CYBERDARK IMPACT(遊戯王OCG)

登録日:2012/06/02 Sat 22:17:32
更新日:2023/12/16 Sat 09:26:37
所要時間:約 5 分で読めます





『CYBERDARK IMPACT』(サイバーダーク・インパクト)は遊戯王OCG第5期のパック第2弾。
発売日は2006年8月10日。

CMやポスターなどでの「サイバーダークワールドへの扉が開く時、かつてない衝撃が巻き起こる!!」というキャッチコピーの通り、
当時のデュエリスト達に衝撃を与えた名パック。

主な特徴として、
●「チェーンブロック数」や「カードの位置」に関連する効果を持った斬新なモンスター・魔法・罠の登場
●指定属性以外の特殊召喚を封じる6種類の「結界像」シリーズを収録。
●《ハネクリボー LV10》以来となる新たなLvモンスターの登場。
●ヘルカイザーと鮫島校長の使用したカードの収録により、アニメファンへのフォローもバッチリ!
などなど。

また、遊戯王GX時代のパックとしては唯一E・HERO関連のカードが一枚も収録されておらず、当時のHEROにうんざりしていた決闘者に歓迎された。
かなり古いパックであるため、入手は困難だが見かけたら買っておいて損は無いハズである。
ちなみに同じく第5期の五番目のパック「TACTICAL EVOLUTION」にて、このカードと同名のカード《サイバーダーク・インパクト!》が登場した。



追記、修正宜しくお願いします。




















   #   #
 # # 嘘を言うなっ!
   ∧_∧
# E)(#`゚Д゚)(ヨ
  UY   YU #
実際のところはかなり微妙なパック
上に上げた4つの特徴だが、

●「チェーンブロック数」や「カードの位置」に関連する効果を持った斬新なモンスター・魔法・罠の登場
チェーン数に関連するカードのうち《連鎖爆撃(チェーン・ストライク)》と《積み上げる幸福》の2枚はチェーンバーン等で現在も活躍しているものの、
その他はなんとも言えない微妙な性能からあまり採用されることはない。

カードの位置を条件にするカード群も《爆導索》が奇妙な裁定などでちょくちょくネタにされたものの、
その多くが何とも言えない効果から実戦で使用されることはあまりない。

《ポジションチェンジ》もカードの位置を変更するカードの位置に関連するカードであり、
後述する「DUELIST EDITION Volume 1」では再録から外されたがまさかの高騰を果たした。
しかし毎ターンノーコストで自分のモンスターを対象に取れる永続魔法カードという点が注目された結果であり、
カードの位置をずらせる点はぶっちゃけどうでもいい。
美少女が反復横跳びするだけで青眼の白龍が出てくるよ!

以上のように、カードの位置を参照にする効果はルールなどで揉める問題があるためか、これ以降全く出ておらず実質黒歴史扱いであった。
そしてカードの位置に関わる効果が再び脚光を浴びるのは、10期開始に伴い新マスタールールおよびリンク召喚が実装された実に11年後の話となる。


●属性毎の特殊召喚を封じる6種類の「結界像」シリーズを収録。
特定の属性の特殊召喚を封じる効果は中々強力であるものの、パック内に6種類全てがノーマルで存在するため、パックを買うたびに出まくり余る。
ステータスが低く維持が難しく、闇などのメジャー属性の結界像だとあまり特殊召喚を縛れないのも難点。
……のだが、【EMEm】が大暴れした2015年頃から注目が集まるように。
最近は特殊召喚したモンスターの効果に除去をまかせるパターンが多いため、こいつらを強化して棒立ちさせるだけで突破できる手段が少ないため意外なほど止まるのである。
【ガエル】に制圧力の高い餅カエルの横に置いて餅カエルの効果で魔知ガエルをリクルートして守りロックしトドメを刺したりと活躍していた。
これをメインとしたデッキ【結界像ビート】も存在する。
パキケなどのメタ性能を持つ下級モンスターを装備魔法で強化して罠で守りながら殴るというどこか時代を逆行したような戦法ながら、インフレした環境で結果を残している。


●《ハネクリボー LV10》以来となる新たなLvモンスターの登場。
魅惑の女王(アリュール・クィーン)シリーズと漆黒の魔王(ダーク・ルシアス)シリーズの二種類が収録されているが、どちらも効果がわざわざレベルアップさせてまで使うものではない。
しかも進化前のカードの効果でレベルアップさせないと効果が使えずバニラ化してしまうため《レベルアップ!》などのサポートカードを使えないという嫌がらせ仕様。
進化条件も厳しく最初のレベルからレベルアップさせないと最終形態まで辿りつけないため、レベルモンスターサポートに頼らず自身の効果だけで2回レベルアップさせないといけない。

そこまで頑張っても魅惑の女王は劣化サクリファイス、漆黒の魔王は戦闘破壊したモンスターを除外するハデスが最終形態でありまったく割に合わない。
その性能のわりにそれぞれの最終形態のレアリティもウルトラレア(もしくはアルティメットレア)と、当たってもあまり嬉しくないし、本気で組みたい人には集めにくくなっている。

《漆黒の魔王 LV6》の進化条件である「このカードが戦闘によって破壊した相手モンスターの効果は無効化される。」という効果で「この効果で相手モンスターの効果を無効化した」の定義が曖昧なため大半の効果モンスターを破壊した後どうなるかがはっきりしておらず、まともに使うのすら困難だった。*1
このカードが発売してから10年後の2016年8月にようやく決着がつきどの効果モンスターを戦闘破壊しても発動可能と落ち着いた。


●ヘルカイザーと鮫島校長の仕様したカードの収録により、アニメファンへのフォローもバッチリ!
ヘルカイザーの使うサイバー・ダークシリーズの下級モンスターである、
《サイバー・ダーク・ホーン》、《サイバー・ダーク・エッジ》、《サイバー・ダーク・キール》 の三枚が軒並みスーパーレア。

サイバーダークデッキにおいてはできれば各三枚積みしたいものなので、当時のヘルカイザーファンのお財布にグォレンダァならぬキュウレンダァを決め込んだ。
鮫島校長の使うサイバー・オーガ及び関連カードもアニメから効果が変わったり弱体化してしまった。
しかもこれらのうちサイバー・オーガ以外は全てがスーレア以上とやたら集めにくい。特に鮫島校長が使ったゴミカード。

他のカードには、
●効果が迷走してる《迷走悪魔(ストレイ・デビル)
●レベルが1高かった故に異様に使いにくい《フレイム・オーガ》
●効果は強力だがスピードデュエルでもないと条件を満たすのが厳しそうな《封魔一閃》《ストレートフラッシュ》
● 《簡易融合(インスタントフュージョン)》の儀式版だが、元から特に利点がない上に次パックの《高等儀式術》で余計に立場がない《限定解除》
●上に出ていない高レアリティカードの最後の1枚で、☆7でありながら2400ラインを超えずポジション関連のバウンスで扱い難さが際立つ《ストーム・シューター》

…と、妙なカードが多く何ともいいがたいパック。
割と新たな試みが多いのだが大半が滑ってしまっている。

それでも【サイバー・ダーク】構築のために買う決闘者もそこそこいたのだが、
およそ2ヶ月後の2006年10月26日に「デュエリストパック −ヘルカイザー編−」が発売
その中にはサイバー・ダークシリーズも再録枠で収録されていたのだが、レアリティはスーパーレアからノーマルへ下落。
たった二ヶ月でこのパックは元々低かった価値を大きく落とした。
ちなみにヘルカイザー編はサイクロンリビングデッドの呼び声、サイバー・ドラゴンなどの優良汎用カードの再録があるためパックの質にはかなりの差がある。
高レアリティカードの扱いにくさはこのパックと大差ないけど。


…だが全く良い点が無いわけでもなく、

●特殊召喚を完全に封じる 上級モンスター《虚無魔人》
●多少の運が絡むも、種類問わずカードを破壊できる 《スナイプストーカー》
●現在でもシンクロやエクシーズの補助として活躍する《簡易融合》
●チェーンを組まない特殊召喚限定なもののノーコストでシンクロやエクシーズを潰せる《昇天の黒角笛》
●現在でも地雷デッキとして活躍している【チェーンバーン】を確立させた《連鎖爆撃(チェーン・ストライク)》《積み上げる幸福》

など、中々良いカードも存在する。
スナイプストーカーと連鎖爆撃は過去に制限カードまで登りつめ、連鎖爆撃は現在でも準制限カードである。
簡易融合も後に制限カード入りを果たした。
虚無魔人もちょくちょく環境に顔を出している。
この他にも【チェーンバーン】で使い減りしない《チェーン・ブラスト》、相手次第だが2:2交換が可能な《爆導索》、バウンスを除外に変える《縮退回路》などがそこそこの評価を得ている。
これらのカードが全てレア以下なので光るカードの弱さがより際立って微妙さが増しているのだが……

《スナイプストーカー》 はストラクチャーデッキやデュエルターミナルへの再録、《簡易融合》もデュエルターミナルとトーナメントパックに再録された。
そしてよりによってこの二枚、決闘者に衝撃を与え、精神を惑わせ、財布を軽くしたあの「トリシューラの鼓動」への再録だったたため、希少性は全くない。
《簡易融合》は現在需要が高いため再度再録されるまでそこそこ高騰していたが、《スナイプストーカー》の現在の価格に関しましてはお察しください。
ちなみにサイバー・ダークシリーズもターミナルに再録されてます。

さらにこれだけに留まらない。
「CYBERDARK IMPACT」発売から数年後に発売された、第5期パック第1弾~第4弾の総集編パック「DUELIST EDITION Volume 1」では、
28枚のカードが再録されず絶版になってしまった。
これは再録された4種のパックの中では最多の枚数である。

絶版化したカードはチェーン関連やカード位置関連のほとんど、
鮫島校長の使用したサイバーシリーズ全てとLvモンスター全てであり、上に上げた4つの内半分以上が否定されたようなものである。
ちなみにCYBERDARK IMPACT出身カードが軒並みレアリティを下げた中、《スナイプストーカー》、《簡易融合》、《連鎖爆撃》 の三枚はスーパーレアへ昇格している。
《簡易融合》は需要が高かったためかTHE RARITY COLLECTIONで再録された。


なお、後の新マスタールールの登場によって、カードの位置に関するカードは再評価を受けており、
新マスタールール下でもあまり強くないという評価のカードでも、当時と比べて格段に扱いやすくなっている。
かつては投げ売られていた箱も10年以上過ぎた今日ではコレクター需要により未開封BOXはプレミアがついている。


後に便利な素材調達要員として活躍する《簡易融合》、凶悪な展開に特殊召喚封じで立ち向かう「結界像」シリーズを収録し、
更に10期で大きくピックアップされるカードの位置の概念に着眼したことから「時代を先取りし過ぎた」と言われることもある。
「魅惑の女王」シリーズもアニメVRAINSで魅惑の女王リンクモンスターや専用サポート付きでまさかの登場を果たした。
しかしその展開描写はカットされており*2使い手も敗北後そのままフェードアウトしてしまったためいつOCGで出るか謎

11期は結界像シリーズのうち「鳥獣族」という特徴を持つ烈風の結界像が【鉄獣戦線】や【シムルグ】といった簡単に鳥獣族モンスターを出せるテーマ、【ふわんだりぃず】や【LL】等の強力なメタビート軸の鳥獣族テーマの登場で一気に使い勝手が向上。
特に、RR-アーセナル・ファルコン(ランク7)や王神鳥シムルグ(リンク3、鳥獣族1体以上が条件)といった結構ゆるい条件で出せるEXモンスターが、烈風の結界像を簡単に出せる効果を持っていたというのも追い風。
上記テーマを含む風属性や鳥獣族デッキが展開の締めとして烈風の結界像を立てる事が多く、バンバン回して制圧しきった後にオマケとしてコイツを置かれ、抵抗すら出来ない状況になる事例もよく見られた。
その影響力は、汎用除去として出張しがちな壊獣のうち、打点が低い故に扱い易いガメシエルやクモグスよりも、打点が高いガダーラが風属性なので烈風の結界像の影響下で出せるという理由で選ばれる事が多かった程。
その果てにOCG、マスターデュエル共々禁止カード化。もはや地雷パックの余り気味なカードという汚名は消し飛び、制圧をより強固なものとする恐ろしいカードとして決闘者に恐れられる存在と化した。

また、《簡易融合》と違って使いづらいとされていた《限定解除》も、儀式召喚でなくとも出すだけで効果を起動可能+そもそもテーマ内の儀式モンスターが《限定解除》と同じくルール無視の直接的な特殊召喚を行いまくる【ヌーベルズ】の登場で再注目。
ヌーベルズは「蘇生条件を満たさないので墓地から儀式モンスターを特殊召喚出来ない」というデメリットを前提としている為か、墓地からデッキに戻す形で再利用するフィールド魔法も自前で持っており、《限定解除》のデメリットもある程度軽減可能。
出すだけでアドになる効果を持つ儀式モンスターが多く、自壊する前にリリース効果を使って別の儀式モンスターにつなげると言った事も出来る為、《限定解除》がデッキの選択肢として優秀な一枚となった。




追記・修正はスーパーレアかアルティメット版サイバー・ダーク3種類を必死に集めてからお願いします。

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最終更新:2023年12月16日 09:26

*1 実際には使うプレイヤー自体が稀だったので、「話し合って決めてください」でも全然問題がなかった。むしろファンデッカー同士のデュエルでは、あまりにも想定通りに動かない魔王や女王を見て「《レベルアップ!》に対応させてもいい」「レベル5~6から横着してもいい」などと特例を許してあげることすらあった。

*2 一応、カードテキストが全部公開されているため、どういう展開をしたのかの想定は容易。