ゴジラ(1954)

登録日 :2011/03/20(日) 01:14:19
更新日 : 2017/08/15 Tue 02:08:18
所要時間 :約 6 分で読めます







ゴジラか、化学兵器か、驚異と戦慄の一大攻防戦!
放射能を吐く大怪獣の暴威は日本全土を恐怖のドン底に叩き込んだ!


 ゴジラ 






1954年11月3日に東宝系にて公開された日本初の『本格的特撮映画』
同時に、日本初の『怪獣映画』である。
観客動員数961万人

次作 「ゴジラの逆襲

□主要スタッフ
原作:香山滋
制作:田中友幸
監督:本多猪四郎 特技監督:円谷英二
音楽:伊福部昭

□由来
東宝の田中友幸プロデューサーは円谷英二が手掛けた映画の高評価を受けていたことから、『特撮映画』の時代が来ることを確信。
当時、問題になっていたビキニ環礁での「核実験」とそれによる「第五福竜丸の被爆事件」にアイデアに、
「ビキニ環礁海底に眠る恐竜が水爆実験の影響で目を覚まし、日本を襲う」という企画を立てた。
(なお、同時期に円谷氏は大ダコが日本を襲う映画を考えていた。こちらが採用されたら果たして日本の怪獣史はどうなっていたか……)

名前の由来はゴリラ+クジラでゴジラ

これはそれぞれ陸と海で最強と思われる生き物として採用された。
(一説には直接この名前を作ったのではなく、この愛称の社員から拝借したとも)

原作を作家の香山滋に依頼し、東宝のベテランたちも召集、更には通常の三倍以上の7000万円(当時) *1 もの予算をかけて撮影を開始した。

特撮班の文字通りの『不眠不休』の活躍もあり映画は無事に完成。
会議において全ての方針が決まった際に「最早成功間違いなし」と太鼓判が押され、その東宝での完成試写ではあまりに素晴らしい出来に、惜しみない拍手が送られたと言われる。

当初は「ゲテモノ 映画界をまかり通る」など散々な酷評を受けていたが、いざ公開されると空前の大ヒットを飛ばす。
東宝の同年度の初日動員観客数の記録を塗り替え、当時の日本人の十人に一人はこの映画を見たと言われている。
あまりの観客の多さに田中プロデューサーもチケットもぎりに出たとか……
尚、香山氏と親しい作家や、三島由紀夫は早い段階から高い評価をしていた。

また後の怪獣ブームや「大怪獣ガメラ」(大映)や「宇宙大怪獣ギララ」(松竹)や「大巨獣ガッパ」(日活)を生み出すきっかけになった。


□あらすじ

太平洋で航行中の船が突如として次々と沈没。唯一生き残った大戸島の漁師は「巨大な怪物」を目撃したと語る。
取材に来た新聞記者たちは島の長老から海に住むという伝説の魔物「呉爾羅(ゴジラ)」について聞かされる。
(因みに大戸島は作中で言及された緯度経度から現実世界の硫黄島周辺だとされる。)

その夜、嵐と共に「巨大な怪物」が島に上陸。建物を破壊し海へと姿を消す。
村長の報告や陳情を聞いた政府は調査団を編成。古生物博士の山根博士やその娘・恵美子、彼女の恋人でもある尾形が島へ向かった。

そこで彼らが見たのは放射能で汚染され、押しつぶされた家々であった。
そして山根博士は巨大な足跡のそばで本来あるはずのない三葉虫を発見する。

そんな中、巨大な足音が鳴り響き山の奥から怪物が上半身だけ出して現れる。

『ゴジラ』

幸いにもこの時は被害を出す事なく海へと姿を消した。

東京へ戻った山根博士は国会でこの事を報告するが政府は周辺海域で魚雷掃射を行ったのみだった。
その後東京湾上でクルーズを楽しむ人々の前に再びゴジラが姿を現す。
この時は事前偵察だったのか姿を見せただけであったが人々はゴジラの脅威をようやく実感し始めた。

その頃ある新聞記者は山根博士の弟子で天才科学者と呼ばれていた芹沢博士を尋ねる。
博士は記者の質問を軽くいなしたが恵美子にのみ自身の禁断の研究の成果を見せる。

その日の夜、ゴジラは初めて東京の芝浦ふ頭付近に初上陸する。
最初に品川駅と品川運転所付近を破壊し知らずに運転し足に衝突してきた国鉄EF58形電気機関車も破壊する。
その後は八ツ山橋を破壊し、あっさりと海へと去った。

人々は恐怖におののき、疎開を始め自衛隊は5万ボルトの電流を流した高圧送電線式の鉄条網を東京湾沿岸に張り巡らせる。
しかし、再度ゴジラは東京へ上陸し設置した高圧電流も防衛隊火力部隊の攻撃もものともせず、放射火炎を撒き散らし防衛戦を安安突破してしまう。
その後新橋から銀座へと移動し進路を左に変え皇居を時計回りに半周する形で

  • 銀座松坂屋
   ↓
  • 和光ビルの時計塔
   ↓
  • 日本劇場
   ↓
  • 国会議事堂
   ↓
  • 平河町のテレビ塔(と報道陣)

を次々に破壊する。
その後経路が不明ながらも、上野→浅草→隅田川へと移動し最後に勝鬨橋をひっくり返した。

最後にゴジラは遅れてきた航空自衛隊の攻撃をものともせず、再び東京湾へと姿をくらます。
しかしゴジラは「1度限り」という条件付きで芹沢博士が作り上げた水中酸素破壊剤オキシジェン・デストロイヤーにより消滅する。

だが芹沢博士は自らの発明が「水爆以上の破壊兵器」となることを恐れ、ゴジラと共に海へと消える……
そして、40年後……



□登場怪獣
身長:50メートル 65mある国会議事堂踏み潰してたけどな!!
体重:2万トン
武器:放射能火炎
ジュラ期から白亜紀に生息して海生爬虫類と陸上爬虫類の中間型の生物の生き残り。
水爆実験により海底の住処を追われ、人間の前に姿を現した。
自衛隊に攻撃にもびくともせず東京(進行ルートは第2次世界大戦における東京大空襲と同様になっている)を火の海に帰す。
その後海にいるところを芹沢博士のオキシジェン・デストロイヤーで体を溶かされ死亡。

山根博士により大戸島に伝わる伝説の怪獣「呉爾羅」から「ゴジラ」と命名された。

水爆や原子爆弾のキノコ雲をイメージされたデザインをしておりこの頃は今と比べても非常にゴツゴツした頭部をしている。 


□登場人物
  • 山根恭平(演:志村喬)
古生物学者。大戸島でゴジラを発見し政府へと報告した。
生物学者の為、貴重な生物であるゴジラの抹殺には否定的。
『私は見た! 確かにジュラ紀の生物だ!』
ジュラ紀の時期をおもいっきし間違えているが、気にしては絶対にいけない
次作の「ゴジラの逆襲」にも少しだけカメオ出演している。

  • 尾形秀人(演:宝田明)
南海サルベージ株式会社所長。
恵美子とは恋人同士であり、彼女と大戸島に同行しゴジラと遭遇し、その脅威と最期を見届ける。
一応主演だが、制作サイドも宝田氏自身の認識でも主人公はあくまでゴジラな上に、人間キャラの活躍も芹沢の方が目立っている人。

  • 山根恵美子(演:河内桃子)
山根博士の一人娘。尾形とつきあっている。後にゴジラVSデストロイアでも年月を経た姿で登場。

  • 新吉(演:鈴木豊明)
大戸島に暮らしていた少年。
人間で初めてゴジラを目撃(したと思われる)人。
ゴジラにより兄と母親を殺され孤児になるが山根博士に引き取られる。

  • 芹沢大助(演:平田昭彦)
恵美子の元婚約者。山根博士の養子になるはずだったが、戦争により片目を失い婚約を破棄。
今は研究所に引きこもり、研究を行っている。
初登場時は少しキャラが違う。
『恵美子さん、君だけに見せてあげようか。その代わり、他の人には内緒ですよ』
オキシジェン・デストロイヤーで海にいる初代ゴジラを骨にして倒し、今後このような兵器を生み出さないよう兵器もろとも海に沈んだ。
だがこのことが41年後デストロイアを生み出す要因になるとはまさか思わなかっただろう……。

ちなみに外の人の平田昭彦はバランを特殊火薬で倒し、
さらに12年後にはウルトラマン科学特捜隊の岩本博士になり初代ウルトラマンでも倒せなかったゼットンをペンシル爆弾で倒している。
その他にも遊星人ミステリアン、ガラモン、初代メカゴジラの撃退にも貢献し、謎の飛行物体=ラドンの正体を暴いている。
30年後の1984年のゴジラにも出演意欲を燃やしていたが奇しくもその年に癌で死去し叶わなかった。
『ゴジラVSデストロイア』及び『ゴジラ×メカゴジラ』では本作の白黒ライブフィルムで登場している。

ドリームキャストのゲームでは何故か巨大化し、オキシジェンデストロイヤーの容器から電撃を放って戦う。
思いついた時点で正気ではないが、遺族はノリノリで許可を出したそうな。

  • 国会議員たち
ゴジラの存在を国民への発表を巡って討論を繰り広げる。
特に菅井きん演じる女性議員のアツさがいい。
『バッキャロー! 何を言うか!!』

  • アナウンサー
ゴジラがテレビ塔に向って進んでくる模様を中継し、自身が死ぬ直前までリポートし続けた男。
「我々の命もどうなるか……ますます近づいてまいりました。いよいよ最期です! 右手を塔にかけました。
 もの凄い力です。いよいよ最期、さようなら皆さん、さようなら…………」はゴジラの脅威を命がけで伝えた名レポート。
(が、法律的に見れば残された家族に保証がなにもされない行為をしたという点で突っ込まれる不憫な人)



余談


●「放射能で巨大化した」というゴジラだが、放射能という単語を間違って覚えさせる最大の要因は間違いなくコイツであろう。
というのも、放射とは文字通り「放射線を出す能力」という意味である。
決して物体の名前ではないのだ。ちなみに物質だったら「放射性物質」となる。

●この頃は放射能火炎は別名を白熱光というように「炎やガスを吹き付けて燃やす」ような描写だが、次第にパワーアップ。
後のFWまでいくと完全に波動砲になってしまった……。

●芹澤博士の「腕捲りの白衣」、「片目の眼帯」という特徴的な出で立ちや、
オキシジェン・デストロイヤーなどは、しばしばマンガなどのネタにされることがある。

●本作の出来事は特に『ゴジラVSデストロイア』に直結する内容になっている。

●『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』における東京襲撃シーンは本作と同じように再現されているが、オキシジェン・デストロイヤーで倒されておらず、そのまま生き延びている設定になっている。

●ちなみにゴジラに関しては劇中のセリフにもある通り骨まで溶けているものの、
機龍二部作では骨だけは残ったという設定に変更されている。
骨をメインフレームにし機龍が作られある意味本当の「メカゴジラ」になった。
機龍二部作に登場するゴジラは裏設定だが、機龍に骨が使われたゴジラ=初代ゴジラの息子らしい(製作者談)。

●次回作以降は怪獣との対決ものがメインとなり、本作以降で怪獣が登場しないのは今のところ 1984年の『ゴジラ』(対決はしないがショッキラスは登場する)、2016年の『シン・ゴジラ』の2作品のみ。

伊福部昭が作曲した『メイン・テーマ』はその後もゴジラの登場曲として使われ続けている。
伊福部氏と円谷氏はゴジラ以前から「名前は知らないが顔は知ってる飲み仲間」だったらしく、現場の初顔合わせでお互いの素性に仰天、そのまま仲良く作品を作り上げた。

●初めて作られた事もあってかノウハウがなく、各方面に物議を醸す事となった。
特に銀座の破壊シーンに登場する建物は 関係者に無許可 で勝手に破壊してしまい、
松坂屋の社長は 「縁起でもない」 と怒り狂い、和光本社に至っては 以後2年間ほどは東宝の一切のロケ使用を許可しなかった。
一方で最初に破壊された品川駅を管理する国鉄は特に何も言わなかった。
それどころか後にJR移管後には品川駅のホームにゴジラをモデルにした記念のマークを作るほど好意的(?)だったりする。

なお、映画を見た客が「本当に壊されたのか」と気になってロケ地に確認に行き、そのままついでに利用してゆく宣伝になると判明。
その後は怪獣映画で壊される=その建物の宣伝と定着してゆく。
ぶっ壊された瞬間に喝采を浴びたという国会議事堂はその後も怪獣達によって虎視眈々と狙われており、
ゴジラVSモスラではモスラが繭を貼り、ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOSではゴジラ総決算として久々にゴジラによって粉砕された。

放射能を撒き散らし、無差別な破壊を生み、女子供を問わず犠牲者を出すゴジラが「原水爆」や「戦争」の比喩であることは間違いない事実である。
しかし問題は、ゴジラがオキシジェン・デストロイヤーなる「 仮想の兵器に倒されたこと 」にある。
これは、「人間が実際には『原水爆』や『戦争』を完全に止めるすべを持たないこと」を意味することにほかならない……

ゴジラ映画で恐怖と言えばGMKも恐怖のゴジラを描いているが、こちらがゴジラ自身の恐怖を主に描いているのに対して
この初代ゴジラが示しているのは 核兵器への恐怖
そしてなによりも 戦争への恐怖 である(ゴジラが通ったルートを考察してみると…)


第1作目とだけあって後に続くシリーズとは明らかに方向性と空気が違い、
東京を蹂躙し暴れまわる姿に、正義のゴジラや平成シリーズで育った子供達にはトラウマを植え付けかねないかも。

だが、ラストの山根博士のセリフにもあるように核の恐怖を正面から描ききり、
核兵器という人類の兵器によって生み出されたゴジラが人間の都合で葬られるという人間のエゴをこれでもかと写し出した紛れもない傑作と言える。

多大な犠牲者を出し、ストーリーでは悪役でしかないゴジラだが、人の業が生み出し、最期は溶けて死んでいく姿は余りにも哀しい。
原作者香山氏は試写においてゴジラの孤独な死に一人男泣きし、出演者や視聴者からも「ゴジラが可哀想」という声があった。
後に正義の使者となったゴジラの姿は、そんな「可哀想なゴジラ」から生まれたものなのかもしれない。

やたら強気の女性国会議員、
本編のモブの「また疎開かぁ、嫌だなぁ」「せっかく長崎の原爆から命拾いした大切な体なんだもん!」
「もうすぐお父ちゃんのところへいけるのよ!」という台詞は、まだ戦後間もない製作時期を如実に表している。

『快獣ブースカ』第1話「ブースカ誕生」では本作の映像が流用されている。
ブースカは元々ゴジラのような怪獣になる予定だったが失敗でイグアナのような姿になった。


DVDには宝田明氏のオーディオコメンタリーを収録。
撮影時の裏話や当時のスタッフ、キャストの思い出を語っている。

中には平田氏に女遊びや酒を教えたとか、河内さんのおっぱいを偶然見てしまったとか、宝田氏の楽しい思い出もある。


原作を務めた香山氏は山根博士をややマッドに描いており、
ゴジラ対策の高圧電流のスイッチをこっそり破壊したり、最後は狂ってしまっている。


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「いよいよ最後 さよなら皆さん さようなら」

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