クロックアップ(仮面ライダーカブト)

登録日:2010/09/22 Wed 08:21:08
更新日:2024/03/18 Mon 16:13:15
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クロックアップ…!

Clock Up!

クロックアップしたライダーフォームは、人間を遥かに超えるスピードで活動する事が出来るのだ!


「クロックアップ」とは、特撮テレビドラマ『仮面ライダーカブト』に登場する高速移動能力

他にも和製英語としての意味やアダルトゲームブランドの名前だったりするが、ここでは『カブト』におけるクロックアップについて記述する。


●目次

【クロックアップ】

身体を流れるタキオン粒子を操作し、時間流での自在な活動を可能にして行う超高速行動。使用中は周囲の時間がほとんど止まったような状態になる*1
つまり、「そんな攻撃、止まって見えるぜ?」な状態になる。

しかし、クロックアップ中の物体は決して止まっている訳ではなく、ほとんど静止状態なだけであって、僅かながら動いてはいるのだ。
降りしきる雨の中でクロックアップすれば、その瞬間雨粒は空中で静止し、銃弾などもクロックアップした側から見れば、空中をゆっくり進んでいるように映る。

ワーム 成虫体が持つ能力であり、対ワーム用の〈マスクドライダーシステム〉にも搭載されている。
……というよりは、むしろクロックアップ無しでは成虫ワームを撃破どころかほとんど対応すら出来ない。
当然、マスクドライダー達はマスクドフォームからキャストオフした後のライダーフォームにて全員クロックアップを装備している。

なお、仮面ライダーキックホッパー仮面ライダーパンチホッパーは劇中未使用だが、設定上装備しており、
仮面ライダー クライマックスヒーローズ』やPS2、『仮面ライダーバトル ガンバライド』といった各種ゲームで確認できる他、映像作品では『仮面ライダージオウEP37・38にてようやく使用した。


【発動方法】

ワームは自身の意思で任意に発動出来るが、マスクドライダーの場合はベルトの左右にスラップスイッチ(プッシュタイプかスライドタイプ)が備えられており、スイッチを操作すると「Clock Up!」の電子音声と共に発動状態となる。

ライダーのクロックアップは変身者の身体に負担がかかるために時間制限が設けられており、ある程度時間が経過すると「Clock Over!」の電子音声と共に自動で解除される。
なお、具体的な制限時間やどんな負担かは不明だが、ゲーム版では仮面ライダーファイズ アクセルフォーム同様、10秒*2という形になっている。
また、任意での解除や連続使用も可能。

クロックアップ中のワームやライダーは異なる時間の流れに存在するため、“タキオン粒子が流れる目”を持つ各ライダーフォーム時のマスクドライダー達ならば、
通常の時間流(自分がクロックアップをしていない状態)にいてもクロックアップの動きを視認する事は出来る(もっとも、視認出来たとしても超高速で何かが動いているようにしか見えない)が、生身の人間には速すぎてまず認識出来ない。

単なる高速移動ではなく“他の動きがゆっくり見える状態”であるため、クロックアップ中に非クロックアップ状態の相手のカウンターは食らわない(カウンターしようとしていると分かるし、ゆっくり慎重に動いても相手から見ると超高速なため)。
……のだが、実際には後述のように様々な方法で破られてもいる。

本編ではクロックアップしたワームを非クロックアップ状態の仮面ライダーカブトが粉塵や鏡にレーザーポインターを駆使し、
更に瓦礫に身を隠して攻撃の軌道を読めなくし、相手が攻撃を仕掛けてくる場所を限定させた上でクロックアップ終了を見切り終了直後にカウンターで撃破した。流石天道さんやで。

外から見ると超高速に見えるが、あくまでも自分の時間の流れが速くなっているという物理法則を遥かに超えた高速移動なので、
クロックアップ同士で殴り合っている場合や、クロックアップ中の存在が非クロックアップ状態の物体を攻撃しても相対性理論で語られる質量の増加は発生せず、威力は外から見た速度に比例して上がったりはしない。
その代わりに高速移動能力の弱点として設定されることのある自爆のリスクというものは存在しない。
また、マスクドライダーが使用する影が薄いゼクトマイザーといった、単なる高速で追いかける兵器であっても捉えられない訳ではない模様。


【余談】

◆モチーフ

クロックアップの元ネタは初代『仮面ライダー』と並ぶ石ノ森章太郎氏の代表作である『サイボーグ009』の「加速装置」。
009ことジョーの主観で回りが極端に遅く見える描写や加速装置持ち同士の対決など、本作のクロックアップの演出にも深い影響を残している点がうかがえる。*3


◆商品版

『カブト』放送当時のDX玩具版にはクロックアップ関連の音声が一切収録されておらず、当時から散々熱望された。
劇中では発動スイッチがあるベルト横のボックスは、DXカブトゼクターやガタックゼクターでは電気系統は一切入っていないただの飾りである。

一説によるとスイッチを押して発動は現場でのアイデアであり、バンダイ側は一切知らなかったそうな。
(初期設定ではキャストオフした後のライダーフォーム中は常時クロックアップ状態で、任意発動/解除音声は元々なかった模様)
これは当時のDXカブトゼクターのCMからもうかがえる(キャストオフした直後から背景の落下物のスピードが緩やかになっている)。

ちなみに代わりというか何というか、DX版にはマスクドフォーム状態時に「ガシャンガシャンガシャン」というような謎音声が収録されている。
これも初期案にあった「マスクドフォームの大群」の行進をイメージした音がそのまま使われてしまったものだそうである。

後にプレミアムバンダイ限定で受注販売が行われたCOMPLETE SELECTION MODIFICATION「カブトゼクター」には、
待望のクロックアップ&クロックオーバー音声も「ベルト側面にスイッチ新規搭載」という形で収録されている。

2022年にレジェンド変身ベルトシリーズから発売されたカブトゼクターは廉価版にもかかわらずボタン長押しでクロックアップ&クロックオーバー音声が鳴る仕様となっている。


◆設定

キャストオフからのライダーフォーム&クロックアップの元ネタの一つはサナギマンだが、劇中ではマスクドフォームの意義が薄く、
中盤からはすぐにライダーフォームになったり、マスクドフォームが存在しないライダーが登場したりと「さっさとキャストオフしてクロックアップした方が強くないか?」との意見も多く、マスクドフォームの必要性が薄かった。
これについて、書籍『「仮面ライダー」超解析』にて、『カブト』チーフプロデューサーの白倉伸一郎P自身が「『響鬼』の後なので王道を目指したが、やはり色々設定の練り込みが足りなかった」(要約)と失敗を認めている。
上記の商品版の音声のように色々試行錯誤しながらの現場だったことがうかがえる。


【上位能力】

◆ハイパークロックアップ

クロックアップの上位バージョン。
〈ハイパーゼクター〉を装着して、ハイパーゼクター本体のスイッチを押す事で「Hyper Clock Up!」の音声と共に発動し、終了時には「Hyper Clock Over!」の音声が流れる。

ハイパークロックアップ中はクロックアップしたライダーやワームさえ止まって見える(正確には緩やかに動いている)。

また、ハイパークロックアップはタキオン粒子の流れに乗ることにより、過去や未来への移動が可能になっている。
SF的な発想での擬似的な考察、予想として「物体が光速度を越えると時間の流れが逆行(事象の観測が目茶苦茶になる予測の一つ)するのではないか?」というものがあり、
単に超加速でも可能な未来への移動に対して、「本来は不可能とされる過去への移動はこの方法なら出来るかも?」という考察がある。
クロックアップは演出的にも流石に光速度は越えていないと思われるが、ハイパークロックアップの場合はそのクロックアップ中で更に時間流を速めることで擬似的に光速を越え、時間移動を可能にしている模様(流石に自由自在とはいかない上に危険も伴うようだが)。
現実でも大幅に光速度が制限される水中を荷電粒子を走らせて擬似的に光速を越える観測結果が取られたりしている。タイムスリップは聞かないがチェレンコフ効果で知られている。青く光るぞ。

この「過去に戻る能力があるよ」という演出を見せる都合上、仮面ライダーガタック(加賀美新)は挿入歌「LORD OF THE SPEED」が流れる中、幹部級のワームの攻撃を受けて爆散させられてしまった(その後、カブトのハイパークロックアップで死ぬ前に戻って助けられたが)。
この挿入歌だが、「爆死した当人が」歌っているので、何ともシュールな画になっている。
ちなみに映画『劇場版 仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE』でも加賀美はこういう目に遭ってます。加賀美が一体なにをした?

DX玩具版のハイパーゼクターにはハイパークロックアップ、ハイパークロックオーバーの音声は収録されているが、
ハイパーライダーキックを発動するとハイパークロックオーバーの音声は流れないため、劇中のような演出はできない。

先述のようにDXカブトゼクターなどにはクロックアップ用の音声が未収録だったのが制作側に憂慮され、
ハイパーゼクターはDX玩具でも腰を押してクロックアップ用の音声が流れるパワーアップアイテムとしてデザインされたという証言がある。
それを裏付けるように、DXカブトゼクター付属のベルト横のボックスには武器マウント用のジョイントすらない(ハイパーゼクター側に付属)。


◆フリーズ

カッシスワームが使う、ハイパークロックアップの動きさえも止めてしまう時間停止能力。
原理は同様だが、クロックアップやハイパークロックアップは“周囲の時間がほぼ止まっている”のに対し、フリーズでは“周囲の時間が実質的に完全停止してしまう”
ハイパークロックアップと違いタイムスリップは出来ないが、その完全時間停止故に戦闘ではハイパークロックアップでさえ太刀打ち出来ない。
弱点として他のクロックアップ同様、連発するには間を置く必要があり、カブトはあらかじめ発動したタイムスリップさせた時間差攻撃により、フリーズ解除直後の隙を突くことで撃破した。
本編のラスボスであるグリラスワームがポッと出だったので「ラスボスより強かった」「ラスボスはカッシスワームでよかった」などと評判。
こっちもこっちで再生すればする程弱くなっちゃったけど


【クロックアップ対策】

仮面ライダーディケイド』・お祭り映画・『仮面ライダージオウ』など数多くあるライダー同士の共演であるが、それらの中においてもカブトを始めとするマスクドライダー達はクロックアップによる優位性がよくクローズアップされる。

『ディケイド』でのクロックアップ登場に際しては、「クロックアップにどう対抗すれば……?」という事がカブト編に挑むスタッフの裏テーマであり、打ち合わせ時にスタッフ間でどうクロックアップに対抗させるかで盛り上がったという。
こうして、様々な手段でクロックアップを打ち破られる、あるいは対抗される描写も多い。

以下、いくつかのパターンを述べる。

◆置き技

超感覚や未来予知等なんらかの手段で動きを認識・予測して攻撃を出しておく戦法。
ディケイドクウガ ペガサスフォーム仮面ライダージオウⅡなどが該当する。
不可視かつ高速の空気弾である前者はともかくとして、後者はクロックアップした側からはゆっくり見えるはずのカウンターが当たっているため、疑問視する声も。
ただし、ジオウⅡは未来予知能力を持つため、「ジオウⅡがカウンターしようと動いていることを知っている前提で攻撃に出ている*4」事を知られた、
はたまた「影山がクロックアップの優位性から油断してちゃんと見ていなかった」…などといった推測が挙げられている。

他にもディケイドはフィロキセラワームのクロックアップに対して「ディケイドイリュージョン」で分身することで自分に近づこうとするワームの死角から分身により攻撃する技を披露していたり、
仮面ライダーディエンドは「アタックライド インビジブル」による透明化を利用してあっさり逃亡したりしている。
なお、映画『劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』では、ディケイドカブトと交戦したロボライダーは視認こそ出来たものの、攻撃を命中させるには至らなかった。


◆高速移動

ファイズ アクセルフォームや仮面ライダーウォズ フューチャーリングシノビが該当。単純に加速して対抗する。
時間操作と違って本人の感覚が高速化するとは限らないことや、タキオン粒子の設定、更には『カブト』本編の頃からクロックアップ側の倍率にばらつきが見られる*5ことから、メジャーだが論争になりやすい方法である。

なお、ファイズ アクセルフォームとカブトが共闘する際には併走していることが多く、外部から見た単純なスピード自体は互角に描写されている。
ちなみに相対性理論に基づけばちゃんと高速移動でクロックアップに対応することは可能である。
なお、映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』では、
仮面ライダードライブ タイプスピードはファイズ アクセルフォームやクロックアップより加速倍率が低いのか、同時発動した際にドライブだけスロー状態になるという描写が見られた。
とはいえ、それでもあくまでクロックアップ時の空間から見ても流れるように動いていたことから、相当の加速を行っている模様*6


◆似た原理の能力

仮面ライダーゲイツリバイブ疾風が該当。
ゲイツリバイブは時を拡縮することで能力を強化しているため、原理がクロックアップに似通っている。
なお、仮面ライダーウィザード インフィニティースタイル仮面ライダーオーズ スーパータトバコンボ仮面ライダークロノスなども時間に干渉する能力を持つ。


◆避けきれない広範囲攻撃に巻き込む

仮面ライダーディエンド(&仮面ライダーイクサ仮面ライダーサイガ)、仮面ライダーストロンガー、ウォズ ギンガワクセイフォーム等々が該当。
ゆっくりに見えていても避けようがないほどの広範囲攻撃に巻き込む豪快な方法。
ただし、広範囲な分、威力が牽制技レベルであることも多いため*7、実際にこの方法で相手を仕留めたのは威力も兼ね備えているウォズだけだったりする。
他にも、『ジオウ』にてクロックアップと同様の原理で高速移動するゲイツリバイブ 疾風がアナザードライブ重加速によって大幅に減速させられていた描写から、
ロイミュード、及びロイミュードと同様の力を使えるアナザードライブが用いる重加速もクロックアップに対して通用する可能性もある。



よーし、俺も項目を追記・修正す――

Clock Up!


「」


Clock Over!

――るか!……あ、あれ? もう追記・修正されてる!?


( OTO)……フッ。


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最終更新:2024年03月18日 16:13

*1 なお、時間流での活動はライダーフォームによる説明で、ワームにおけるクロックアップの説明は「人間には知覚できない程の超スピード(『カブト』テレビ朝日公式サイトより)」という解説から、単なる高速移動の可能性もある。

*2 『カブト』超全集によるライダーベルトの説明では「『数秒』でクロックオーバーする」という記述に留まり、数十秒とは記載されてない事から設定上でのクロックアップの持続時間はアクセルフォームよりも短いか、長くて同等の10秒間であると考えられる。

*3 より厳密な元ネタはSF小説「虎よ!虎よ!」の加速装置と思われる。「ジョウント」という用語の存在、宇宙最強の男による独走など、カブト本編に通じる部分も多い。

*4 常磐ソウゴ自身が未来創造能力を持つため、「ジオウⅡが未来予知をした時点で影山の行動が数秒後の未来として確定した」とも取れる。

*5 このことについては空想科学読本でもツッコミを入れられており、「オリーブオイルのシーンではそこまで加速してないように見えるのに、雨粒のシーンでは超高速である」ということを計算で出していた。

*6 なお、『仮面ライダー555』本編でもファイズの視点から周囲の敵がゆっくりと動く演出や、ファイズアクセルには装着者の意識をスーツにダイレクトリンクさせ、意識とスーツの動作のタイムラグが無くなるという設定が存在することから、クロックアップ同様に意識も加速する可能性もある。

*7 ディエンドは仕留めきれないままイクサとサイガを倒され、ストロンガーも映画『平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊』にて「エレクトロファイヤー」を当てたが、決定打にはならなかった。