆算して考えているとのこと。

*2 見てしまったというそこのあなた。NieR Re[in]carnationにも直接繋がっていると思われる話の続きがあるので、ぜひ読んでみてほしい。