仙界伝弐(藤崎竜版封神演義)

登録日:2012/06/01 Fri 08:33:06
更新日:2024/03/22 Fri 09:22:49
所要時間:約 6 分で読めます




ワンダースワンカラー用に発売されたRPG。
仙界伝』の続編にあたり、フジリュー版封神演義終了後の世界を描いている。半公式の後日談みたいな作品である。

原作で死に別れた師弟達や過去の因縁を綺麗に消化してくれたり、うやむやだった設定を補間してくれたり、と原作ファンなら一度はプレイする価値あり。
オーソドックスなターン制RPGながらもゲームバランスがよく、システムも悪くない。何より自由に原作キャラクターを連れ歩き親交を深めることが出来るのが一番楽しめる要素かもしれない。

主人公は大人になって周で将軍となって仕官している黄天祥。何をトチ狂ったかウニ頭。
原作終了後の数年間を仙人界で修行して育ち、未だ暴れる妖怪仙人達を撃退する役目を与えられて人間界に降りた。あくまでも本職は周軍の将軍の方である。



ここからネタバレを含みます










ストーリー

ある日、天祥に遺跡調査の依頼がくる。宝貝でも傷一つ付けられない遺跡に穴をあけたらしい、変な隕石を見つけて拾う。
悪徳ロリータの変化に騙され、数多の天然道士の中でも天祥特有とされる強力すぎる「気」をもって、封神フィールドの要となっていた「龍脈」を破壊してしまう。
そのせいで封神していた魂魄が全て自由になってしまい、天祥は事態の収拾を図るべく崑崙山2にあがる。龍脈を直接破壊できるのは雷公鞭くらいのものだと思っていた仙人達全員ドン引き。

龍脈の修復を目指して各地を転々としているうちに、周を深く恨む魔家四将や、完全に愉快犯の趙公明、神界構想に否定的な十天君、出番が遅い九竜島の四聖、何故か敵に回っている黄飛虎(偽)なんかと対峙していく。やはり見え隠れするも真意を明かさない妲己
それと同時に天祥は太公望の創り上げた「仙道のいない世界」において、仙道でもなくただの人間でもない自身のイレギュラーな側面に思い悩まされる。





さらに盛大にネタバレ









今回の黒幕はやっぱり妲己。
原作で妲己が女カの身体を使って大地との融合を試みたのはご存知のところであろう。

しかし、実は先に大地と融合していた始まりの人「神農」に弾かれ、やむなく大気と融合していた。
まがりなりにも地球の一部と融合したことで 幸か不幸か地上の全てを知ることとなり、密かに神農の肉体を確保した。
天祥に龍脈を破壊・修復させ、神農と大地の影響力を弱めることで、自らの悲願である真のマザーアースになり、 ひいては新たな歴史の道標の座に就くために今回も派手に暗躍していた。

(ちなみに「神農は大地、軒轅は生物、燧人は鉱物と融合した」らしい。伏犠、女媧と来れば予想が付いた人も多かろうが、原作で名前が呼ばれなかった始まりの人達も所謂「三皇五帝」が元ネタだったことがわかる。祝融ェ…)

…と、女媧の末路どころかここまで妲己の行動までもが、融合する以前に神農が書き残した歴史書に記されていたりする。しかも、神農の歴史書は妲己の独り勝ちで詰んで終わっている。




最後までネタバレ










最終決戦

始まりの人のオリジナルの身体には全ての宝貝が効かない。太公望のチート万仙陣もない。仙道集結の元に総力戦を繰り広げるも、もはや打つ手なしかと思われたその時、先日遺跡で拾った石をやけくそで投げつける天祥。
始まりの人は始まりの人由来でないもの=隕石には滅法弱いことがわかり、天祥の石と前作主人公(隕石が長い年月を経て妖怪仙人になった)の攻撃で神農の肉体を破壊することに成功する。

しかし、妲己は胡喜媚をスペアとして神農に変化させ、それに借体形成の術で憑依、王貴人の石琵琶を最強の武器にして、妲己神となって立ちはだかる。
今度の神農ボディはあくまでレプリカの身体なので宝貝も通用するが、申公豹をも退ける圧倒的攻撃力と即座に進化する変化能力を以って苦戦を強いられる。原作では見られなかった三姉妹の完璧な連携を見せてくれたとも言える。
天祥の石が放つ光で味方をなんとか守りながら、最終的には(ほぼ)気合で妲己神を撃破。
前作主人公が弱った三姉妹の魂魄を光に変換し、天祥が石に封印することで、ついに妲己の野望は潰えた。
世界は今度こそ歴史の道標が介在しない、新しい歴史を歩み始めるのだった。






後日談

神界は故・元始天尊(既に老衰で弱っていた上、呂岳がけしかけた不治のウイルスを患い虫の息だった。王貴人にほぼ無抵抗でトドメを刺され逝った)に代わり、前作主人公と燃燈の二人で管理することで元の鞘に収まった。
天祥のその後は、仙人として神界に引っ込み人間界から消えるパターンと、仙道の力とコネを封印してただの人間として生きるパターンがある。天然道士ではよくも悪くも人間界に影響力を持ちすぎる、という着地であった。
仙人界に上がる場合は数十年の修行の後に「北斗星官」という神に封じられたと語られる。
人間界に残る場合は周の鎮国武成王に就き、武王もその後長生きするなど大きく史実と異なる歴史を紡いでいったらしい、とされる。




やりこみ要素

条件が厳しいヤツもいるが、総勢20キャラを仲間に出来る。
封神計画当時子供だった天祥は崑崙の旧幹部クラスとはあまり面識がない反面、当時殷側だった大物達が好意的に接してくれる。選択肢次第では聞仲も参入する上、殷郊や張奎夫妻も協力的。
勿論ほとんどの仲間は友好度を上げるとイベントが発生し、新技を解禁したり、デレる。
太公望については「クリア後に封神台を徒歩で最下層まで踏破してスープー谷を出現させ、老子を仲間にし、普賢の友好度を上げてゴマ団子をあてがい、老子と普賢を連れて説得に行く」。これでやっと仲間に加わる。太公望なりに考えあって同行を渋っているのだが、あんた本当は怠けたいだけじゃねえの?
順当に仲間を増やしていくとおそらく最後に加入するのは武吉。武吉かよ…。
裏ボス扱いの申公豹は太公望が仲間にいる状態で桃源郷の入口に行くと遭遇できる。低確率のランダム出現だが何度でも戦えるので、クリア後にレベルカンストさせたい人は申公豹をタコ殴りにしよう。

余談だが、豊邑の町外れには明らかにフジリューデザインの陸圧道人がいる。原作に出なかったくせにデザインだけしたのか。
本編中はずっと電波なことをのたまっているが、クリア後に申公豹を倒してから話しかけると復活の玉をくれる。









追記・修正は残光石を拾ってからお願いします。

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最終更新:2024年03月22日 09:22