ゴールド・エクスペリエンス(ジョジョの奇妙な冒険)

登録日:2010/08/02(月) 10:45:53
更新日:2023/11/16 Thu 19:14:41
所要時間:約 10 分で読めます





生まれろ…… 生命よ…

生まれろ新しい命よ…


『ゴールド・エクスペリエンス(黄金体験)』とは、『ジョジョの奇妙な冒険 Part5 黄金の風』の主人公、ジョルノ・ジョバァーナスタンド能力


破壊力 - C
スピード - A
持続力 - D
射程距離 - E(2m) (アニメ版だとCに変更)
精密動作性 - C
成長性 - A


【概要】

ジョルノ・ジョバァーナの操る人型スタンド。
スマートな機械的なデザインで、瞳がないライト状の眼をしている。
デザインのモチーフはてんとう虫。

メインカラーはゴールドとパールホワイト。装飾はレッド(原作)かマゼンダ(アニメ)。

なお、海外版では大人の事情『Golden Wind』の名称になっている。


【能力】

殴った物に生命エネルギーを与える能力を持つ。
その効果は対象が物体か生物かで変わり、

○物体に生命エネルギーを与えたとき


  • 物体に生命が宿り、植物や小動物に変えることが出来る。
  • どんな生物を生み出すかは本体であるジョルノの意思で決める事が出来、時間差での発動も出来る。
  • 生まれた生物は本物の生物と変わらない習性や特徴を持ち、ある程度の行動の制御も可能。誰かの持ち物に生命を与えれば、所有者の元へ帰ろうとする生物を生み出せる。
  • 生物が生きられる環境なら、例えどれだけ過酷でもそれに適応した生物が生み出せる(猛毒ガスが充満しているならその抗体を持った生物を生み出せる)が、
    超低温下などの生物が生身では絶対に生きられない環境では生み出せない。
  • 植物に変えた物体は最終的に樹木にまで成長出来る。その樹木を切り出すと材木(物体)となり、能力解除される。
  • 生まれた生物に攻撃すると、その攻撃した者に同じ攻撃のパワーを反射する。
  • 自分の肉体の一部のみならず、切り離された身体の一部や体外に出て固まった血液も生物に変える事が出来る。
  • スタンドの成長により、物体を肉体の部品に変えて欠損した部分に埋め込むことで傷を治療できるようになった。
    ただし身体のパーツを作ってくっつけるだけなので、パーツが馴染むまでは傷の痛み自体は消えない。
    完全に定着すれば、能力が解除されたとしても元の物体に戻ってしまうなんてことはない。


○生物に生命エネルギーを与えたとき


  • 生物に過剰な生命エネルギーを与えることで、意識や感覚を暴走させ、全ての動きをゆっくりに見えさせ、動きも非常にスローにする。
    発動中は自身もゆっくりになってしまうので場合によっては自分もピンチになる。
    また、エネルギーを与えられた相手は感覚が鋭敏になってしまうため、ダメージを受けると実際よりも痛く感じるソレをゆっくりと受けることになり、
    何回も続けて攻撃されたりするとゆっくりとその痛みを受け続ける羽目になり、痛みのショックで死んでしまう*1
  • 常緑樹の根に生命エネルギーを与え続けることで急速に成長を促進し、一気に一生を終わらせて枯れさせる。

なお、効果の中には使いにくい為か、中盤以降使用されなくなったものもある。
ダメージ反射については「そいつはまだ自分に従順じゃない」と言っていることから、スタープラチナ同様最初はコントロールができず、自衛反応として勝手に発現していた可能性が考えられる。
実際、ブラックサバス戦で見知らぬ老人のために怒りを覚えて精神的に成長した後は反射しなくなっている(その前にブチャラティ戦があるが直接殴るしかしていない)。

○その他

三部以降の主人公のスタンド(『スタープラチナ』、『クレイジー・ダイヤモンド』、『ストーンフリー』)の中では唯一、パワーがAではない。
しかし、ジョジョ主人公お決まりの、拳や蹴りのラッシュ攻撃をすることはジョルノもあり、その際は「無駄無駄」「WRYYYY(ウリャー)」と連呼する。

また、チョコラータの『グリーン・ディ』との戦闘にて、ジョルノが『ゴールド・エクスペリエンス』を「近距離パワー型スタンド」と称しているところを見ると、
成長性が『A』であることと、この戦いまでにかなりの実戦経験を積んでいることを踏まえると、パワーが『B』くらいまで成長していてもおかしくはない*2


○弱点

スタンドの射程の短さと、スタンド本体での打撃が主たる攻撃手段であること。

このスタンドの特性上、攻撃する際にはスタンドもジョルノ本人も相手に肉薄しないといけないのだが、
似たタイプのスタンドである『スタープラチナ』や『クレイジー・ダイヤモンド』ほどは格闘戦に強くない上、
『ザ・ワールド』の「時間停止」のように、特に下準備せずとも射程の短さを補える特殊能力を持っているわけではないので、
特に格闘戦に優れたスタンドを持っている敵と戦う場合は、その反撃や迎撃を受けやすい。

生命エネルギーを操る能力も対象に拳で触れないと発動できないため、拳を負傷すると戦闘力は大きく削がれてしまう。
なので、『ノトーリアス・B・I・G』のように触れること自体が危険な相手には基本的に打つ手がない。
ジョルノは動植物を作り出す攻撃で相手の死角を突くことでこれらの弱点をカバーしていた。

また、ハッキリ明言はされてないが、劇中を見る限りではどうやら哺乳類や鳥類などの、「精神性に対して高い知能を持つ生物」には変化させられなかった様子。*3

なお、射程距離に関しては描写でややブレがあり、ポルポの独房の奥にあった拳銃をバナナに変えるシーンなどは明らかに2mの範囲を超えている。
他にも暗殺チームの追跡を逃れる際に自動車10台をカエルに変えるシーン等ではどう見てもスタンドだけが広範囲に動き回っている。
このためか2018年10月から放送されたアニメ版第1話のスタンドパラメーターでは射程距離がCに変更されている。


【余談】

  • 生命を吸い取る吸血鬼(DIO)に対する生命を産み出すスタンド
  • 吸血鬼の弱点である『太陽』を表すてんとう虫がモチーフ
  • 枯れかけた命(花)を甦らせる、殴った敵に過剰な生命エネルギーを与える…など、波紋法との共通点が多い
…など、強烈な吸血鬼(DIO)へのアンチテーゼが籠ったスタンドである。
かつて死にゆく前に足元に波紋で花を咲かせた黒騎士ブラフォードと、死亡したナランチャの周りに花を咲かせて弔ったシーンをだぶらせた人も多いだろう。
もしかしたら、ジョルノの中に流れるジョナサンの血が発現させた「対・吸血鬼(DIO)」とも言えるスタンドだったのかもしれない。

名前の元ネタはプリンスのアルバム『The Gold Experience』から。
荒木氏がプリンスを最も好きなアーティストと公言していることは有名な話だが、「黄金の風」と言うサブタイトルや作風、スタンド能力*4も本作から強い影響を受けている可能性が高い。
また、このアルバムの発売日は1995年9月26日と5部開始時点(1995年12月11日)ではほぼ新アルバムに近い存在だった。
余談だがこのアルバムの発表当時(1994年~2000年)、プリンスは「♂」と「♀」を混ぜたようなシンボルマーク(読みは存在しないが便宜上「ラブ・シンボル」と呼ばれることが多い)に改名して活動をしていた。
これに似たシンボルマークが4部後期で空条承太郎東方仗助の服装にも描かれているが、関係性は不明。


以下、第5部終盤のネタバレ注意











終わりのないのが『終わり』


ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム

第五部のラストにて『ゴールド・エクスペリエンス』が“矢”に貫かれる事で発現した『レクイエム(鎮魂歌)』
CV:朴ロ美(ゲーム版黄金の旋風)/渡辺美佐(ASB、EoH)/小野賢章(アニメ版黄金の風)

破壊力 - なし
スピード - なし
持続力 - なし
射程距離 - なし
精密動作性 -なし
成長性 -なし
※なし=測定不能。通常のスタンドの概念を超越しているため、パラメーターそのものがもはや意味を成さない。

【概要】

""に貫かれた直後『ゴールド・エクスペリエンス』の中から脱皮するように出現。
シルエットは人型のままだが細部のデザインが変化。目に瞳があり額には"矢"が付いている。
同じく"矢"によって進化した『チャリオッツ・レクイエム』は進化直後に本体が実質死亡したためか暴走状態に陥ったが、
こちらは進化してからも本体であるジョルノが健在なためか、進化前同様、ジョルノの意思でコントロールできる。

一方、「スタンドを超えたスタンド」に到達した影響か、スタンド自身の『自我』が発現しており、ジョルノの意識が無い状態でディアボロに対し自発的に言葉を発する場面もある。

進化後も従来の生命エネルギーを与える能力は健在で物体をより強力なエネルギーを纏った生物へと変化させることが出来る。
一見すると進化前の能力が強化されただけに思えるが、実はもう一つ新たな力、「動作や意志の力をゼロにし、真実に到達することを出来なくさせる能力」
……簡単に説明すると自分へのありとあらゆる攻撃などを無効化する能力を得ている。


【考察】

正確には『レクイエム』の能力は、地球上の全生物の精神の力を束ね「人類が進むべき正しき未来への道」へと歩んだ精神、「未来の意識」をかりそめに目醒めさせ、
『ゴールド・E』に宿らせることである。
この「未来の意識」というものは、『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム(以後『GER』と表記)』とジョルノの存在を、「今」に対して「未来」へと引き上げる力を持つ。
これにより「今」の世界と『GER』の間に『GER』を頂点とした「時間の坂」が生じる。

このことにより、ジョルノに攻撃しようとするものは自然と「時間の坂」を登る事になる。
しかし、「今」にいる物にとって「未来」である「時間の坂の頂点」にたどり着く事はできない為、攻撃は『GER』に届く事はない。
そして攻撃した者は「時間の坂」によって周囲の時間と共に坂を下り、「今」へとずり落ちて「逆行」してしまう。
その為、攻撃が「なかった事に」されてしまう。

逆に『GER』が攻撃する際、攻撃は「未来」から「今」へ「時間の坂」を転がるように加速する。
この攻撃は「未来」から放たれる為、予知能力などを持たない限り放たれた瞬間を認識できず、防御や回避ができない。
更に『GER』が対象を直接殴った時対象は『GER』に接近される為「未来」で殴られ、「今」へと落とされる。
通常、殴られるなどの因果により与えられたダメージというものは、

「この前殴られたので傷ができた(過去)が治った(今)」

といったようには時間の流れと共に傷が治る事で完結するが、強引に「未来」に植え付けられた因果は絶対に「今」で完結する事はない。
よって『GER』によって受けたダメージは治ってもそれによって傷がついたという因果が解決せず、何らかの要因で同じ傷がつく。

つまり、『GER』の拳によって殺された場合、死亡したという因果が決して終わらないため、
その者は『死→死の直前まで逆行→死→また逆行…』という地獄のループを永遠に繰り返す事となる。
その死から逃げても、別の要因による『死→逆行』というループが止まらないので、
ディアボロ曰く『俺のそばに近寄るなぁー!!!』ということになる。


(※注)
実際はほぼ一度きりの発現であり検証できるほどのサンプルが全くない為、あくまでも仮説のひとつと取ってもらいたい。

「敵に攻撃されても、その攻撃が自分に危害を及ぼす前に「敵が攻撃を実行する直前」まで強制的に巻き戻す」という方法で敵の攻撃を無効化する無敵に近い能力であり、
さらに、『キング・クリムゾン』が消し飛ばした時間の中で繰り出した攻撃、つまりは本体であるジョルノの意識外からの攻撃にも問題なく作用していることから、
ジョルノが攻撃や襲撃者を例え認識していなくとも、「攻撃された」という事実にオートで反応して発動する模様。
ただし、例えば「敵意に因らない偶然の事故」など、敵意が介在しない危険にも反応するのかは不明である。

なお、『GER』による「巻き戻し」が起こった場合、それによって「巻き戻し」の原因である「敵の攻撃」自体が無効化、つまり「なかったこと」になるため、
それによって「攻撃に対して『GER』の能力が発動した」という「結果」すらも「なかったこと」になる。
そのため、『GER』の能力とそれが発動したことは、「攻撃をした敵」(作中ではディアボロ)にしか認識できず、それ以外の者は例え本体であるジョルノですら認識できない。
ただし、認識できないとはいえ、『GER』の本体であるジョルノは直感的に「『GER』の能力で敵に何かが起こった」ことを察している他、
直後の『GER』の攻撃で敵が(ジョルノの世界上で)絶命した場合「もう敵は『どこにもいけない』」(=脅威ではなくなった)ことを、(理由は彼自身にも分からないが)確信していると話している。

その後もディアボロは世界のどこかで様々に死に続け、「ローマではない場所」にワープしていることから世界中を死ぬために移動していると思われる。
続編のストーンオーシャンでスルーされているのは当然のこと、恥知らずのパープルヘイズなどの5部外伝でも考察されず単に死んだ扱いになっている。
プッチ神父による世界の一巡によってディアボロが解放されたかは、荒木神のみぞ知る。






コレが………『レクイエム』……………ダ!!
オマエが見テイルモノハ確カニ『真実』ダ

確カニオマエノ能力ガ実際ニ起コス『動き』ヲ見テイル……

シカシ………実際ニ起コル『真実』ニ到達スルコトハ決シテナイ!

ワタシの前ニ立ツ者ハドンナ能力ヲ持トート絶対ニ!行クコトハナイ

コレガ

『ゴールド・E・レクイエム』




追記・修正は、『黄金の精神』を探し出してからお願いします。

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最終更新:2023年11月16日 19:14

*1 あくまで一度、感覚が暴走した状態で殴られた経験から来るブチャラティの予測で、実際にそれが死因となったことはないが、職業柄殴り殴られに慣れている彼が「耐え切れない」と感じるほど、感覚が暴走した状態でのダメージは強烈なのだろう

*2 『ゴールド・エクスペリエンス』のパラメータは(おそらく)劇中で初めてブチャラティと出会った時点でのものであるため

*3 序盤ではほとんど描写されなかったが、中盤で人間の部位を、終盤でディアボロとの最終決戦で壊されたミスタの拳銃の部品をモグラに変えたシーンが描写された。妥当に考えれば、ジョルノの精神性が成長したからであり、以前は本当に変えられなかったのだろう。

*4 本アルバムは1994年にリリースされた『Come』と言うアルバムと対になるように制作された。これは「死」をテーマに制作された徹頭徹尾暗い雰囲気のアルバムで、対して「再生」をテーマに作られたのが本アルバムとのこと。