時計仕掛けの虜囚

登録日 :2013/06/03 (日) 14:45:00
更新日 : 2017/06/12 Mon 12:44:02
所要時間 :約 4 分で読めます





「今日のヤマトラジオ文学館は、ラジオネーム「シロシンタ」さんのリクエストで、21世紀末の名作「観測員9号の心」です」




「まだ火星に街がなかった頃シレーヌス海のほとりに、ぽつんと恒点観測所が建っていました」

「訪れる人もなく、忘れられたかのように佇むその塔に若い観測所員が一人、まるで灯台守のように暮らしていました」

「彼には名もなく、ただ9号という数字だけが身の証・・・」




時計仕掛けの虜囚とは、宇宙戦艦ヤマト2199の第9話のサブタイトル。

14話と並ぶヤマトの異色回の一つである。



【概要】


本エピソードはアナライザーとガミロイド、そして真田志郎を中心とした物語であり、人間と機械の境界線と言うSFの王道のテーマを扱いながら、
今後の地球人とガミラス人の関係性を思わせる重要な回である。

ストーリーの展開を分かりやすくするために、架空の寓話をイラスト付きで挿入している点も見どころ。




「ある日観測所に、ウーダンと名乗る年老いた機械技師が、イヴと言う名の少女を連れて現れました」

「その出会いは神秘的でした」

「歌声に誘われて海辺へ行くと、岩の上に腰かけて歌う少女の姿があったのです」

「彼女は振り向いてこう言いました」

「あなたは誰?こんなところで何をしているの?」



【あらすじ】


鹵獲したガミラスのオートマタの再起動に成功したヤマト。
ガミラスの情報を喋ってもらうため、ヤマトのサブコンピュータであるアナライザーを通してコミュニケーションを取る。

オルタと名付けられたガミロイドは、ヤマト艦内にケーブルで接続し、その中で光り輝く女神を見る。
一方アナライザーは、オルタとの交流を契機に不具合を起こし始め・・・




「老人がイヴを船に戻してしまうと、観測員は無償に彼女に会いたくなりました」

「彼は生まれて初めて、寂しいという感情を知ったのです」

「彼は決心しました。イヴに合おうと」

「彼にはそれが、自分が何者かを知る唯一の手立てだと思えたのです」



【登場人物】


土星の衛星エンケラドゥスにてヤマトに鹵獲されたガミロイド。
破損のひどかった他の二体のパーツを寄せ集めて再起動された。
ヤマト艦内にハッキングした際、この船の女神と出会う。

ヤマトの自立型サブコンピュータ。正式番号はAUO9。
オルタとの会話を通して感情の芽生えを自覚する。

ヤマト副長。
着艦誘導の事故を受けて、アナライザーとオルタの交流を禁止する。




「イヴの皮は剥がれ、関節は捥げ、歯車とシリコンでできた機械の体が顕わになりました」

「シレーヌスの海に沈んでいくイヴの姿を、9号は塔の窓から見ていました」

「あの人形を、今はもう哀れだとは思っていません」

「自分もまた、ウーダン老人の作った自動人形だと知ったのだから」



【余談】


今回は往年の名作SFのオマージュがふんだんに取り入れられており、「時計仕掛けのオレンジや」、「アンドロイドは電気羊の夢をみるか」、「流れよ我が涙、と警官は言った」等々、
様々な作品のフレーズが使用されている。
(余談だが”アンドロイドは電気羊の夢をみるか”と”流れよ我が涙、と警官は言った”の作者は同じである)




「たった一人残された観測所の小部屋で、彼は思いました」

「あの美しい人形に心があったとしても、またなかったとしても、自分には関係のないことなのだ」


「そしてこうも思いました」


「私の心がこのようにあることは」



「私だけの、秘密なのだから」




犬・・・猫・・・女神・・・追記・・・修正・・・


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