ネウロイ

登録日:2011/11/12 Sat 20:29:19
更新日:2024/03/17 Sun 13:48:57
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「ネウロイ」とはストライクウィッチーズの作品群に登場する謎の存在。所謂敵勢力。
作品によって少々設定に差異が見られるが、これはあまりにも謎が多すぎるのが一因だと思われる。


歴史

ストライクウィッチーズの世界では、古代から「怪異」と呼ばれる正体不明の存在が確認されており、人類と何度も衝突を繰り返してきた。
各地に残る神話や伝説上の怪物はこの怪異だったという説があるが定かではない。
その頃の怪異は生物的な外見で数も少なく小さいものが多かった為、人間達がまだ十分太刀打ちできる存在だった。

またこの頃、欧州である巫女が魔力で怪異を撃退したことから魔力を持つ者、つまりウィッチが怪異への対抗策として認識されたと伝えられる。

だが、人類の技術水準が向上してくると怪異もそれに合わせたかのように強力になり、姿も生物的ではなく機械的な外見に変わっていった。
そして1939年、当時の技術を超えた武装と圧倒的な攻撃力を持ち、奇怪な鳴き声をあげながら空を飛ぶ怪異が世界各地に突如出没する。
人類は彼らを初めて出現した地の狼男の伝承に因み「ネウロイ」と呼んだのだった。

各個体・種別は主に『X-##』と番号で識別される。
『いらん子中隊』では固有の名称がつけられていたほか、アニメ作品でも一部の特殊個体は個別に命名されている。


特徴

とにかく謎の多い存在であり、目的もその正体も一切不明。
金属音や女性の悲鳴にも似た独特の甲高い音を発することが多いが、これが鳴き声なのか単なる駆動音なのかも不明。
外見的な共通点として、黒い体表全体に六角形状の模様が浮かんでおり、ほとんどの場合赤色をした部分がある。
大きさは大型戦艦サイズから数cmのものまで様々で、その多くは(我々の世界で後々開発される)戦闘機や戦車等を模した形状と硬い装甲を持つ。
空を飛ぶ個体は、Bv141、トリープフリューゲル、レルヒェ、ツェッペリンラマー、ハウニブなど、
空軍(特にドイツ軍)の試作兵器とよく似た形状のものが多い。
強力な再生能力も持ち、多少破損しても後述のコアと呼ばれる部分が無事である限りはたちどころに再生し活動を再開してしまう。
明らかに揚力を得られる形状ではなかったり推進器の類が見当たらないにもかかわらず空中を自在に飛行する個体は多いが、その原理はやはり不明。

攻撃方法はメディアによって微妙に違い、アニメでは主に赤色のビーム、小説等では実弾で攻撃する。
ビームの威力は非常に高く、重巡洋艦程度は容易に真っ二つにする程。
アニメでも一部の個体は砲弾を発射したり爆弾を投下したりする。
一部の個体は人間をマインドコントロールで操ることもできる。
身体の一部を分離したり「子機」と呼ばれる端末を操るなど、集団戦を仕掛ける個体も少なからず存在する。

有毒な「瘴気」を纏いながら移動する為普通の人間は近寄ることすら出来ず、さらに侵攻された土地は瘴気によって生物が住めなくなってしまう。
ただし水が苦手なようで船のように水を渡って長距離移動するようなネウロイは長らく現れていなかった。
また高い山、山脈を超えるのは苦手としているらしい事が語られている。
このため島国である扶桑やウラル山脈によってヨーロッパと分断されているオラーシャ本国はネウロイの被害をほぼ受けていない*1

一方で、魔力を帯びた攻撃に弱いこと、赤く輝くコアと呼ばれる正十二面体状の核の部分を破壊されると砕け散ってしまうことが分かっている。
ネウロイはコアさえ無事であればどれだけ損傷してもすぐに復活するが、逆にコアさえ破壊すればどれだけの部位が残っていても倒す事ができる。
コアを破壊されるとたちどころに全身が白くなり、直後に全身が(子機も含め)小さな破片となって粉々になる*2
コアは形状こそ全個体で同じだが位置はバラバラで、どこにあるのかを外見から判別するのは一部を除き不可能である。
似た形状の個体であってもコアの位置だけ違う事もあり、同じ戦法が通じるとは限らない。
そのため、たまたまコアが外観から確認できる個体であるか、魔眼を始めとした何等かの方法でコアの位置を見抜けなければ、
「とりあえず只管全身に攻撃を浴びせ続けて表層を破壊し、コアを探す」という戦い方を強いられる。
そして表層部は破壊されても短時間で再生するため、コアが露出したらすぐさま破壊せねばならない。

ネウロイの破片は概ね手のひらサイズ程度で、同程度の紙片と同じくらいの速度で周囲に飛散・落下する。
見た目はキラキラして綺麗だが、破片にも掠めただけで(加齢により弱体化していたとはいえ)ウィッチの強化された肉体をも切り裂く強度と鋭さがある。
バルクホルンの妹クリスは地上でこの破片の直撃を浴びた事で4年に渡って昏睡する重傷を負うなど、破片となってなお危険である*3
このためネウロイを撃破した後は安全の為にシールドを展開するのが基本……であったが、第1期以外で撃破後にシールドを張る描写はほぼ無い。
メタ的には、撃破後のシールド展開は第1期終盤に坂本のシールドを破片が貫通するという形で彼女の魔力減衰を示唆する描写の伏線というのが真意で、
それを果たした後は(作劇上の)シールドを張る必要が無くなったためだろう。

出現時点の通常兵器では装甲を削れないどころか、ビームで瞬殺される的にしかならなかった。
ウィッチは瘴気や攻撃をシールドで防ぎながら魔力を込めた攻撃を打ち込めるので、ネウロイに対抗できる唯一の存在だと言われているのである。
一応、通常戦力では絶対に撃破不可能という訳でもなく、小型の個体相手であれば大型の大砲や艦砲で「全身を一撃で粉砕する」という形で撃破可能な様子で、
『RtB』では自棄を起こした男性兵士がMP40で小型ネウロイを撃破するシーンもある。
とはいえ、それが可能になるのは人類側も多数の戦力を動員可能な大規模作戦の時程度であり、
その通常兵器群も後から後から湧いてくるネウロイの反撃ですぐに蹴散らされている。
またMP40で倒したといっても最後っ屁で無数に飛び回る中の1匹だけ道連れにしたという格好であったため、やはり戦術レベルで「対抗できる」とは言い難い。

アニメ「ブレイブウィッチーズ」では激戦区である東欧の最前線ということもあってか、『ストライク』でも見られなかった、
「寒冷地に適応し、強烈な冷気を吹き付けて武器やストライカーを機能不全に陥らせる」
「長距離砲台とマーキング役に分かれ、正確な遠距離砲撃を行う。マーキング個体は人工物に精巧に擬態する」
「コアの位置を任意で変えられる」
など、特殊型の強力なネウロイが登場。
「そんなネウロイ知らない」と『ストライク』からのゲストキャラクターの担当声優も驚くほどのそれら強力なネウロイを相手に、
502のウィッチたちが命懸けで戦う様は、視聴者に改めてネウロイの脅威を印象付けた。

本編にも劇場版や『RtB』には
「チャフやジャミングにより無線はおろか有線通信すら妨害し、かつてウィッチが行ったものと似た作戦を展開する個体群」
遂に海を克服し、氷山に擬態する」
「当代最強クラスのエースであるハルトマン・バルクホルンをして強敵と言わしめる途轍もない運動性と攻撃力を持つ(しかも同一個体が複数存在)」
「広範囲に昼間でも視程5m未満の濃霧を発生させる能力とレーダーに探知されないボディを持ち、レーダーに反応する子機と連携する事で視界不良下で『レーダー反応が無い位置』からの不意打ちと十字砲火を浴びせる」
といった強力な個体が登場、
これらの点から時間を経るにつれウィッチに対策を練ったり、進化・強力化しているのではないかと推測する視聴者も少なくない。



人類側もただやられっぱなしという訳ではなく、ネウロイ研究の成果としてウォーロックや大和といったネウロイに通用する兵器を開発・投入していった。
「ネウロイを以てネウロイを制す」コンセプトのこれらは人類に牙を剥く失敗作に終わったが、研究の甲斐あってか
RtBの時期(1945年末)にはネウロイに有効打を与えられる砲弾や、
ある程度のビーム攻撃を防ぐ事ができる装甲などが開発・実用化されており、
戦艦やそれに準じる規模の大型兵器ともなれば、今までの様に据え物切り同然にボコスカやられ放題に倒される「動く的」ではなくなっている。
更には直撃させればネウロイの外装を瞬時に分解してしまう「対ネウロイ気化爆弾」、コアを支配下に置く「コアコントロールシステム」なんて物まで開発された。
しかしそれらもネウロイの驚異的な学習能力によって迅速に分析され、短時間で対抗策を立て続けに編み出されてしまい、
あっさりと攻略されてしまうなど、ネウロイに対する決定打にはなっていない。
結局のところは「今までよりはマシに戦える」「流石に即死はしなくなった」の域を出るものではなく、やはり本格的に戦うにはウイッチの力が不可欠である。

積極的に攻撃してくるネウロイもいれば、人類にあまり敵意がないと思われるネウロイも確認されており、その意思は謎。
そもそもなぜ人類に無差別攻撃を仕掛けるのかも全くもって不明。
アニメ1期終盤~2冒頭では敵意を示さず、人類との対話を示唆した個体(後述)も現れたが他のネウロイによって消滅している。
つまりネウロイの意思も一枚岩では無い様だが、これについても深掘りされることはない。
またルミナスウィッチーズでの描写を見た限りでは、ネウロイが積極的に攻撃を仕掛けるのは人間だけのようである。


ネウロイの巣

ネウロイは『ネウロイの巣』と呼ばれる円錐状の黒雲のようなものから無数に湧くように出現する。
ネウロイの巣を破壊する事でその周辺地域を解放する事は可能であるが、周りの金属や兵器を取り込んで増殖する上、
第2期を見るに、平和だった地域にある日突然ネウロイの巣が出現し、昨日今日で人里が突如ネウロイの支配下になるという事もある様子なので、
人類にとっての安息の地と呼べるものは、少なくともヨーロッパ大陸一帯には本質的には無いと言って良い。
このため、巣を破壊し続ればいつかは殲滅できるのかどうかさえ不明
巣には人名に因む個体名が付けられており、『ブレイブ』に登場したものは「グリゴーリ」、『RtB』でベルリンを占拠していたものは「ヴォルフ」と呼ばれていた。

巣の中心部には巨大なネウロイないしコアがあり、これらは
「ウィッチを吸収し、魔力を強制的に引き出させる事でシールドを張る」
「コアの内部に激しく動き回るコアを持ち、両方を一度に破壊しなければ倒せない」
「徐々に精度と射程を増す巨大長距離砲*4を展開したり、反攻作戦に出た連合軍をまんまと罠に嵌め逆包囲する」
など、単純に強大な戦力を有する事と相俟って並みのネウロイとは一線を画す常軌を逸した強さを持つ。

なお、一期終盤で501がガリアの巣を破壊したのが史上最初のネウロイの巣撃破であり、
この戦いにより初めて「ネウロイの巣は破壊できる(それによって周囲を解放できる)」事が確認されたという。
つまり、ネウロイとの大規模な戦争状態に突入してから1944年までの数年間、人類はそれさえ知らなかった事を意味する。




……以上の様に、ネウロイの詳しい性質はそのほとんどが「謎」「不明」と分からない事だらけであるが、
身も蓋もない事を言えば、ネウロイとはメタ的には「痴女めいた格好の美少女が空を飛んで戦うための舞台装置」である。
要するに美少女化されたWWIIのエースパイロットが国籍を超えて手を取り合い、怪物との戦いに共闘するのがSWという作品の肝であるため、
むしろ下手に掘り下げようとしたらウィッチの出番を奪いかねず邪魔になりかねないため、
極論、ネウロイには「謎の敵」以上の設定は必要無いのである。


  • 「ネウロイX-11」(人型ネウロイ)
ウィッチに対抗する為生み出されたと思われる、ウィッチの姿に似せた人型ネウロイ。通称ネウ子
小説(いらん子中隊)では「ウィッチもどき」と呼ばれ、ウィッチ達の動きをコピーし、いらん子中隊を苦戦させた。
アニメでは宮藤芳佳とコミュニケーションを取ろうとしていたが…。

その無機質ながら可愛らしい姿が人気で地味にファンがいる。ネウ子かわいいよネウ子。

なお、リブート版「いらん子中隊」4巻では人型ネウロイとの遭遇が機密扱いとなったせいで中隊はカウハバに異動となり、
フルメンバー出動が不可能になる等活動制限を課される事になってしまった。

あまりにも謎が多いので、ネット上ではネウロイに関する考察がよくなされている。
「ネウロイ 考察」等で検索してみるのも面白い。



ストライクウィッチーズ 501部隊発進しますっ!シリーズにおけるネウロイ

基本的に出ない。ウィッチの宿敵なのにほとんど出ない。ギャグ漫画だし…。
アニメ本編におけるラスボス戦くらいでしか出番がなく、一応前線のはずなのにウィッチたちは平和な日常を謳歌している。
あまりに平和すぎて危険手当も含む破格の給料を受け取ることに罪悪感を持ったり、町の人からの尊敬を受け止められないウィッチがいる一方、
暇を持て余していらんことをしては人的要因で無用な負傷をするウィッチもいる。
たまーに出て来たと思ったら通常兵器相手にあっさり即死したりと本編に比べてかなり情けない。

基本的に戦わないのでネウロイに対して戦意を持っているウィッチも少なく、
むしろ人為的な被害を受ける直前でサイレンを鳴らしてくれたりするので「サンキューネウロイ!」なんて感謝されたり、
「ネウロイ来ないかなー」などと襲撃を待ち望まれることも。
「502」では「罪のないネウロイ」なんて単語まで飛び出した。一応、聞いていたひかりから「罪のない?」とツッコまれてはいたが。


「小ぃサーニャ」シリーズのネウロイ

主にオチ担当。
「何の脈絡も無く唐突に出現」→「とりあえず撃破して〆」というパターンがやたら多く、作中でもツッコミを入れられている。
その他爆発オチに巻き込まれたり、鉄橋に憑りついたと思ったら川に落ちて自滅したアホがいたりと基本的に不遇。
ただしミリタリーネタが濃い作風だけあってバリエーションも豊富で、中には本気でヤバい能力を持っている奴もしばしば。
ちなみにウルスラによると変わった兵器に憑りつく傾向があるらしく、試作品が囮として使われる事もあるとか。出所はそこか。


アリス・ギア・アイギスコラボイベント

コラべイベントにて、オリジナルネウロイとして「ウェルウィッチア・ボギー」が登場した。
黒く全身にヘックス状の模様があるのはネウロイの慣例に則っているが、コアが常に露出しているという特異な特徴を持つ。
これは後に「ウェルウィッチア」として、外見やロジックが一部変更の上で本編にも逆輸入される事となった。

またコラボ第二弾ではストライクウィッチーズ仕様のアレンジが加わった大型ヴァイス「バンブラ・ボギー」が追加された。
元々三個のブロックに分かれているのが特徴的なエネミーであるが、本イベントでは3つの内のどれか一つに「コア」を持ち、
コアを露出させ、そこを攻撃する事で大きなダメージを与えられるという形でネウロイの性質が再現されている。




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最終更新:2024年03月17日 13:48

*1 オラーシャは、無事なのは正確にはウラルより東側に限られる。

*2 砲撃型の個体の場合、発射された砲弾がそのまま残る場合もある

*3 現実的には自由落下で勢いがついたものはある程度の質量と強度があればどんなものでも危険物となる。例えばパチンコ玉は高度100m程度から落とせばフライパンを凹ませる程度の殺傷力になる

*4 劇中ではベルリンからキールを砲撃しようとしていたため、最大300km近い射程がある事になる。因みに戦艦大和の46cm三連装砲の射程は約42km、80cm列車砲の射程は約48kmである。