時間のねじれ/Time Warp(MtG)

登録日:2012/07/04(水) 17:50:48
更新日:2024/03/28 Thu 16:52:11
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さあ、もう一回!

― 船室係のゴブリン、スクイー


時間のねじれ/Time Warpはマジック:ザ・ギャザリングのエキスパンション、テンペストで登場したのソーサリーカード。


■Time Warp / 時間のねじれ (3)(青)(青)
ソーサリー
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはこのターンに続いて追加の1ターンを行う。


効果は至ってシンプルで「追加の1ターンを得る」。

MTGにおいて追加のターンを得られる強みは、大まかに以下の通り。
  • すべてのパーマネントをアンタップ=ターン1回制限の再利用ができる
  • 実質追加で1ドローできる
  • テンポを失わず土地を伸ばすことができる
  • これを通せばその後フルタップによる危険性を排除して好きに呪文を使える
  • クリーチャーの戦闘やタップ能力を2倍使うことが出来る
  • プレインズウォーカーの忠誠度能力を2倍使うことが出来る
  • 単純に時間を稼げる*1
……等々

さて、追加ターンと言えば基本的にどのTCGでも非常に強力な効果と認知されているが、MTGではそんなに強いカードとしては認知されていない
というのも、例えばこのカードならばこれを唱えるのに5マナというかなり重いコストが必要だから。
この手の効果を語る際にえてして忘れがちだが、追加ターンというのは別途行動できて初めて意味がある。つまり上述の強みを複数得られて初めて唱える意味がある。

極端な例を出すと、たとえば盤面が更地で手札がこれ1枚、という状況でこれを唱えても「別の行動をできずに」ターンを終了する羽目になる。
よしんば次のドローが土地だったら、このカードが5マナ支払ってしたことは「1ドローと土地の追加セット」でしかない。
確かにそれでも強いかもしれないが、ところでMTGにはこんなカードがある。

Explore / 探検 (1)(緑)
ソーサリー
このターン、あなたは追加の土地を1枚プレイしてもよい。
カードを1枚引く。

同じ効果がなんと2マナでできる。
そのためこういう使い方になってしまった時の追加ターンは、使用プレイヤーからは「重い《探検》」と揶揄される。
引いたカードが土地じゃなければ強いじゃん、と思いがちだがそれならそもそも《時間のねじれ》よりももっと優秀でデッキコンセプトに合うカードを入れておけばいい。

このカード、5マナの癖に普通のデッキで使う分には攻めている時以外あんまり強くない上に「5マナの《探検》」になるかもしれない。
そんなブレの激しいカードを入れるより、もっとコンセプトに合うカードを入れたほうがよほど有用だろう。
つまり追加ターンはそれを安定して、かつ最大限に利用できて初めて意味がある。普通のデッキで5マナはさすがに馬鹿げて重いのである。

+ ところで追加ターンって本当に強いの?
本項目には「実は大体のTCGにおいて追加ターンだけを得るカードというものはそんなに強いカードとしては認知されていない。」という記述があった。
これについてはぶっちゃけ『ゲームによってルールレベルで異なるのでいい加減なことは言えない』としか言いようがない。追加ターンに自動的に付随する行動(たとえば既定の1ドローやターン1回制限行動のリセット)の質による。
あらゆるカードゲームにおいて、追加ターンは出るたびにその可能性をテキストのインクの染みまで模索され環境をぶっ壊してきた歴史がある。今でも匿名掲示板などで追加ターンの話題が盛り上がるくらいである。
そして後発組のカードゲームは、それらが積み重ねてきた歴史とノウハウを軸に絶対にぶっ壊れないようにバランスを調整され、上手くバランス調整ができた先駆者を参考にまたバランスを調整していく。
つまりひとつのゲームを深掘りすれば「強いカードは規制されてるし、コスト設定もしっかりしているのでそんなに強くはない」で終わるのだが、他のゲームを調べれば調べるほど「いや明らかにおかしい、システムとかみ合い過ぎてる」という事例はいくらでも出てくるのだ。

《時間のねじれ》がMTGにおいて強いと認識されていないのは上述の理屈の通りで、ものすごくざっくり解説すれば「追加ターンを得ても他にすることがないから」である。
後述する《Time Walk》はコスト設定が軽いせいで完全にぶっ壊れており、ヴィンテージの青いデッキではよほど速攻志向を極めない限りデッキに入り、それ以外の環境では禁止カードに指定されている。
《時間のねじれ》を使っても「追加ターンを得ても他にすることがない」のはコスト設定が重すぎるせいで他に行動ができない・しづらいからであり、追加ターンを得るコストが軽いカードではそんな状況自体がそもそも存在しないから。
つまり後述するように、うまくデッキを組めば「他にすることがない」状況が生じないため全然戦えてしまうのである(cf:旧スタンダードや旧モダンの【創案の火(ジェスカイファイアーズ)】、ヒストリックの【ジェスカイターン】)。亜種も含めていいのであれば《時間の熟達》はブロック構築や旧スタンダードの【青白奇跡】などでもまっとうな追加ターン呪文として用いられた。
これらはすべて「追加ターンだけを得るカード」である。

TCGにはそもそも「マナ」や「チャージ」に該当するシステムがない、対戦相手が相手ターンに干渉する手段自体が限られている・存在しないゲームも非常に多く、そういうゲームにおいて追加ターンは「別途行動する回数を増やせる」というカードはむしろ非常に重宝される。
たとえばポケモンカードの《ディアルガLv.X》やガンダムウォーの《戦いの駆け引き》などは頻繁に使われた方である。本wikiの「追加ターン(TCG)に詳しいが、WIXOSS、クルセイドシステム、バトルスピリッツなどでは相当に使われたという。
追加戦闘という限定的な追加ターンでさえ、カードファイト!ヴァンガードの《コマンダーローレル》は規制対象にまでなるほどに活躍した。このゲームにおいてヴァンガードの追加戦闘は勝利に近づくだけでなく、ドローによってリソースを補充する手段にもなる。
こういうゲームにおいては「他にすることがない」状況が生じにくい。つまり強いゲームでは本当に強いし、バランス調整さえうまくいけば個性のひとつにだってなるのだ。

一方でMTGにおいては、ほぼすべてのデッキで「マナ」という1ターンにできる行動回数を縛るルールが存在する。
そのため追加ターンを得るためのカードに「無視できないデメリットがある」あるいは「非常に重たい」という場合はまったく活躍できずに環境を去ることも多い。
MTGにおいては先述の通りだが、デュエル・マスターズにも《無双と竜機の伝説》という唱えるだけでパワー6000のクリーチャー全破壊+追加ターンという呪文が存在しているが、7コストという重さから登場当初から大して環境では活躍できていない。
DCGにおいては「厳しい条件を満たさないといけない」「コスト枠を増やさなければ使えない」なんてのもあるようで、それに見合った強さはないのでファンデッキ扱いというカードも多い。
編集者はその手のゲームを知らないが、ゲームによってはむしろ「カードの寿命を縮める」ようなデメリットもあるかもしれない(cf:[召喚酔い/Summoning Sickness]のカオスチャンプルやカードヒーローなど)。
このように最近ではコスト設定や使用条件、あるいはルールレベルで行動を規制するノウハウが存在するため、そこまでぶっ壊れたカードにはならないようである。

話は大きくそれるが、かなり極端な思考実験をしてみよう。たとえばカードゲームではなく、ターン制のテーブルゲームで「追加ターン」が得られたとする。
たとえば将棋において、1ターンにできる行動は「駒を動かす/敵の駒を取る/持ち駒を打つ(本将棋のみ)」ことだけであり、これを2回行えるとかなり強烈である。
実際追加ターンとは少し違うのだが、中将棋における駒「獅子」はその行動範囲もさることながら、限定的に「敵の駒を取りながら別の場所に移動する」こともできるため非常に強力であり、本将棋しか知らないと「こんなの反則やん!」としか思えない動きをする。
リバーシ(オセロ)の場合はむしろ「相手にパスをさせる」ように動くことが基本的な戦略のひとつであり、ルールを知ったばかりの人は大体これで上級者にハメ殺される。これだって一種の追加ターンと言えるだろう。
だが、たとえばトランプの大富豪(大貧民)においては追加ターンを得たところで出せるカードがなければさっぱり意味がない。手札を0にすることが勝利条件のゲームなので、手札を0にできることにつながらない追加ターンは何の意味もない。
かなり極端な思考実験だが、要はTCGはこれらのターン制のゲームを非常に複雑にしたものだ。なので強いかどうかというのもぶっちゃけゲームによるとしか言いようがない。
ただしその上でMTGやデュエマでは弱い側のカードだし、遊戯王ではそもそも実用的なものがあるかも怪しい。そしてアニヲタwikiで取り上げられるTCGの話題はほとんどこの3つとポケモンカードGBくらいのものなので、そういう意味ではむしろアニヲタwikiに求められる文章を端的に表現した名文だっただろう。
編集者もあまり知識がある方ではないため、他のTCGやデジタルカードゲームなどにおける追加ターン事情をご存知の方がいたらぜひ追記してほしい。

普通じゃないデッキならいいわけだ。


この《時間のねじれ》がある環境は、昔からこのカードを利用した無限ターンデッキが組まれる。
15年ほど前に遊戯王を中心に「ずっと俺のターン!」という言い回しが流行ったが、これをデッキ全体を使って全力で行う

「さぁ、もう一回!」

代表的なアプローチは次の通り。

  • 墓地の《時間のねじれ》を回収して唱える
分かりやすい例。《時間のねじれ》を唱えて、それを墓地から回収してもう一度唱える。追加ターンより墓地から回収するカードのほうが登場しやすいためスタンダードでもカードプール次第で成立するが、専用のギミックが必要になるためデッキを相当寄せる必要がある。
テンペスト・ブロック期の「タイムリープ」や、ゼンディカー期の「青赤昇天」などが該当する。特に青赤昇天は呪文をコピーするギミックもあるので「追加ターンを得ながら《稲妻》を何度も唱えてで相手を焼き殺す」という強力な動きができるデッキだった。
最近の追加ターン呪文はこれができないように追放するという文章がついている。そのせいでスタンダードでもなかなか成り立たなくなってしまった。
一方で勝手にライブラリーに戻る《運命のきずな》は、それ1種類だけでこのタイプのデッキを成り立たせてしまった。1枚で回収と追加ターンができるというのはそれだけ強力だったのだ。

  • 類似カードや相手をロックするカードでデッキをまとめる
かの有名なエターナルブルー系のデッキがぱっと思いつくが、他にも戦乱のゼンディカー期のスタンダードにあった《水の帳の分離》というカードを軸にした「青単プリズン」というデッキが該当する。
バウンスで徹底的に相手の行動を縛りながらマナを伸ばして《水の帳の分離》でフィニッシャーを用意して相手を殴る、というデッキ。
相手に何もさせなければ1枚ドローされても同じこと、というわけ。デッキに複数枚、疑似的なものも含めて《時間のねじれ》が入るので引きムラが起こりにくいことが利点。

  • なんらかの手段で踏み倒して唱える
モダンの《創案の火》デッキ、旧レガシーの《ドリーム・ホール》、統率者戦の《悟った達人、ナーセット》、ヒストリックの《ヴェロマカス・ロアホールド》を使った【ジェスカイターン】などが有名。
【ジェスカイターン】が大暴れしたため、ヒストリックでは《時間のねじれ》は禁止カードとなった。
変わったところではゼンディカー時代のスタンダードで《地獄彫りの悪魔》というカードがあったのだが、これを利用するデッキに4枚積まれた。
これらのカードは主軸のギミックが《時間のねじれ》系のマナ・コストを全部踏み倒せるため、浮いたマナやそのギミック自体を利用して楽にフィニッシャーを用意できる
代わりにこういったギミックが許される環境は他のカードもとんでもなく強い。自分だけチートはできないってことだ。

スタンダード環境に《時間のねじれ》があると、必ず何かしらのエターナルブルー系のデッキが試みられる。
逆に、そういったことを防ぐために最近の追加ターンには「使用後に追放する」という再利用禁止ギミックが組み込まれている。そういう使いっぱなしのカードは、活躍することはあまりない。
ほとんどのデッキにおいては「複数回使いまわしてこその追加ターン」、その理屈の証明と言えるだろう。
もっとも、《アールンドの天啓》を《出現の根本原理》で唱える【スゥルタイ根本原理】は、追加ターン+強力なカードを同時に唱えられるためかなり強い。上記の「別途行動できて初めて意味がある」を満たしてさえいれば、追加ターン呪文を使い回せなくても強みは出るという例である*2
他にも追加ターンを得るという性質は「相手に何もさせないままターンを渡してもらう」、つまり相手の妨害を封じる挙動とも言い換えられるため何かしらの特殊勝利ギミックとの相性もいい。
《アゾールの雄弁家》《迷路の終わり》《副陽の接近》《ストリクスヘイヴンの競技場》あたりと組んだデッキが時折登場し、特に《ストリクスヘイヴンの競技場》は末期の《アールンドの天啓》デッキにおいてたびたび使われた。


このカードは一応、対戦相手を対象にとることができる。相手に追加ターンを与えることに何の意味があるのかと言われると……実はない。
一応けったいなギミックを使えば対戦相手に無限ターンを行わせてライブラリーアウトなんてこともできなくもないが、こちらが5マナも支払わされ、しかも対戦相手のアンタップ・ステップを経る以上そんなことをしても危険なだけである。
一応そういうデッキとして「クロノステイシス」をはじめとした相手にターンを続けさせるタイプのロックデッキが存在するのだが、《時間のねじれ》はそういうデッキには入らない。

どちらかというと、対戦相手が《誤った指図》のように対象を変更するカードを使って奪えるようにするというバランス調整的な意味合いが強いだろう。
あるいは過去のMTGは、ドロー呪文やライフ回復などでも基本的にプレイヤーを対象にとっていたため、その前例に倣ったか。
しかしこの後の亜種ではプレイヤーを対象にとらず、「あなたは」という文章になっていることが多い。対戦相手を能動的に狙わない以上、こんなテキストをつけていても意味がないからである。


このカードはかつてのぶっ壊れカードパワー9の一つである《Time Walk》の調整版。

■Time Walk (1)(青)
ソーサリー
あなたは、このターンに続いて追加のターンを行う。

同じ効果がたった2マナで使える。あんまりの強さに「カナダのカード偽造団が一番印刷していたカードがこれ」なんて話が残っているくらい。
ヴィンテージ以外の環境では使用禁止、そしてコレクション的な価値があるせいでめちゃくちゃ高額なカードである。
上述の「行動に隙ができる」という弱点がほぼ存在しない。クソ強いので制限カードに指定されている。
《ドルイドの誓い》から出てきた《引き裂かれし永劫、エムラクール》や、《僧院の導師》とそれが生み出したトークンに疑似的な速攻を与えたり、
そのほかのデッキではたとえばコンボ成立までの時間を稼いで相手の計算を狂わせたり、単純に追加ターンを得て冒頭に述べたメリットをむさぼったりと結構やりたい放題やってくれる。
追加ターンの強さというものを存分に味わえるカードである。

一見すると「ヴィンテージのデッキなら入れない理由なんてどこにもない」なんて思いがちだが、
「デス&タックス」「ドレッジ」のようなそもそも青が入らないデッキでは唱えられないので入らない。
そして軽量カードによる即死ギミック系のデッキ「ハルクフラッシュ」では2マナで人を殺せるギミックが主体となっている以上、このカードは《探検》程度の効果しかないので採用する旨味がかなり薄い*3
ヴィンテージ基準ではそこまでぶっ壊れているカードというわけではない。


余談ではあるが、当初は「対戦相手は次のターンを失う」と言う効果であった。
日本語では大して違いは感じられないが、英語では失うはloseでありこれには負けるという意味も含まれている。その為に「対戦相手は次のターンに負ける」と解釈して「使うだけで勝てる最強のカードさ」と言うプレイヤーが現れた事、そしてこんな言葉遊びじみた解釈を起こさせないようにテキストに気を配る様になったと言う逸話がある。
とはいえこれはどんなTCGにもあることで、たとえば遊戯王にも「最初期の《サンダー・ボルト》は相手のデッキのモンスターも全部破壊できるのではないか、と言い出すプレイヤーがいた」というのをはじめとして、似たような話はどんなカードゲームにもある
TCGにおけるその最初の例というだけである。ついでに言うと「Starburst」という赤のカード、つまりまったくの別モノだった。なんでここにこんな余談が……?


話題を呼ぶ亜種には以下のカードがある。
  • 時間操作/Temporal Manipulation 、荊州占拠/Capture of Jingzhou … 自分限定になったポータル版。統率者需要で一時期とんでもない値段になっていた。MTG漫画だったころの『デュエル・マスターズ』では荊州占拠を軸にしたエターナルブルーデッキ(ポータル三国志構築戦)が使用された。
  • 時間の伸長/Time Stretch … 《時間のねじれ》を倍にしたカード。2ターン追加、コストも倍の10マナ。リターンがでかすぎるため、大体コストを踏み倒される。
  • 明日の標/Beacon of Tomorrows … 解決時にライブラリーに戻る。8マナ。デッキがこれ一枚なら無限ターン。統率者戦をはじめ、変種ルールで暴れるカード。
  • 時の縫い合わせ/Stitch in Time … 自分限定。コイン投げに勝利した場合のみ追加ターン。青赤3マナ。さすがにネタカードだが、デルバー系のデッキに採用されてしまったことがある*4
  • 永劫での歩み/Walk the Aeons … 唱えるときに島3つを生け贄にすると手札に戻ってくる(バイバック)。6マナ。バイバックコストの重さが目を引くが、ぶっちゃけ「5枚目以降の《時間のねじれ》」として使われることがほとんど
  • 瞬間の味わい/Savor the Moment … 自分限定。3マナだがアンタップ・ステップを飛ばす。土地をアンタップできないので軽くてもさっぱり意味がなく、エターナルブルーでも使われなかった。しかし後にマナの概念をぶっ壊す《創案の火》という伴侶を手に入れて値段が暴騰
  • 時間の熟達/Temporal Mastery … 自分限定。7マナだが奇跡で2マナで唱えられる。使用後に追放。当時は《Time Walk》の再来と言われぶっ壊れだと騒がれたが……詳しくは奇跡の項目を参照。
  • 時間停止/Time Stop … ターンを追加するのでなくターンを終了させる。6マナ。疑似的な打ち消し呪文としても機能する。後にほぼ上位互換となる《不連続性》が登場したが、名前がAVっぽいかっこいい上にテキストがエレガントなのでいまだに人気が高い。
  • 水の帳の分離/Part the Waterveil … 自分限定。6マナ、使用後に追放。「覚醒」というモードで唱えると9マナかかるが、代わりに土地1枚を6/6のクリーチャーにできる*5つまり追加ターンとフィニッシャーを同時に得る。これまでの追加ターン呪文の弱点「フィニッシャーを別途用意しないといけない」を解消した。
  • アールンドの天啓/Alrund's Epiphany … 自分限定。7マナだが予顕で唱えると6マナ(合計では8マナ)。使用後に追放。おまけで1/1飛行の鳥トークンが2羽ついてくる。最終的にスタンダードで禁止カードになり、アルケミーでは鳥トークンは予顕時のみ生成されるようにエラッタを加えられた。
  • 運命のきずな/Nexus of Fate … 《明日の標》の調整版にして大問題児。解決時にしかライブラリーに戻れない先駆者と違い、「どこからでも墓地に落ちたらライブラリーに戻れる」「インスタントである」とかなり強化されたが、同時にカードパワー以外の部分で様々な問題を引き起こした。

他にも、青以外だと以下のものが存在する。

  • 最後の賭け/Final Fortune … 赤のみ2マナ。異常に軽いが追加ターン終了時に敗北するという、まさに最後の賭け。当時の赤らしいカードで、使った瞬間どちらかの敗北が確定する*6*7。長らく亜種が印刷されなかったが、最近パイオニアの範囲で3枚印刷された。
  • 栄光の好機/Chance for Glory … 赤白3マナ。最後の賭けの効果に加えてクリーチャーに破壊不能付与。《リッチの熟達/Lich's Mastery》で敗北を踏み倒し、追加ターンを延々と得る5色コンボデッキ【レインボーリッチ】が組まれた。
  • 錬金術師の計略/Alchemist's Gambit … 普通に唱えると1マナ重くダメージ軽減無効の最後の賭け、切除コストの赤青7マナで唱えると敗北効果が消える。
  • 種蒔き時/Seedtime … 緑のみ2マナ。「対戦相手がこちらのターン中に青の呪文を唱えた時」のみに追加ターン。青メタに特化したカード。青に何のうらみがあるんですかね(すっとぼけ*8
  • 時間の恐喝/Temporal Extortion … 黒のみ4マナ。唱えた時に相手がライフを半分払うと打ち消されてしまう。対戦相手に選択権があるので非常に使いづらいのだが、「唱えた時」というのがミソ。つまりコピーしてしまえば絶対に追加ターンが得られるし、オリジナル側は対戦相手がライフ半分と追加ターンのどちらを選んでも勝利に大きく近づくってわけ。
  • 引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn … 無色15マナ。唱えた時になぜか追加ターンを得るので疑似的に速攻を持つ15/15飛行、攻撃するだけで相手のパーマネントが6つ吹っ飛ぶ。つまり攻撃したら勝つ。素出しするとメリットがあるよ、という意味でつけられた能力だがほぼ素出しされずに何らかの方法で踏み倒される


また追加ターンは青の得意技で、これが「統率者戦における青は強い」とされる理由のひとつになっている。
これが開発側にはあまりよろしくないものと扱われているのか、時折追加ターン対策のカードが登場する。そのうちのひとつがタルキール覇王譚で登場したこちら。

Ugin's Nexus / ウギンのきずな (5)
伝説のアーティファクト
プレイヤーが追加のターンを始めるなら、代わりにそのプレイヤーはそのターンを飛ばす
ウギンのきずなが戦場から墓地に置かれるなら、代わりにこれを追放し、このターンの直後に追加の1ターンを行う

スタンダード当時は追加ターン自体がほとんど存在しなかったため、メタとしてはピンポイントすぎる。
それを補うかのように自分が追加ターンを得られる能力を持つが、このカードを別の何らかの手段で墓地に送らなければならず、さらに追放されてしまうので再利用ができないという非効率の極み。
言うまでもないがさっぱり使い物にならないため、当時はフェッチランド目当てに購入したプレイヤーのパックから出てきて「なにがきずなだよ!」と絶望させた。なんか闇落ちする勇者みたいなこと言ってんなお前
そもそも戦術にシナジーのない重たい対策カードなんて入れさせられている時点で不利をこうむっているわけで、こういうカードは非常にウケが悪いのだ。しかし……

Karn, the Great Creator / 大いなる創造者、カーン (4)
伝説のプレインズウォーカー — カーン(Karn)
対戦相手がコントロールしているアーティファクトの起動型能力は起動できない。
[+1]:クリーチャーでないアーティファクト最大1つを対象とする。あなたの次のターンまで、それはパワーとタフネスがそれぞれそれの点数で見たマナ・コストに等しいアーティファクト・クリーチャーになる。
[-2]:あなたは、ゲームの外部からあなたがオーナーであるアーティファクト・カード1枚を公開するか、追放領域にあるあなたがオーナーである表向きのアーティファクト・カード1枚を選んでもよい。そのカードをあなたの手札に加える。
5

どうして追放領域に触れるんですか?
このカーンを利用してきずなを回収するという無限ターンギミックをパイオニアで組むことが可能で、一時期結構試みられていた。お前追加ターン対策じゃないのかよ。
非常に高質に組まれたこのギミックは、あらゆるところから貪欲に無限ターンを開始してしまう。とはいえパイオニア自体……



「追記・修正、お願いします。」


「さぁ、もう一回!」

「追記・修正、お願いします。」


「さぁ、もう一回!」

「追記・修正、お願いします。」


「さぁ、もう一回!」


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最終更新:2024年03月28日 16:52

*1 時間を稼ぐことで時間切れを狙うというもの。MTGでは非常に厳しく罰されるが、たまにこの罰則判定をすり抜けたデッキが登場して問題になる。

*2 ただし《アールンドの天啓》は鳥トークン2体を出すという、追加ターン以外の仕事を1枚で完結させてしまっていることにも留意すること。

*3 「ハルクフラッシュ」は現在は制限強化により消滅しているデッキだが、こういう「2マナすら重い」レベルのデッキでは使わないアプローチもあるってこと。ベルチャーにも入らないレシピがある。

*4 弱かったらしい。

*5 厳密には0/0のクリーチャーにしてカウンターを6つ置く。そのためすでにクリーチャー化している土地を狙えばもっと強くなる。

*6 デュエマのボルバルザークを思い出した人もいるだろうが、多分アレの元ネタ。

*7 《もみ消し》等で敗北する効果を打ち消したり、《無限の日時計》で終了ステップをスキップすればその限りではない。ただし発売当時はそういったカードがなく、基本的に「打ちっぱなしの文字通り最後の賭け」として用いられた

*8 直前のインベイジョン時代の青が強力なインスタントをこれでもかというほど持っていたことを咎めるためのカードらしい。