シャトゥーン ヒグマの森

登録日:2011/11/08(火) 01:21:58
更新日:2021/04/23 Fri 22:25:31
所要時間:約 6 分で読めます




北海道にあって内地にないもの


それは本物の闇だ



『シャトゥーン ヒグマの森』とは、増田俊也による小説である。
第五回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞受賞作。後にビジネスジャンプにて漫画化もされた。現在は宝島社より文庫版が発売されている。
ミステリー……? とは誰もが通る道。


あらすじ

マイナス40度も珍しくない極寒の北海道・天塩研究林。そんな土地に立つ小屋に集まった学者や仲間たち。
そこへ雪の中を徘徊する体重350キロ飢えて凶暴化した手負いの巨大ヒグマ、“シャトゥーン”ギンコが襲いかかる!
次第に破壊される小屋。電話も通じない孤立無縁の状況下から抜け出すことは出来るのか!?

文庫版背表紙より抜粋


登場人物

◇土佐薫
ネズミの肉だって牛肉だって、飲み込んでしまえば同じよ
本編の主人公。彼女が友人の婚約祝いついでの年越しパーティに向かう道中の車内から物語が始まる。
報道局の女性記者で、年齢は30なかばと推測される。かつてはアイドル女子アナだったが、結婚、出産、離婚の末に報道部に異動となった。
巨大ヒグマにナイフで挑んだり、チェーンソーで立ち向かったりと、男のロマンをわきまえたパワフルな女性であり、かつネズミを生のまま食する野生味溢れた女性でもある。
が、やや空気が読めない。そしてDQN。物語後半の犠はさすがにやりすぎだった。

◇土佐昭
俺か。俺はもちろん戦うさ
皆大好きファイトさん。薫の双子の弟にして、猛禽類の世界的な権威。作中彼が語るヒグマのうんちく、北海道の自然保護の現状についての考察は大変勉強になる。
彼の思想は自然への敬意と愛情に溢れていて、特に「シマフクロウ」に注ぐ愛情は常軌を逸している。それが、今回の事件の原因にもなった。
あまりにも自然を妄信し過ぎて、言動がエコテロリスト染みた思想に傾きつつある兆候も見られる、実のところ作中きっての危険人物。
前述の発言がフラグとなってヒグマと格闘を演じる事になるも、指でヒグマの目をえぐり取る事で、一度はそれを退けた。

◇土佐美々
おしっこがしたいの
土佐薫の娘。名前は美々川にちなんで昭が名付けた。メタルスライム並の硬度の肉体を持つスーパー幼女で、ヒグマの攻撃を幾度と無く跳ね返した。
彼女の気転が物語の行方を左右する事になる。

◇瀬戸祐介
薫さんは強くこするから、俺、痛くてたまらないんすよ
薫の後輩。薫と美々を小屋に送り届ける最中、雪上に人の足を発見し、動揺のあまり車を横転させてしまい、事件に巻き込まれた。
上記のような発言をする者がどのような末路を辿る事になるのか、推して計るべしである。

◇エス
われわれのような動物学者はヒグマが出ると喜ぶ部分も少しだけあるんです
本名はエスコ・バーヤネン。昭に師事するフィンランド人研究者で、昭の事を非常に尊敬している。
日本語をネイティブ並に使いこなし、更には日本人には無い繊細な優しさを持つ常識人。
上記の発言の真意は、ヒグマが人間に危害を加える事で、人間がその森に近付かなくなり結果として自然が守られる、と言う事。
本人は冗談半分と笑ったが、後に皮肉になる。
美々のように体は硬くなかったが、悲しい位にタフだった……。

◇小野眞伊子
痛い。お願いだからやめて
エスの婚約者で、妊娠三ヶ月。今回の集まりは彼女達の婚約祝いであった。
薫の著書に感銘を受けて、京大から北大にやってきた。そのため土佐姉弟を大変慕っている。
ヒグマに相対したとき、選択肢は二つ。戦うか死んだふりをするか。昭は前者を選んだ。そして、彼女は後者を選んだ。
漫画版ではまさかのおっぱい要員。乳首も出るでよ。分裂するけど。

◇西良明
こっちへ来るな! 馬鹿野郎! ヒグマを連れてくるな!
密猟者。仲間の高橋と共に森に入るが、高橋がヒグマに食い殺され小屋まで逃げてきた。
バードショットと呼ばれる散弾銃を持つが、ヒグマには通用しないらしい。密猟者でありながら、昭とは顔見知りのようだが……。

◇高橋
仔グマの剥製は高く売れる
西の密猟仲間。バードショットで親グマを追い払い、その上で仔グマを仕留めようと画策したが、逆襲される。慌てて逃げながら、彼は西に助けを求めたが……。
彼の末路は瀬戸を参照。

◇夏目次郎
そうか。君たちは鳥が好きか
土佐姉弟の大学時代の恩師。
昭共々シマフクロウの保全に命を賭けていた。数年前、奇しくも同じ森でヒグマに襲われ、食われた。捜索も虚しく、遺体は見付かっていない。


登場動物

◇シマフクロウ
北海道固有の世界最大のフクロウ。絶滅危惧種であり、その保全に夏目と昭は命を賭けている。

◇ヒグマ
TF4。愛称はギンコ。
シャトゥーン(冬眠に失敗し、雪の中を徘徊するヒグマ。飢えていて大変狂暴。穴持たず、とも)であり、
人間の味を覚え、記録的にでかくて、子連れで、手負いと最悪のヒグマ。
かつて仔グマ時代に人間の手で研究用に捕えられた経験がある。
そのときは、持ち前の人なつっこさで薫を含む研究員に愛されていたため、そのギンコが、次々に人を襲う現実に薫は衝撃を受けていた。


以下ネタバレ。グロ注意












まず、エスがガラス窓から小屋の外に引きずり出され、生きたまま長時間かけて食われる。
子供がガムを噛むような無邪気な祖齣音とエスのうめき声が、静寂の中でいつまでも響いた。


続いて眞伊子が、憔悴して一人で寝室に居るところを襲われた。
お腹にエスの子を宿した眞伊子は、必死に懇願するもまず足を食い千切られ、腸を引きずり出され、最後は首をもがれた。
三人目から先は……是非ご自身の目でお確かめ下さい。


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最終更新:2021年04月23日 22:25

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