ツングースカ大爆発

登録日:2012/05/06(日) 13:36:23
更新日:2023/12/16 Sat 01:22:47
所要時間:約 4 分で読めます




ツングースカ大爆発とはロシアの奥地ツングスカでおこった謎の大爆発である。


ツングースカ事件やツングースカ大火球などさまざまな呼び名がある。
事件は第一次世界大戦が勃発する6年前、未だ日露戦争の傷癒えぬロシアでおこった。

1908年6月30日早朝、ロシアの奥地ドカメンナヤツングスーカ川上流。

巨大な閃光を放つ物体が高速で森林地帯へと落下していき大爆発をおこした。

爆心地半径30Kmを焼きつくし2千平方Kmの樹木がまたたくまになぎ倒され
爆心地から1000Km離れた民家のガラスが割れるほどの強烈な空振も発生したという。

その威力はTNT火薬に換算して5メガトン(5~15メガトンとされていた時期もある)もあったと考えられている。
広島、長崎に投下された原爆の威力が15キロトンであるのでおよそ原爆の333.3倍にも及ぶ大爆発であった。
この時生じたキノコ雲は数百キロの広範囲にわたり観測でき、爆発から数夜に渡って周辺*1は夜空も明るかったという。


これほどの大爆発であったが幸いにもツングースカはロシアの奥地であったため集落は存在せず。犠牲者は一人もいなかった。
もっとも奥地であったこと、爆発の威力の凄まじさから仮に犠牲者がいてもわからなかっただろうが。



これほどの大事件なのだから当然子細な調査を……といいたいところなのだが、
当時のロシアは未だ日露戦争を終えてまもなく、ロシア革命も秒読み段階という非常に不安定な状況下にあり調査が行われる事はなかった。

結局最初の調査が行われたのは爆発から13年後、ソビエト連邦が成立してからであった。


4度にわたる探検調査が行われたが長年詳細はわからず仕舞いであった
当然「隕石」説が有力だったのだが大規模爆発なのに隕石が見つからなかったために、一時期は「彗星爆発」説が有力だった。
他にもガス噴出説やブラックホール出現説にUFO落下説、尻忍法究極奥義ヒップメテオ説なんてものまであった。

爆発した物体の大きさは3~70mと類推された。


因みにソ連が開発した史上最大の水爆、ツァーリ・ボンバはTNT火薬50メガトンとこの大爆発を凌駕する破壊力である。
地球を三周するほどの衝撃波が出ます。

ちなみにSF作家が核爆発によるものであるという説を出したこともあったが、
年代的に考えづらく(特殊相対性理論の発表はされていたが核兵器が出来ていたと考えるのは厳しい)、残留放射能も検出できなかった。






ツングースカ大爆発の爆心地こそ割り出されていたが、
その落下地点の痕であるクレーターそのものは20年以上に及ぶ調査をもってしても発見出来なかった。

しかし2013年に隕石を構成していたと見られる鉱物を検出できた*2ことから、
一端は下火になっていた「隕石」説が主流となり、これが『真実』だろうと思われている。


また、これだけの爆発を起こしたのだから相当にでかい物体が地表に衝突して爆発したのだろうと考えられていたが、
2007年に米サンディア国立研究所がスーパーコンピュータで計算したところ、
この大爆発の隕石は従来の予測よりも小型だが、衝突前のエアバーストの威力が大きく(音速以上の速度で高温ガスの下降気流が生じた)、
衝突時の威力こそ小さかったものの、衝突前の上空でのエアバーストによる爆発の影響が大きかったためにより広範囲に影響が出た……と算出されたらしい。

そしてこの予測結果から、比較的小さな隕石でも地球に落ちた時の影響は甚大になると警告した。

この予測を基に考えると、長年隕石が見つからなかったことは研究者の努力不足や落下地点の測定が甘かったなどではなく、
上空での爆発が大きかったために、そもそも隕石が見つかりにくい状態だったのだと思われる。
無論、調査開始が遅くなったことがかなり大きいと思われるが……。



Cheko湖という湖はこの大爆発による影響で出来たのではないか?という仮説も出されており、
これは大爆発で飛び散った物体の破片によってクレーターが生じて湖になったのでは?というもの。
この説を補強する材料も結構多いのだが、同時に疑問点も多いため、これが『真実』であるかどうかはまだ分からない様子。




ツングースカ大爆発から94年後の2002年、後に「シベリアの火球」などと名付けられる隕石をアメリカの衛星がキャッチし
ロシアの調査団がシベリアの森林の一角(山手線の内側ほど)が禿山になっているのを調査開始から 数ヶ月後に 発見した。シベリアの大地広すぎだろ
さらに2013年にロシアのチェリャビンスク上空で隕石が空中爆発。エアバーストにより多数の建物が損傷し、千人以上の負傷者が出たが、幸い死者はいなかった。
こちらはネットが普及していた上に人口密集地近くに落ちたので燃える隕石が空から降ってくるところを捉えた映像がただちにアップロードされていた。
計算によるとチェリャビンスク隕石の(大気圏突入前の)直径は十数メートル、爆発の威力は約500キロトン、ツングースカの10分の1とされている。もしツングースカの時と同じサイズだったとしたら、その被害はどれほどのものになっただろう。
そして次はいつ、どこに落ちてくるのだろう。



【創作物での扱い】

  • 仮面ライダーEVE
本作ではショッカー首領の乗って来た宇宙船であることにされている。

物語終盤で巨大隕石が作り出した未知のエネルギー・ハイトロンがカギとなるが、ツングースカに落下したというツングース隕石の存在が語られている。

  • 天空の覇者Z
作中におけるナチスの超科学「T鉱石」の原料。

  • 異形特務空母<那由他>
ツングースカに落下した「大怪球」がポールシフトとシベリアの大規模な地盤沈下を引き起こす。
米ソ両国の中枢部は壊滅し、シベリアにはオビ川の河口(つまりオビ湾)から出入り可能なケノービ海という内海が形成される。

単行本第7巻収録のエピソード「怪隕石を追え」の題材。
本作では隕石の正体は異星人ナターシャの不時着した宇宙船という設定。

  • レジスタンスシリーズ
本作では隕石によってツングースカ大爆発が発生した事になっている。
そしてこの隕石によって宇宙からキメラウイルスがもたらされ、世界を崩壊させていく…

アニメ第229話にて、地球を侵略しに来たクワイエット星人と名も無き地球人が、人知れず地球を懸けて戦ったときの爆発とされた。

  • K-20 怪人二十面相・伝
科学者ニコラ・テスラが発明した無線送電装置が物語のキーアイテムとなっていることに関連し、爆発がテスラによるエネルギー転送実験であった可能性が登場人物により指摘されている。

2021年末に開催されたイベント「非霊長生存圏 ツングースカ・サンクチュアリ」の舞台設定とある人物の来歴に大きく関わる。
爆発自体は隕石によるものとしている。

作中世界において西暦1908年に北欧の森林地帯、ルサールカで起こった謎の事件として語り継がれる「ルサールカ大爆発」(真相は第1話冒頭で描かれた光ノ魔王獣マガゼットンオーブの戦闘の余波で生じた大爆発)のモチーフとなっている。

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最終更新:2023年12月16日 01:22

*1 周辺と言ってもヨーロッパ各国やアジアなどの大規模な範囲

*2 地球上ではほとんど見られない鉱物が多く検出された